中国が、アフリカのインフラ整備に向けた巨額融資が軸の経済協力の見直しに着手しました。
官民協力で高速道路を建設し、債務再編の交渉に応じるというものです。
成長鈍化で「大盤振る舞い」が難しくなり、融資先の「焦げ付きリスク」も警戒しています。
そして、返済能力を超える貸し付けを巡る国際社会からの批判をかわす狙いもありそうです。
中国が主導する広域経済圏構想「一帯一路」は曲がり角を迎えています。
ケニアの首都ナイロビで中心部と空港を結ぶナイロビ高速道路が中国の支援で開業しました。
建設資金は中国国有の道路建設大手、中国路橋工程(CRBC)が提供し、以前のように建設費を貸し付けるのでなく、CRBC側が道路運営会社を通じて27年間、通行料を徴収してからケニア政府に渡す、広い意味での官民パートナーシップ(PPP)方式で整備しました。
ケニア側は高速道路と運営ノウハウを手に入れ、中国は通行料で建設資金を回収で、両国に利点があります。
アフリカは「一帯一路」の途上にあり、中国は高い経済成長に必要なエネルギーや鉱物資源の供給地としてアフリカを重視し、国有の銀行や企業を通じた巨額融資で道路、鉄道、港の建設を助けてきました。
先進国の融資条件として環境の保全、人権尊重を厳しく求めますが、中国は緩く、工期は短く、アフリカの指導者は中国を歓迎します。
中国は多くのアフリカ諸国に対して最大の債権国になりましたが、2016年をピークに融資は減少傾向をたどっています。
中国が焦げ付きリスクを警戒し、アフリカ側の返済能力を慎重に見極め始めました。
中国が、返済に窮した融資先から建設した湊谷道路の運営権を奪う「債務のワナ」を仕掛けているとの非難が根強いことも影響していてそう。
50ヵ国を超えるアフリカ諸国は国連でも大きな勢力となっており、中国の経済支援の修正が本物ならば、なお若年人口が多く、生産拠点や市場として成長が見込めるアフリカを巡る各国の競争にも影響を与えそうです。
米国のバイデン政権もサハラ砂漠以南を対象に新たな支援を打ち出しましたし、岸田首相がコロナ感染で行けなくなった8月下旬の第8回アフリカ開発会議でも先進国の支援が表明されるのではないでしょうか。
2022年08月31日
2022年08月29日
観光地、沖縄でレンタカーが足りない!
国内旅行先の人気ナンバー1の沖縄ですが、この夏、深刻なレンタカー不足に直面しました。
国による行動制限がない3年ぶりの夏でしたので、先月下旬、那覇空港の到着ロビーには、スーツケース片手に歩く人の姿が途切れませんでした。
その観光客たちが、みな口をそろえて語ったのが、「レンタカーで苦労した」という話です。
この夏、国内有数のリゾート地・沖縄を訪れた観光客の間では“レンタカー争奪戦”が起きていて、那覇空港の案内所をのぞくとどこも「満車」の表示となっていました。
夏休み前の7月半ばごろから需要が高まって、8月上旬まではほとんど空車がなく常に満車状態でした。
なぜ、争奪戦となったのかというと、その原因はレンタカー不足で新型コロナの影響による台数の削減です。
コロナ禍前には2万2000台あった沖縄県内のレンタカーは、一時、1万5000台にまで減少し、2年間で30%以上も減ってしまったのです。
業者にとって、レンタカーは保有しているだけでも整備費用や保険料などのコストがかかります。
国の緊急事態宣言などで観光客数が激減したことを受けて、各社はコスト削減のために次々と車を手放しました。
レンタカー不足が改めて浮き彫りにした観光地・沖縄の弱点が、公共交通です。
そもそも、沖縄県の公共交通は観光客にとって不便と言わざるをえません。
全国で唯一鉄道がなく、モノレールが走るのは那覇市とその隣の浦添市のみで、交通渋滞もあり、路線バスはお世辞にも定時運行とは言えない状況です。
さらに路線バスは地域住民が通勤・通学や買い物などに利用する生活路線なので、観光地などはまわるルートにはなっていないためレンタカーがないと「隠れ家ビーチ」も「絶景スポット」もとたんにアクセス困難になってしまいます。
今回のレンタカー不足の副産物とも言えそうなのが、こうした長年の課題に向き合おうという動きが出てきたことです。
那覇空港から直接、リゾートエリアまで行くことができたり、リゾートエリアを周遊したりするバスの運行が各地で相次いで始まりました。
例えば、「沖縄美ら海水族館」のある本部町は、観光スポットやホテルをめぐる周遊バスを町の予算で独自に導入しました。
運行ダイヤは那覇からの高速バスや高速船の到着時間に合わせ、既存の公共交通との接続の利便性も高めました。
さらに周遊バスを降りたあとの「2次交通」の確保にも取り組んでいます。
レンタサイクルや電動キックボードの貸し出しも始めたのです。
レンタカー不足で新たな動きも広がっています。
レンタカーが借りられない人たちの間で広がりを見せているのが、個人が所有する車のカーシェアサービスです。
