2021年10月31日

ウィズコロナ下での経済回復

飲食店などへの営業時間短縮要請が解除され、経済活動の正常化を目指す動きが本格化していきます。

新型コロナウィルスの感染拡大が一服し、外食・旅行業界の客足に回復の兆しが見え始めました。

今後は感染対策と需要拡大を両立する「ウィズコロナ」経済へのシフトが課題となります。


飲食店やホテル・旅館の営業に対する制約が大幅に解消され、コロナ禍で落ち込んだ客足がどこまで戻るかが今後の焦点となります。


旅行需要は先行きに明るさが見え始めました。


今年の年末のANAの予約は、コロナ禍前の2019年に比べると9月時点では3割程度だったのが10月時点で5割程度まで回復しました。


JTBの国内旅行も緊急事態宣言解除後、先々の予約が一定程度入り始めています。


京都市の高級ホテルも緊急事態宣言が解除された10月以降は予約率が上昇傾向にあり、稼働率も観光客が多い週末には7〜8割に達するようになってきました。


しばらく、外での飲食は自粛していましたが、解除後に久しぶりに仲間と会食しましたが、店がコロナ対策をしっかり行い、利用者も節度ある行動をすればウィズコロナ下での外食も定着するようになると感じました。


ただ昨日、ゴルフをご一緒した人の話では、中州のクラブも接待の客で賑わいを見せるようになったそうで、そのこと自体は日常に戻って喜ばしいことですが、ほとんどの女の子がワクチンをせずウィズコロナ対応での営業になっていないようでした。

第6波につながりそうで、この先が心配です。


ゴルフの成績は、相変わらずOBが出て大叩きのホールがあり、なかなかスコアがまとまりません。

ゴルフ場は秋の訪れを感じる紅葉がきれいになってきました。
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2021年10月29日

金木犀

すっかり秋らしくなってきて、昼間も快適に過ごせる季節となりました。

朝晩は、多少冷え込みがきつい日も出てきましたが、早朝のウォーキングには高齢者の元気な姿が見ることができます。

今朝のウォーキングでは、空きの風物詩と言われる金木犀の甘い香りが漂ってきました。


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金木犀の花言葉には、『謙虚・謙遜』『気高い人』『真実』『陶酔』『初恋』といった言葉があります。

『謙虚・謙遜』は、強い香りが印象的な一面とは裏腹に、咲かせる花は直径1cmにも満たないと小さくつつましい様子にちなんでつけられました。


『気高い人』は、季節の変わり目に降る秋雨の中で、潔くすべての花を散らせることが「気高い人」という花言葉の由来となっています。

また中国では位の高い女性の香料などに加工された金木犀が使われていたなど、この花言葉の由来となっているとも言われています。


『真実』は、金木犀のその香りの強さから、開花時を隠すことやごまかすことができず周囲の人が知ることになり、そのような嘘のつけない香りが「真実」の由来になっているようです。


『陶酔』は、その強い香りに由来し、原産国の中国で、香りを活かしてお茶やお酒、お香などに利用されていたこともあり、「陶酔(気持のよいほろ酔い気分にさせてくれる)の香り」にちなんでつけられました。


『初恋』も、金木犀特有の甘い香りが由来で、人生で誰もが経験し忘れられない「初恋」、そして金木犀の香りも一度かいでしまったら忘れられません。

その一生に一度の忘れることのできない経験がこの花言葉に結びついているのでしょう。


原産地の中国では、丹桂(たんけい)や桂花(けいか)という別名で知られており、観賞用以外にお茶やお酒(白ワイン)、お菓子、漢方薬など花びらを食用や薬用に扱える植物としても親しまれています。


金木犀の開花時期は、9月中旬〜10月下旬ですが、今年は残暑が厳しかったこともあり、多少遅めの開花となっているようです。

環境によって異なりますが、9月に一旦花が咲き終えた後、10月に新しい花が開花して下旬まで楽しむことができる2分咲きや四季咲き品種もあるそうです。
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2021年10月28日

新しい資本主義

岸田首相が提唱している「新しい資本主義」の実現に向けた有識者会議が一昨日開催されたようです。

首相就任後も具体的な政策のイメージが示されておらず、岸田首相が目指す「新しさ」が何か見えておらず、この会議に期待するところが大きいようです。

岸田首相は会議の冒頭で、デジタルやグリーンなどを柱に11月上旬にも緊急提言案をまとめるように指示しました。


行き過ぎた競争による格差拡大や社会分断に直面する米欧を中心に、資本主義を問い直す動きは世界でも広がっていますし、日本は企業に成長へと変化を迫る市場の競争メカニズムがうまく機能せず、低成長に苦しんできました。

世界の有識者による「新しい資本主義」に対して議論がなされているようで、ノーベル賞も受賞した仏経済学者のジャン・ティロール氏は、株主だけでなく顧客や従業員などステークホルダー全体を考慮した企業統治を提唱します。

「資本主義の再構築」などの著書で知られる米経営学者のレベッカ・ヘンダーソン氏も、気候変動や格差問題には株主価値の最大化という考え方を離れる必要があると説いています。


各国政府も積極的な不平等の是正へ政策の軸足を移そうとしていて、米バイデン政権は富裕層向け増税などを財源に大型インフラ整備の実施を打ち出していますし、ドイツの次期政権も最低賃金の引き上げを通じ格差是正に取り組む姿勢を打ち出しています。

日本政府はこれまでも、低成長からの脱却に何度もつまずいてきました。


2012年に発足した安倍政権は未来投資会議を立ち上げ、菅政権も成長戦略会議で成長戦略を議論してきましたが、2012年と2020年のGDPを比べても、米国は14%、ユーロー圏は4%伸びたのに対して、日本は2%伸びにとどまります。

