新型コロナウィルスの感染封じ込めを狙う「ゼロコロナ」政策が、中国経済にとって大きな重圧となっています。
なぜ中国は、経済を犠牲を覚悟でゼロコロナ政策に固執するのか誰もが疑問を持ちます。
その質問に答える論文が、「ネイチャー・メディスン」に公開されているようで、ゼロコロナ政策を緩めると、中国では6か月間でコロナ発症者は1億1220万人に達するとなっています。
そして、集中治療室の入院者は270万人に死者は160万人にのぼるというわけです。
感染拡大から2年余りで米国のコロナによる死者が100万人強と比べても6か月で160万人という中国の死者予測の規模は大きいですが、同時に深刻な医療崩壊に陥るのは言うまでもありません。
この「中国におけるオミクロン型の伝搬モデル」と題した論文は、米インディアナ大学、米国立衛生研究所と中国・復旦大学の専門家の共同研究の成果です。
想定したのは最初に20人がコロナに感染する一方、コロナワクチンを1日当り500万回追加接種するケースです。
それでも感染爆発を防げないのは、接種するのが中国製の不活化ワクチンの有効性の低さを、中国側も承知しての結果です。
感染爆発を防ぐには、高齢者のワクチン接種率を97%まで高め、発症者の50%を抗ウィルス剤で治療できる体制を用意する必要があるということです。
そうした準備ができなければ、現在のゼロコロナ政策を継続するほかはないという結論になっています。
となると、上海市などで実施された都市封鎖は、今後も折に触れて繰り返されざるを得ないようです。
このような中国ですから、インバウンド観光の本格再開は期待できそうにありませんし、中国進出企業が直面する経済リスクはさらに深刻といえそうです。
2022年06月29日
2022年06月28日
梅雨明け
今日、気象台から北陸地方、近畿地方、中国地方、四国地方、九州北部地方の梅雨明けが発表されました。
昨日梅雨明けした関東甲信地方、東海地方、九州南部に次ぐ梅雨明けで、東北地方を除いて梅雨明けが発表されたことになります。
今年は猛暑や水不足等が心配な夏となりそうです。
各地とも梅雨明けは平年よりも大幅に早く、これまでで最も早くなり、梅雨の期間は平年よりかなり短くなり、近畿、中国、四国、九州北部で史上最短を更新しています。
九州北部地方 17日間 平年より21日早く、昨年より15日早いといいます。
今日は、は東・西日本の内陸だけでなく、日本海側でも気温が高くなっており、昼過ぎにかけて、35℃以上の猛暑日地点が続出し、あす29日(水)はさらに暑くなる所があり、関東内陸は39℃前後、場所によっては40℃に達する可能性があるといいます。
危険なレベルの暑さが続くため、高温状態をいかにやり過ごすかが大きな課題になりそうです。
一方、昨日に続き、連日電力需給ひっ迫注意報が東京電力管内に発令されています。
電力供給の余力を示す予備率は、きのう午後4時現在の想定では、最も厳しい夕方は3.9%という厳しい数値が予測されていました。
経済産業省は、太陽光発電の出力が低下し、社会活動が活発な夕方午後4時から5時にかけて特に厳しい電力需給が想定されているとして、熱中症には注意しつつできる限りの節電を求めています。
今年は、例年のような水害が起こるというよりも渇水の可能性があるように感じます。
昨日梅雨明けした関東甲信地方、東海地方、九州南部に次ぐ梅雨明けで、東北地方を除いて梅雨明けが発表されたことになります。
今年は猛暑や水不足等が心配な夏となりそうです。
各地とも梅雨明けは平年よりも大幅に早く、これまでで最も早くなり、梅雨の期間は平年よりかなり短くなり、近畿、中国、四国、九州北部で史上最短を更新しています。
九州北部地方 17日間 平年より21日早く、昨年より15日早いといいます。
今日は、は東・西日本の内陸だけでなく、日本海側でも気温が高くなっており、昼過ぎにかけて、35℃以上の猛暑日地点が続出し、あす29日(水)はさらに暑くなる所があり、関東内陸は39℃前後、場所によっては40℃に達する可能性があるといいます。
危険なレベルの暑さが続くため、高温状態をいかにやり過ごすかが大きな課題になりそうです。
一方、昨日に続き、連日電力需給ひっ迫注意報が東京電力管内に発令されています。
電力供給の余力を示す予備率は、きのう午後4時現在の想定では、最も厳しい夕方は3.9%という厳しい数値が予測されていました。
経済産業省は、太陽光発電の出力が低下し、社会活動が活発な夕方午後4時から5時にかけて特に厳しい電力需給が想定されているとして、熱中症には注意しつつできる限りの節電を求めています。
今年は、例年のような水害が起こるというよりも渇水の可能性があるように感じます。
2022年06月27日
ベテラン健在?
昨日のゴルフは、梅雨の狭間(もしかしたら梅雨明け?)でこの時期にしてはベストコンディションの中でプレーすることができました。
メンバーはワンサムの集まりで、73歳のシングルプレーヤー、ジャパン経験がある元ラガーマンで1歳年上の高校の先輩、60歳近くの医療従事者と私の4人でしたが、皆さん元気で楽しくラウンドすることができました。
最年長のシングルプレーヤーの方は再来週のキャプテン杯に出場するということでひとりバックティから打っておられましたが、ショットは70代には見えない力強いものでした。
どう見ても糖尿病で闘病生活を送っておられた方には見えません。
プレーの合間に、私がミスショットすると適切なアドバイスをいただきました。
皆さんよくしゃべられる方ばかりで、こちらが聞いてもいない身の上話をされて楽しかったのですが、ほかの人がプレー中に会話中の二人が盛り上がり、他の方のプレー中にほかの二人が話をされて、傍で見てて不快な気持ちがトラブルへと発展しないことを祈っていました。
プレーは、セカンドショットの精度が上がってパープレーが増えたのですが、+5が1回、+3が2回、+2が3回でてしまい、95もたたいてしまいました。
また帰る途中、テレビでホークス戦をやっていましたが、1点リードされての10回の裏のホークスの攻撃、ベテラン人が登場しましたが全く元気がなく凡打に終わり負けてしました。
今年のホークスは世代交代の過渡期ということで、積極的に若手の登用が進んでいます。
困ったときにはベテランの力をとよく言われますが、この場面がその時でした。
明石、松田と両選手が元気なく倒れて、若手・中堅が作ってくれた1アウト2、3塁のチャンスが生かせませんでした。
年齢とともに身体能力が落ちていきますし、1回だけのチャンスをものにするということは難しいのかもしれませんが、このような状況が続くと益々出場機会が遠のいてしまいます。
娯楽とプロの世界ではベテランの活躍の場では大きく異なるようです。
メンバーはワンサムの集まりで、73歳のシングルプレーヤー、ジャパン経験がある元ラガーマンで1歳年上の高校の先輩、60歳近くの医療従事者と私の4人でしたが、皆さん元気で楽しくラウンドすることができました。
最年長のシングルプレーヤーの方は再来週のキャプテン杯に出場するということでひとりバックティから打っておられましたが、ショットは70代には見えない力強いものでした。
どう見ても糖尿病で闘病生活を送っておられた方には見えません。
プレーの合間に、私がミスショットすると適切なアドバイスをいただきました。
皆さんよくしゃべられる方ばかりで、こちらが聞いてもいない身の上話をされて楽しかったのですが、ほかの人がプレー中に会話中の二人が盛り上がり、他の方のプレー中にほかの二人が話をされて、傍で見てて不快な気持ちがトラブルへと発展しないことを祈っていました。
プレーは、セカンドショットの精度が上がってパープレーが増えたのですが、+5が1回、+3が2回、+2が3回でてしまい、95もたたいてしまいました。
また帰る途中、テレビでホークス戦をやっていましたが、1点リードされての10回の裏のホークスの攻撃、ベテラン人が登場しましたが全く元気がなく凡打に終わり負けてしました。
今年のホークスは世代交代の過渡期ということで、積極的に若手の登用が進んでいます。
困ったときにはベテランの力をとよく言われますが、この場面がその時でした。
明石、松田と両選手が元気なく倒れて、若手・中堅が作ってくれた1アウト2、3塁のチャンスが生かせませんでした。
年齢とともに身体能力が落ちていきますし、1回だけのチャンスをものにするということは難しいのかもしれませんが、このような状況が続くと益々出場機会が遠のいてしまいます。
娯楽とプロの世界ではベテランの活躍の場では大きく異なるようです。
2022年06月25日
石炭需要の再拡大
石炭の需要が世界で再び増えています。
ロシアのウクライナ侵攻に端を発したエネルギーの供給不安を受け、欧州で石炭回帰が急速に進んでいます。
また、クリーンエネルギーへの転換が遅れるアジアの新興国でも需要が伸び続けています。
需給ひっ迫で価格が上昇し、国際エネルギー機関(IEA)は2022年に石炭への投資が前年比で約10%増えるとの見通しを示しました。
ドイツではロシア産ガスの供給削減を受けて石炭火力を拡大する準備に入っていますし、オランダやポーランド、オーストリアもガス供給の途絶に備えて石炭の利用拡大策を検討しているようです。
ウクライナ危機以前から、世界の石炭消費の伸びはアジアの新興国がけん引していました。
インドなどは石炭火力が主力電源で、新型コロナ禍からの経済回復も重なり電力消費が拡大し、中国は国外で石炭火力発電所の建設は停止すると宣言したものの、国内では新規に多くの発電所がつくられています。
中国は昨夏以降の深刻な電力不足の再来を避けようと、国内で石炭の生産増強を支援する政策を打ち出しています。
需給ひっ迫で発電用石炭の価格は一段と上昇していて、夏にかけて電力消費は増えますから、石炭供給はタイトな局面が続く中で、今後さらに高騰するリスクもありそうです。
需給ひっ迫と価格の高騰を受け、石炭供給への投資も活発化しています。
ロシアのウクライナ侵攻に端を発したエネルギーの供給不安を受け、欧州で石炭回帰が急速に進んでいます。
また、クリーンエネルギーへの転換が遅れるアジアの新興国でも需要が伸び続けています。
需給ひっ迫で価格が上昇し、国際エネルギー機関(IEA)は2022年に石炭への投資が前年比で約10%増えるとの見通しを示しました。
ドイツではロシア産ガスの供給削減を受けて石炭火力を拡大する準備に入っていますし、オランダやポーランド、オーストリアもガス供給の途絶に備えて石炭の利用拡大策を検討しているようです。
ウクライナ危機以前から、世界の石炭消費の伸びはアジアの新興国がけん引していました。
インドなどは石炭火力が主力電源で、新型コロナ禍からの経済回復も重なり電力消費が拡大し、中国は国外で石炭火力発電所の建設は停止すると宣言したものの、国内では新規に多くの発電所がつくられています。
中国は昨夏以降の深刻な電力不足の再来を避けようと、国内で石炭の生産増強を支援する政策を打ち出しています。
需給ひっ迫で発電用石炭の価格は一段と上昇していて、夏にかけて電力消費は増えますから、石炭供給はタイトな局面が続く中で、今後さらに高騰するリスクもありそうです。
需給ひっ迫と価格の高騰を受け、石炭供給への投資も活発化しています。
2022年06月24日
格安自販機
通常の自販機では150円や160円で売られている商品でも、大阪の街では「格安」や「激安」と書かれた飲み物の自動販売機をよく目にするそうです。
ワンコインの100円だけでなく、中にはなんと10円のものもあるといいます。
さまざまなものが値上げされている昨今、大阪ではなぜこんなに格安自販機がたくさんあるのでしょうか?