利用したい期間など、条件のあう車が見つかれば、車のオーナーと連絡をとり、車を利用することができます。
交通アクセスの向上から、新たなビジネスの広がりまで、幅広く波及した沖縄のレンタカー問題ですが、今回のレンタカー不足も、レンタカーだけの問題だけ捉えるんじゃなくて観光インフラ問題として捉えてほしいです。
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国による行動制限がない3年ぶりの夏でしたので、先月下旬、那覇空港の到着ロビーには、スーツケース片手に歩く人の姿が途切れませんでした。
その観光客たちが、みな口をそろえて語ったのが、「レンタカーで苦労した」という話です。
この夏、国内有数のリゾート地・沖縄を訪れた観光客の間では“レンタカー争奪戦”が起きていて、那覇空港の案内所をのぞくとどこも「満車」の表示となっていました。
夏休み前の7月半ばごろから需要が高まって、8月上旬まではほとんど空車がなく常に満車状態でした。
なぜ、争奪戦となったのかというと、その原因はレンタカー不足で新型コロナの影響による台数の削減です。
コロナ禍前には2万2000台あった沖縄県内のレンタカーは、一時、1万5000台にまで減少し、2年間で30%以上も減ってしまったのです。
業者にとって、レンタカーは保有しているだけでも整備費用や保険料などのコストがかかります。
国の緊急事態宣言などで観光客数が激減したことを受けて、各社はコスト削減のために次々と車を手放しました。
レンタカー不足が改めて浮き彫りにした観光地・沖縄の弱点が、公共交通です。
そもそも、沖縄県の公共交通は観光客にとって不便と言わざるをえません。
全国で唯一鉄道がなく、モノレールが走るのは那覇市とその隣の浦添市のみで、交通渋滞もあり、路線バスはお世辞にも定時運行とは言えない状況です。
さらに路線バスは地域住民が通勤・通学や買い物などに利用する生活路線なので、観光地などはまわるルートにはなっていないためレンタカーがないと「隠れ家ビーチ」も「絶景スポット」もとたんにアクセス困難になってしまいます。
今回のレンタカー不足の副産物とも言えそうなのが、こうした長年の課題に向き合おうという動きが出てきたことです。
那覇空港から直接、リゾートエリアまで行くことができたり、リゾートエリアを周遊したりするバスの運行が各地で相次いで始まりました。
例えば、「沖縄美ら海水族館」のある本部町は、観光スポットやホテルをめぐる周遊バスを町の予算で独自に導入しました。
運行ダイヤは那覇からの高速バスや高速船の到着時間に合わせ、既存の公共交通との接続の利便性も高めました。
さらに周遊バスを降りたあとの「2次交通」の確保にも取り組んでいます。
レンタサイクルや電動キックボードの貸し出しも始めたのです。
レンタカー不足で新たな動きも広がっています。
レンタカーが借りられない人たちの間で広がりを見せているのが、個人が所有する車のカーシェアサービスです。
利用したい期間など、条件のあう車が見つかれば、車のオーナーと連絡をとり、車を利用することができます。
交通アクセスの向上から、新たなビジネスの広がりまで、幅広く波及した沖縄のレンタカー問題ですが、今回のレンタカー不足も、レンタカーだけの問題だけ捉えるんじゃなくて観光インフラ問題として捉えてほしいです。
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2022年08月28日
北海道にウナギ!?
絶滅のおそれが指摘されているニホンウナギの稚魚や幼魚が、これまで生息地とされていなかった北海道の川から相次いで見つかったようです。
ことし7月、北海道南西部の川で行われた魚の調査では、ヤマメやニジマスといった冷水魚とともにニホンウナギが取れたそうです。
大きさは、20センチほどの幼魚から、もう少し大きなものまで、さまざまなサイズのウナギが取れました。
北限は青森県とされてきましたから、これまでの常識を覆すニホンウナギの生息の光景です。
ニホンウナギは、日本では本州や四国、九州といった「温帯」に住む魚が津軽海峡を越えた、北の大地に生息していたわけです。
この調査で、細く白く透き通った魚、ニホンウナギの稚魚、いわゆるシラスウナギも一晩で6センチほどの稚魚、16匹が取れました。
北海道で成長の初期段階の稚魚の生息が確認されたのは初めてとのことです。
北海道では過去に、成長したウナギが取れたとの記録がわずかにありますが、ただ、かつては放流も行われていたことから、天然のウナギかどうかはわかっていなかったといいます。
ニホンウナギは、日本や中国、韓国、台湾などの東アジア地域に生息しています。
ニホンウナギの産卵場所は太平洋のマリアナ諸島沖とされ、そこで生まれた稚魚が北赤道海流や黒潮に乗って、東アジア地域の沿岸にたどり着いて、川などで育つとみられています。
