2022年02月28日

ウクライナ問題を他山の石とみてよいのか

ウクライナ情勢は、この一週間で大きく変わりました。


時系列を追えば、2月21日、「米ロ首脳会談に双方が原則合意」と報じられて一安心と思ったら、翌22日「ウクライナ親ロシア派地域 “国家として承認” プーチン大統領」となりました。  

これは、外交的解決の唯一の頼みであった「ミンスク合意」の前提条件が根本から破られたことを意味し、その後、24日のロシアの軍事侵攻「“ウクライナを攻撃開始” ロシアの複数の国営通信社が伝える」まで事態は一気に進みました。  

またロシアに対し、欧米諸国は「最大限の制裁を課す」としてきたが、NATOやアメリカは当初から軍隊の派遣を行わないと明言していました。

ロシアは他国による軍事的なカウンターをおそれず、ウクライナからの反撃のみを警戒すればよかったわけです。  


日本は、欧米が軍事介入しない以上、経済制裁のみ欧米と協調すればいいとの立場でしたが、はっきりいって蚊帳の外にいました。  


2月27日、ロシアの大手銀行などを国際的な資金決済網(SWIFT)から排除する追加の金融制裁で合意したようで、SWIFTからの排除は「金融核兵器」とも言われる最強力な制裁措置のようです。  

合意したのは米英独仏伊加の6ヵ国と欧州委員会であって、日本も遅れて追随することを発表しました。



戦争を防ぐためには、(1) 同盟関係をもつこと (2) 相対的な軍事力 (3) 民主主義の程度 (4) 経済的依存関係 (5) 国際的組織加入が重要といわれています。

(1)と(2)はリアリストの立場、(3)(4)(5)はリベラリストの立場であり、ともに一理あります。


今回のウクライナの事例で考えると、相手国が国連常任理事国であると、国連が機能しないことなどから(4)と(5)は意味がなくなります。

そこで、(1) 同盟 (2) 相対的な軍事力 (3) 相手の民主主義の程度が重要になってきます。

ウクライナの場合、(1) 同盟なし (2) ロシアに比べて劣る軍事力 (3) ロシアの民主度は低い(英エコノミスト誌による2021年の民主主義指数は3.24。世界167ヵ国中124位)から、起こるべくして起こったともいえます。  


他のヨーロッパ諸国の場合、NATO加盟国なら、(1) 同盟あり (2) 自国軍事力が弱い場合でもNATO軍の補完で、安全保障を確保しています。  

特に、(1)に付随して(2)を高めるために、「核シェアリング」がNATOで行われています。

核シェアリングは核保有ではありませんが、アメリカが核を提供し、核基地を受け入れ国で共同運用するもので、いわば核のレンタルといえます。


今の日本を考えると、(1) 日米同盟あり (2) 中国・ロシアに比べると劣る軍事力 (3) 中国・ロシアの民主度は低い(前述したものでみると、中国の民主主義指数は2.21、世界67ヶ国中148位)なので、(1) を除くと、ウクライナと大きな違いはありません。  


また、台湾で見ると、(1) 明示的な同盟なし(戦略的曖昧) (2) 中国に比べると劣る軍事力 (3) 中国の民主度は低いなので、ウクライナと似たような状況です。

台湾が有事になれば、尖閣も巻き込まれるので日本も有事となる可能性が出てきます。



日曜日の安倍さんのテレビ発言で、安全保障のために「核共有」(=核シェアリング)の議論をすべきだという点が注目され、国会でも取りざたされましたが、岸田首相はきっぱり否定したということです。

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2022年02月24日

世界の億万長者が異例の声明

『私たち金持ちから、もっと税金をとってください!』

世界の億万長者たち100人が連名で出した、異例の声明が波紋を呼んでいます。


その背景には「広がる格差」の問題があって、世界長者番付でトップ10人の資産は、この2年間で日本円にして80兆円から170兆円にまで、2倍に増えています。

新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、各国は大規模な景気刺激策を行ないましたが、その結果として、おカネが株式市場などに流れ込み、資産家がもっている株式や金融資産の価値が上がりました。

人々の暮らしを助けるための景気刺激策が、お金持ちのもつ資産の価値も押し上げ、富が富を生む形になりました。

でもほとんどの人は、コロナで豊かになったりはしておらず、逆に、世界で貧困に直面する人の数は、感染症拡大やそれに伴う景気後退の影響で、20年ぶりに増えてしまいました。


別のデータをみても、世界の資産上位10パーセントの人たちが、富の75パーセントを独占している、という数字があります。

格差があまりにも開いてしまうと、生まれた国や家庭環境によって決定的な差がつき、努力による逆転が難しくなります。


そこでお金持ちの間からですら、この格差はたださなければならないという声があがっているようです。

富裕層からもっと税金をとるといった、より公平な税制に変えてほしいという主張です。


海外にくらべればそこまで深刻ではないといわれてきた日本ですが、実はコロナの影響もあって、格差が広がりつつあるようです。


そして実は今、もう一つ、こうした状況に追い打ちをかけるような要素があります。

それは、インフレ、具体的には食品やエネルギー価格の上昇です。

所得が低い家庭ほど、コロナによる収入の減少とあわせた『二重苦』に直面することになることが懸念されます。


そして、一番心配されるのが、こうした目先の負担が、将来にわたって格差を拡大する原因になりうることです。
posted by 川上義幸 at 19:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2022年02月22日