岸田首相は、所信表明演説で「改革」に言及しませんでした。

「成長と分配の好循環」の実現には民間の競争を促す抜本的な改革の提示は欠かせません。


今回の衆議院選で各党は、分配ばかり主張しその財源が明確ではなく、バラマキ合戦の様相を示しています。


「財務次官、モノ申す」と題する矢野論文が波紋を広げていますが、「バラマキ合戦のような政策論」に警鐘を鳴らしています。

矢野論文には「本当に困っている方が一部いるのは確かで、その方たちには適切な手当てが必要」「国民は 本当にバラマキを求めているのか。日本人は決してそんなに愚かではない」とあり、全くその通りです。


改革を唱えているのは日本維新の会で、今回の衆議院選では議席を伸ばしそうです。
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2021年10月27日

インフラ補修、進まぬ議論

笹子トンネル事故以降に全国でインフラの総点検が進みますが、放置されたままの道路や橋が多く残っています。

国土交通省が点検した施設のうち、早急に対策が必要なのは3月末時点で全国のトンネル約4割、橋の1割に上ります。


10月には和歌山市で上水道用の橋が崩落し、約6万世帯が断水しました。


日本のインフラは高齢化が進み、道路橋や河川管理施設、港湾などで建設から50年を超える施設は2033年には6割程度に達するといいます。

また、適切な保全を怠れば、約30年後に維持管理や更新の費用が2倍超にふくらむとの試算もあるようです。


特に市町村の管理施設は、財政難や専門人材の不足が重なって危機が深まるといいます。


米国では約40年前に同じ問題が顕在化し、これを機に道路関係投資を積み増す方向に舵を切りました。

「荒廃するアメリカ」と題する報告書に、老朽化で取り壊された道路や廃線となった鉄道などの写真が並んでいるのが印象的でした。


日本の公共事業費はピーク時の1997年度の当初予算が約10兆円でしたが、2021年度は4割減の約6兆円で近年は横ばい傾向が続いています。

少子高齢化が進む中でコンパクトシティ化を目指し、統合や廃止でインフラを集約することも必要になってきますが、合意形成の難しさもあって一筋縄ではいきません。

大幅な公共投資の拡大が望めないとすれば、重要性の高い維持管理や更新を優先させ、新規投資の優先順位を考えながら、国土強靭化に向けて今まで以上に効果的な投資の在り方が議論される必要があります。
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2021年10月26日

新興国台頭、コーヒー消費増える

モロッコでは近年、大手コーヒーチェーンの出店が相次いでいます。

背景にあるのが経済成長と人口増加に伴うコーヒー消費拡大への期待です。


1人当たりGDPが8000ドル前後を突破し、25歳以上の人口が増加している国はコーヒーの消費が見込めるといいます。

嗜好品を買う余力を生む所得の増加と、消費する層の拡大が消費量の伸びにつながるとの見立てです。


実際、過去に条件をクリアしたトルコでは消費量が5年前よりも約2倍に拡大し、インドネシアも同期間で4割増えそうです。

中国も2009年に条件をクリアした後は需要が急増し、同国大手のラッキンコーヒーの店舗数は一時4000点を超え、米スターバックス以上の出店となりました。

人口2位のインドは25歳以上の人口が大きく、1人当たりのGDPは2023年に8000ドルを超える見込みで、将来的に消費が大幅に伸びる可能性があり、アンゴラやガーナなどアフリカ諸国も数年内に条件突破に近づくと予想されています。


もっとも、新たな消費国の台頭は、コーヒーが定着している国の消費者にとっては需給がひっ迫して悪材料になるかもしれません。

米コーヒー研究機関では、世界の消費量は年2%のペースで伸びてきましたが、このペースが続けば30年後には生産量が2倍程度にならないと需要を満たせず、現在の消費量の3〜4割の不足が生じるとしています。


供給量の頭打ちも市場の大きな懸念となっており、温暖化などを理由に、コーヒー豆のシェアが5〜6割に達する高級品であるアラビカ種の生産適地が半減するともいわれています。

日本はデフレから脱却できないだけに、コーヒーが高根の花になる日がくるかもしれません。
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2021年10月24日

量子技術の適用

日立製作所は量子コンピューターを疑似的に再現する「疑似量子コンピューター」の技術を使って、鉄道ダイヤなどの運行計画を自動作成するシステムを開発したということです。

2022年度に商用化する乗務員の配置計画では、数日かかる作業が30分に短縮できました。


日本は量子技術の実用化で米中に後れを取りますが、企業の取り組みが進んできました。

同社が開発した「CMOS(相補性金属酸化膜半導体)アニーリング」と呼ぶ疑似量子コンピューターを使い、運行計画などを自動作成します。

国内鉄道会社と組み1日440本の列車が運行する区間で実証実験したところ、約1000万の組み合わせから最適な配置を選ぶことができました。

通常は数日かかるところを大幅に短縮でき、鉄道運行に必要な乗務員数も従来より15%減らすことができた
ようです。


乗務員の配置シフトといった組み合わせの計算は、既存の2進法をベースとするコンピューターでは自動化は難しいとされてきましたが、日立は多数の組み合わせの中から最適なものを見つけ出す「量子アニーリング」という原理を応用して、自動化に成功しました。