稚魚は南の方から日本にやってきて各地にたどり着く形で、その行き先が今回の調査から、本州より北の北海道まで伸びていると考えられます。
その理由については、複数の可能性が考えられますが、北海道まで稚魚がたどり着くようになった直接の理由としては、黒潮の流れが強まったり海水温が上昇したりした可能性があります。
さらに、そうした変化の背景には、温室効果ガスの排出による地球温暖化の可能性もあれば、数十年単位で起きる地球規模の気候変化の可能性もあります。
解明が必要なことは、ほかにもあって、北海道の川でウナギがどう育っているか、ということです。
北海道の川は、ヤマメやニジマスといった冷水魚が生息していて、本州や四国、九州の川に比べて水温がだいぶ低く、いっぽうで、水温は低くても、エサはウキゴリやモクズガニなど、ニホンウナギのエサとなる生物が豊富です。
そして、最終的に重要なのが、北海道で育ったウナギが子孫を残せるかで、新たに加わった「北海道のウナギ」という謎を解き明かして、保全につながることを願いたいものです。
ことし7月、北海道南西部の川で行われた魚の調査では、ヤマメやニジマスといった冷水魚とともにニホンウナギが取れたそうです。
大きさは、20センチほどの幼魚から、もう少し大きなものまで、さまざまなサイズのウナギが取れました。
北限は青森県とされてきましたから、これまでの常識を覆すニホンウナギの生息の光景です。
ニホンウナギは、日本では本州や四国、九州といった「温帯」に住む魚が津軽海峡を越えた、北の大地に生息していたわけです。
この調査で、細く白く透き通った魚、ニホンウナギの稚魚、いわゆるシラスウナギも一晩で6センチほどの稚魚、16匹が取れました。
北海道で成長の初期段階の稚魚の生息が確認されたのは初めてとのことです。
北海道では過去に、成長したウナギが取れたとの記録がわずかにありますが、ただ、かつては放流も行われていたことから、天然のウナギかどうかはわかっていなかったといいます。
ニホンウナギは、日本や中国、韓国、台湾などの東アジア地域に生息しています。
ニホンウナギの産卵場所は太平洋のマリアナ諸島沖とされ、そこで生まれた稚魚が北赤道海流や黒潮に乗って、東アジア地域の沿岸にたどり着いて、川などで育つとみられています。
稚魚は南の方から日本にやってきて各地にたどり着く形で、その行き先が今回の調査から、本州より北の北海道まで伸びていると考えられます。
その理由については、複数の可能性が考えられますが、北海道まで稚魚がたどり着くようになった直接の理由としては、黒潮の流れが強まったり海水温が上昇したりした可能性があります。
さらに、そうした変化の背景には、温室効果ガスの排出による地球温暖化の可能性もあれば、数十年単位で起きる地球規模の気候変化の可能性もあります。
解明が必要なことは、ほかにもあって、北海道の川でウナギがどう育っているか、ということです。
北海道の川は、ヤマメやニジマスといった冷水魚が生息していて、本州や四国、九州の川に比べて水温がだいぶ低く、いっぽうで、水温は低くても、エサはウキゴリやモクズガニなど、ニホンウナギのエサとなる生物が豊富です。
そして、最終的に重要なのが、北海道で育ったウナギが子孫を残せるかで、新たに加わった「北海道のウナギ」という謎を解き明かして、保全につながることを願いたいものです。
2022年08月27日
中国、干ばつ
長江流域を中心に記録的猛暑が続く中国で、9年ぶりに干ばつ警報が発令されています。
漢詩の゛タイとしても有名な洞庭湖や国内最大の淡水湖であるハン陽湖は高温と少雨で面積が6割以上縮小しています。
各地で水不足が起きているほか、エアコン利用が増えて電力不足も深刻化し、多くの企業が計画停電で操業停止を余儀なくされています。
中国では今夏、最高気温35度以上の猛暑日が観測史上最長の70日以上続き、40度を超す地域も多いといいます。
日本も同様な天候が続き、地球温暖化の影響で、このような夏が常態化していくような恐れがあります。
記録が残る1961年以降で「最も暑い夏」となっており、中央気象台が浙江、江西、湖南、貴州、四川確勝、重慶市などに干ばつ警報を出したということです。
長江といえば水量が豊富で、北京をはじめ北部の水不足を解消するため、長江と北部を3本の運河で結ぶ南水北調事業が実施されています。
今年のような干ばつの年でも北部への給水は可能なのでしょうか、気候変動によって計画通りに流況調整ができなくなると、これまた北部へも影響を及ぼし大変です。
1989年にJICAの仕事でハン陽湖を訪れたことがあります。
ハン陽湖は面積が前年同期比で1/4に減り、冬場は流量が少なくなり河川のようになりますがこの時期では珍しいことです。
その時は冬でしたから、今の渇水時に似た状況だったかもしれません。
ハン陽湖の水質問題で、環境省のプロジェクトに参加しましたが、ハン陽湖がある江西省の現地視察(省都南昌市、長江と漢江の合流点の九江市、廬山、景徳鎮など)が思い出されます。