噴火による津波の現象

はるか8000キロ離れた南太平洋で起きた海底火山の噴火で津波が日本まで押し寄せました。

気象庁が観測したことのない津波で、地震を前提にしたシステムは機能せずに警報の発表が遅れました。


噴火のあと津波が発生し、日本にも到達して高知県などで30隻を超える船が沈没・転覆するなど各地で被害が出ました。

津波はアメリカや南米の海岸にも押し寄せ、ペルーでは女性ふたりが高波にさらわれ死亡しました。



今回、気象庁の対応は後手、後手にまわり、津波警報の発表は津波が到達した後でした。

なぜ警報は遅れたのかというと、気象庁は「通常の地震に伴う津波とは異なる潮位の変化だったため判断が難しかった」と説明しています。


判断が難しかったのは、今回の津波には、普通の、つまり地震による津波とは大きく異なる2つの特徴があるからです。

ひとつめは津波が早く来たことです。

地震による津波が伝わる速度は海の深さによって変わりますが、どの津波でもほぼ同じです。

噴火があった場所を起点に計算すると日本には10時間あまりで到達するはずでした。

しかし今回の津波はそれより2時間前後も早くやってきました。


もうひとつは日本付近で津波が高くなったことです。

地震による津波は発生場所に近い海岸ほど高くなるのが一般的ですが、今回、トンガに近いミクロネシアの島々では潮位変化が10センチから30センチだったのに日本では1メートル前後に達しました。


では、それぞれ、どういう理由が考えられるかというと、専門家が注目するのは日本付近で急激な気圧の変化が観測されたことです。

各地で噴火から7時間ほどあと、30分ほどの間に2ヘクトパスカル上昇していました。

これは爆発的な噴火で強い空気の振動「大気波動」が起こり、それが日本まで達したものと見られています。

2ヘクトパスカルというのは海面を2センチ押し下げるくらいの気圧変化で、津波の第一波が観測された前後に起きていました。

こうしたことから今回の津波は地震による津波とは全く違い、空気の振動「大気波動」によって引き起こされたため、早く到達した可能性が指摘されています。


では日本付近で津波が高くなったのはなぜかというと、専門家は昔の大噴火とそれに関する論文に注目していて、爆発的噴火が起こると強い空気の振動「大気波動」が起こり、それと海面が共鳴することで、離れたとこ
ろで津波が高くなる、というものです。



火山活動に伴う津波はまれなうえ予測がきわめて難しいため特段の監視体制はありません。

しかし「想定外」の事態を避けるために、少しでも早く事象をつかむ監視や情報伝達の仕組みを考えておく必要があります。
posted by 川上義幸 at 17:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2022年02月21日

民間救急

新型コロナの感染者が急増する中、患者の搬送で活躍している民間の救急サービス、いわゆる「民間救急」がコロナ禍でその存在意義が高まっています。


民間救急は、そもそも救急車とは違って、役割は、緊急性が低い患者の搬送にあたるサービスなので、緊急車両としての赤色灯はありませんし、緊急走行はできません。

これが、民間救急の大きな特徴の1つです。


もともと、こうしたサービスは、日本社会の高齢化や医療体制の変化などに伴って誕生したサービスです。

コロナの感染拡大前は、入院患者が別の病院に移るときとか、身体が不自由な人が通院などに使う車両として主に使われてきました。


ところが、コロナの感染拡大後は、重症患者は119番通報の救急車が搬送しますが、比較的症状の軽い患者の病院搬送や転院、宿泊療養施設への移動では、民間救急がその役割を担うケースが多くなっていて、結果的に消防機関の負担軽減に貢献しているようです。

新型コロナ以外の命に係わる病気や事故などで救急搬送が必要な患者を1人でも多く救うためには、比較的緊急性の低い患者については、民間の力を活用する必要があります。


特にオミクロン株の感染拡大が続く最近は、中等症や軽症者が増えています。

多い日は1日に25件ほどの搬送依頼を受けていますが、10件程度は依頼を断らざるを得ないケースがあるということです。


消防庁が設けた「患者等搬送事業」という制度があり、この制度で認定された事業所が、ほぼこの民間救急に該当するといわれています。

その数は、去年の4月1日現在、全国47都道府県の合計で1447事業所で、車両が十分なスペースのある構造になっていることが認定の条件です。


つまり、車いすやストレッチャーなどを載せる構造になっていないといけません。

また、搬送に使う車に、AEDの使い方など救命講習を受けた人を乗車させることとなっています。

要は応急的な対応ができる人が乗っていることが認定の条件になっています。

民間救急で出来る事には限界もあって、例えば、119番通報の救急車は、乗車している救急隊から医療機関に直接連絡をして、患者を受け入れてもらいますが、民間救急は、医療機関を乗務員が探して決めることはできません。



では、自分が感染したらどうすれば良いか、実は、新型コロナの感染者の場合の多くは保健所が手配してくれるので、自分で電話をかける機会はほぼありません。

初期の段階で保健所に連絡がいき、入院するのか、宿泊療養施設に行くことになるのか、あるいは自宅療養なのかなど、指示を受ける形になります。

その話し合いの過程の中で、保健所が必要に応じて民間救急を手配してくれるケースが多いようです。


では、費用はどうなるのかというと、貸し切り料金や人件費だけでなく、コロナの場合、車内の消毒、感染対策用の防護服など通常以上の経費がかかります。

これが、個人で直接電話して頼めば有料ですが、保健所経由で出動要請があった場合は、患者が負担しなくてもいいように公費負担になるケースが多くなっています。
posted by 川上義幸 at 20:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2022年02月20日