食品の値上げは、大阪の皆さんは敏感に反応するところですので、やっぱりワンコインの方が購入しやすいのでしょう。
「お得」にこだわる人が多い大阪で、13年前の創業当時から100円で販売し続けてきている会社では、100円で販売できる秘密は2つあるといいます。
1つめは、地元の飲料メーカーの一部と良好な関係を築いてきたことです。
大阪には日本サンガリア ベバレッジカンパニー、チェリオコーポレーション、など、中堅の飲料メーカーが多く存在します。
こうしたメーカーの一部と日頃から密なコミュニケーションをとることで、季節に合わなくなった飲み物や、ラベルのデザインが変更された旧デザインの商品などを優先的に安く仕入れることができるといいます。
メーカー側から見ても、原価は低くなっても在庫を受け入れてくれるため、お互いウィンウィンの関係を築けているということです。
2つめは、人口が密集する大阪の特徴にあるといいます。
梅田周辺の「キタ」、難波や心斎橋周辺の「ミナミ」、天王寺・あべのなど、比較的狭いエリアに人口が密集する大阪です。
自動販売機に商品を補充する時にも効率的なルートで集中して作業できるため、配送コストが抑えられているというのです。
大阪に本社があるダイドーに聞くと、「やはり定価で売れた方がうれしい。でも、スーパーなどで販売しようとすると、価格競争が激しく、値崩れが起きやすい。その半面、自販機は安定的に収益を得られるメリットがある」といいます。
ダイドーは売り上げの8割を自販機が占めていて、価格以外でもアピールしようと自動販売機の高度化や多角化を進めています。
例えば、顔認証機能がついた自動販売機で、あらかじめ顔を登録しておけば小銭を持たずに飲み物が買え、代金が自動で引き落とされます。
食品工場などで働く人から「財布などを持ち込めず、更衣室に取りに行くのが面倒だ」という要望を受けて開発されたそうです。
また、大阪メトロの駅構内の自販機でジュースの隣で売られているのは、ストッキングや紙おむつ。
ストッキング、気がついたら伝線していたという人にとっては、助かるかもしれません。
飲み物だけでなくさまざまなものが自動販売機で買えるようになっていて、大阪の自動販売機は安さがウリなだけでなく、新しい自販機文化もまた生まれようとしているのかもしれません。
ワンコインの100円だけでなく、中にはなんと10円のものもあるといいます。
さまざまなものが値上げされている昨今、大阪ではなぜこんなに格安自販機がたくさんあるのでしょうか?
食品の値上げは、大阪の皆さんは敏感に反応するところですので、やっぱりワンコインの方が購入しやすいのでしょう。
「お得」にこだわる人が多い大阪で、13年前の創業当時から100円で販売し続けてきている会社では、100円で販売できる秘密は2つあるといいます。
1つめは、地元の飲料メーカーの一部と良好な関係を築いてきたことです。
大阪には日本サンガリア ベバレッジカンパニー、チェリオコーポレーション、など、中堅の飲料メーカーが多く存在します。
こうしたメーカーの一部と日頃から密なコミュニケーションをとることで、季節に合わなくなった飲み物や、ラベルのデザインが変更された旧デザインの商品などを優先的に安く仕入れることができるといいます。
メーカー側から見ても、原価は低くなっても在庫を受け入れてくれるため、お互いウィンウィンの関係を築けているということです。
2つめは、人口が密集する大阪の特徴にあるといいます。
梅田周辺の「キタ」、難波や心斎橋周辺の「ミナミ」、天王寺・あべのなど、比較的狭いエリアに人口が密集する大阪です。
自動販売機に商品を補充する時にも効率的なルートで集中して作業できるため、配送コストが抑えられているというのです。
大阪に本社があるダイドーに聞くと、「やはり定価で売れた方がうれしい。でも、スーパーなどで販売しようとすると、価格競争が激しく、値崩れが起きやすい。その半面、自販機は安定的に収益を得られるメリットがある」といいます。
ダイドーは売り上げの8割を自販機が占めていて、価格以外でもアピールしようと自動販売機の高度化や多角化を進めています。
例えば、顔認証機能がついた自動販売機で、あらかじめ顔を登録しておけば小銭を持たずに飲み物が買え、代金が自動で引き落とされます。
食品工場などで働く人から「財布などを持ち込めず、更衣室に取りに行くのが面倒だ」という要望を受けて開発されたそうです。
また、大阪メトロの駅構内の自販機でジュースの隣で売られているのは、ストッキングや紙おむつ。
ストッキング、気がついたら伝線していたという人にとっては、助かるかもしれません。
飲み物だけでなくさまざまなものが自動販売機で買えるようになっていて、大阪の自動販売機は安さがウリなだけでなく、新しい自販機文化もまた生まれようとしているのかもしれません。
2022年06月22日
打者3000人、30万球を分析
野球が急速に変わっていて、米大リーグの2000年以降のデータを分析したところ、直球のスピードが増して本塁打の比率は上昇し、一昔前の劇画のような豪快な野球になったようです。
データを駆使した「DX野球」による進化の側面はありますが、一発ねらいの大味な試合が増えた結果、ゲームの娯楽性が低下し、ファン離れにつながっている懸念もありそうです。
米大リーグ機構が公表する試合のデータをもとに、2000年から2021年の延べ3000人超の打者の成績や約30万球分の投球内容を分析したようです。
それによると、まず目を引くのは三振の増加で、最大の要因は投手の技術向上により直球の平均時速がここ10年で2キロ超早くなっており、スライダーの変化が鋭い外角低めの球が増え、ストライクとボールの見極めが難しくなっています。
打者もやられっ放しではないようで、三振と比例するように本塁打が増えています。
アメリカンリーグのMVPに輝いたエンゼルスの大谷翔平選手はこうした潮流の典型のようです。
三振率は29.6%と高い反面、本塁打率は7.2%で安打3本に1本をスタンドに運んだことになります。
スポーツデータ分析の専門家は、最新のデータやテクノロジーを駆使したトレーニングでレベルアップした投手から連打で得点するは難しく、そこで三振は本塁打のコストと割り切り、攻撃側が一発を狙う傾向が高まったと解説しています。
これまでは内安打や相手の失策も狙えるゴロを打つのが望ましいとされていましたが、最近は本塁打が高まるフライを打つことが推奨されています。
一方投手は、一発狙いですくい上げられるリスクを抑えるため、かつて基本とされてた低めの配給ではなく、高めの球をより多く使う配球を増やしているようです。
打撃が三振か本塁打かの二者択一に偏ると試合は大味になりがちで、巧みなバットコントロールやスピード感あふれる走塁や守備でファンを沸かせたイチローさんは現役晩年、「大リーグの野球は頭を使わずにできるものになりつつある」と嘆いたそうです。
走塁や適時打が生み出すリズムや緊張感が減り、ファン離れを招いているとの危惧する向きもあります。
データを駆使した「DX野球」による進化の側面はありますが、一発ねらいの大味な試合が増えた結果、ゲームの娯楽性が低下し、ファン離れにつながっている懸念もありそうです。
米大リーグ機構が公表する試合のデータをもとに、2000年から2021年の延べ3000人超の打者の成績や約30万球分の投球内容を分析したようです。
それによると、まず目を引くのは三振の増加で、最大の要因は投手の技術向上により直球の平均時速がここ10年で2キロ超早くなっており、スライダーの変化が鋭い外角低めの球が増え、ストライクとボールの見極めが難しくなっています。
打者もやられっ放しではないようで、三振と比例するように本塁打が増えています。
アメリカンリーグのMVPに輝いたエンゼルスの大谷翔平選手はこうした潮流の典型のようです。
三振率は29.6%と高い反面、本塁打率は7.2%で安打3本に1本をスタンドに運んだことになります。
スポーツデータ分析の専門家は、最新のデータやテクノロジーを駆使したトレーニングでレベルアップした投手から連打で得点するは難しく、そこで三振は本塁打のコストと割り切り、攻撃側が一発を狙う傾向が高まったと解説しています。
これまでは内安打や相手の失策も狙えるゴロを打つのが望ましいとされていましたが、最近は本塁打が高まるフライを打つことが推奨されています。
一方投手は、一発狙いですくい上げられるリスクを抑えるため、かつて基本とされてた低めの配給ではなく、高めの球をより多く使う配球を増やしているようです。
打撃が三振か本塁打かの二者択一に偏ると試合は大味になりがちで、巧みなバットコントロールやスピード感あふれる走塁や守備でファンを沸かせたイチローさんは現役晩年、「大リーグの野球は頭を使わずにできるものになりつつある」と嘆いたそうです。
走塁や適時打が生み出すリズムや緊張感が減り、ファン離れを招いているとの危惧する向きもあります。
2022年06月21日
大雨への備え
先週、梅雨のない北海道を除いて全国が梅雨入り、豪雨災害への警戒が必要な時期になりました。
昨日から今日まで上京していましたが、東京も福岡も湿度が高くちょっと歩いただけで汗ばみ梅雨の天候となってきました。
今月から大雨についての情報が変わり、大きくは次の2つの点です。
〇線状降水帯の発生を予測する新しい情報が出るようになること
〇洪水や土砂災害などの危険度を示す図情報「キキクル」が変わること
線状降水帯とは発達した積乱雲が次々に発生して帯状にほぼ同じ場所に数時間にわたってかかり続け、猛烈な雨を降らせる現象ですが、8年前の広島豪雨や関東・東北豪雨から注目されるようになり、甚大な被害を引き起こすことが多いため防災上の重要性が認識されるようになりました。
このため気象庁は今月から線状降水帯の発生を予測し発表することにしました。
発表のタイミングは発生の半日前つまり12時間前から6時間ほど前で「〇〇地方では〇日の夜には線状降水帯が発生して大雨災害発生の危険度が急激に高まる可能性があります」と呼びかけます。
全国11ブロック単位で発表します。
ただ、この情報はまだ精度は高くありません。いまの技術では線状降水帯の発生を正確に予測するのは難しいのが現状です。
精度は低いのですが、早い段階で危険性を知ることができる点がポイントで、集中豪雨は夜間に激しくなって避難が難しくなるというケースが多くあります。
この情報は最大12時間前の発表なので明るいうちに「夜間、急激に危険な状態になるおそれがある」ことを伝えます。
今月から変わる、もうひとつの大雨の情報は、洪水や土砂災害などの危険度を地図で示す気象庁の「キキクル」です。
パソコンやスマートフォンで見ることができて大雨のときニュースでも頻繁に紹介されているもので、危険の大きさを表す色使いが変わります。
さまざまな防災情報は5段階の警戒レベルに整理されていて、レベル4が危険な場所にいる人は全員避難の「避難指示」で色は紫です。
レベル5は災害がすでに発生している可能性が高い「緊急安全確保」で色は黒で示されます。
しかし、これまでキキクルはレベル4までしかなく、レベル4の中に薄い紫色とさらに危険性の高い濃い紫色の2つがあってわかりづらいという指摘がありました。
キキクルは雨量から相対的な危険度を推定するものなので災害発生との関係が不確かだったためですが、実績を積んで信頼性が増したことからキキクルにもレベル5を設け、レベル4は紫色に統一することになりました。
キキクルを利用するうえで、もうひとつ、ぜひ知っておきたいのは、ハザードマップの危険地域を重ね合わせることができて、今、避難すべきかどうか一目で判断できることです。
土砂災害のキキクルを拡大していくと1キロ四方のメッシュごとに危険度が黄色や赤、紫で示されます。