2022年度をめどに商用化し、海外展開も視野に入れているようです。


そのほかにも、車両配置を最適化するシステムや線路、電気設備などの保守点検で効率的なルートを作成できるシステムも開発しています。

また、これまでベテラン従業員の経験に頼り、数日から場合によっては数か月かかっていた運行ダイヤ作成のシステム開発にも取り組んでいます。


複数の鉄道会社による相互直通運転が広がり、ダイヤ作成や人員配置は複雑さが増しており、また、新型コロナウィルスの影響で鉄道の利用者数は変動しやすく、運行計画の自動作成へのニーズが高まっていますから、
量子技術の活用は今後ますます期待されます。
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2021年10月23日

原油高騰がもたらすもの

ガソリン価格の上昇が続いていて、背景には、原油の先物価格の高騰があります。

10月18日時点のレギュラーガソリンの小売価格は全国平均で1リットルあたり164.6円で、7週連続で値上がりしました。

緊急事態宣言が全面的に解除され、経済活動が再開された矢先でした。

灯油価格も1リットルあたり103.3円と7週連続の上昇し、これから寒い時期を迎え、暖房にかけるお金も増えることになりそうです。

企業経営にも影響が出てきています。


例えば、クリーニング会社では、重油を使ってボイラーを動かし、アイロンがけの蒸気や衣料品の乾燥に使用していますが、原油価格の高騰を受けて、重油が去年の同じ時期に比べ42%も上昇したそうです。

このほかにも、ドライクリーニングで使う石油から作られた溶剤、配達などに使用する車両の燃料代も上昇し、会社の経営を圧迫しているとのことでした。


マグロ漁でも、漁船の燃料価格の上昇に直面し、これだけでなく、新型コロナの影響で外食需要が落ち込み、マグロの卸売価格が例年の3分の1程度にまで値下がりしていることもあって、地元の漁業者たちの大きな負
担になっているということです。


大手化学メーカーの間では、プラスチック素材などを値上げする動きが相次いでいます。

石油由来のプラスチック製品は、私たちの暮らしの中にあふれていて、素材の価格が上がることで、消費者が手に取る製品の小売価格にも、今後影響が及ぶ可能性もありそうです。


また、新型コロナの感染状況が落ち着き、まさにこれから、旅行や買い物を楽しもうと考えていた方も多いと思います。


専門家は、こうしたタイミングでの原油価格の上昇が、消費に与える影響に懸念を示しています。

政府は、産油国に増産の働きかけをするなど、国民生活への影響を最小限に押さえるべく取り組みを進める方針ですが、専門家は、より中長期的な政策の実行も必要だと指摘しています。

原油価格のリスクを考えると、エネルギーに占める化石燃料を減らすことが求められていますが、中長期の政策として政府が再生エネルギーの普及をさらに後押しすることも必要のようです。
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2021年10月22日

集団免疫

新型コロナウィルスのワクチン接種を進めても「集団免疫」の実現は難しいようです。

感染力が強いデルタ型が流行している上、ワクチンが感染を減らす効果が長続きしないことが明らかになってきました。


集団免疫とは、免疫を持つ人が集団のなかで一定以上の割合になると感染の連鎖が起きにくくなり、流行が収束していく状態のことを言います。

集団免疫の達成を左右する要素は大きく2つあって、一つはウィルスの感染力、もう一つはワクチンの効果です。


ワクチンの効果を考慮しない場合、集団免疫に必要な接種率の目安(しきい値)は、ウィルスの感染力を表す基本再生産数(RO)から単純に計算できます。

デルタ型のROについて、各国の専門家が示していて、英国では5〜8、米国では5〜9、中国では4〜5と推定されています。

おたふく風邪の4〜7、風疹の5〜7と同程度のようです。

新型コロナウィルスの従来型のROが推定で2.5〜3程度であったことから、ROが2.5だと接種率のしきい値は人口の60%、3では67%となり、これが当初、集団免疫の目安が人口の6〜7割といわれてきた根拠のようです。

デルタ型のROが5なら80%、6なら83%に跳ね上がります。


集団免疫で重要なのはまず感染予防の効果です。

接種完了の人が感染する「ブレークスルー感染」が起こりにくいほど流行は抑えらますし、他人に移すのをどれくらい減らせるかも重要です。

接種完了からしばらくは感染拡大防ぐ効果は90%程度あるようで、日本は6月から現役世代の接種を本格化し、まだワクチンの効果が比較的高い状態にあるとみられ、接種率がさらに上がり、マスク着用や3密回避など
の対策を組み合わせれば、しばらくは感染が広がりにくい状態といえるようです。

しかし、ワクチンの効果は次第に下がり、経済・社会活動が活発になる中で感染者が再び増えるのは時間の問題のようで、現在の状況は喜ばしいことですが、過度な楽観は禁物です。
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2021年10月21日

名門校バブル

中国政府が進める教育改革が思わぬ余波を起こしています。

教育機会の平等化を進めるために学校ごとに定めた学区の範囲拡大を打ち出したところ、名門校周辺のマンション価格が急落したようです。


深圳駅から車で20分ほど走った百花片区には30階を超えるような高層マンションが林立し、地元で有名な名門校の校舎も集中しています。

同地区に住む子どもは中高生になれば、近所の深圳実験学校に通えます。

北京大や精華大、香港大に進む卒業生もいる進学校です。

中国では厳格な学区制が敷かれていて、名門校に通うには親が学校周辺に住宅を所有することになります。

「学区房」と呼ばれるこうした名門校周辺のマンションは一人っ子が多く、教育熱が高い中国では価格が高騰し社会問題となっていました。

しかし、こうした名門校周辺のバブルがはじけ始めていて、年初から3割下がった物件も出てきたようです。


背景にあるのは教育改革の一環である学区制の拡大です。

なんとかして子どもを名門校に入れるために限られた学区房を取りあう親が生んだマンションの「名門校バブル」が一気にはじけたのです。


中国政府は不動産投機を抑え込む姿勢を鮮明にし、住宅ローン審査の厳格化などで不動産の販売価格は今夏、下落局面に入りました。

値上がり必至と見られてきた学区房も、共産党が投機的売買を抑える方針を確認したことに教育改革が加わり、逆風が強まっています。


さらなる値下がりを生みそうなのが校長や教師の定期異動性で、これまでは公立学校でも教師は転職しない限り一つの校舎で働くケースが多かったようですが、定期異動の仕組みは、優秀な教師など教育資源を平準化する効果が期待できます。