大衆百貨店の浮き沈み

セブン&アイ・ホールディングスに買収されたそごう・西武が切り離されそうになっています。


「一億総中流」、これは1970年ごろから日本の消費社会を象徴する言葉でした。

国民の大半が高度経済成長の上昇気流に乗り、中流階級へと駆け上がっていく意識がありました。

その舞台装置の一つが百貨店で、積極的に出店したのが、そごうと西武百貨店でした。

都心の流行をいかに早く、地方に紹介できるか、豊かさへの渇望、その期待に両社は応え、時代は大衆消費社会ともいわれました。



西武百貨店は、1970年代から地方へ出店を拡大し、グループでの売り上げが日本一となりました。

そごうも同様に、1970年代から地方への出店を拡げ、首都圏では国道16号沿線への出店にレインボー作戦と名付け注力し、1991年にはグループでの売り上げが日本一となりました。


ところがバブル崩壊後、過大な負債が両者を苦しめ、そごうは2000年に法的整理、西武百貨店は2003年に私的整理に追い込まれました。

国民生活基礎調査によると、1990年代半ばに約550万円あった世帯所得が2018年には437万円まで減りました。

百貨店が受け皿としていた中間層、大衆が細ったことになります。

日本社会の浮沈と、そごう・西武の盛衰は二重写しの様相です。



2008年度の百貨店事業の売上高を100とすると、2020年度のそごう・西武は42なのに対し、三越伊勢丹HDは57、高島屋は65、全国の百貨店全体では58となっています。

そごう・西武と競合大手との違いは、富裕層の顧客基盤の差のようで、大衆を軸にビジネスモデルを組み立ててきたため富裕層の顧客基盤が弱いようです。

競合大手は宝飾品・美術品などの売上比率が高く、新型コロナウィルス禍でも、インバウンドの消費が蒸発しても、富裕層は宝飾品などを買っているようです。


そごう・西武の売却へと至る決断時期をコロナが早めた感はありますが、「いちど日本一から転がり落ちた
企業は二度と返り咲くことはない」という百貨店やスーパー業界のジンクス通りになりました。

posted by 川上義幸 at 15:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2022年02月18日

恩送り

コロナ禍、環境破壊、人権、広がる格差…、こうした社会問題をビジネスで解決する「ソーシャルビジネス」が盛り上がりを見せているようですが、社会問題の解決を図りながら利益を上げるのは簡単ではなく、資金調達が大きな課題となっています。

そこで、注目されているのが仲間どうしの助け合いで「社会起業家」を支援する仕組みを作ったのがボーダレスジャパンです。

キーワードは『恩』で、「恩返し」ならぬ「恩送り」ということです。



ボーダレスジャパンは、ソーシャルビジネスに取り組む「社会起業家」を集め、「養成塾」を主催しました。

参加したのは主に20代から30代で、大手企業の社員や学生、主婦、中には現役の医師もいます。参加者たちは、みずからが解決したい社会問題を次々に挙げ、ビジネスプランを練っていきます。


ボーダレスジャパンは、社会起業家の創業を支援し、国内外でソーシャルビジネスを展開していて、“返済不要の資金”を出資してスタートアップを支援しています。

そのノウハウや人材などを共有し、経営のサポートを行います。


「返済不要の形で出資して、次々と社会起業家を生み出す」というシステムは、一体どのように成り立っているのでしょうか。

その秘密が“恩送り”というこのグループの独自のシステムです。

それぞれの社会起業家は、解決したい社会課題とビジネスプランを発表し、グループ企業の社長全員の承認が出ると、最大で1500万円の出資を受けることができます。


その原資となるのは、グループ各企業の利益で、通年で黒字を達成した企業は、自社への投資分を除いた余剰利益を拠出し、グループ全体でプールします。

出資を受けた企業は、資金の返済が要らない代わりに、事業が黒字化したあとは、利益をグループに提供して新たな起業家を支援する側に回ります。


つまり、創業の際に受けた“恩”を、次の起業家に送る仕組みになっているのです。

利益が出るかわからない段階で支援してくれた“恩”を忘れることができないというのはもちろんあります。


しかし、『恩を送る』『資金を出す』ことで、自分ができていない他の社会問題に関わって解決につなげられるっていうのも起業家たちの願いかもしれません。


志をともにする仲間どうしが、助け合いながら前に進んでいこうというシステムに、未来を切り開くヒントがあるようです。
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2022年02月17日

インフラの老朽化問題

9人が亡くなった2012年の中央自動車道のトンネル崩落事故から9年がたちました。

しかし、総点検して修繕・更新を進めるはずが、予算や人手の不足で対応は後手に回っています。



人口減も見据えて優先順位をつけ、バラマキを排した投資を急ぐ必要があります。

例えば、首都高は開通から50年以上の路線の割合が2040年には65%と2020年の約3倍に増え、これに適確に対応しないと1日100万台の交通量を支える東京の屋台骨がきしむわけです。


インフラは建設後50年が寿命とされますが、国土交通省によると、全国の道路橋は2033年に全体の63%、水門などの河川管理施設は62%、トンネルは42%がその目安に達します。

専門家は、「施設が劣化するスピードに修繕が追い付いていない。インフラメンテナンスが崩壊する可能性がある」と警鐘を鳴らします。


とりわけ心配なのが自治体で、次々に補修が必要な施設が出てくるのに予算も人手も足りない状況にあり深刻です。

劣化を自動検知する無線センサーなど、作業を効率化できる新技術の普及は今後の課題で喫緊に取り組まなければなりません。


後手に回ればツケは膨らみ、不具合が生じてから手当てする従来型の対応だと国・地方の費用は30年後に約12.3兆円と2018年度の倍以上になるという試算もあります。

ですから、損傷が深刻になる前に修繕する「予防保全」を徹底すれば、費用の3割ほどは削られる見込みのようです。



近年の公共投資は国際的に見劣りします。

2019年の投資額を1996年比で見ると、約4割減とG7で唯一落ち込んでいて、この間に英国は4倍、米国は2.3倍に伸びています。


いずれにしても専門家は、すべてのインフラを同じように更新するのは限界があり、地域の実情に応じてコンパクトシティーの取組みで必要なインフラを絞り込むなど、「賢く縮む」戦略も試されそうです。
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2022年02月16日