その地図に土砂災害の警戒区域がより濃い色=黒っぽい色であらわされています。
この土砂災害の警戒区域内に自宅があって、そこに紫色がかかったら、土砂災害警戒区域の外へ直ちに避難をする必要があります。
川のキキクルの場合、危険性が増すにしたがって川そのものの色が黄色、赤、紫と変わっていきます。
川の流域にはハザードマップの浸水想定区域が淡い黄色やピンク色で示され、浸水が深いほど濃いピンク色になっています。
川がレベル4の紫になったら、その流域の浸水想定区域にいる人はただちに区域外に水平避難するか、それが難しい場合は想定される浸水の深さより高い階に垂直避難をする必要があります。
昨日から今日まで上京していましたが、東京も福岡も湿度が高くちょっと歩いただけで汗ばみ梅雨の天候となってきました。
今月から大雨についての情報が変わり、大きくは次の2つの点です。
〇線状降水帯の発生を予測する新しい情報が出るようになること
〇洪水や土砂災害などの危険度を示す図情報「キキクル」が変わること
線状降水帯とは発達した積乱雲が次々に発生して帯状にほぼ同じ場所に数時間にわたってかかり続け、猛烈な雨を降らせる現象ですが、8年前の広島豪雨や関東・東北豪雨から注目されるようになり、甚大な被害を引き起こすことが多いため防災上の重要性が認識されるようになりました。
このため気象庁は今月から線状降水帯の発生を予測し発表することにしました。
発表のタイミングは発生の半日前つまり12時間前から6時間ほど前で「〇〇地方では〇日の夜には線状降水帯が発生して大雨災害発生の危険度が急激に高まる可能性があります」と呼びかけます。
全国11ブロック単位で発表します。
ただ、この情報はまだ精度は高くありません。いまの技術では線状降水帯の発生を正確に予測するのは難しいのが現状です。
精度は低いのですが、早い段階で危険性を知ることができる点がポイントで、集中豪雨は夜間に激しくなって避難が難しくなるというケースが多くあります。
この情報は最大12時間前の発表なので明るいうちに「夜間、急激に危険な状態になるおそれがある」ことを伝えます。
今月から変わる、もうひとつの大雨の情報は、洪水や土砂災害などの危険度を地図で示す気象庁の「キキクル」です。
パソコンやスマートフォンで見ることができて大雨のときニュースでも頻繁に紹介されているもので、危険の大きさを表す色使いが変わります。
さまざまな防災情報は5段階の警戒レベルに整理されていて、レベル4が危険な場所にいる人は全員避難の「避難指示」で色は紫です。
レベル5は災害がすでに発生している可能性が高い「緊急安全確保」で色は黒で示されます。
しかし、これまでキキクルはレベル4までしかなく、レベル4の中に薄い紫色とさらに危険性の高い濃い紫色の2つがあってわかりづらいという指摘がありました。
キキクルは雨量から相対的な危険度を推定するものなので災害発生との関係が不確かだったためですが、実績を積んで信頼性が増したことからキキクルにもレベル5を設け、レベル4は紫色に統一することになりました。
キキクルを利用するうえで、もうひとつ、ぜひ知っておきたいのは、ハザードマップの危険地域を重ね合わせることができて、今、避難すべきかどうか一目で判断できることです。
土砂災害のキキクルを拡大していくと1キロ四方のメッシュごとに危険度が黄色や赤、紫で示されます。
その地図に土砂災害の警戒区域がより濃い色=黒っぽい色であらわされています。
この土砂災害の警戒区域内に自宅があって、そこに紫色がかかったら、土砂災害警戒区域の外へ直ちに避難をする必要があります。
川のキキクルの場合、危険性が増すにしたがって川そのものの色が黄色、赤、紫と変わっていきます。
川の流域にはハザードマップの浸水想定区域が淡い黄色やピンク色で示され、浸水が深いほど濃いピンク色になっています。
川がレベル4の紫になったら、その流域の浸水想定区域にいる人はただちに区域外に水平避難するか、それが難しい場合は想定される浸水の深さより高い階に垂直避難をする必要があります。
2022年06月19日
中国の南太平洋進出
中国による南太平洋諸島への進出に、米国、オーストラリアをはじめとする西側諸国が懸念を深めています。
米豪から見ると、中国の行動は1910年代以降、旧日本軍が進めた南方への戦略と重なる面があり、こうした歴史の類似点が西側諸国を刺激し、強い警戒心を招いているようです。
中国の王外相が南太平洋7ヵ国と東南アジアの東ティモールへの10日間の訪問を終え、複数の国々に経済協力を約束したとしています。
将来、南太平洋を自分の影響圏にしたいという中国の思惑があり、その意図があらわになったのが、10ヵ国に提案した協定から伺えます。
その締結は見送られたものの、事前にリークされた草案は中国が各国の警察やデジタル統治、サイバー安全保障などの体制づくりに協力するという中身だったようです。
南太平洋では、軍や治安体制が乏しい国々が多く、協定が結ばれれば、各国の統治に中国が大きな影響力を持つことになったはずです。
中国がこの地域に近づいた当初の狙いは、台湾と外交関係を持つ国々に働きかけ、断行させることでした。
併せて、南太平洋諸国に支援を注ぎ、経済の結びつきも深め、最終的な狙いは複数の軍事拠点を設けることになると、西側諸国は疑っています。
疑念を深めることになったのが、2022年4月、中国がソロモン諸島と交わした安全保障協定で、ソロモンが中国軍の派遣や艦船の寄港を認めるなど、高度な軍事協力が盛り込まれているようです。
中国は第3列島線より自国側の海洋で、米軍の介入を阻むことを中期目標にしているとされ、第2、第3列島線にまたがる南太平洋に基地を設け、事実上の「不沈空母」として活用できるようになれば、この目標に近づくというわけです。
米戦略予算評価センターの専門家は、中国軍が南太平洋に前線拠点を設ければ、米国と同盟国はより複雑な軍事作戦が強いられるといい、次の影響を指摘します。
@ 中国軍は前線拠点によって、南太平洋に確固たる影響力を築き、平時から米国と同盟国の軍事活動を監視し、海洋の動向をよりよく把握できるようになる。
A 戦争になれば、中国軍は米軍が太平洋を越えてやってくるのを阻止し、米国と豪州を結ぶシーレーンも脅かすことができる。いずれも太平洋戦争中、旧日本軍がもたらした脅威に似ている。
ただでさえ、米中は台湾海峡や南シナ海で軍事緊張がたかまっており、中国がその危険性をわからないまま南太平洋にも踏み入るとすれば、ことが深刻になっていきます。
米豪から見ると、中国の行動は1910年代以降、旧日本軍が進めた南方への戦略と重なる面があり、こうした歴史の類似点が西側諸国を刺激し、強い警戒心を招いているようです。
中国の王外相が南太平洋7ヵ国と東南アジアの東ティモールへの10日間の訪問を終え、複数の国々に経済協力を約束したとしています。
将来、南太平洋を自分の影響圏にしたいという中国の思惑があり、その意図があらわになったのが、10ヵ国に提案した協定から伺えます。
その締結は見送られたものの、事前にリークされた草案は中国が各国の警察やデジタル統治、サイバー安全保障などの体制づくりに協力するという中身だったようです。
南太平洋では、軍や治安体制が乏しい国々が多く、協定が結ばれれば、各国の統治に中国が大きな影響力を持つことになったはずです。
中国がこの地域に近づいた当初の狙いは、台湾と外交関係を持つ国々に働きかけ、断行させることでした。
併せて、南太平洋諸国に支援を注ぎ、経済の結びつきも深め、最終的な狙いは複数の軍事拠点を設けることになると、西側諸国は疑っています。
疑念を深めることになったのが、2022年4月、中国がソロモン諸島と交わした安全保障協定で、ソロモンが中国軍の派遣や艦船の寄港を認めるなど、高度な軍事協力が盛り込まれているようです。
中国は第3列島線より自国側の海洋で、米軍の介入を阻むことを中期目標にしているとされ、第2、第3列島線にまたがる南太平洋に基地を設け、事実上の「不沈空母」として活用できるようになれば、この目標に近づくというわけです。
米戦略予算評価センターの専門家は、中国軍が南太平洋に前線拠点を設ければ、米国と同盟国はより複雑な軍事作戦が強いられるといい、次の影響を指摘します。
@ 中国軍は前線拠点によって、南太平洋に確固たる影響力を築き、平時から米国と同盟国の軍事活動を監視し、海洋の動向をよりよく把握できるようになる。
A 戦争になれば、中国軍は米軍が太平洋を越えてやってくるのを阻止し、米国と豪州を結ぶシーレーンも脅かすことができる。いずれも太平洋戦争中、旧日本軍がもたらした脅威に似ている。
ただでさえ、米中は台湾海峡や南シナ海で軍事緊張がたかまっており、中国がその危険性をわからないまま南太平洋にも踏み入るとすれば、ことが深刻になっていきます。
2022年06月18日
九州新幹線西九州ルート
九州新幹線西九州ルートの武雄温泉―長崎間の開通まで3か月余りとなってきました。
JR九州は西九州ルートには新幹線「かもめ」を1日上下47本運行することを発表し、開業まで準備が進んできました。
新幹線「かもめ」と在来線特急「リレーかもめ」で結ぶ博多―長崎間は同44本(22往復)で、乗り換えを含めた所要時間は最速1時間20分となり、現行よりも30分短縮されます。
当然、速達型のダイヤが組まれており、嬉野温泉駅のみを通過するパターンと嬉野温泉駅と新大村駅の両方を通過するパターンが設定されています。
交通の要衝である諫早駅には全便が止まる模様です。
また、JR九州は武雄温泉―長崎間の割引料金を発表し、ライバルへの流出を防ぐだけでなく、新たな利用客を開拓し、新幹線の速達性や快適な乗り心地をアピールしたい模様です。
その一つが期間限定で販売する片道3200円の割引切符です。
現行の割引料金のうち、当日ネット予約が可能な切符の料金は3150円で、ここから値上げ幅を50円にとどめることで割高なイメージを与えないようにしたようです。
コロナ禍で利用客が減少するなかで今後どれだけ回復できるか不透明な中、また新幹線が当分の間在来特急とリレー方式で運用され、時間短縮効果等、魅力がまだ十分に発揮されない中での苦肉の策といえます。
九州新幹線西九州ルートが9月の長崎―武雄温泉間の開通で大きく前進しましたが、懸案となっている残りの区間である武雄温泉―新鳥栖間の取り扱いが焦点となります。
これまでの報道を見ていると、正しい認識、評価のもとに議論が進んでいるのかと首をかしげたくなりますが、今後関係者で建設的な議論が行われ、時宜を得た取り組みとなるよう当時九州新幹線西九州ルートを担当して推進した者として願うばかりです。
JR九州は西九州ルートには新幹線「かもめ」を1日上下47本運行することを発表し、開業まで準備が進んできました。
新幹線「かもめ」と在来線特急「リレーかもめ」で結ぶ博多―長崎間は同44本(22往復)で、乗り換えを含めた所要時間は最速1時間20分となり、現行よりも30分短縮されます。
当然、速達型のダイヤが組まれており、嬉野温泉駅のみを通過するパターンと嬉野温泉駅と新大村駅の両方を通過するパターンが設定されています。
交通の要衝である諫早駅には全便が止まる模様です。
また、JR九州は武雄温泉―長崎間の割引料金を発表し、ライバルへの流出を防ぐだけでなく、新たな利用客を開拓し、新幹線の速達性や快適な乗り心地をアピールしたい模様です。
その一つが期間限定で販売する片道3200円の割引切符です。
現行の割引料金のうち、当日ネット予約が可能な切符の料金は3150円で、ここから値上げ幅を50円にとどめることで割高なイメージを与えないようにしたようです。
コロナ禍で利用客が減少するなかで今後どれだけ回復できるか不透明な中、また新幹線が当分の間在来特急とリレー方式で運用され、時間短縮効果等、魅力がまだ十分に発揮されない中での苦肉の策といえます。