当時の中国は、今と違って地方はのどかで、何といっても付き合いやすかったように感じます。
漢詩の゛タイとしても有名な洞庭湖や国内最大の淡水湖であるハン陽湖は高温と少雨で面積が6割以上縮小しています。
各地で水不足が起きているほか、エアコン利用が増えて電力不足も深刻化し、多くの企業が計画停電で操業停止を余儀なくされています。
中国では今夏、最高気温35度以上の猛暑日が観測史上最長の70日以上続き、40度を超す地域も多いといいます。
日本も同様な天候が続き、地球温暖化の影響で、このような夏が常態化していくような恐れがあります。
記録が残る1961年以降で「最も暑い夏」となっており、中央気象台が浙江、江西、湖南、貴州、四川確勝、重慶市などに干ばつ警報を出したということです。
長江といえば水量が豊富で、北京をはじめ北部の水不足を解消するため、長江と北部を3本の運河で結ぶ南水北調事業が実施されています。
今年のような干ばつの年でも北部への給水は可能なのでしょうか、気候変動によって計画通りに流況調整ができなくなると、これまた北部へも影響を及ぼし大変です。
1989年にJICAの仕事でハン陽湖を訪れたことがあります。
ハン陽湖は面積が前年同期比で1/4に減り、冬場は流量が少なくなり河川のようになりますがこの時期では珍しいことです。
その時は冬でしたから、今の渇水時に似た状況だったかもしれません。
ハン陽湖の水質問題で、環境省のプロジェクトに参加しましたが、ハン陽湖がある江西省の現地視察(省都南昌市、長江と漢江の合流点の九江市、廬山、景徳鎮など)が思い出されます。
当時の中国は、今と違って地方はのどかで、何といっても付き合いやすかったように感じます。
2022年08月25日
ガス不足の欧州に光明
払底におびえていました欧州のガス需給が予想外に改善しています。
世界最大のLNGの買い手となった中国が一転、転売に回ったことが大きいようです。
欧州にとって幸いだったのは、国際市場に予想外に多くのLNGが出回りました。
「爆買い」を指摘されてきた中国が、なぜ売り手に回ったのか、まず挙げられるのが中国の景気の低迷です。
上半期のガス需要は都市封鎖で工業燃料や化学品の需要が鈍ったことで減少しており、下期も微増にとどまるとの見方が出ています。
もう一つは、石炭をはじめエネルギー増産の大号令がかかっていることで、「環境負荷の軽減より、エネルギー安全保障を重視するようになったためだ」と専門家は指摘します。
昨年は中国がアジアのスポット市場で大量に購入しましたので需給は引き締まり、アジアの価格が欧州を上回っていましたが、足元では欧州が調達を増やす一方、中国が買わなくなったことで価格が逆転しました。
ロシアの欧州への圧力は続いており、ロシアから欧州へのガス輸出は約40年ぶりの低水準にとどまり、8日時点でも1年前の2割にとどまっています。
情勢次第ではロシアからのガス輸入がゼロになるリスクは否定できず、仮にゼロとなった場合、埋め合わせるには世界のスポットLNGのほぼ全量が必要となるようです。
ロシアがガスの輸出先を中国にシフトすれば、中国は一段の「転売余力」を持ちえます。
欧州のエネルギー問題が深刻になるほど中国の供給力は価値を増し、ロシアに及ばずとも、中国も隠然たる影響力を握るシナリオは否定できません。
世界最大のLNGの買い手となった中国が一転、転売に回ったことが大きいようです。
欧州にとって幸いだったのは、国際市場に予想外に多くのLNGが出回りました。
「爆買い」を指摘されてきた中国が、なぜ売り手に回ったのか、まず挙げられるのが中国の景気の低迷です。
上半期のガス需要は都市封鎖で工業燃料や化学品の需要が鈍ったことで減少しており、下期も微増にとどまるとの見方が出ています。
もう一つは、石炭をはじめエネルギー増産の大号令がかかっていることで、「環境負荷の軽減より、エネルギー安全保障を重視するようになったためだ」と専門家は指摘します。
昨年は中国がアジアのスポット市場で大量に購入しましたので需給は引き締まり、アジアの価格が欧州を上回っていましたが、足元では欧州が調達を増やす一方、中国が買わなくなったことで価格が逆転しました。
ロシアの欧州への圧力は続いており、ロシアから欧州へのガス輸出は約40年ぶりの低水準にとどまり、8日時点でも1年前の2割にとどまっています。
情勢次第ではロシアからのガス輸入がゼロになるリスクは否定できず、仮にゼロとなった場合、埋め合わせるには世界のスポットLNGのほぼ全量が必要となるようです。
ロシアがガスの輸出先を中国にシフトすれば、中国は一段の「転売余力」を持ちえます。
欧州のエネルギー問題が深刻になるほど中国の供給力は価値を増し、ロシアに及ばずとも、中国も隠然たる影響力を握るシナリオは否定できません。
2022年08月24日