ウクライナ問題が穀物の高騰要因

緊迫するウクライナ情勢が農作物相場高騰の火種となっています。

ロシアは世界最大の小麦輸出国、ウクライナは小麦やトウモロコシなどの幅広い農作物を供給します。


有事となれば、両国からの農作物の供給が減る懸念があり、相場が跳ね上がれば、両国産の穀物に依存する
中東の政情不安や、一段のインフレ圧力に見舞われる恐れがあります。



ロシアの産地は、ウクライナとの国境に近い南西部に集中しています。

ウクライナは全土に肥沃な黒土が広がり、中央部や南部で小麦やトウモロコシなどを生産しています。



世界の小麦市場は、人口増加や所得向上による生活水準の上昇から需要拡大が続きます。

主要生産国のカナダや米国は、高温乾燥で生産量が前年度に比べて減少傾向が続きます。


世界最大の養豚国の中国は、最大のトウモロコシの輸入国です。

主に家畜のえさとして使っていて、輸入量の約3割をウクライナに依存しています。

ウクライナからの供給が急減すれば、中国は最大の輸入先の米国から調達を増やすとみられています。


中国が家畜伝染病のアフリカ豚熱で減った豚の増産を目指して米国産の輸入を増やした2020年から、トウモロコシの国際相場が上昇した経緯があります。

ですから市場では、ロシア、ウクライナの穀物の輸出量は膨大で、紛争となれば価格が急騰する可能性があるとみています。



食料インフレは家計を直撃し、特に途上国には打撃になります。

足元の原油価格の高止まりに食料高が加われば、インフレ圧力が一段と強まることが懸念されます。
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2022年02月15日

梅の開花

梅は、バラ科サクラ属の落葉高木で、奈良時代以前の日本を代表する花です。

平安時代中頃以降は、日本を代表する花が「梅」から「桜」に替わりました。

古くから日本にあるため起源が不明ですが、九州に自生していたという説と、中国から渡ってきたという説があります。


関東から西では桜より先に咲き、めでたい花とされています。

梅花の名所は、@観梅を中心とした名所、A果実生産が中心の名所、B天神・天満宮に分かれます。



梅の花芽は、前年の夏に出来ます。

秋になると、花芽は短日・低温を受け、休眠に入ります。

休眠に入った花芽は一定期間、低温にさらされると、この休眠から目覚め、梅の場合、12月〜1月頃に花芽は休眠から目覚めます。

花芽は休眠から覚めたあと、気温が高くなると生長を始め、そして、開花します。

梅は桜と比べ、休眠打破のための低温要求度が少なく、このため、開花時期は1月以降の気温の影響が大きいといわれています。

休眠打破したあとの花芽の生長速度が、開花日を決めるようです。



赤い花が咲く梅を「赤梅」ではなく「紅梅(こうばい)」と書くことを不思議に思ったことはありませんか?

実は、「紅梅」という表現は、梅が生まれた中国に由来するものだそうです。

中国で「赤」は、赤裸々や赤貧といった悪いイメージを思い起こさせる文字なのだとか。

そのため、赤色を表現するときは、今でも「紅」という文字が使われているそうです。



いち早く春の訪れを知らせてくれる梅の花ですが、まず、梅が咲いて、次に桜、というのが一般的です。

しかし、日本列島を北上するにつれて梅と桜が同時期に咲く地域もでてきます。

東北地方北部から北海道にかけては、梅も桜も一緒に楽しめる贅沢なお花見ができるそうです。



朝、ウォーキングしていると、山王公園の梅が満開であるのに気づきました。
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2022年02月14日

「コロナ鎖国」批判

欧米やアジアの主要国が相次いで新型コロナウィルス対策の水際対策を緩めています。

変異型「オミクロン型」が各国で流行し水際で防ぐ意味が薄れたうえ、重傷者が過去の感染拡大期と比べて増えていないためです。

主要国では日本だけが外国人の新規入国を原則として停止しています。



留学や技能実習などで在留資格の事前認定を受けながら来日できていない外国人は、昨年の10月時点で37万人いました。

現状を「鎖国」になぞらえてビジネス目的や留学生の入国を求める声が高まっており、政府は方針を改める方向で検討しています。


申請に必要な手続きの緩和や待機期間の一段の短縮など、実効性を高める取り組みが期待されています。



緩和策の焦点は入国者総数の引き上げで、以前の5000人に戻す案が検討されているようです。

ただ、入国者総数が拡大しても、入国に必要な手続きの緩和が進まなければ実効性は担保されません。

手続きが煩雑で企業や学校などからは使い勝手を良くするよう求める声があり、簡素にするよう調整するとのことです。

入国時に自宅などでの待機を要請する期間も緩めます。



これまで岸田政権は慎重すぎるくらいの対応でしたが、「時間稼ぎ」で変異型「オミクロン型」の感染拡大を遅らせる狙いがあったといいます。

国内の1日あたりの感染者数が最大で10万人をこえ、外国人の入国のみを制限する意味が薄れてきました。


与党内にも緩和論が広がり始め、首相は3月以降に緩める方向性を示し、具体的な措置は国内外の感染状況などを踏まえて決めるということです。
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2022年02月13日