九州新幹線西九州ルートが9月の長崎―武雄温泉間の開通で大きく前進しましたが、懸案となっている残りの区間である武雄温泉―新鳥栖間の取り扱いが焦点となります。
これまでの報道を見ていると、正しい認識、評価のもとに議論が進んでいるのかと首をかしげたくなりますが、今後関係者で建設的な議論が行われ、時宜を得た取り組みとなるよう当時九州新幹線西九州ルートを担当して推進した者として願うばかりです。
2022年06月17日
エネルギー資源のハンディをリサイクルでカバー
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻から3か月が経ちますが、いま、スマホ、パソコン、EV=電気自動車に欠かせないレアメタルの価格が供給不安から高騰しています。
EVの普及にむけて自動車メーカーは車体の軽量化に取り組んでいますが、プラスチックに金属をつければ、光沢だけでなく、強度を高めることもできるそうです。
こんな理由で、めっき加工のニーズはどんどん高まっています。
めっき加工に欠かせないのが金、銅、クロムなどの金属ですが、なかでもレアメタルのひとつニッケルの購入などにかかる費用は、ことしはなんと20%増える見込みだといいます。
通常、製造業では、コストが上昇するとできるだけ貴重な材料を有効活用しようとリサイクルを進めることになります。
めっき加工では、プラスチック製品にニッケルをつけたあと、いったん水で洗います。
この洗った水に、流れ落ちた微量のニッケルが含まれています。
“一歩進んだ”リサイクルは、この微量なニッケルが含まれた水を10倍に濃縮し、再びめっき液として活用しようとしています。
ニッケル以外のレアメタルも高騰しています。
レアメタルは30種類以上あるとされていますが、コロナ以前の3年前と比べると、軒並み価格が上がっています。
さらに、カーボンニュートラルを実現しようと、EVや風力発電の発電機といった多くの製品にレアメタルが使われるようになっていて、需要はさらに高まる見通しだと言います。
中でも自動車は、これまで鉄やアルミ、プラスチックでしたが、電動化に伴いバッテリーやセンサーなどに多くのレアメタルが使われ、いわば『走るレアメタル』になっています。
エネルギー資源のほとんどを輸入に頼っている日本では、1970年代の2度のオイルショックを経て、リサイクルの技術革新が進みました。
オイルショックでは、プラスチックなどの商材が手に入りづらくなり、発泡スチロールのリサイクルなどが始まったほか、省エネ技術の開発も進みました。
軍事侵攻をきっかけに、レアメタルや天然ガス、あらゆるものの価格が高騰しています。
専門家は、難易度の高いレアメタルのリサイクルはこれからますます重要になると指摘します。
いまは皆がスマホを持ち、高性能な自動車に乗っているので、レアメタルの需要が減ることはなく、一方で天然鉱石を採掘し、レアメタルに加工するのは環境への負荷が大きくなっています。
レアメタルのリサイクルという意味で日本は先進国なので、今後はコストを削減する技術革新も必要になってきます。
かつてのオイルショックのときのように、苦境を跳ね返そうというさまざまな工夫から新しい技術の芽が生まれ、ゆくゆくは世界をリードすることになっていけばと、さまざまな会社が取り組んでいるリサイクル技術も将来そうなってほしいと切に願いたいものです。
EVの普及にむけて自動車メーカーは車体の軽量化に取り組んでいますが、プラスチックに金属をつければ、光沢だけでなく、強度を高めることもできるそうです。
こんな理由で、めっき加工のニーズはどんどん高まっています。
めっき加工に欠かせないのが金、銅、クロムなどの金属ですが、なかでもレアメタルのひとつニッケルの購入などにかかる費用は、ことしはなんと20%増える見込みだといいます。
通常、製造業では、コストが上昇するとできるだけ貴重な材料を有効活用しようとリサイクルを進めることになります。
めっき加工では、プラスチック製品にニッケルをつけたあと、いったん水で洗います。
この洗った水に、流れ落ちた微量のニッケルが含まれています。
“一歩進んだ”リサイクルは、この微量なニッケルが含まれた水を10倍に濃縮し、再びめっき液として活用しようとしています。
ニッケル以外のレアメタルも高騰しています。
レアメタルは30種類以上あるとされていますが、コロナ以前の3年前と比べると、軒並み価格が上がっています。
さらに、カーボンニュートラルを実現しようと、EVや風力発電の発電機といった多くの製品にレアメタルが使われるようになっていて、需要はさらに高まる見通しだと言います。
中でも自動車は、これまで鉄やアルミ、プラスチックでしたが、電動化に伴いバッテリーやセンサーなどに多くのレアメタルが使われ、いわば『走るレアメタル』になっています。
エネルギー資源のほとんどを輸入に頼っている日本では、1970年代の2度のオイルショックを経て、リサイクルの技術革新が進みました。
オイルショックでは、プラスチックなどの商材が手に入りづらくなり、発泡スチロールのリサイクルなどが始まったほか、省エネ技術の開発も進みました。
軍事侵攻をきっかけに、レアメタルや天然ガス、あらゆるものの価格が高騰しています。
専門家は、難易度の高いレアメタルのリサイクルはこれからますます重要になると指摘します。
いまは皆がスマホを持ち、高性能な自動車に乗っているので、レアメタルの需要が減ることはなく、一方で天然鉱石を採掘し、レアメタルに加工するのは環境への負荷が大きくなっています。
レアメタルのリサイクルという意味で日本は先進国なので、今後はコストを削減する技術革新も必要になってきます。
かつてのオイルショックのときのように、苦境を跳ね返そうというさまざまな工夫から新しい技術の芽が生まれ、ゆくゆくは世界をリードすることになっていけばと、さまざまな会社が取り組んでいるリサイクル技術も将来そうなってほしいと切に願いたいものです。
2022年06月16日
食の輸出が増加
日本からの食の輸出が、年々、増えています。
輸出大国というには、まだ遠い状況ではありますが、日本からの農林水産物と食品の輸出額は、年々増えていて、一年前と比べて25.6%増え去年、初めて、1兆円を超えました。
輸入は、年間で、10兆円を超えていますので、日本が食の輸入大国であることは、間違いありませんが、輸出も、少しずつ力をつけてきて、政府が長年目標にしてきた1兆円をようやく達成できた形です。
今後、政府は、2025年には2兆円。2030年には5兆円という目標をめざし、輸出をさらに、後押ししていく方針です。
しかしもともと、日本の食料自給率は、カロリーベースで37%で、過去最低の水準です。
政府は45%の目標を掲げていますが、下がる傾向は止まりません。
そうした中、今、ロシアのウクライナ侵攻の影響もあって、輸入に頼っている小麦やとうもろこしなどの国際価格が高騰し、国内の食料品は値上げラッシュが続いています。
さらに、先日、小麦の生産量で世界2位のインドが国内に安定して供給するため輸出を禁止する措置をとるなど、輸出国が規制に乗り出す動きも出ています。
このため、輸出に回すより輸入に頼っている食材を国内でつくることに力を入れるべきではないか、脱炭素化を進める上でも、輸送のエネルギーがかからない地産地消を行い、地域で作った食材を、その地域で食べる動きを進めるべきではないかという声もあがっています。
ただ、国内では、人口減少が進んでいますので食の市場はどんどん小さくなり、農地も、農林水産業に従事する人も、急激に減ってきています。
このまま、国内だけを相手にしていては、農林水産業、産地、そして、地域で多くの雇用を抱えている食品製造業が衰退する懸念があります。
そうなれば地域の活力も失われます。
一方、海外に目を向けると、市場は大きく広がり、日本より高い価格で、安定的に売れるケースもあります。
輸出で、売り上げ、利益を増やし、稼げる=魅力ある産業にすることで、農林水産業に就く人に増えてもらいたい、それで、農業や水産業の強化につながれば、国内向けの食の安定供給=自給率の改善にもつながるというわけです。
輸出額の大きな順に並べた表を見てみますと、1年前と比べ、日本酒などのアルコール飲料やホタテ、牛肉、果物などが、大幅に増えています。
コメも、まだ、額は少ないですが、12%近く増えています。
中国、アメリカ、EUなど向けが40%前後と大幅に増えています。
なぜ、これほど輸出が伸びているのかというと、新型コロナの感染拡大による、世界の巣ごもり需要が追い風になったということです。
また、日本を訪れる外国人観光客が大幅に増え、日本の食べ物の人気が世界に広がっているようです。
海外の日本食レストランの数は、2013年のおよそ5.5万店から、3倍近くに増え、コロナの前は、そこに向けた輸出が主なルートでした。
それが、コロナで日本を訪れることも、一時、外のレストランで食べることも制限され、それなら、家庭で日本の食べ物を食べたいという巣ごもり需要が増え、その結果、ネット通販や、スーパーで、日本の牛肉や日
本酒、日本の果物などを買い求める人が増え、そうしたところに向け、日本からの輸出が増えました。新たな販路が開けたというのです。
加えて、コロナが落ち着いて外食需要が回復した地域では、レストラン向けの需要も戻ってきていて、こうしたことが輸出が急拡大した背景にあるということです。
輸出大国というには、まだ遠い状況ではありますが、日本からの農林水産物と食品の輸出額は、年々増えていて、一年前と比べて25.6%増え去年、初めて、1兆円を超えました。
輸入は、年間で、10兆円を超えていますので、日本が食の輸入大国であることは、間違いありませんが、輸出も、少しずつ力をつけてきて、政府が長年目標にしてきた1兆円をようやく達成できた形です。
今後、政府は、2025年には2兆円。2030年には5兆円という目標をめざし、輸出をさらに、後押ししていく方針です。
しかしもともと、日本の食料自給率は、カロリーベースで37%で、過去最低の水準です。
政府は45%の目標を掲げていますが、下がる傾向は止まりません。
そうした中、今、ロシアのウクライナ侵攻の影響もあって、輸入に頼っている小麦やとうもろこしなどの国際価格が高騰し、国内の食料品は値上げラッシュが続いています。
さらに、先日、小麦の生産量で世界2位のインドが国内に安定して供給するため輸出を禁止する措置をとるなど、輸出国が規制に乗り出す動きも出ています。
このため、輸出に回すより輸入に頼っている食材を国内でつくることに力を入れるべきではないか、脱炭素化を進める上でも、輸送のエネルギーがかからない地産地消を行い、地域で作った食材を、その地域で食べる動きを進めるべきではないかという声もあがっています。
ただ、国内では、人口減少が進んでいますので食の市場はどんどん小さくなり、農地も、農林水産業に従事する人も、急激に減ってきています。
このまま、国内だけを相手にしていては、農林水産業、産地、そして、地域で多くの雇用を抱えている食品製造業が衰退する懸念があります。
そうなれば地域の活力も失われます。
一方、海外に目を向けると、市場は大きく広がり、日本より高い価格で、安定的に売れるケースもあります。
輸出で、売り上げ、利益を増やし、稼げる=魅力ある産業にすることで、農林水産業に就く人に増えてもらいたい、それで、農業や水産業の強化につながれば、国内向けの食の安定供給=自給率の改善にもつながるというわけです。
輸出額の大きな順に並べた表を見てみますと、1年前と比べ、日本酒などのアルコール飲料やホタテ、牛肉、果物などが、大幅に増えています。
コメも、まだ、額は少ないですが、12%近く増えています。