頑張れ!筑後ホークス
プロ野球も大詰めとなり、とりわけパリーグは接戦となっていてここしばらく目が離せません。
ソフトバンクホークスは昨日から楽天戦で、仙台入りした22日は空港から仙台駅へと電車移動した時間帯はちょうど、仙台育英が東北勢で初めて甲子園で優勝した瞬間と重なり、駅はごった返していたようです。
偉業を成し遂げた育英ナインが帰ってきているわけではなく、どうやら「白河の関越え」という史上初の快挙を祝う一般紙、スポーツ紙各紙が出す号外配布を待っている人だかりだったということです。
さて、プロ野球ですが、ホークスの昨日の試合は願わくば、この日先発した石川には一人で試合を投げきってほしかったわけです。
というのも打線は今季チーム初の先発全員安打を記録するなど、20安打15得点。試合序盤から終始リードする展開だっただけに、7回途中6失点での降板は残念でした。
藤本監督も「この展開だから、できたら7回をピシャッと終わってほしかった」と注文を付けるのもうなずけます。
春は元気いっぱいの投手力が前面に出て、夏はバットの振れる打力が上回ります。
そして、暑さの和らぐ秋口は再び投手力が相手を上回るといった定説のようなものが野球界には存在するといいます。
それに従えば大事なシーズン最終盤にクローズアップされるのは投手力で、中でも先発の出来がシーズンのカギを握ると捉えることができます。
それらを踏まえると、やはり、週の頭の先発を任される石川には最低でも7回を投げきってほしかったということです。
ましてや、今回は今季初の7連戦初戦ですし、自身の投球回数が伸びるほど、強力中継ぎ陣の負担を減らせるといった側面も併せ持ちます。
今後、40日で34試合組まれるハード日程が待ち受けることを考えると、その思いは一層強くなります。
新型コロナで柳田、周東、牧原大、中村晃、三森、柳町と主力野手を欠く中、試合前、藤本監督は「(2軍本拠地がある)筑後ホークスで頑張らないと仕方ない」と話していました。
しかし、結果的に出番の少なかった若手選手が大活躍し、藤本監督は「ヤングホークス、ちびっ子軍団頑張ったね。野村大、増田、谷川原。野村大なんか、最初のタイムリーは食らいついていい結果を出してくれた」と満足そうでした。
今年のホークスはけが人が続出し、コロナ感染も相次ぐ中で、二軍選手の活躍の場がどんどん出てきて、出場した選手が頑張ってくれています。
ホークスの底力を見せつけていただき、全員野球の総合力で栄冠を勝ち取ってもらいたいものです。
いろいろあったシーズンでしたが、終わってみれば有終の美を飾ったとなってほしいですし、若手がよい経験を積んで来シーズンにつながれば最高です。
ソフトバンクホークスは昨日から楽天戦で、仙台入りした22日は空港から仙台駅へと電車移動した時間帯はちょうど、仙台育英が東北勢で初めて甲子園で優勝した瞬間と重なり、駅はごった返していたようです。
偉業を成し遂げた育英ナインが帰ってきているわけではなく、どうやら「白河の関越え」という史上初の快挙を祝う一般紙、スポーツ紙各紙が出す号外配布を待っている人だかりだったということです。
さて、プロ野球ですが、ホークスの昨日の試合は願わくば、この日先発した石川には一人で試合を投げきってほしかったわけです。
というのも打線は今季チーム初の先発全員安打を記録するなど、20安打15得点。試合序盤から終始リードする展開だっただけに、7回途中6失点での降板は残念でした。
藤本監督も「この展開だから、できたら7回をピシャッと終わってほしかった」と注文を付けるのもうなずけます。
春は元気いっぱいの投手力が前面に出て、夏はバットの振れる打力が上回ります。
そして、暑さの和らぐ秋口は再び投手力が相手を上回るといった定説のようなものが野球界には存在するといいます。
それに従えば大事なシーズン最終盤にクローズアップされるのは投手力で、中でも先発の出来がシーズンのカギを握ると捉えることができます。
それらを踏まえると、やはり、週の頭の先発を任される石川には最低でも7回を投げきってほしかったということです。
ましてや、今回は今季初の7連戦初戦ですし、自身の投球回数が伸びるほど、強力中継ぎ陣の負担を減らせるといった側面も併せ持ちます。
今後、40日で34試合組まれるハード日程が待ち受けることを考えると、その思いは一層強くなります。
新型コロナで柳田、周東、牧原大、中村晃、三森、柳町と主力野手を欠く中、試合前、藤本監督は「(2軍本拠地がある)筑後ホークスで頑張らないと仕方ない」と話していました。
しかし、結果的に出番の少なかった若手選手が大活躍し、藤本監督は「ヤングホークス、ちびっ子軍団頑張ったね。野村大、増田、谷川原。野村大なんか、最初のタイムリーは食らいついていい結果を出してくれた」と満足そうでした。
今年のホークスはけが人が続出し、コロナ感染も相次ぐ中で、二軍選手の活躍の場がどんどん出てきて、出場した選手が頑張ってくれています。