トリガー条項

ガソリン価格の上昇を抑えようと、政府は石油元売り会社に補助金を出すという異例の対策を始めましたが、その後もおおもとの原油価格は上昇傾向です。

ただ、この制度では、補助額の上限は5円と定められている上に、ことし3月末までの期間限定の措置となっています。


萩生田経済産業大臣は「もし原油価格が上がり続けるという事態になれば、国民生活に大きなダメージを与える」として、追加の対策を検討する考えを示しています。

そして「あらゆる選択肢を排除することなく不断の検討をしていく」と発言していて、その選択肢の1つではないかと浮上しているのが「トリガー条項」なんです。



具体的に「トリガー条項」がどのようなものかというと、ガソリン税とよばれる税金のおよそ半分をガソリン価格が高騰したときには一時的に免除して消費者の負担を抑えましょうという仕組みです。


2010年に当時の民主党政権のときに導入されました。
ガソリン税は正確にいうと揮発油税と地方揮発油税をあわせた総称ですが、2つまとめて現在、1リットルあたり、53.8円が課税されています。

このうち、本来の課税より上乗せされているのが25.1円あり、この上乗せ分を、免除しましょうという仕組みです。

2011年に東日本大震災が起きたときに復興財源を確保するため、震災特例法という法律で発動を凍結する措置が取られました。

結局、その後一度も発動することがないまま今に至っています。

凍結を解除するには、この震災特例法を改正する必要があり、ハードルが高いといえます。


ガソリン税による税収は、今年度・2021年度の見込みは2兆2914億円で、このうち、上乗せ分は1兆円余りです。

トリガー条項を発動すれば、仮に1年間続くと1兆円の税収を失うことになりますから、財政をつかさどる財務省は大反対するでしょう。


ガソリンにはさきほど述べましたガソリン税(53.8円/リットル)に石油石炭税(2.8円/リットル)のあわせて56.6円がかかっています。

さらに購入価格には10%の消費税がかかってきます。



トリガー条項がさらに難しいのは仮に発動すると、政府から「ガソリンを大幅に値下げして、もっとクルマに乗ってください」というメッセージにならないかという懸念があります。

脱炭素を目指す政府にとって逆のメッセージを与えてしまうとなると、これは困ります。


原油高が4月以降も続けば、国民生活や企業活動に大きな打撃を与えるのは確実です。

政府としてどのような手段なら取りうるのか、議論が続きそうです。
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2022年02月10日

インフレ期待

  子どもたちの間に衝撃が広がっているといいます。

  人気のスナック菓子「うまい棒」が4月から値上げするからです。

  今は税抜きで10円が12円となります。

  わずか2円、されど2円で、うまい棒が大好きな小学生にとってショックのようです。

  販売元のやおきんは「原材料、運送費などの高騰」を理由にあげています。


  ハムやソーセージ、マヨネーズにトイレットペーパー…と、身近な食品や日用品の値上がりが相次ぎ、農産物の不作や原油価格の上昇に、円安が追い打ちをかけています。



  日本の消費者物価指数(CPI)は2021年に生鮮食品を除く総合で前年に比べ0.2%下がり、日銀が目標とする2%を超す上昇は、消費増税の影響が出た2014年を除けば1992年が最後です。

  モノやサービスの値段はみんなが上がると思えば、上がりやすくなり、これは消費者の反発を恐れて値上げをためらっていた企業が、強気の価格設定をしやすくなるからです。

  人びとが将来の物価水準をどれくらいとみているかを示す期待インフレ率は、すでに上昇傾向を強めているようです。


  日銀のアンケート調査では、1年後の物価上昇率の予想が平均で5.5%で、13年ぶりの高さになっています。

  FRBは3月に利上げを始める方針で、円安の加速による輸入物価の上昇も避けられそうにありません。

  CPIの2%超えがいよいよ視野に入ってきました。



  賃金がそれ以上に上がるなら問題はありませんが、賃上げ率がCPIの上昇率を下回れば、実質的な賃下げになります。

  人びとの購買力は低下し需要は落ち込み、それでもモノの値段が上がり続ければ物価上昇と景気後退が同時に進むスタグフレーションが現実味を増すことになります。

  ですから、人びとのインフレ予想の高まりは、想定を上回る物価上昇の波を予感させますから、スタグフレーションにならないようにするため政府のかじ取りが大事になってきました。

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2022年02月09日

ギョーザ日本一の宮崎市

1世帯がどれだけギョーザを買うかまとめた国の調査があるそうで、去年1年間で、宮崎市が初のトップになりました。

長くギョーザ界に君臨する2強である、おととし1位の浜松市や2位の宇都宮市に大差を付けた独走1位です。
テレビでもこのことが意外だということでニュースに流れていました。



宮崎って聞いて思い浮かべるグルメと言えば、マンゴーに、チキン南蛮、あるいは宮崎牛…で、宮崎でギョーザなんて聞いたことないという人も多いはずです。

実は宮崎市、購入の額だけではなく、購入の頻度でも日本一で、1世帯当たり換算で年間9.3回と、2位長崎市を1.6回上回っています。


冠婚葬祭の定番と言えばお寿司やオードブルですが、宮崎ではそんな時にもギョーザだそうです。

お世話になった人へのお礼の品、遠方の実家に帰るときのお土産…ありとあらゆる場面でギョーザが活躍しているようです。


もともと根強いテイクアウト文化、これは他県より圧倒的に強い部分です。

宮崎のギョーザを支えている習慣、それが「持ち帰り」の文化で、そして外食が制限されたコロナ禍で、持ち帰り主体の宮崎のギョーザが大きく消費を伸ばした…ということのようです。



