昨日福岡市で、「真・地方の時代」を考える流域情報交換会が開催されました。
この流域情報交換会は私が理事長を務める(一社)北部九州河川利用協会が主催し、河川を通じて流域、地域の将来について考える機会を提供することを目的として実施し、今年が2回目となります。
当協会では、流域、地域を考える関係者の活動を支援するプラットフォーム的な役割を果たすことを目指していて、このような企画やホームページを充実して河川の幅広い情報を提供しようと考えています。
昨年は、「Withコロナ、Afterコロナ下におけるローカルアドバンテージを活かす工夫」というテーマで以下の背景を踏まえ開催しました。
国と地方の関係において各種地域格差の問題が指摘され、これまで東京一極集中を是正し、地域活性化、地方創生などの地域を鼓舞する動きや具体的な政策が展開されてきましたが、実態はというとその成果は限定的といえます。
人口減少が進む我が国において地方の人口減少はさらに顕著となり、若者の減少、高齢化の波が看過できない状況に追い込まれている地域も出てきました。
そのような中、新型コロナウィルス感染が世界中で広がり、一瞬にしてこれまでの世界各国が享受してきた経済的豊かさとは程遠い日常に追い込まれてしまいました。
出口が見えないコロナ禍は、日本だけでなく先進国を中心として築き上げてきた豊かさの源泉であるグローバルな社会経済システムを根本から見直す必要性が迫っています。
昨年はWithコロナ、Afterコロナをどのように考え、どのように対応するかが我が国の今後の大きな課題となっており、地方でもこのことを考えようということで、情報交換会を開催しました。
今年のテーマは『流域治水』です。
近年、想定を越える豪雨災害の発生が全国各地で相次ぎ、九州では、平成24年7月の九州北部豪雨災害を
はじめ、平成29年以降、毎年各地で甚大な水害被害が発生しています。
今後、さらに気候変動が進み甚大な洪水氾濫による大災害の発生も想定される時代となってきました。
こうしたなか、国土交通省は近年の増加する水災害に備え、国・都道府県・市町村・企業・一般住民などあらゆる関係者が協働して流域全体で治水対策に取り組む『流域治水』への転換を掲げています。
この『流域治水』は、従来のダム・堤防等の既存施設の活用に加えて、遊水池や雨水貯留施設の整備、あるいは住宅地における水害リスクの情報共有や移転促進などの幅広い対応策をとなっています。
『流域治水』の考え方では、豪雨被害を最小限に抑えるために、あえて危険性の低いところに水をあふれさせて河川のピーク流量を減らすなどの対策も含まれています。
そのため、住民の住まい方、企業の立地場所、農林水産業等への影響も少なくないと考えられ、『流域治水』を実現するためには、市町村・県境を超えた広範囲の住民、企業等、関係者の理解と協力、協働による連携が不可欠となります。
これから関係者間で、流域の自然特性、治水の現状はもとより流域の歴史や文化、産業、生活様式など幅広い情報を共有することから始める必要があります。
そこで、第1部ではまず講演者から『流域治水』を考える上で必要な情報提供をしていただきました。
九州大学名誉教授小松利光先生から「近年の水害の特徴とその対策について」、(公財)河川財団藤田光一河川総合研究所長から「まちづくりに水災害対を組み込む上で大事なこと」というテーマで講演をしていただきました。」
第2部では“「水害対策とまちづくり」 に向けた工夫”というテーマで、倉富会長と地方自治体首長に第1部の講演者や河川管理者である九州地方整備局河川部長にも加わっていただき、意見交換を行いました。
講演者と河川部長の話はどちらかというと「水害対策」という河川管理者の視点から、首長さんからは「まちづくりの」視点から話していただき、両者の意見を融合したり違いを明確にできたら考えていましたが、ちょっと時間が不足して十分な議論には至りませんでした。
「流域治水」の議論は緒に就いたばかりですから、議論の仕方も工夫しながらまたこのような機会を設けたいと考えています。