ホークスの底力を見せつけていただき、全員野球の総合力で栄冠を勝ち取ってもらいたいものです。
いろいろあったシーズンでしたが、終わってみれば有終の美を飾ったとなってほしいですし、若手がよい経験を積んで来シーズンにつながれば最高です。
2022年08月23日
空港ににぎわい
お盆期間中に空港施設を訪れた人は2021年の同時期の約2倍に上り、新型コロナウィルス流行前の2019年も上回りました。
お盆期間中の国内線旅客数も前年比で大幅に増加しました。
感染「第7波」が続くものの、3年ぶりに行動制限がなくなり、帰省や旅行を楽しむ「ウィズコロナ」が加速してきました。
各空港の人出を前年同週と比べると、主要空港では新千歳空港が2021年の1.9倍に増え、2019年も3%上回りました。
ターミナル内の飲食店・土産品店では、昼時はどこも満席だったりレジ待ちの行列ができたりしていたといいます。
道内の観光地にも人手の勢いは広がっています。
福岡空港も前年の1.7倍となり、空港から近い大宰府天満宮の参道で名物の「梅が枝餅」を販売する店によると、コロナ前と変わらないほどにぎわいが戻ったといいます。
増加率は離島や地方などの空港で高い伸びとなりました。
一方、政府が厳しい水際対策が続く国際線の需要は低迷が続いています。
6〜7月の観光目的の入国は計約8000人で、団体ツアー限定などの厳しい条件が需要拡大を妨げています。
政府は水際対策の追加緩和も検討しますが、一向に減らない新型コロナの感染状況を踏まえて難しい判断を迫られています。
政府は明日、新型コロナウイルスの水際対策について、入国前のPCR検査を条件付きで免除する他、1日の入国者数の上限を現在の2万人から5万人に緩和する方向を示すようです。
お盆期間中の国内線旅客数も前年比で大幅に増加しました。
感染「第7波」が続くものの、3年ぶりに行動制限がなくなり、帰省や旅行を楽しむ「ウィズコロナ」が加速してきました。
各空港の人出を前年同週と比べると、主要空港では新千歳空港が2021年の1.9倍に増え、2019年も3%上回りました。
ターミナル内の飲食店・土産品店では、昼時はどこも満席だったりレジ待ちの行列ができたりしていたといいます。
道内の観光地にも人手の勢いは広がっています。
福岡空港も前年の1.7倍となり、空港から近い大宰府天満宮の参道で名物の「梅が枝餅」を販売する店によると、コロナ前と変わらないほどにぎわいが戻ったといいます。
増加率は離島や地方などの空港で高い伸びとなりました。
一方、政府が厳しい水際対策が続く国際線の需要は低迷が続いています。
6〜7月の観光目的の入国は計約8000人で、団体ツアー限定などの厳しい条件が需要拡大を妨げています。
政府は水際対策の追加緩和も検討しますが、一向に減らない新型コロナの感染状況を踏まえて難しい判断を迫られています。
政府は明日、新型コロナウイルスの水際対策について、入国前のPCR検査を条件付きで免除する他、1日の入国者数の上限を現在の2万人から5万人に緩和する方向を示すようです。
2022年08月22日
殺熟
中国では、料理手配やホテル予約、タクシーの配車など、様々なビジネスで人工知能(AI)やビックデータの活用が進んでいます。
そのような中、常連客になると高い価格を自動的に設定する「ビックデータ殺熟」が問題となっています。
これは、ビックデータを使って熟客(常連客)を冷遇する行為で、中国政府は顧客情報に基づいて価格をつり上げるのは違法と規定し、交流サイト(SNS)で告発が相次いでいます。
「早割」などの商品や交通路線は同じでも販売状況や季節要因に応じて価格が変動する「ダイナミックプライシング」は日本でも定着していますが、殺熟は異なります。
業者が顧客の利用履歴をAIなどで分析し、多少値上げしても利用する常連客になると、価格を意図的に高く設定する行為を指しています。
SNAで「確かに少しずつ値段が高くなっている」「友人と同じ商品を買ったのに自分の方が高かった」という投稿が目立ち、出前アプリやホテル予約、配車アプリなどでも殺熟の事例が告発されています。
また、昨年制定された個人情報保護法は、企業が収集した個人情報を基に取引価格などで差別的扱いをすることを禁止し、今年3月施行のインターネット情報サービス間アルゴリズムに関する規則でも規制が明確にされました。
果たして、殺熟ははなくなりますかどうか。
そのような中、常連客になると高い価格を自動的に設定する「ビックデータ殺熟」が問題となっています。
これは、ビックデータを使って熟客(常連客)を冷遇する行為で、中国政府は顧客情報に基づいて価格をつり上げるのは違法と規定し、交流サイト(SNS)で告発が相次いでいます。
「早割」などの商品や交通路線は同じでも販売状況や季節要因に応じて価格が変動する「ダイナミックプライシング」は日本でも定着していますが、殺熟は異なります。