一躍ギョーザの街の仲間入りをした宮崎ですが、実は当の宮崎市民、その実感が実に薄いようです。

宮崎のギョーザを食べたい!と思いますが、おなかをすかせて宮崎市の繁華街へ繰り出しても、そこには、浜松や宇都宮で見られるような熱々のギョーザを出す店が建ち並ぶ光景はありません。


宮崎の人たちはギョーザを飲み会の手土産にしたり、地域の集まりなどでギョーザを持ち寄って食べたりするということです。

持ち帰りギョーザを買いに来た人に聞いてみても「1位の自覚はなかった」「あんまり考えたことない」との声が聞かれ、「謙虚」、あるいは「自己主張が苦手」とも言われる県民性でしょうか、実に奥ゆかしいといえま
す。



ギョーザは宮崎のお肉やお野菜を包み込んでくれますから、ギョーザ関係者だけじゃなく、農家さん、さらには宮崎全体が元気にしようということで、「宮崎市ぎょうざ協議会」も立ち上がっています。

浜松や宇都宮と比べて、観光資源としての知名度は高いとは言えませんので、ブランド化に向けて「日本一」の称号は、ギョーザに携わる人たちだけでなく、宮崎という街にも元気を与えてくれる存在になるはずで
す。


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2022年02月08日

ライトゴルファーの女性の声

新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」が猛威を振るって、まん延防止等重点措置が34都道府県に適用されていますが、オープンエアのゴルフは、感染リスクが低いとされています。


平日にもかかわらずほぼ満杯のところが多いようで、その中でも女性が多いといいます。

私が身近のゴルフ場で感じるものとは少し違うように思いますが、一時のゴルフ離れが進んだ時期よりも改善されているのは確かです。


1月20日に発表された経済産業省の「特定サービス産業動態統計調査」によると、2021年1〜11月のゴルフ場の売り上げと利用者数は1月と8月を除いて前年同月比100%を上回り、ゴルフ練習場については両方ともすべての月で100%を超えているといいます。

男女別のデータは出ていませんが、肌感ではゴルフ場、練習場で若者、女性が目につくということです。



2021年末、日本プロゴルフ協会(PGA)が、 「日常的な趣味としてゴルフを楽しんでいる」「年平均のラウンド回数は10回以下」という条件に当てはまる、20代後半から40代前半までのライトゴルファーの女性500人にアンケート調査を実施しました。

設問は細分化されていますが、大きく分けるとゴルフ場でのプレー、ゴルフ練習場での練習、女性向けゴルフ用品、ゴルフスクールでのレッスンについての意見を聞いています。  


「自分の周りでは、職場でゴルフをしていることを内緒にしている女性が多い」

「宅配代が高いのがネック。キャディバッグを持って電車に乗るのも、平日は通勤ラッシュに重なる」

「ゴルフ場の女性向けサービスとして、『昼食時にデザート付けます』みたいなものがあるが、的外れ。ゴルフ中は必ずしも食べたい訳じゃない。女性=スイーツ好き=じゃデザートつけよう、という安易な発想が透けて見える」

「練習場で男性ゴルファーの視線を感じることがある。打席の後ろで腕組みしてじっと見ているおじさんも……」

「スクールでは受ける側と教える側のミスマッチが多いように感じる。友達が欲しい、彼氏が欲しい、ゴルフのある生活をエンジョイしたい、というためにスクールに通っている面もあるのに、ひたすら技術を教えるミスマッチがあるように思う」などの意見が寄せられました。


コミュニケーションツールとしてゴルフを活用している人が多い中で「社内コンペや上司に誘われたくない」と考えている人もいます。


PGAと契約して今回の調査を行った矢野経済研究所では、2021年3月にコロナ禍の中での新規ゴルファーの参入などについて独自調査を行っており、約25万人が新たに始めたと推計し、そのうち44%が女性と算出しています。

ゴルフ人口の中で女性に占める割合は15%前後と言われるので、コロナ禍の新規ゴルファーの女性比は高いというわけです。  


これからも、女性がゴルフを始めるケースが多くなってほしいところですが、そのためにも、今回の「女性の声」はPGAにとって重要となります。 

女性、しかもライトゴルファーに焦点を当てた今回の意識調査は、たぶん初めての試みなので、意義はありそうです。
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2022年02月05日

農産品の輸出戦略

生産者の努力が実って、ことし1月から11月までの農林水産物や食品の輸出額は1兆779億円となり、年間の輸出額が初めて1兆円を超えることになりました。

コロナ禍で世界各地でも家庭で食事をすることが増え、巣ごもり需要から伸びたことや、逆にアメリカや中国などでは経済が正常化するなか外食需要が回復し、飲食店向けの輸出が伸びたことなどが要因のようです。


輸出1兆円の達成、その次に政府が掲げているのは、輸出を2025年に2兆円、2030年に5兆円に伸ばすという目標です。

5兆円とは、いまの農林水産品や食品の生産額のおよそ10%にあたります。


日本は人口減少が進む中、農林水産業や食品産業を維持・発展させるためには成長が期待できる海外市場に打ってでなければ活路はないという危機感からです。



順調に伸びているように見える輸出ですが、いろいろな課題もあるようで、例えば、海外店舗での陳列や販売の戦略が欠如しているといいます。

香港のスーパーマーケットを見ると、日本の複数の産地からの同じ農産物が並んでいるといいます。

『商品を棚に置いてほしい』という日本からの熱心な働きかけの結果、こうなったのでしょうが、香港の人たちは、違いがよくわかっていません。

このため、見た目が変わらないのに、値段がちょっとずつ違う商品に戸惑っていて、一番高いものを買うか、一番安いものを買うか、それとも迷ったあげくに買うのをやめてしまうか、そのどれかです。