名門校というトリックを使ったマンション販売は意味がなくなってきました。

学区房という高額取引を見込みやすかったわけですが、これからは不動産関係者は苦境が増してきました。
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2021年10月19日

「真・地方の時代」を考える流域情報交換会

昨日福岡市で、「真・地方の時代」を考える流域情報交換会が開催されました。

この流域情報交換会は私が理事長を務める(一社)北部九州河川利用協会が主催し、河川を通じて流域、地域の将来について考える機会を提供することを目的として実施し、今年が2回目となります。

当協会では、流域、地域を考える関係者の活動を支援するプラットフォーム的な役割を果たすことを目指していて、このような企画やホームページを充実して河川の幅広い情報を提供しようと考えています。



昨年は、「Withコロナ、Afterコロナ下におけるローカルアドバンテージを活かす工夫」というテーマで以下の背景を踏まえ開催しました。

国と地方の関係において各種地域格差の問題が指摘され、これまで東京一極集中を是正し、地域活性化、地方創生などの地域を鼓舞する動きや具体的な政策が展開されてきましたが、実態はというとその成果は限定的といえます。

人口減少が進む我が国において地方の人口減少はさらに顕著となり、若者の減少、高齢化の波が看過できない状況に追い込まれている地域も出てきました。

そのような中、新型コロナウィルス感染が世界中で広がり、一瞬にしてこれまでの世界各国が享受してきた経済的豊かさとは程遠い日常に追い込まれてしまいました。

出口が見えないコロナ禍は、日本だけでなく先進国を中心として築き上げてきた豊かさの源泉であるグローバルな社会経済システムを根本から見直す必要性が迫っています。


昨年はWithコロナ、Afterコロナをどのように考え、どのように対応するかが我が国の今後の大きな課題となっており、地方でもこのことを考えようということで、情報交換会を開催しました。



今年のテーマは『流域治水』です。

近年、想定を越える豪雨災害の発生が全国各地で相次ぎ、九州では、平成24年7月の九州北部豪雨災害を
はじめ、平成29年以降、毎年各地で甚大な水害被害が発生しています。

今後、さらに気候変動が進み甚大な洪水氾濫による大災害の発生も想定される時代となってきました。


こうしたなか、国土交通省は近年の増加する水災害に備え、国・都道府県・市町村・企業・一般住民などあらゆる関係者が協働して流域全体で治水対策に取り組む『流域治水』への転換を掲げています。

この『流域治水』は、従来のダム・堤防等の既存施設の活用に加えて、遊水池や雨水貯留施設の整備、あるいは住宅地における水害リスクの情報共有や移転促進などの幅広い対応策をとなっています。

『流域治水』の考え方では、豪雨被害を最小限に抑えるために、あえて危険性の低いところに水をあふれさせて河川のピーク流量を減らすなどの対策も含まれています。

そのため、住民の住まい方、企業の立地場所、農林水産業等への影響も少なくないと考えられ、『流域治水』を実現するためには、市町村・県境を超えた広範囲の住民、企業等、関係者の理解と協力、協働による連携が不可欠となります。


これから関係者間で、流域の自然特性、治水の現状はもとより流域の歴史や文化、産業、生活様式など幅広い情報を共有することから始める必要があります。



そこで、第1部ではまず講演者から『流域治水』を考える上で必要な情報提供をしていただきました。

九州大学名誉教授小松利光先生から「近年の水害の特徴とその対策について」、(公財)河川財団藤田光一河川総合研究所長から「まちづくりに水災害対を組み込む上で大事なこと」というテーマで講演をしていただきました。」


第2部では“「水害対策とまちづくり」 に向けた工夫”というテーマで、倉富会長と地方自治体首長に第1部の講演者や河川管理者である九州地方整備局河川部長にも加わっていただき、意見交換を行いました。


講演者と河川部長の話はどちらかというと「水害対策」という河川管理者の視点から、首長さんからは「まちづくりの」視点から話していただき、両者の意見を融合したり違いを明確にできたら考えていましたが、ちょっと時間が不足して十分な議論には至りませんでした。

「流域治水」の議論は緒に就いたばかりですから、議論の仕方も工夫しながらまたこのような機会を設けたいと考えています。

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2021年10月17日

バイオマス発電所で地域再生

バイオマス発電の存在感が地域で増しているようです。

間伐材を主な燃料とするだけに環境負荷を軽減させる効果が見込めるほか、従事者減少や産業競争力の低下で山林荒廃が進む林業にとって、再興につながるヒントとなりそうです。


固定価格買い取り制度で認定されたバイオマス発電容量は、2020年末時点で全国402万キロワットで、2015年の160万キロワットから大幅に拡大しました。

国の新しいエネルギー基本計画案では、2030年度に電源全体に占める再エネの構成比を現行目標の22〜24%から36〜38%に高めることを狙っています。


再エネ市場は従来、太陽光発電がけん引してきましたが、パネル設置に対し、崩落や景観悪化を懸念する声が高まりつつあることで、設置規制に乗り出した自治体も増えてきました。