中国、アメリカ、EUなど向けが40%前後と大幅に増えています。
なぜ、これほど輸出が伸びているのかというと、新型コロナの感染拡大による、世界の巣ごもり需要が追い風になったということです。
また、日本を訪れる外国人観光客が大幅に増え、日本の食べ物の人気が世界に広がっているようです。
海外の日本食レストランの数は、2013年のおよそ5.5万店から、3倍近くに増え、コロナの前は、そこに向けた輸出が主なルートでした。
それが、コロナで日本を訪れることも、一時、外のレストランで食べることも制限され、それなら、家庭で日本の食べ物を食べたいという巣ごもり需要が増え、その結果、ネット通販や、スーパーで、日本の牛肉や日
本酒、日本の果物などを買い求める人が増え、そうしたところに向け、日本からの輸出が増えました。新たな販路が開けたというのです。
加えて、コロナが落ち着いて外食需要が回復した地域では、レストラン向けの需要も戻ってきていて、こうしたことが輸出が急拡大した背景にあるということです。
2022年06月14日
アバターに試着
「ネットで服を買ったら、サイズが合わなかった」
「店で何回も試着するのはちょっと面倒…」
こうした服選びの“お悩み”を解決する新たな技術が開発されていて、それはインターネット上の自分の分身「アバター」に試着をまかせてしまおうというもので、この技術、アパレル業界の常識を変えるかもしれません。
アバター作りには、特殊な装置が使われ、高さおよそ2メートルの8本のポールで囲まれ、中には40台の小型カメラが取り付けられていますこのこのこの装置に入り、肩幅に足を開いて立ったと思うと、わずか0.5秒で全身を撮影し、そこから2分弱で自分のシルエットを再現したアバターの完成です。
アバターができあがると、あとはスマートフォンの専用アプリを使い、好みの服を選ぶだけです。
スマホの画面を操作すると、前後左右、見たい方向から確認でき、実際の試着の時には見えにくい背中側のシルエットもしっかり見られます。
手間をかけずに複数のコーディネートを試着でき、しかも同時に比較も可能で、いつも似たような服を選びがちな人でも、このアプリを使えば自分では選ばないコーディネートを気軽に“冒険”できる仕掛けです。
ネットユーザーが当たり前のようにアバターを持つ時代になれば、アバター試着は、現実世界での買い物の手助けにとどまらず、メタバース上でデジタルファッションを着こなすという、新たな使われ方が期待できるというのです。
広がるアバター試着の動きがあり、使うのは、まるでマネキンのようなアバターです。
まず、自分の身長のほか肩幅や股下、ウエストなど8つの項目のデータを入力して、自分自身の体型に設定し、完成したマネキン風のアバターに選んだ服を着せると、服のサイズ感を細かく見られるのに加え、着こなし方も自由に変えられます。
画面を指で触れると、腕まくりをしたり、アウターのボタンをかけたりはずしたり、さらにはズボンをずりおろしてはく、いわゆる“腰パン”スタイルまで、実際の試着さながらに確かめることができるようです。
このアバター、歩いたり座ったりする動作をした時に、服のどの部分に大きな力がかかっているか、色で見分けられる機能も備えています。
きつい部分ほど赤色、逆にゆとりがある部分が青色で表示され、例えばボトムスだと、座った時に膝の部分が赤くなります。
「店で何回も試着するのはちょっと面倒…」
こうした服選びの“お悩み”を解決する新たな技術が開発されていて、それはインターネット上の自分の分身「アバター」に試着をまかせてしまおうというもので、この技術、アパレル業界の常識を変えるかもしれません。
アバター作りには、特殊な装置が使われ、高さおよそ2メートルの8本のポールで囲まれ、中には40台の小型カメラが取り付けられていますこのこのこの装置に入り、肩幅に足を開いて立ったと思うと、わずか0.5秒で全身を撮影し、そこから2分弱で自分のシルエットを再現したアバターの完成です。
アバターができあがると、あとはスマートフォンの専用アプリを使い、好みの服を選ぶだけです。
スマホの画面を操作すると、前後左右、見たい方向から確認でき、実際の試着の時には見えにくい背中側のシルエットもしっかり見られます。
手間をかけずに複数のコーディネートを試着でき、しかも同時に比較も可能で、いつも似たような服を選びがちな人でも、このアプリを使えば自分では選ばないコーディネートを気軽に“冒険”できる仕掛けです。
ネットユーザーが当たり前のようにアバターを持つ時代になれば、アバター試着は、現実世界での買い物の手助けにとどまらず、メタバース上でデジタルファッションを着こなすという、新たな使われ方が期待できるというのです。
広がるアバター試着の動きがあり、使うのは、まるでマネキンのようなアバターです。
まず、自分の身長のほか肩幅や股下、ウエストなど8つの項目のデータを入力して、自分自身の体型に設定し、完成したマネキン風のアバターに選んだ服を着せると、服のサイズ感を細かく見られるのに加え、着こなし方も自由に変えられます。
画面を指で触れると、腕まくりをしたり、アウターのボタンをかけたりはずしたり、さらにはズボンをずりおろしてはく、いわゆる“腰パン”スタイルまで、実際の試着さながらに確かめることができるようです。
このアバター、歩いたり座ったりする動作をした時に、服のどの部分に大きな力がかかっているか、色で見分けられる機能も備えています。
きつい部分ほど赤色、逆にゆとりがある部分が青色で表示され、例えばボトムスだと、座った時に膝の部分が赤くなります。
2022年06月13日
黒潮大蛇行
日本近海の海流としては、北から流れてくる親潮や南西から流れてくる黒潮がよく知られていますが、黒潮は通常は九州から関東にかけて日本の南側に沿うように流れています。
この黒潮が紀伊半島沖で南に大きく迂回した後、東海から関東にかけてはぐっと近づいて流れている「黒潮大蛇行」が発生しています。
実は大蛇行が発生すること自体はそれほどまれではなく、十分なデータがある1965年以降では今回が6回目になりますが、ただ、これまで1〜2年で終わることが多かったようです。
今回は2017年に始まった大蛇行は今も継続中で、先月の時点で既に4年10か月と期間が過去最長になっています。
黒潮大蛇行によって深刻な影響も発生しているようで、まず水産業への影響が考えられます。
蛇行した内側では水温がかなり低くなっていて、魚によって好む水温も違いますので、大蛇行によって漁場が遠くなったり獲れなくなってしまう魚も出ています。
例えば、静岡県で盛んなシラス漁は大蛇行前の2016年までと比べ2017年以降は漁獲が大きく減っていますし、三重県尾鷲市の定置網のブリが不漁になったり、カツオは地域によって漁獲が増える所と減る所が出ています。
また黒潮は水温が高いだけでなく栄養分が乏しい海流です。
プランクトンが少なく透明度が高いため海の色が青黒くなり、これが「黒潮」の名前の由来にもなっていますが、こうしたことからヒジキやノリなどの海藻の育ちが悪くなっている所もあるようです。
水温に敏感なサンゴは和歌山県で大量死が起きたりもしており、海の生態系への影響が懸念されます。
また、海流の位置が大きく変わることで船舶が航行するのに経済的なコースも変わり、原油高騰の中、燃費が悪化するとも言われます。
そのほかにも、実は黒潮大蛇行の影響で、関東地方では夏はより蒸し暑くなり、一方で冬は東京でも雪が降りやすくなると言った、気象への影響を指摘する研究もあります。
さらに、気象庁は関東から東海にかけての沿岸で台風や低気圧が接近した場合に低い土地の浸水、つまり水害などが起きやすくなるとして注意を呼びかけています。
専門家は大蛇行が長期化している要因である「黒潮の流量の少なさ」などが当面は変わらないと見られることから、まだしばらく黒潮大蛇行は続くと考えています。
そこで、生活者の立場で黒潮の大蛇行とどのように付き合っていくべきかというと、食料品の価格上昇が相次ぐいま水産業の不振も心配ですが、産地や魚種によっても影響が異なりますので賢く買い物をしたいものです。
そして、これからの時期は関東や東海に限らず大雨や台風・高潮などで水害への備えが必要ですし、さらにこの夏も広い地域で高温多湿になるおそれもあり、熱中症対策もしっかり行うということでしょうか。
この黒潮が紀伊半島沖で南に大きく迂回した後、東海から関東にかけてはぐっと近づいて流れている「黒潮大蛇行」が発生しています。
実は大蛇行が発生すること自体はそれほどまれではなく、十分なデータがある1965年以降では今回が6回目になりますが、ただ、これまで1〜2年で終わることが多かったようです。
今回は2017年に始まった大蛇行は今も継続中で、先月の時点で既に4年10か月と期間が過去最長になっています。
黒潮大蛇行によって深刻な影響も発生しているようで、まず水産業への影響が考えられます。
蛇行した内側では水温がかなり低くなっていて、魚によって好む水温も違いますので、大蛇行によって漁場が遠くなったり獲れなくなってしまう魚も出ています。
例えば、静岡県で盛んなシラス漁は大蛇行前の2016年までと比べ2017年以降は漁獲が大きく減っていますし、三重県尾鷲市の定置網のブリが不漁になったり、カツオは地域によって漁獲が増える所と減る所が出ています。
また黒潮は水温が高いだけでなく栄養分が乏しい海流です。
プランクトンが少なく透明度が高いため海の色が青黒くなり、これが「黒潮」の名前の由来にもなっていますが、こうしたことからヒジキやノリなどの海藻の育ちが悪くなっている所もあるようです。
水温に敏感なサンゴは和歌山県で大量死が起きたりもしており、海の生態系への影響が懸念されます。
また、海流の位置が大きく変わることで船舶が航行するのに経済的なコースも変わり、原油高騰の中、燃費が悪化するとも言われます。
そのほかにも、実は黒潮大蛇行の影響で、関東地方では夏はより蒸し暑くなり、一方で冬は東京でも雪が降りやすくなると言った、気象への影響を指摘する研究もあります。
さらに、気象庁は関東から東海にかけての沿岸で台風や低気圧が接近した場合に低い土地の浸水、つまり水害などが起きやすくなるとして注意を呼びかけています。
専門家は大蛇行が長期化している要因である「黒潮の流量の少なさ」などが当面は変わらないと見られることから、まだしばらく黒潮大蛇行は続くと考えています。
そこで、生活者の立場で黒潮の大蛇行とどのように付き合っていくべきかというと、食料品の価格上昇が相次ぐいま水産業の不振も心配ですが、産地や魚種によっても影響が異なりますので賢く買い物をしたいものです。
そして、これからの時期は関東や東海に限らず大雨や台風・高潮などで水害への備えが必要ですし、さらにこの夏も広い地域で高温多湿になるおそれもあり、熱中症対策もしっかり行うということでしょうか。
2022年06月11日
レコードの復権
あらゆる音楽がデジタルで楽しめる時代に、アナログ代表・レコードが復権を果たしているようです。
かつてのレコード購入層の中心は40〜50代男性だったといわれています。
2010年代半ばからじわじわ人気が高まり、新型コロナウィルス下で購入層が大きく広がったようです。
この数年で10〜20年代を見かけるようになり、かつてほとんど見なかった女性も買いに来るといいます。
レコード人気の強さを示すのが中古品の値上がりで、LPレコードの平均単価は2021年度が3543円で前年度比で2割超上がり、2022年度に入りさらに上昇する兆しもあるようです。
山下達郎之アルバム「FOR YOU」は10年以上前には1000円程度だったのが、今は1万円をこすものもあるといいます。
中古レコードの人気を受け、人気アーティストが新譜をレコードで発売する動きも出てきました。