日本国内では収穫されてすぐのものが小売店に並び、消費者も買ってからそう日を置かずに食べるため「日持ち」はあまり重視されてきませんでした。

しかし、コストを抑えて輸出するためには船で日数がかかります。

日本産として売られているものは、日本の市場で購入したものをそのまま持ってきたものがほとんどです。

これは『輸出向け』に流通されたものと比べ明らかに品質が悪くなってしまいます。


このように日本流のまま、国内向けのまま輸出してしまうのは農林水産物そのものだけにとどまりません。

例えば段ボール、国内向けのものをそのまま使うケースでは現地に到着したころにはしけってしまったり、潰れてしまったりして、せっかくの高品質の農産物が傷んでしまうと専門家も指摘します。


生産者や企業がそれぞれで輸出に取り組むため、輸送費などコスト圧縮が進まず、また、投資や具体的な行動の意思決定が遅く、国の支援も相対的にぜい弱という、日本のビジネス全般に通じる課題を指摘する声もあります。



今、農林水産省が中心となって「品目団体」と呼ぶ組織を国が認定する制度を設立しようと動いています。

この「品目団体」という組織は、コメや果樹などの品目ごとに、生産から販売まで、輸出に関わる、あらゆる分野の事業者が参加します。

お金を出し合うなどして、「オールジャパン」として現地のマーケティングを行うほか、輸出する商品の「規格」を定めたり、輸出向けに品質を保てる包材など使用する資材を統一したりして、「品質保持」に関わることも担うことをイメージしているといいます。


これまでも、品目によって、PRの団体というのは存在しましたが、商品を戦略的に売るための組織に生まれ変わらせようというのです。


また、他の輸出大国がしているように、2023年度までに主要な国の都市に、現地のニーズ調査や販路開拓を支援する専門組織を国が新たに立ちあげようとしています。

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2022年02月04日

適疎

前々回に取り上げましたように、新型コロナウイルスの影響が長期化する中、「東京一極集中」の流れに変化の兆しが現れています。

去年1年間に東京から転出した人は41万人余りで、東京23区では初めて、「出て行く人」が「入ってくる人」を上回る「転出超過」となりました。



東京から外へと向かう人の動きに対して、北海道東川町では、こうした人たちを取り込もうと移住の促進に乗り出しています。

キーワードは“適疎”な暮らしということです。

大雪山系のふもとに位置する東川町ですが、農業を基幹産業とする人口およそ8400人の町です。町は、これまで、人口を増やし、経済の活性化につなげようと外国人留学生の受け入れに力を入れてきました。

2015年には町立の日本語学校を設立し、生徒数も順調に増え、町を支える人材として期待を寄せてきました。


ところが、新型コロナに伴う入国制限で入学者が激減し、町の外国人居住者も、この2年で100人ほど減ってしまったのです。

そこで、町が注目したのが、首都圏など大都市からの移住の動きです。

去年1年間に、東京を転出し、各地に移り住んだ人は、41万4734人に上り、このうち、北海道に移り住んだ人は、1万1496人です。


移住者を呼び込むため、町が打ち出したキャッチコピー、それが“適疎”です。

「過密」でも、「過疎」でもない、人と人との適度な「距離感」を表した言葉で、コロナ禍でテレワークが普及する中、都会の「密」を抜け出そうとする人たちの心をつかもうと、このコンセプトに掲げました。

快適なテレワーク環境を整えるため、町は2021年、無料のWi−Fiを備えたシェアオフィスを整備し、オフィス内には、町内の家具職人が手作りした机やいすを配置しています。


さらに、2022年1月、“適疎”をコンセプトにしたまちづくりを進めるための「司令塔」として、「適疎推進課」を設置し、今後、4億円をかけて、シェアオフィスをさらに4棟建設するほか、移住者向けの住宅確保などを進めることにしています。

東川町の松岡市郎町長は、町ならではの“適疎”な暮らしを後押しすることで、多くの移住者を呼び込めると考えています。


この町にとって、“疎”があるということは貴重な『価値』だと思っていて、こうした『価値』を生かしていくことが、これからの農村社会なのではないのかなと考えています。



“適疎”な移住を進めるには課題もあります。

コロナ禍の中で、移り住んだ人たちと地元の人たちとのつながりをどう築いていくかという問題です。見ず知らずの土地で暮らし続けるには、支えとなる人間関係が欠かせません。
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2022年02月03日

勤務間インターバル制度

人事院は、国家公務員の働き方改革に関する研究会を開催し、終業から次の始業までに一定の休息時間を設ける「勤務間インターバル制度」の導入などを検討するといいます。

長時間労働が常態となっている状況が続けば優秀な人材を確保しにくくなり、国の統治を支える官僚機構は劣化しかねないとの危機感が背景にあります。



EUは1990年代から加盟国の官民に同制度を義務付け、24時間ごとに最低でも連続11時間の休息をとらなければならないとしています。

ギリシャやスペインはEUの規定を上回る12時間です。


一方で、日本の中央省庁では深夜まで働きながら翌朝早くから出勤することが日常的になっているところもあります。

深夜に、官庁を取り囲むように個人タクシーの長蛇の列ができているのは異様さえ感じます。


長時間労働の一因は国会との関係にあり、閣僚の国会答弁は政府の方針と位置付けられることから、誤りのない答弁を用意するには質問取りが重要になります。

議員からの質問通告が国会審議の前日夜にもつれると深夜までの勤務を強いられることになります。


2019年施行の働き方改革関連法でインターバル制度の導入を企業の努力義務とし、2021年には閣議で「過労死等防止対策大綱」の変更を決め導入企業の割合を高めるようにしましたが、民間に求めておきながら足元の霞が関でないがしろにしているのが実態です。


