2012年02月09日

秋入学

東京大学の「入学時期の在り方に関する懇談会」は、1月18日に発表した中間報告で、秋入学への全面移行を提言し、他の大学にその問題が波及しています。
今後10~20校を中核として、秋入学に関する協議会が開かれるようです。

  私は内容の善し悪しの前に、国立大学が法人化され大学の経営が各大学にゆだねられたにも関わらず、未だに文部科学省の影響下にある現実に自律的な動きとして一石を投じたことに、一定の評価をしたいと思います。
ただ、TPPの議論と同様に、閉そく感を打破するため、グローバル社会の中ではこの方向しか日本の生きる道はないかのような議論だけでは、この問題は先に進まないと思われます。

秋入学の「一般的な」メリットとデメリットは次のように言われています。
東大の中間報告が示した秋入学のメリット、デメリットを整理すると、メリットとして挙げられているのは、主に次の3点で、
(1)秋入学導入によって国際的な学期スケジュールに合うので、海外からの留学生や帰国子女が増え、日本人の海外留学も増える
(2)高校卒業から大学入学までの空いた期間(ギャップターム)中に、ボランティア、インターンシップ(短期就労)などの「多様な経験」ができる
(3)企業の新卒一括採用が多様化するきっかけとなる

 次に、デメリットとして主に次の2点が指摘されていて、
(1)春入学と秋入学が並存すると、就職、入試、大学間交流において混乱が起きる
(2)修業期限が延びて親の家計負担が増し、卒業後の年金などにも悪影響を与える
危惧される議論の迷走。

  いずれにしても、これから議論ですが、上記の論点では、秋入学によって実に多様な目標が想定されており、多くの大学関係者が議論して、効率的な目標に絞ることは困難かもしれません。
また、メリットの中には、本来、秋入学とあまり関係ないポイントが含まれていることが、議論の迷走するきっかけになるかもしれません。

専門家は、次のように指摘しています。
(1)同じ留学生といっても、短期の学部生、高度な研究に従事する大学院生のいずれを増やすかによってやるべきことが変わる
(2)日本人の留学生を増やすことについても同様である
(3)ギャップタームがなければ学生は「多様な経験」ができないわけではない
(4)秋入学によって新卒一括採用がなくなっても、それが就職状況を改善するわけではない。
 
大学改革が期待通りに進まない中で、そのきっかけとなれば幸いです。
posted by 川上義幸 at 21:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記