一方、バイオマス発電の比率は、依然として3%程度にすぎず、太陽光など他の再エネと異なり、燃料を燃やして発電する以上、温暖化ガス削減効果が乏しいという指摘もありますが、森林が国土の7割を占める日本においては、エネルギー供給の多様化といった側面だけでなく、森林再整備につながり、林業の再活性化への道も開けそうです。


2015年比で発電容量を19倍に増やした山形県では、酒田市内に5万キロワットの東北最大級のバイオマス発電所を稼働させました。

燃料の半数近くは山形県産の国産木質チップを使用し、林業の収益強化を図っています。


ヒノキの産地として知られる岡山県真庭市では、同様に端材を木質チップとし、処理コストを年間1億円削減して、市内にバイオマス発電所を稼働させました。

資源の効率的な利用による「循環型社会」構築を目指し、市内のエネルギー自給率100%にする目標を掲げま
す。


バイオマス発電所は林業従事者の雇用を広げる役割を果たしていて、福岡県筑前町では間伐で森林に放置された未利用木材の集荷や運搬、燃料加工を担っています。


環境社会学の専門家は、バイオマス発電は風力発電や太陽光発電より、地元経済への波及効果が大きいといいます。

そして、設置して終わりではなく、間伐材や家畜のふん尿を供給し続ける必要があるため、新たに林業や輸送業者などの需要を生み、また捨てられていたものを資源に変えるだけでなく、発電により出た灰などを肥料に
すれば、資源を地域で循環させることも可能になるといいます。
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2021年10月15日

コロナ補助金で病院の黒字拡大

財務省は財政制度等審議会の分科会で、新型コロナウィルス患者の病床の確保向け補助金を受け取った医療機関の収支の分析結果を公表しました。


政府はコロナ患者のために新規に病床を確保した医療機関への補助を2020年12月に始め、1床につき最大1950万円を支給してきました。


今夏の感染「第5波」で病床がひっ迫し、適切な医療を受けられない人も出た際には、補助金を得ているのにコロナ患者を積極的に受け入れていない病院があるのではないかとの指摘が出ていました。

そこで、厚労省がこの補助金を受け取った1715の医療機関に調査票を送り、回答のあった1290の財務状況を財務省が分析をしました。

対象の約1/4の機関が回答しておらず、全体像がつかめていませんが、いくつか断片的な状況が見えてきました。


コロナ補助金を受給した医療機関(1290機関)の2020年度の平均収支は前年度が0.2億円だったのが、補助金もあって6.6億円の黒字だったようです。

2020年度は受診控えなどもあり、売上高に相当する医業収益の平均が前年度に比べて減収でしたが、補助金が業績を支えた形です。


国立病院について詳しく分析した結果、2019年度からの利益率の改善幅が最も大きい病院は43.5ポイントよくなり、6.7ポイントという平均的な上昇幅を大きく上回りました。

この病院はコロナ関連の補助金の受給額が、補助金を除く収益よりも多かったといいます。

受け入れた患者1人当たりでみたコロナ補助金の受給額のトップの病院は平均の6倍超となる、患者1人当たり5916万円を受け取っています。

この病院が確保したコロナ患者向け病床は17床で受け入れ患者は25人でしたが、いずれも平均値の22床、107人を下回っています。


病院経営に詳しい専門家は、個別医療機関の財務諸表ではコロナ補助金などの内訳がわかりづらいといいます。

財務省は、制度設計が適切だったかなど、運用実態を把握したうえで見直すべき点は見直すと話しています。
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2021年10月14日

ウィズコロナ下での働き方

米国では、ワクチン接種が進み、コロナが少しずつ落ち着いてくると、在宅勤務から週3日のオフィス勤務とテレワークを組み合わせた「ハイブリッド型」などの働き方に移行する会社が出てきています。

これは対面コミュニケーションの重要性をあらためて強調している形です。


米IT大手ではアップルやアマゾン・ドット・コムもコロナが収束した後に週3日出勤を原則とする方針を打ち出しました。

企業がオフィス回帰を進める中、現状維持を望む働き手との綱引きも激しくなっているようです。

某調査では、在宅勤務者の42%がテレワークを継続できなければ転職すると答えています。

ワクチン接種を巡るせめぎあいもあるようで、グーグルなどは出社する社員に接種を義務付ける方針ですが、米国内の成人の49%が出社時に接種証明を求めることを「容認できない権利侵害」という調査結果も出てい
ます。

一方で、テレワークの弊害も見えてきており、コロナ禍以降、在宅勤務者がオフィス勤務者よりも労働時間が長くなったという調査結果もあり、メンタルヘルスの悪化を訴える声もあるようです。


欧州ではテレワークに関する法制度の整備が進んでいます。

ドイツでは、従業員が在宅勤務を希望した場合、使用者側に労使協議に応じることをもとめる「モバイルワーク法案」を公表しました。

アイルランドも、テレワークの企業向けの行動規範を策定し、就業時間は業務連絡を受けない「つながらない権利」の尊重を盛り込みました。

フィンランドやオランダでは女性の労働参加を後押しするため、以前から自宅を含む希望の場所で働く労働法上の権利を認めています。


日本でも厚生労働省がテレワークのガイドラインを改定し、望ましい費用負担や労働時間管理の在り方を示しましたが強制力はなく、ポストコロナの働き方のルール作りは企業にゆだねられているようです。

いずれにしても、対面で取り組む方が適した仕事があるのも事実のため、出社とテレワークのバランスが重要となります。

また、欧米に比べて日本はテレワークの生産性が低いこともあって、欧米の働き方をそのまま引用することも無理があるように感じます。
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2021年10月13日