業者が顧客の利用履歴をAIなどで分析し、多少値上げしても利用する常連客になると、価格を意図的に高く設定する行為を指しています。
SNAで「確かに少しずつ値段が高くなっている」「友人と同じ商品を買ったのに自分の方が高かった」という投稿が目立ち、出前アプリやホテル予約、配車アプリなどでも殺熟の事例が告発されています。
また、昨年制定された個人情報保護法は、企業が収集した個人情報を基に取引価格などで差別的扱いをすることを禁止し、今年3月施行のインターネット情報サービス間アルゴリズムに関する規則でも規制が明確にされました。
果たして、殺熟ははなくなりますかどうか。
2022年08月21日
ハイブリッド免疫
新型コロナウィルス感染拡大が収まりません。
オミクロン型の派生型「BA.5」の感染力の強さだけでなく、日本の人口全体の免疫レベルが下がってきたことが指摘されています。
ワクチンと感染の両方による免疫を海外では「ハイブリッド免疫」と呼ぶようですが、感染にも免疫を強めるワクチンに似た働きがあります。
ワクチンよりも免疫を強くする効果は劣るようですが、接種と感染の合計回数が多いほど免疫のレベルはおおむね高いと考えられています。
米欧などに比べて感染者が少なかった日本は、接種と感染の両方を経験した「ハイブリッド免疫」の人が結果的に少ないようです。
ですから、3、4回目のワクチンの接種を進める意義は感染を減らす面でも大きいといえます。
米欧が感染対策を緩める背景には価値観や医療体制などの違いだけでなく、ハイブリッド免疫の人が日本よりも著しく多いことがあります。
検査を受けない人もいるため、実際の感染者数は陽性者数よりも多く、英国では人口の87%が一度は感染したと推定されていますし、米国でも18〜49歳の約2/3、子供の約3/4が一度感染したと推定されています。
一方、日本は2月時点で感染経験のある人は4.3%と推定され、第6波と第7波で感染者は急増し、累計1600万人を超えましたが、米英などより格段に少ない状況です。
日本の人口の免疫レベルはワクチンで維持されてきた面が強いわけです。
日本の感染拡大を積極的に受け入れてハイブリッド免疫を目指すことは得策ではありませんし、専門家は若い世代の3回目接種とともに、高齢者や医療従事者らの4回目接種を進めるべきだと話します。
オミクロン型の派生型「BA.5」の感染力の強さだけでなく、日本の人口全体の免疫レベルが下がってきたことが指摘されています。
ワクチンと感染の両方による免疫を海外では「ハイブリッド免疫」と呼ぶようですが、感染にも免疫を強めるワクチンに似た働きがあります。
ワクチンよりも免疫を強くする効果は劣るようですが、接種と感染の合計回数が多いほど免疫のレベルはおおむね高いと考えられています。
米欧などに比べて感染者が少なかった日本は、接種と感染の両方を経験した「ハイブリッド免疫」の人が結果的に少ないようです。
ですから、3、4回目のワクチンの接種を進める意義は感染を減らす面でも大きいといえます。
米欧が感染対策を緩める背景には価値観や医療体制などの違いだけでなく、ハイブリッド免疫の人が日本よりも著しく多いことがあります。
検査を受けない人もいるため、実際の感染者数は陽性者数よりも多く、英国では人口の87%が一度は感染したと推定されていますし、米国でも18〜49歳の約2/3、子供の約3/4が一度感染したと推定されています。
一方、日本は2月時点で感染経験のある人は4.3%と推定され、第6波と第7波で感染者は急増し、累計1600万人を超えましたが、米英などより格段に少ない状況です。
日本の人口の免疫レベルはワクチンで維持されてきた面が強いわけです。
日本の感染拡大を積極的に受け入れてハイブリッド免疫を目指すことは得策ではありませんし、専門家は若い世代の3回目接種とともに、高齢者や医療従事者らの4回目接種を進めるべきだと話します。
2022年08月19日
ロシアのウクライナ侵攻は長期化の様相
ロシア軍がウクライナ南部にある原子力発電所に武器を持ち込んで攻撃の拠点としているようです。
これをきっかけに原子力災害が起きかねないと懸念が高まっています。
この原発は、ヨーロッパ最大のザポリージャ原発で、ウクライナ最大の大河ドニエプル川に面していて、川をはさんだ両岸にそれぞれの軍が位置しています。
川の南側を掌握するロシア軍は、敷地内に武器や弾薬を持ち込んで対岸の町やウクライナ軍を攻撃しています。
対岸では多くの住民に死傷者も出ていますが、ウクライナ軍は反撃しづらい状況です。
ロシア軍はいわば「原発を盾」に使っているわけで、国際社会からは強い懸念や批判の声が出ています。
砲弾が使用済み核燃料の貯蔵施設近くに着弾して、一部の建物やモニタリング装置などが被害を受けました。
ロシアとウクライナ双方は「相手の仕業だ」と非難しあっていて、ウクライナ側の攻撃なのか、ロシア軍の自作自演なのかわかっていません。