復権の背景にはデジタルからアナログへ向かう鑑賞の流れがあり、動画サイトなどで知った昔の名曲を、当時と同じ形で楽しむ人が増えています。
レコードをプレーヤーに置き、針を落とす一連の動作を新鮮に感じる人も多く、あえて手間をかけるいとおしさやアナログへのあこがれあるようです。
私も、捨てずに残していたレコードを聴くためプレーヤーを購入し、毎朝クラシック音楽を楽しんでいます。
コロナ下で音楽フェスの中止が相次ぎ、在宅時間に音楽を体験する機会をレコードが提供している面もあります。
中古品高騰のもう一つの要因が世界的なレコード復権で、米国では2020年上半期にレコードの売上高がCDを逆転しました。
海外愛好家は日本にも関心を寄せ、特に人気なのが1970〜1980年代に山下達郎や竹内まりや、大滝詠一らが作り上げた「シティポップ」と呼ばれる音楽です。
古い邦盤を積極的に購入する動きも出ていて、いまや海外勢による一大市場が形成されているということです。
入国規制の緩和でレコードを買い求める訪日客が戻れば、さらにレコード価格の「世界市場化」が進む可能性が出てきました。
かつてのレコード購入層の中心は40〜50代男性だったといわれています。
2010年代半ばからじわじわ人気が高まり、新型コロナウィルス下で購入層が大きく広がったようです。
この数年で10〜20年代を見かけるようになり、かつてほとんど見なかった女性も買いに来るといいます。
レコード人気の強さを示すのが中古品の値上がりで、LPレコードの平均単価は2021年度が3543円で前年度比で2割超上がり、2022年度に入りさらに上昇する兆しもあるようです。
山下達郎之アルバム「FOR YOU」は10年以上前には1000円程度だったのが、今は1万円をこすものもあるといいます。
中古レコードの人気を受け、人気アーティストが新譜をレコードで発売する動きも出てきました。
復権の背景にはデジタルからアナログへ向かう鑑賞の流れがあり、動画サイトなどで知った昔の名曲を、当時と同じ形で楽しむ人が増えています。
レコードをプレーヤーに置き、針を落とす一連の動作を新鮮に感じる人も多く、あえて手間をかけるいとおしさやアナログへのあこがれあるようです。
私も、捨てずに残していたレコードを聴くためプレーヤーを購入し、毎朝クラシック音楽を楽しんでいます。
コロナ下で音楽フェスの中止が相次ぎ、在宅時間に音楽を体験する機会をレコードが提供している面もあります。
中古品高騰のもう一つの要因が世界的なレコード復権で、米国では2020年上半期にレコードの売上高がCDを逆転しました。
海外愛好家は日本にも関心を寄せ、特に人気なのが1970〜1980年代に山下達郎や竹内まりや、大滝詠一らが作り上げた「シティポップ」と呼ばれる音楽です。
古い邦盤を積極的に購入する動きも出ていて、いまや海外勢による一大市場が形成されているということです。
入国規制の緩和でレコードを買い求める訪日客が戻れば、さらにレコード価格の「世界市場化」が進む可能性が出てきました。
2022年06月10日
スウェーデン、ゴットランド島
バルト海に浮かぶスウェーデン最大の島、ゴットランド島には交易で栄えた中世の美しい町並みが残り、1995年には中心都市のビスビーがユネスコの世界遺産に登録されました。
ロシアの飛び地カリーニングラードから北にわずか300キロに位置し、19世紀には帝政ロシアによって一時、占領された歴史もあります。
そして今、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受け、スウェーデンがNATOへの加盟申請を行う中、対ロシアの最前線となりました。
宮崎駿監督のアニメ映画「魔女の宅急便」はこの島の景観を参考にしていて、日本からも多くの観光客が訪れています。
第2次世界大戦後、ドイツから旧ソビエトに編入されたカリーニングラードは、ソビエト崩壊後、バルト3国が独立し、ロシア本土から切り離された「飛び地」となりました。
ロシア軍はここをバルト艦隊の拠点とし、NATOに対抗する重要な戦略拠点としています。
1808年には当時の帝政ロシアに一時、占領された歴史もあるゴットランド島について専門家は「ゴットランド島はバルト海の真ん中にあり、ここを制する者が制空権をとるとも言われてきた。そのため、ゴットランド島を守ることがスウェーデンにとって必要不可欠なのだ」と指摘します。
ゴットランド島では軍事的な警戒が強まっています。
スウェーデン軍の傘下には地域を守るためのボランティアの市民兵がいますが、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受けて、急きょ追加で数週間の訓練を受けることが必要となりました。
市民兵となっているのは、ふだんは会社勤めをしている人や子育て中の人など、普通の市民です。
大工として働いている38歳の男性は「ふだんの仕事にはもちろん影響は出るが、そんなことは問題ではない。ふるさとや家族、国のためならやりがいがある」と語ります。
また、有事の際には衛生兵として活動するという34歳の女性は「何かあれば、上司の指示に従い落ち着いて行動するだけです」と話しています。
軍事面で緊張が高まる中、「ロシアは長年脅威だったので新たな事態ではない」などと比較的冷静な受け止めが聞かれる一方、有事に備えた動きも広がっています。
ロシアの飛び地カリーニングラードから北にわずか300キロに位置し、19世紀には帝政ロシアによって一時、占領された歴史もあります。
そして今、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受け、スウェーデンがNATOへの加盟申請を行う中、対ロシアの最前線となりました。
宮崎駿監督のアニメ映画「魔女の宅急便」はこの島の景観を参考にしていて、日本からも多くの観光客が訪れています。
第2次世界大戦後、ドイツから旧ソビエトに編入されたカリーニングラードは、ソビエト崩壊後、バルト3国が独立し、ロシア本土から切り離された「飛び地」となりました。
ロシア軍はここをバルト艦隊の拠点とし、NATOに対抗する重要な戦略拠点としています。
1808年には当時の帝政ロシアに一時、占領された歴史もあるゴットランド島について専門家は「ゴットランド島はバルト海の真ん中にあり、ここを制する者が制空権をとるとも言われてきた。そのため、ゴットランド島を守ることがスウェーデンにとって必要不可欠なのだ」と指摘します。
ゴットランド島では軍事的な警戒が強まっています。
スウェーデン軍の傘下には地域を守るためのボランティアの市民兵がいますが、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受けて、急きょ追加で数週間の訓練を受けることが必要となりました。
市民兵となっているのは、ふだんは会社勤めをしている人や子育て中の人など、普通の市民です。
大工として働いている38歳の男性は「ふだんの仕事にはもちろん影響は出るが、そんなことは問題ではない。ふるさとや家族、国のためならやりがいがある」と語ります。
また、有事の際には衛生兵として活動するという34歳の女性は「何かあれば、上司の指示に従い落ち着いて行動するだけです」と話しています。
軍事面で緊張が高まる中、「ロシアは長年脅威だったので新たな事態ではない」などと比較的冷静な受け止めが聞かれる一方、有事に備えた動きも広がっています。
2022年06月08日
エンゲージメント
昔から従業員のやる気は重要だとは認識されていたと思いますが、今、それが企業が開示すべき経営情報となり、投資家が「やる気」の度合いで投資先を選ぶ時代に入ろうとしているようです。
「職場の縦割り意識が強く、前例踏襲主義。『新しい時代だ、イノベーションだ』と上司は言うけれど、斬新な提案は通った試しがない」と若手社員からよく聞く不満です。
どうすれば従業員にいきいきと仕事をしてもらえるのか、注目されているのが「エンゲージメント」という指標です。
聞き慣れない言葉ですが、「従業員の会社に対する愛着や貢献したいという気持ち」を指し、いわば社員の「やる気」とも解釈できます。
しかし、日本は海外に比べてこの「エンゲージメント」の数値が低いというデータがあります。
2020年のデータを見ると、日本が56%と調査対象の23の国と地域の中で最も低い数値で、6年連続で世界最下位でした。
世界平均から10ポイント低く、しかも、平均を大きく下回る傾向は10年も続いているということです。
日本のエンゲージメントの数値が低いのは、日本型の終身雇用だと社員は簡単にやめない傾向があるため、会社側もエンゲージメントを良くしようという動機づけが足りなかったことや減点主義の風土があり、自発的な努力も起きにくいなどといわれてたいます。
また、年功序列の企業は、大量採用時代の社員の平均年齢が上昇することで『代理』や『補佐』といったポストが乱立し、こうした人材が滞留することで特に若手社員の意欲が低下していることも背景にあるともいわれています。
ここ数年、海外ではこの数値を企業の経営を把握する情報として、開示を義務化する動きが広がっているようです。
アメリカでは証券取引委員会が、2020年から上場企業に対し、従業員の育成や採用などの状況に関する情報の開示を義務づけました。
背景にはやる気のある従業員が多い企業は業績がいいという調査結果があるからです。
世界では開示に積極的な企業も次々と登場しています。
投資家もエンゲージメント指標に注目しています。
世界有数の規模を誇るアメリカの資産運用会社「ブラックロック」は、独自に投資先の従業員の満足度を
分析していて、従業員がいきいきと働ける会社かどうかが投資先を選定する上で重要だと話しています。
日本政府も動き出しています。
エンゲージメントや人材育成、多様性の確保といった企業の人材への投資に関する経営情報を開示する指針をこの夏にも決定する方針です。
これまで企業は従業員を「人的資源」として、お金がかかる人件費=コストと見なす傾向がありました。
変化が速く、混迷が深まる時代に突入し、企業はいかに創造的なサービスやモノを生み出すかが問われる傾向が強まっているように感じます。
そうなると、従業員はコストではなく、新しい価値を生み出す「人的投資」としての意味合いが強まるのだと思います。
長期的に見れば、日本は人口減少と働き手の不足が避けられませんので、いかに“人への投資”を行うのか、従業員の「やる気」を引き出せるのかが、企業価値の向上には、重要になってくるようです。
「職場の縦割り意識が強く、前例踏襲主義。『新しい時代だ、イノベーションだ』と上司は言うけれど、斬新な提案は通った試しがない」と若手社員からよく聞く不満です。
どうすれば従業員にいきいきと仕事をしてもらえるのか、注目されているのが「エンゲージメント」という指標です。
聞き慣れない言葉ですが、「従業員の会社に対する愛着や貢献したいという気持ち」を指し、いわば社員の「やる気」とも解釈できます。
しかし、日本は海外に比べてこの「エンゲージメント」の数値が低いというデータがあります。
2020年のデータを見ると、日本が56%と調査対象の23の国と地域の中で最も低い数値で、6年連続で世界最下位でした。
世界平均から10ポイント低く、しかも、平均を大きく下回る傾向は10年も続いているということです。
日本のエンゲージメントの数値が低いのは、日本型の終身雇用だと社員は簡単にやめない傾向があるため、会社側もエンゲージメントを良くしようという動機づけが足りなかったことや減点主義の風土があり、自発的な努力も起きにくいなどといわれてたいます。