この研究会では、そのほかに「フレックスタイム」の拡充やテレワークの普及にも具体の推進策が提言される模様です。

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2022年02月02日

コロナ後の人の動き

外国人を含む東京都の人口の動きは、去年1年間で転入が転出を5433人上回る「転入超過」となりましたが、「転入超過」の人数は2014年以降、最も少なくなりました。

さらに東京23区でみると、転出者数が転入者数を1万4828人上回り初めて「転出超過」となりました。



コロナ禍が長引く中、地方移住に関心を持つ人は確実に増えているという専門家もいます。


コロナ禍でテレワークの導入が進んだり、新型コロナの感染を避けたりするため、子育て世帯や高齢者、それに単身の男性などが東京から神奈川、千葉、埼玉に移り住んでいます。

最近では、群馬、茨城、山梨などにも移住先の範囲が広がっていて、いわば『東京“圏”一極集中』が起きています。

しかし、東京から全国各地にどんどん人が移り住んでいるという話ではなく、コロナ禍で地元の大学や企業に就職したいわゆる“出控え”という側面も大きく、コロナが収束すれば東京に出てくる人が増えると考えられます。

また、地方には女性が働きやすい就職先が少なく、女性による東京進出の流れは根強く、しっかりとした労働市場が地方で構築できなければ、人の移動は根本的に変わらないとみています。



一方、別の専門家は、“転職なき移住”の始まりだと指摘し、自治体にとってはチャンスでもあり、競争も生まれるとしています。

コロナ禍で企業の中には全国どこに住んでも社員として認める動きが出始めています。

この流れが加速すれば会社のある地域と住む場所は一致しなくてよくなり、この動きは相当大きなゲームチェンジにつながると思われますし、『転職なき移住』の始まりを意味しています。

今回の動きを一過性とみる向きもありますが、小さな変化が大きな時代の潮流を作る可能性があるため、日本全体に影響を及ぼす変革の波として見逃してはなりません。

全国どこでも勤務ができるようになれば定住という考え方がなくなり、好きな地域を選んで転々とすることもできるようになるかもしれませんし、これは、地方自治体にとって大きなチャンスですが、競争の始まりとも言えます。


このように考えれば今後は、移り住んできた人がビジネスをしやすかったり、地域のコミュニティーに入りやすかったりする環境整備などをできるかが問われてくると思います。
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2022年02月01日

中国の三重苦

中国政府は、コロナ対策と経済回復で世界の先頭に立っていると強調しますが、同時に、経済が“三重苦”に直面していることを認めています。

世界経済の最大のリスクになる可能性まで指摘される中国経済は、V字回復から一転して減速が続く今の課題が浮き彫りになってきました。



徹底した感染対策で人の移動が制限され、消費が停滞する、それが三重苦の1つ目で、「需要の収縮」につながっているようです。

感染を徹底して抑え込もうというゼロコロナ政策で、中国では、コロナ禍からの景気回復がいち早く進んできましたが、今、あまりに厳しい対策が景気に逆効果をもたらしています。


例えば、内陸部の陝西省・西安では、12月に約200人の感染者が確認された段階で、約1300万人に上る全市民を対象に厳しい外出制限が実施されました。

市民は原則として自宅にとどまるよう求められ、各家庭1人に限り、2日に1回の食料品などの買い出しだけが認められました。


首都・北京では、1月中旬にオミクロン株の感染が確認されると、感染者の14日間の行動履歴が事細かく公表され、同じ店に立ち寄った人は当局に報告することが求められました。

北京では冬のオリンピック・パラリンピックが間近に迫り、何としても大会を成功させたい政府は、感染状況に神経をとがらせています。


中国では旧正月にあたる春節にあわせた連休が1月31日から始まっていますが、感染拡大を防ぐため各地の当局は「今生活している場所で年越しを」と呼びかけています。

オリンピックの開催を意識した行動制限ですが、景気の重荷になることが懸念されています。



こうした需要=消費の停滞に加えて、三重苦の2つ目になっているのが「供給のダメージ」です。

輸出向けの物流が混乱している影響で物流コストも2倍近くに膨らんでいるといいます。

ここでも、厳しいゼロコロナ政策が要因の1つになっているようです。


空港では海外から配送された貨物を防護服着用の作業員が1つ1つ念入りに消毒したり、消毒される前の貨物を扱う従業員は、勤務にあたる2週間、指定の宿泊施設と現場との間を専用車両で移動する以外、原則外出は認
められないということです。

こうした対策によって人手の確保が課題になっているほか、消毒作業などで上海での航空貨物の輸入には1か月あたり日本円で約3000万円の追加コストがかかっているといいます。


港がある都市で感染が広がるたびに対策が厳しくなることが、結果として、世界的なコンテナ不足を背景に高騰している貨物の運賃をさらに押し上げる原因にもなっています。



その3つ目が「先行きへの期待の低下」です。

広東省仏山の家具業者が集積する地区は「家具の都」とも呼ばれていますが、マンションなどの不動産市況の悪化で大打撃を受けています。

「恒大グループ」の経営危機に象徴されるように、今、中国の不動産業界は開発や販売が減少しています。

中国の不動産業界は関連産業も含めるとGDPの4分の1ほどを占めるとも試算されるほど裾野が広い産業です。


その業界の不透明感が企業や人々にのしかかり、先行きへの期待を低下させているのです。
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