野菜スープ

  近年は空前のサラダブームだそうです。

  肉や魚の“付け合わせ”ではなく、それ自体がメインディッシュとなるチョップドサラダにインスタ映えするジャーサラダ、「家で作るかスーパーで買うか」の大論争を巻き起こしたポテトサラダまで…。


  しかし、最新の研究に基づく医学的見地では、野菜は生よりも熱を加えて煮込んだスープにした方が体にいいということが明らかになりつつあるといいます。

  ジャーナリストの奥野修司さんは人間の体は生野菜から栄養素を摂りづらいと指摘します。


  抗がん剤研究の世界的権威だった熊本大学名誉教授の前田浩さんは生前に“野菜の抗酸化成分は、生のままだとほとんど体に吸収されることなく排出されてしまう”と話していたそうです。 

  その理由は野菜の栄養を覆っている「細胞壁」にあるといい、この細胞壁は相当頑丈で、よく噛んだり刻んだりしても壊すことが難しいうえ、人間の体内では消化することができません。

  しかし、熱を加えればあっさり崩れるという特徴があって、つまり、野菜を煮込んでスープにすることで、栄養素が溶け出すうえ、それを余すことなく液体に溶け込んだ分も体内に取り入れることができるようです。

  野菜には加熱によって失われる栄養素があまりないこともポイントで、前田教授の研究では、人工的に合成されたビタミンCは加熱で壊れてしまう一方で野菜に含まれる自然のビタミンCは加熱しても7〜8割はそのまま残っていました。


  野菜は生より“スープで食べるべき”4つの理由として、 @がん予防 A腸内環境の活性化 B心臓病リスクの低下Cかさが減り食べやすく腸も温まるが挙げられています。


  腸の専門医である松生クリニック院長の松生恒夫さんは言います。

  「“ボウルいっぱいのサラダよりも、お椀一杯のスープ”を合言葉に、患者にも野菜スープを作って飲むことを推奨しています。野菜は煮込むことでかさが減って食べやすくなりますが、含まれる食物繊維の量に変わりはありません。加えて、温かいスープを飲めば腸も温まって活性化します。健康のために、野菜スープを活用しない手はありません」と。
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2021年10月11日

ベトナム特有の政治的な問題

  ベトナム初の都市鉄道の開業が宙に浮いているようです。

  日立製作所が車両を供給するホーチミン市の案件(ホーチミン・メトロ1号線)は2021年末の開業予定を断念し、2年以上先送りされる見通しです。

  また、中国が支援する首都ハノイの計画は約10回の運行延期を繰り返しています。


  ホーチミン・メトロ1号線(全長約20km)は日本のODA 活用し、総投資額約2100億円の大型案件です。

  「オールジャパン」で参画した日本の鉄道関連企業は今、頭を悩ませています。

  設計変更などで事業費が当初の3倍近くに増えたことで問題を複雑にしています。

  予算の修正は国会の承認が必要とされ、政府側は公的債務残高の拡大を避けるため、国会審議がなかなか進んでいません。

  中央政府からの予算措置が遅れたことが、日本企業に対しての未払いにつながっています。

  また、インフラ工事で当局の責任者が「ゴーサイン」を出した後、手続きのミスや事故などの問題が発覚した場合、遡って刑事罰に問われる可能性があり、党幹部が汚職と絡めて捜査されるケースもあって、誰もが最終
的な責任を取りたがらないことも遅延の原因となっているようです。


  中国のODA 活用した案件で、首都ハノイでも、ハノイ・メトロ2A号線(全長約13km)の開業のめどが立っていません。

  ベトナムではホーチミン市とハノイの二大都市だけで、合計20弱の都市鉄道の計画がありますが、スケジュールは総じて遅れているようです。


  ベトナムは一党支配する共産党や中央政府、市の権限が曖昧で、政府支出が絡む案件は特に時間がかかるといいます。

  ベトナムはコロナ前まで年7%の成長が続いていましたが、大都市の渋滞は年々悪化し、開業の遅れは環境問題や経済発展の阻害要因になってきました。

  政府が積極的に打開策を講じなければ、成長をけん引してきた外国企業の投資判断にも影響を与えそうです。
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2021年10月10日

教育移住

教育に独自色を打ち出すことで、移住を促し人口減にあらがう地域が出てきました。

出生率の大幅な向上が見込みにくい中、豊かな自然の特色を生かしたり、海外の方針を導入したりと知恵は様々ですが、教育移住が進んできているようです。


全国の15歳未満人口は1508万人で、過去10年間で11%減少しました。

都道府県単位でみた場合、タワーマンションの増加などで都心部を中心に人口流入が続く東京都以外の残りの46道府県は軒並み減少しています。


一方、市町村別でみると、148自治体で子供が増えていて、デメリットと捉えられがちだった「都市との距離」を逆にアピールして呼び込みに成功した例が多いようです。

増加率トップは新潟県の離島、粟島浦村で、牧場で馬を世話しながら小中学校に通ってもらう「しおかぜ留学」制度を設けています。

2位の鹿児島県十島村も、小中学生の「山海留学」として同様な制度があります。

6位の福岡県新宮町は、地元大学の協力で気象の動向や太陽光発電量などをデータ化し、モニターで公開する「スマートスクール」を開校し、効果を児童に体感してもらうことで環境教育を推進しています。


また、理想の教育を地方で実施しようと、異なる年齢の子どもを共に学ばせ、個性や発達度合いに応じた教育の実現を目指す「イエナプラン」を採用した認定私立校が長野県佐久穂町に開校しました。