また、年功序列の企業は、大量採用時代の社員の平均年齢が上昇することで『代理』や『補佐』といったポストが乱立し、こうした人材が滞留することで特に若手社員の意欲が低下していることも背景にあるともいわれています。
ここ数年、海外ではこの数値を企業の経営を把握する情報として、開示を義務化する動きが広がっているようです。
アメリカでは証券取引委員会が、2020年から上場企業に対し、従業員の育成や採用などの状況に関する情報の開示を義務づけました。
背景にはやる気のある従業員が多い企業は業績がいいという調査結果があるからです。
世界では開示に積極的な企業も次々と登場しています。
投資家もエンゲージメント指標に注目しています。
世界有数の規模を誇るアメリカの資産運用会社「ブラックロック」は、独自に投資先の従業員の満足度を
分析していて、従業員がいきいきと働ける会社かどうかが投資先を選定する上で重要だと話しています。
日本政府も動き出しています。
エンゲージメントや人材育成、多様性の確保といった企業の人材への投資に関する経営情報を開示する指針をこの夏にも決定する方針です。
これまで企業は従業員を「人的資源」として、お金がかかる人件費=コストと見なす傾向がありました。
変化が速く、混迷が深まる時代に突入し、企業はいかに創造的なサービスやモノを生み出すかが問われる傾向が強まっているように感じます。
そうなると、従業員はコストではなく、新しい価値を生み出す「人的投資」としての意味合いが強まるのだと思います。
長期的に見れば、日本は人口減少と働き手の不足が避けられませんので、いかに“人への投資”を行うのか、従業員の「やる気」を引き出せるのかが、企業価値の向上には、重要になってくるようです。
2022年06月07日
ノルウェー産サーモン
サーモンの高値が続いていて、主力のノルウェー産の輸入価格は過去最高水準になっています。
サーモンは環境に配慮した商品づくりが進んでおり、持続可能な開発目標(SDGs)への関心が高まるなか海外を中心に需要を集め、高値でも引き合いが弱まりません。
サーモンは8〜9割が輸入品で、ノルウェー産の輸入価格は5月下旬時点で1キロ2000〜2200円で、前年同期比を7割近く上回っています。
同じ輸入品のカナダ産銀ダラは同期比で1割ほどの上昇にとどまり、マグロやイカの値上がりもサーモンには及びません。
短期的にはウクライナ危機に伴う輸送網の混乱や円安が影を落としますが、豊洲市場の関係者は「欧米の需要が強い。いつもなら消費が伸びるイースターが終わって安くなる。今年は高止まりだ」といいます。
もともとサーモンはクセのある臭いがないとされ、欧米で好まれてきました。
近年の需要増加の背景には、食味だけでなくSDGs対応への評価があるようで、海外の水産物業界では環境団体や小売事業者などの働きかけで、自然環境への配慮に関する認証の取得が活発になっています。
養殖物でSDGsへの対応が根付いてきたのは比較的最近で、海洋環境やエサの小魚の資源に配慮する必要性が指摘され始めました。
水産物の評価軸は長らく鮮度と味覚でしたが、環境認証で優位に立つサーモンの需要拡大は、水産物を選ぶ
新たな価値観が根付きつつあることを示しています。
サーモンは環境に配慮した商品づくりが進んでおり、持続可能な開発目標(SDGs)への関心が高まるなか海外を中心に需要を集め、高値でも引き合いが弱まりません。
サーモンは8〜9割が輸入品で、ノルウェー産の輸入価格は5月下旬時点で1キロ2000〜2200円で、前年同期比を7割近く上回っています。
同じ輸入品のカナダ産銀ダラは同期比で1割ほどの上昇にとどまり、マグロやイカの値上がりもサーモンには及びません。
短期的にはウクライナ危機に伴う輸送網の混乱や円安が影を落としますが、豊洲市場の関係者は「欧米の需要が強い。いつもなら消費が伸びるイースターが終わって安くなる。今年は高止まりだ」といいます。
もともとサーモンはクセのある臭いがないとされ、欧米で好まれてきました。
近年の需要増加の背景には、食味だけでなくSDGs対応への評価があるようで、海外の水産物業界では環境団体や小売事業者などの働きかけで、自然環境への配慮に関する認証の取得が活発になっています。
養殖物でSDGsへの対応が根付いてきたのは比較的最近で、海洋環境やエサの小魚の資源に配慮する必要性が指摘され始めました。
水産物の評価軸は長らく鮮度と味覚でしたが、環境認証で優位に立つサーモンの需要拡大は、水産物を選ぶ
新たな価値観が根付きつつあることを示しています。
2022年06月06日
米国で、粉ミルク不足
全米で起きている粉ミルク不足は、ホワイトハウスが緊急対応を迫られるほどの国家的な危機へと発展しているようです。
問題の根は深そうで、そもそも米国の粉ミルク市場は政府の介入でゆがめられ、寡占が進んでいる上に、新型コロナウィルス禍による買いだめが市場にひずみを起こしていました。
これにサプライチェーンの混乱や安全性の問題が重なったことで事態がさらに悪化しています。
米国の粉ミルク市場は長年にわたってアボット・ラボラトリーズ、ガーバー、ミード・ジョンソンの3社で伸び悩む市場の大半を分け合う状態が続いていました。
成長力を欠く市場における3社の強みは米政府に保護されていることで、米国で生産される粉ミルクの2/3は低所得世帯を対象とする連邦政府の「女性・乳幼児向け特別栄養補給支援制度(WIC)」を通じて買い上げられますが、WICはこの3社としか契約を結んでいません。
また、米政府は厳しい安全規制や高い輸入関税を設けることで、欧州やカナダなどの企業による市場参入を阻んできました。
その結果、米国の粉ミルクはその98%が国内で生産されています。
そこへコロナ禍が到来し、予期せぬ出生率の低下が起き、パンデミックの最初の数か月間は米国の消費者もトイレットペーパーやパスタとともに粉ミルクを買いだめしましたが、出生率が低下したうえ、乳児がいる家庭では備蓄を取り崩すようになり、店舗の発注量は減少しました。
その後、粉ミルクメーカーも他のほとんどの業者と同様、商品を製造・輸送するための労働力やトラックを確保しにくい状況が続きました。
このため、出生率が回復し需要が急増した時に、生産体制をすぐに強化することができなかったわけです。
そのような中最大手のアボットは、自社の工場ですずさんな記録管理や清掃が行き届いていないことを告発されながら改善を怠り、そこに複数の乳児が病気になり4人が入院、2人が死亡するということが起き工場は閉鎖されることになりました。
数種類のブランドの粉ミルクのリコールに発展し、その後、価格のつり上げと品不足が生じました。
そもそも米当局が貿易障壁や少数のメーカーから買い上げる契約を導入したのは、信頼できるメーカーが国内で製造した安全な粉ミルクを米国中の乳児に飲んでもらえるようにするためでしたが、これが裏目となりました。
政府による買い上げ制度や保護主義的な措置は、生産体制を迅速に立ち上げ、需要を満たす基盤づくりには役立ちますが、業界のチェックを怠ると改善を試みず、投資をおろそかにする体質を生みかねません。
長期的には信頼性の高い多数のプレーヤーによる競争を通じて、市場を活性化していくことを目指すべきといえるようです。
問題の根は深そうで、そもそも米国の粉ミルク市場は政府の介入でゆがめられ、寡占が進んでいる上に、新型コロナウィルス禍による買いだめが市場にひずみを起こしていました。
これにサプライチェーンの混乱や安全性の問題が重なったことで事態がさらに悪化しています。
米国の粉ミルク市場は長年にわたってアボット・ラボラトリーズ、ガーバー、ミード・ジョンソンの3社で伸び悩む市場の大半を分け合う状態が続いていました。
成長力を欠く市場における3社の強みは米政府に保護されていることで、米国で生産される粉ミルクの2/3は低所得世帯を対象とする連邦政府の「女性・乳幼児向け特別栄養補給支援制度(WIC)」を通じて買い上げられますが、WICはこの3社としか契約を結んでいません。
また、米政府は厳しい安全規制や高い輸入関税を設けることで、欧州やカナダなどの企業による市場参入を阻んできました。
その結果、米国の粉ミルクはその98%が国内で生産されています。
そこへコロナ禍が到来し、予期せぬ出生率の低下が起き、パンデミックの最初の数か月間は米国の消費者もトイレットペーパーやパスタとともに粉ミルクを買いだめしましたが、出生率が低下したうえ、乳児がいる家庭では備蓄を取り崩すようになり、店舗の発注量は減少しました。
その後、粉ミルクメーカーも他のほとんどの業者と同様、商品を製造・輸送するための労働力やトラックを確保しにくい状況が続きました。
このため、出生率が回復し需要が急増した時に、生産体制をすぐに強化することができなかったわけです。
そのような中最大手のアボットは、自社の工場ですずさんな記録管理や清掃が行き届いていないことを告発されながら改善を怠り、そこに複数の乳児が病気になり4人が入院、2人が死亡するということが起き工場は閉鎖されることになりました。
数種類のブランドの粉ミルクのリコールに発展し、その後、価格のつり上げと品不足が生じました。
そもそも米当局が貿易障壁や少数のメーカーから買い上げる契約を導入したのは、信頼できるメーカーが国内で製造した安全な粉ミルクを米国中の乳児に飲んでもらえるようにするためでしたが、これが裏目となりました。
政府による買い上げ制度や保護主義的な措置は、生産体制を迅速に立ち上げ、需要を満たす基盤づくりには役立ちますが、業界のチェックを怠ると改善を試みず、投資をおろそかにする体質を生みかねません。
長期的には信頼性の高い多数のプレーヤーによる競争を通じて、市場を活性化していくことを目指すべきといえるようです。
2022年06月05日
ゲリラ豪雨予測
予測が難しく、不意を突いて局地的に降る大雨は「ゲリラ豪雨」と呼ばれています。
気象庁がいう「局地的大雨」に相当するとされていて、「急に強く降り、数十分の短時間に狭い範囲内に数十ミリ程度の雨量をもたらす雨」です。
最近では、線状降水帯が有名になっていますが、2008年にはゲリラ豪雨で神戸市の都賀川でわずか10分間に水位が1メートル以上上昇して水難事故となりました。
「ゲリラ豪雨」は道路の冠水や交通機関への影響、停電など都市の脅威となっています。
ゲリラ豪雨をもたらす雲をつかもうと、研究者は観測や予測技術の強化に動いています。
地上458メートルあるスカイツリーの展望台の上に、防災科学技術研究所の観測装置が置かれています。
工場や発電所など様々な場所で発生する微粒子(エーロゾル)や、それを核として水蒸気が凝結した雲粒の大きさや数を計測しています。
2016年からの観測で、エーロゾルが増えるにつれて雲粒も増える傾向あるようですが、増え方が敏感な場合と、鈍い場合があることが分かってきました。
地上に設置されている雲粒をとらえるKaバンドレーダーと組み合わせれば、17分早くゲリラ豪雨の雲を精度高く検知できることが分かっています。
ただ、人間活動が活発な東京のような都市と、地方では雲の形成が違ってくる可能性もあるといいます。
関東平野でゲリラ豪雨が発生するにはいくつかのパターンがあって、夏に太平洋高気圧に覆われて晴れている日でも、午後になると内陸の気温が高くなり、天気図に現れないような小さな熱帯低気圧が発生します。
そこに向かって南東から湿った海風が入り、山地の斜面で積乱雲が発生しやすくなります。
さらに予測が難しいのが、東京湾周辺に海から吹く海風と陸から吹く陸風がぶつかって海風前線ができる場合やすでにある積乱雲から冷気が広がる場合で、一筋縄ではいかないといいます。
気象庁は現在、待機や雲が発する弱い電磁波をとらえ、水蒸気の量などを推定する「地上マイクロ波放射計」の導入を進めていますし、理化学研究所はスーパーコンピューター富岳を使って、首都圏でゲリラ豪雨の実証実験をしています。
今日は、まとまった雨が降るということでゴルフをキャンセルしようとしましたが、結局は大降りとならないことを念じて行ってきました。
終始、傘を差しながらのプレーでしたが、大叩きもしましたがバーディも2つとることができて楽しいゴルフとなりました。
街のいたるところでアジサイの花が満開です。
北部九州も梅雨入りも間近となりました。
気象庁がいう「局地的大雨」に相当するとされていて、「急に強く降り、数十分の短時間に狭い範囲内に数十ミリ程度の雨量をもたらす雨」です。
最近では、線状降水帯が有名になっていますが、2008年にはゲリラ豪雨で神戸市の都賀川でわずか10分間に水位が1メートル以上上昇して水難事故となりました。
「ゲリラ豪雨」は道路の冠水や交通機関への影響、停電など都市の脅威となっています。
ゲリラ豪雨をもたらす雲をつかもうと、研究者は観測や予測技術の強化に動いています。
地上458メートルあるスカイツリーの展望台の上に、防災科学技術研究所の観測装置が置かれています。
工場や発電所など様々な場所で発生する微粒子(エーロゾル)や、それを核として水蒸気が凝結した雲粒の大きさや数を計測しています。
2016年からの観測で、エーロゾルが増えるにつれて雲粒も増える傾向あるようですが、増え方が敏感な場合と、鈍い場合があることが分かってきました。
地上に設置されている雲粒をとらえるKaバンドレーダーと組み合わせれば、17分早くゲリラ豪雨の雲を精度高く検知できることが分かっています。
ただ、人間活動が活発な東京のような都市と、地方では雲の形成が違ってくる可能性もあるといいます。
関東平野でゲリラ豪雨が発生するにはいくつかのパターンがあって、夏に太平洋高気圧に覆われて晴れている日でも、午後になると内陸の気温が高くなり、天気図に現れないような小さな熱帯低気圧が発生します。
そこに向かって南東から湿った海風が入り、山地の斜面で積乱雲が発生しやすくなります。
さらに予測が難しいのが、東京湾周辺に海から吹く海風と陸から吹く陸風がぶつかって海風前線ができる場合やすでにある積乱雲から冷気が広がる場合で、一筋縄ではいかないといいます。
気象庁は現在、待機や雲が発する弱い電磁波をとらえ、水蒸気の量などを推定する「地上マイクロ波放射計」の導入を進めていますし、理化学研究所はスーパーコンピューター富岳を使って、首都圏でゲリラ豪雨の実証実験をしています。
今日は、まとまった雨が降るということでゴルフをキャンセルしようとしましたが、結局は大降りとならないことを念じて行ってきました。
終始、傘を差しながらのプレーでしたが、大叩きもしましたがバーディも2つとることができて楽しいゴルフとなりました。
街のいたるところでアジサイの花が満開です。
北部九州も梅雨入りも間近となりました。
2022年06月02日
4回目接種
昨日、新型コロナワクチンの4回目接種の案内が来ました。
3回目までは、医療関係者ということで高齢者を対象とするグループよりも早めに接種を受けることができました。
3回目の接種が1月7日でしたので、5か月が経過しています。
厚生労働省のワクチン分科会で4回目の接種について、重症化リスクが高くなる60歳以上、並びに18歳以上で基礎疾患のある人に限るとしました。
オミクロン型のまん延で社会全体の感染を抑え込む切り札とはならず、国は接種の意義を個人の重症化予防に絞り込んだ形です。
決め手になったのがイスラエルなどの海外先行データでした。
接種の直後には一時的に免疫力の指標となる中和抗体の値が上がりますが、その持続性は1、2か月程度しかなく、「ブレークスルー」と呼ぶ再感染もなくなりません。
ワクチンは減った抗体をその都度、補充するように数か月空けて頻繁に打つ類のものではありませんし、免疫学上、副作用などで「読めないリスク」も大きくなります。
ですから、重症化する懸念が小さい現役世代が4回目の対象になるのはおかしいわけです。
今後、議論として浮上しそうなのが一律接種を前提に大量に確保したワクチンをどう使っていくかという問題です。
政府は米英4社と計8億8200万回分を調達する契約を結んでいます。
計算上は1人7回打てることになり、その金額は2兆4000億円にのぼります。
ワクチン調達費は「秘密保持契約」を理由に「不透明な予算」にもなっていて、今後、国会での議論となりそうです。
3回目までは、医療関係者ということで高齢者を対象とするグループよりも早めに接種を受けることができました。
3回目の接種が1月7日でしたので、5か月が経過しています。
厚生労働省のワクチン分科会で4回目の接種について、重症化リスクが高くなる60歳以上、並びに18歳以上で基礎疾患のある人に限るとしました。
オミクロン型のまん延で社会全体の感染を抑え込む切り札とはならず、国は接種の意義を個人の重症化予防に絞り込んだ形です。
決め手になったのがイスラエルなどの海外先行データでした。
接種の直後には一時的に免疫力の指標となる中和抗体の値が上がりますが、その持続性は1、2か月程度しかなく、「ブレークスルー」と呼ぶ再感染もなくなりません。
ワクチンは減った抗体をその都度、補充するように数か月空けて頻繁に打つ類のものではありませんし、免疫学上、副作用などで「読めないリスク」も大きくなります。
ですから、重症化する懸念が小さい現役世代が4回目の対象になるのはおかしいわけです。
今後、議論として浮上しそうなのが一律接種を前提に大量に確保したワクチンをどう使っていくかという問題です。
政府は米英4社と計8億8200万回分を調達する契約を結んでいます。
計算上は1人7回打てることになり、その金額は2兆4000億円にのぼります。
ワクチン調達費は「秘密保持契約」を理由に「不透明な予算」にもなっていて、今後、国会での議論となりそうです。
2022年06月01日
中国からの脱出を考える若者
上海のロックダウンが解除されましたが、中国の若者は本気で中国からの脱出を考えているようです。
中国では「ゼロコロナ対策」で、封鎖状態に置かれた人口は3億人を超えるとの試算もありますが、これだけの人口が「自宅幽閉」や野戦病院への「強制連行」など、理にかなわない生活を経験させられたことの影響は大きいようで、中国の若者が新たな居場所を求め始めています。
今年3月末から続いている上海のロックダウンは、住民の“生存の限界”に迫るものだといわれています。
住民を家に閉じ込めるという点では2020年の武漢ロックダウンも同じでしたが、上海の「完全幽閉」に比べたら“半自由”の状態に近く、規制の範囲内で出入りができていました。
また、食料調達に関しても、武漢の場合、春節前の買いだめも重なった上、比較的正常に行われたデリバリーにより、上海ほどパニックにはなりませんでした。
つまり、武漢の封鎖は、当局の要求がある程度「理にかなったもの」だったから住民は受け入れていて、その住民たちに対し「武漢加油(武漢頑張れ)」の声と支援物資が全国から届き、住民たちも団結して克服しようという気概に満ちていました。
中国に対する愛国心は一気に高まり、「世界一安全な国は中国だ」と在外の中国人が大陸に戻り、この“成功モデル”が「ゼロコロナ政策」につながっていったようです。
習近平主導部の「ゼロコロナ政策」は、住民との信頼関係を一気に瓦解させ、中国では教育を受けたエリート層が出国を希望しています。
上海でロックダウンが始まった4月上旬から中旬にかけて、ウィーチャットアプリで『移民』というキーワードを使った検索数が4倍に増えたといいます。
検閲を免れるため「移民」を別の言葉に置き換えた文書の投稿も、3〜4月で実に7万8000件に上るともいいます。
そんな中、今年5月10日、当局は不要不急の出国を厳しく制限すると発表し、「帰国の際、国民に感染を持ち込ませないため」だといいますが、最大の目的は、市民の「国外脱出」を阻止させることなのではないかといわれています。
ロックダウンのこの間、上海の住民は当局からさまざまな“不条理”な経験をさせられたようです。
白い防護服を着た“白衛兵”が陽性者を野戦病院に強制連行する姿は、1966年から始まる文革時代の紅衛兵が“知識階級”などを無理やり批判の場に引きずり出す姿に重なるといいます。
扉を開けられないよう溶接したり、外出させないため玄関をおりのように囲んだり、さらには住人が隔離される留守中に、高層マンションの各戸の扉を蹴破って、部屋中に消毒液を散布するなど、私権侵害は若い世代にとってはなおさら許容し難い現実だったようです。
5月に入り当局は、「5月16日から段階的に商業施設の営業を再開させる」とか「6月1日から通常の生活が再開する」などと発表し、苦しい幽閉生活に“薄日”を与えました。
しかし、オミクロン株に対するゼロコロナ政策と、“意味不明な措置”を講じたロックダウンで、若い世代は習指導部に対し疑心暗鬼になっています。
中国では「ゼロコロナ対策」で、封鎖状態に置かれた人口は3億人を超えるとの試算もありますが、これだけの人口が「自宅幽閉」や野戦病院への「強制連行」など、理にかなわない生活を経験させられたことの影響は大きいようで、中国の若者が新たな居場所を求め始めています。
今年3月末から続いている上海のロックダウンは、住民の“生存の限界”に迫るものだといわれています。
住民を家に閉じ込めるという点では2020年の武漢ロックダウンも同じでしたが、上海の「完全幽閉」に比べたら“半自由”の状態に近く、規制の範囲内で出入りができていました。
また、食料調達に関しても、武漢の場合、春節前の買いだめも重なった上、比較的正常に行われたデリバリーにより、上海ほどパニックにはなりませんでした。
つまり、武漢の封鎖は、当局の要求がある程度「理にかなったもの」だったから住民は受け入れていて、その住民たちに対し「武漢加油(武漢頑張れ)」の声と支援物資が全国から届き、住民たちも団結して克服しようという気概に満ちていました。
中国に対する愛国心は一気に高まり、「世界一安全な国は中国だ」と在外の中国人が大陸に戻り、この“成功モデル”が「ゼロコロナ政策」につながっていったようです。
習近平主導部の「ゼロコロナ政策」は、住民との信頼関係を一気に瓦解させ、中国では教育を受けたエリート層が出国を希望しています。
上海でロックダウンが始まった4月上旬から中旬にかけて、ウィーチャットアプリで『移民』というキーワードを使った検索数が4倍に増えたといいます。
検閲を免れるため「移民」を別の言葉に置き換えた文書の投稿も、3〜4月で実に7万8000件に上るともいいます。
そんな中、今年5月10日、当局は不要不急の出国を厳しく制限すると発表し、「帰国の際、国民に感染を持ち込ませないため」だといいますが、最大の目的は、市民の「国外脱出」を阻止させることなのではないかといわれています。
ロックダウンのこの間、上海の住民は当局からさまざまな“不条理”な経験をさせられたようです。
白い防護服を着た“白衛兵”が陽性者を野戦病院に強制連行する姿は、1966年から始まる文革時代の紅衛兵が“知識階級”などを無理やり批判の場に引きずり出す姿に重なるといいます。
扉を開けられないよう溶接したり、外出させないため玄関をおりのように囲んだり、さらには住人が隔離される留守中に、高層マンションの各戸の扉を蹴破って、部屋中に消毒液を散布するなど、私権侵害は若い世代にとってはなおさら許容し難い現実だったようです。
5月に入り当局は、「5月16日から段階的に商業施設の営業を再開させる」とか「6月1日から通常の生活が再開する」などと発表し、苦しい幽閉生活に“薄日”を与えました。
しかし、オミクロン株に対するゼロコロナ政策と、“意味不明な措置”を講じたロックダウンで、若い世代は習指導部に対し疑心暗鬼になっています。