さらに、国際教育に力を注ぐ学校の設立も相続いており、英ハロウスクールが岩手県八幡平市に、長野県白馬村にも全寮制の白馬インターナショナルスクールが開校します。


教育移住が地域再生につながるかどうか、期待して注視していきたいと思います。
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2021年10月08日

量子コンピューター

量子コンピューターですが、その驚異の計算能力は、現代社会のセキュリティーを支えている「暗号」すら、いとも簡単に破ってしまう可能性があるそうです。


世界で開発競争が過熱する中、7月にIBMの量子コンピューターが日本で稼働を始めました。

場所は神奈川県川崎市の「かわさき新産業創造センター」で、IBMがアメリカ以外で設置しているのは、ドイツと日本だけだそうです。


量子コンピューターは高さ3メートルほどの筒状のマシンで、内部はまるでシャンデリア、音はほとんどしません。

その先端に頭脳にあたる演算装置(プロセッサー)があるのですが、なんとアメリカの1セント硬貨ほどの大きさだといいます。

それをマイナス273度に冷やして電気抵抗のない超伝導の状態を作り出し、量子力学という物理法則をつかって計算を行うそうです。


その計算の仕方は、今のコンピューターと量子コンピューターとでは決定的に違うようで、今のパソコンは、データをすべて「0」か「1」にして計算する、これに対して量子コンピューターは、「0でもあり1でもある」という重ね合わさった状態をつくりだして計算を行います。

そして、この重ね合わさった状態をうまく使って計算すると、今のコンピューターを上回るスピードで答えを見つけられる可能性があるというのです。

量子コンピューターのこの原理を使えば、今のスーパーコンピューターでも計算に時間がかかりすぎるいくつかの分野で、大きな計算能力を発揮すると見られています。


また、現代社会の通信や金融の安全を守るために欠かせない「暗号」。

いまは現実的にはとけないとされている暗号も、量子コンピューターを使えば、解読できる可能性があると、理論上、わかっているそうです。


実際に動くマシンが登場したことで、将来、ビジネスに応用することをみすえた研究も始まっています。

有望視されているのが、原子・分子レベルの膨大な計算が必要な分野。

たとえば「新薬」や高性能バッテリーなど「新素材、新材料」の開発。

また無数の車をうまくコントロールして「渋滞を解消する」といった社会課題の解決。

世界中の株式市場などのデータを分析する「金融分野」のシミュレーションなどへの利用も期待されています。

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2021年10月06日

真鍋氏、ノーベル賞を受賞

真鍋淑郎氏(米プリンストン大学上席研究員)が地球上の物理現象をコンピューターでシミュレーションする技術、「気候モデル」でノーベル物理学賞を受賞されました。


気候モデルは、地上から上空までの大気の振る舞いを垂直方向で再現する「1次元モデル」、3次元の大気循環を計算する「大気大循環モデル」、これを海洋モデルとつないだ「大気・海洋結合モデル」の順に発展してきました。

真鍋氏はこれらすべてにパイオニアとしてかかわってきたといいます。


地球規模の気候モデルでは大気や海洋を箱状に区切り、それぞれの箱の中の温度や風速、流速などの値を物理法則から計算します。

真鍋氏は大気・海洋結合モデルについて、「条件を設定してプログラムを動かすと、実際の地球そっくりに海流や気圧配置が出現してくる」とその威力を語ります。


気候モデルは当初、気候のメカニズムを研究する「実験装置」としてもっぱら使われました。

その後、大気中の二酸化炭素など温暖化ガスの濃度が高まると、これらのガスが赤外線を吸収・放出して気温が高くなることを実証していきます。

大気中の温暖化ガスによって地球の気温がどれだけ上がるのか、温暖化対策の原点ともいえる問いへの答えを、計算によってはじめて導き出したことになります。


近年、温暖化が一因とみられる熱波や豪雨が頻発しており、対策の国際的な枠組み「パリ協定」が2020年から本格的に始動し、各国は温暖化ガス排出削減の加速を迫られています。

今回のノーベル賞は温暖化理論が揺るぎないものであることを示し、世界が対策の緊急性を再認識するきっかけとなる、有意義な受賞として評価されることになるでしょう。
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2021年10月05日

中国の不動産バブル

中国恒大集団の過剰債務問題をきっかけに、中国の不動産バブルの懸念が高まっています。

格差是正を掲げる習近平指導部にとって不動産価格の高騰を容認しにくくなっているためで、経済規模に対する民間債務比率などの指標はバブル期の日本を超えており、軟着陸は容易ではなくなってきました。


広東省深圳市ではマンション価格が平均年収の57倍、北京市も55倍に達します。

バブルだった1990年の東京都でも18倍で中国の大都市圏は庶民に手が届く水準ではありません。


今年の8月には習指導部は「共同富裕」のため、格差是正を打ち出しました。

マンション価格の高騰の裏には富裕層の投機もあり、締め付けは避けられないとの見方が広がりました。


影響は不動産価格にも出始め、販売総額を総面積で割った価格は8月に前年同月比2.7%下落しました。

価格上昇が鈍ったことで、負債総額が30兆円を超える恒大の経営が苦しくなるとの懸念が強まり、9月には日米などの株式相場が急落しました。

2008年のリーマンショックをはじめ、景気減速のたびに財政出動や企業に積極的な投資を促して政府が掲げた高い成長目標を達成してきました。


金融機関以外の民間債務は最近5年間、年1割超のペースで増え、直近で35兆ドル(約3850兆円)を超えています。

GDP比で日本がバブル崩壊直後に付けたピークを上回っています。

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2021年10月04日

大谷翔平選手の活躍

米大リーグ、エンゼルスの大谷翔平選手は、今季最終戦となる敵地でのマリナーズ戦に「1番・指名打者」で出場し、一回に11試合ぶりの本塁打となる先制の46号ソロを放ちました。

ア・リーグトップのペレス(ロイヤルズ)とゲレロ(ブルージェイズ)に対して2本差の3位で、日本選手初の本塁打王獲得はなりませんでしたが、日本勢では2007年の松井秀喜(ヤンキース)以来となるシーズン100打点に到達しました。

その後は、2度の敬遠四球を受け、限られたチャンスの中でホームランというのはなかなか難しかったようです。


しかし、今年を振り返ると、先発ローテーションの一角を担って9勝(2敗)を挙げながら、打者としても本塁打を量産し続ける驚異的なパフォーマンスを披露しました。

シーズン138安打、100打点、103得点、投球回数130と3分の1、156奪三振と、投打5部門で「100」の大台に乗せる偉業も達成しました。  

今年7月のオールスター戦ではア・リーグの先発投手と「1番・指名打者」で史上初めて投打同時出場を果たし、1回無安打無失点で勝利投手となりました。  


今季最終戦を終えた大谷翔平選手の試合後の主なコメントは、次の通りで謙虚です。

「長かったが、なんとか無事に終われてよかった。残った成績は残った成績で見つめ直して、成長できた1年だった。離脱者も多かったので、自分自身が離脱しないように体調管理を含めて、1年通してやりきりたいなと思っていた。(ポストシーズンは)その雰囲気を味わいたいなというのが率直な気持ち。1年間応援ありがとうございました。ポストシーズンに行けなくて残念な気持ちがあるが、来年に向けて期待に応えられるように頑張りたい。」


野球の成績だけでなく、人柄や日々の行いでもファンを魅了しています。

グランドに落ちているごみを拾ったり、スター選手になってもおごらない姿が大谷選手の別の魅力となっています。

高校時代から続けているという目標達成シート、これも大人も子供も参考になる話です。

ご婦人方にとって、息子にしたいNO1のようです。
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2021年10月03日

人工光合成

  人工光合成とは、植物の光合成をまねて、太陽光を使い水を水素と酸素に分解し、つくった水素と二酸化炭素を反応させて燃料や化学製品などをつくります。

  この水素は製造時にCO2を排出しない「グリーン水素」で、化学製品の製造を通じてCO2も直接減らせます。
この人工光合成の研究で実用化に向けた成果が相次いでいます。


  植物のようにでんぷんをつくるのはまだ難しいですが、前段階の水素の製造では三菱ケミカルや富士フィルムなどで構成する「人工光合成化学プロセス技術研究組合」が東京大学などと共同して大規模実証に成功しました。

  今回使用した光触媒は紫外線しか吸収できず、エネルギー変換効率は日照条件が良い日でも最大0.76%(実用化の目安とされるのが5〜10%)にとどまっていて、数年内に可視光も吸収できる光触媒を開発したいとしていま
す。

  2030年頃に商用プラントの稼働を目指しています。

  東京大学の担当の研究者は、変換効率10%の光触媒パネルを本州と四国の合計面積に相当する土地に敷き詰めれば、2050年の世界のエネルギー消費量の1/3 賄う水素をつくれると語っています。


  光触媒ではなく、電極を使う別の方式で変換効率を高めた事例も出てきました。


  また、住宅メーカーの飯田グループホールディングスと大阪市立大学は、宮古島で戸建て住宅1軒全ての電力を賄う「人工光合成ハウス」の実証実験に向けて準備しているようです。

  ハウスでは人工光合成パネルでCO2からギ酸をつくり貯蔵し、ギ酸から取り出した水素を燃料に使って電気やお湯を供給します。

  水素をつくる時に副産物のCO2が生じますが、再び人工光合成でギ酸にして水素をつくり、循環させることができます。


  人工光合成の研究開発で、日本は世界の先頭を走っているようです。
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2021年10月01日

国産牛、赤身人気

国内で生産される牛肉は大きく3種類あります。

霜降りが人気の「和牛」は、多くは脂がのりやすい黒毛和牛で、神戸牛や松阪牛などのブランド牛が有名です。

一方、スーパーなどで多く扱われ日常的に食卓に並ぶのは、白黒の模様で知られるホルスタインなどの乳牛のうちオスを中心に食肉用に育てた「乳用種肥育牛」です。

ほかに乳牛と和牛を掛け合わせ、乳用種肥育牛よりも脂は入りますが和牛ほど高くない「交雑牛」があります。


スーパーでは和牛は「和牛」、交雑牛は「交雑牛」と表記することが多く、このため、「国産牛」と表記されている牛肉の多くは、乳用種肥育牛をさすようです。

スーパーなどでその身近で赤身の「国産牛」が値上がりしています。

脂が入って高価な「和牛」が外食低迷の需要減少に苦しむのを横目に、日常の食卓を支える割安な赤身牛肉は健康志向もあって需要が堅調です。

乳用種肥育牛は脂が入りにくい肉質で、健康志向の赤身肉人気が追い風で、この一年余りは新型コロナウィルス禍で強まる消費者の節約志向もあります。


ただ価格の上昇は人気の高まりだけが理由ではなく、実は供給が減っていることも関係しています。

大きな要因が乳用種肥育牛の繁殖にあります。

食肉用の乳牛は酪農家が産ませた子牛のうち牛乳の出ないオスを肥育農家が育てた牛で、いわば「酪農の副産物」です。


自然の摂理に従えば半々の割合でメスとオスは産まれるはずですが、近年は繁殖技術が進み、メスを高確率で産めるようになりました。

オスが減って乳用種肥育牛の供給が引き締まり、相場の上昇圧力となりました。
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