現地の原発の関係者は「大惨事は奇跡的に避けられたが、奇跡は永遠には続かない」と強い危機感を示しています。
IAEA・国際原子力機関は、原発の安全確保のため専門家チームを直ちに受け入れるよう求めています。
ウクライナ軍は今、南部の奪還作戦に乗り出しています。
NATOの支援を受けて攻勢が伝えられていますが、原発を力づくで奪還するような作戦が行われるとすれば、極めて危険です。
福島の事故でも明らかなように、原子炉そのものが無事でも、冷却装置の電源が切れてしまえばメルトダウンの恐れもあります。
誰にとっても悪夢でしかない原子力災害の大惨事を回避するため、双方に強く自制を求めたいと思います。
戦争だから仕方がなかったではすまされません。
これをきっかけに原子力災害が起きかねないと懸念が高まっています。
この原発は、ヨーロッパ最大のザポリージャ原発で、ウクライナ最大の大河ドニエプル川に面していて、川をはさんだ両岸にそれぞれの軍が位置しています。
川の南側を掌握するロシア軍は、敷地内に武器や弾薬を持ち込んで対岸の町やウクライナ軍を攻撃しています。
対岸では多くの住民に死傷者も出ていますが、ウクライナ軍は反撃しづらい状況です。
ロシア軍はいわば「原発を盾」に使っているわけで、国際社会からは強い懸念や批判の声が出ています。
砲弾が使用済み核燃料の貯蔵施設近くに着弾して、一部の建物やモニタリング装置などが被害を受けました。
ロシアとウクライナ双方は「相手の仕業だ」と非難しあっていて、ウクライナ側の攻撃なのか、ロシア軍の自作自演なのかわかっていません。
現地の原発の関係者は「大惨事は奇跡的に避けられたが、奇跡は永遠には続かない」と強い危機感を示しています。
IAEA・国際原子力機関は、原発の安全確保のため専門家チームを直ちに受け入れるよう求めています。
ウクライナ軍は今、南部の奪還作戦に乗り出しています。
NATOの支援を受けて攻勢が伝えられていますが、原発を力づくで奪還するような作戦が行われるとすれば、極めて危険です。
福島の事故でも明らかなように、原子炉そのものが無事でも、冷却装置の電源が切れてしまえばメルトダウンの恐れもあります。
誰にとっても悪夢でしかない原子力災害の大惨事を回避するため、双方に強く自制を求めたいと思います。
戦争だから仕方がなかったではすまされません。
2022年08月18日
ロシア、SNS戦反抗
ロシアがウクライナに出遅れていたSNSによる情報戦(平時や戦時に情報面で味方の優位な状況をつくるための国などによる情報宣伝活動)で巻き返しているといいます。
自分たちの行為の正当性や相手の不当性を広く訴えることで、世論の支持を集めたり相手の戦意をくじいたりすることを狙っています。
発信する内容は「相手側に過失がある」などと自分たちの主張に沿った「ナラティブ(物語)」の流布を目的としたものと、事実と異なるディスインフォメーション(偽情報)で相手や第3者を混乱させることを目的としたものに大別されます。
近年はSNSが主戦場となっていて、大量に作成した偽アカウントからの投稿や、人工知能で作った偽動画など不正の手口も巧妙化しています。
米ツイッターのロシア支持投稿への反応は当初ウクライナ支持を大きく下回っていましたが、今は迫っているといいます。
サイバー脅威分析の専門家は戦争への関心が世界的に徐々に下がるなか、ロシア支持投稿への積極的な反応が目立つと指摘します。
ロシア支持投稿で最も使われている言語はイタリア語で、スペイン語も多いといいいます。
ロシアはイタリアで反EU政党を長年支援するなど、自らの主張が浸透しやすい素地を作ってきたようで、そのほかにも中南米の反米感情を持つ層も、米国のヒスパニック系に働きかけるためのロシアの工作対象となっているようです。
人びとの関心が反ロシアよりもインフレによる生活苦に移り、既存政治に不満を持つ層ほどロシア工作に共鳴しやすくなっています。
今まさに、民主主義を守る戦いだとしてウクライナを支援してきた西側諸国の結束が問われています。
自分たちの行為の正当性や相手の不当性を広く訴えることで、世論の支持を集めたり相手の戦意をくじいたりすることを狙っています。
発信する内容は「相手側に過失がある」などと自分たちの主張に沿った「ナラティブ(物語)」の流布を目的としたものと、事実と異なるディスインフォメーション(偽情報)で相手や第3者を混乱させることを目的としたものに大別されます。
近年はSNSが主戦場となっていて、大量に作成した偽アカウントからの投稿や、人工知能で作った偽動画など不正の手口も巧妙化しています。
米ツイッターのロシア支持投稿への反応は当初ウクライナ支持を大きく下回っていましたが、今は迫っているといいます。
サイバー脅威分析の専門家は戦争への関心が世界的に徐々に下がるなか、ロシア支持投稿への積極的な反応が目立つと指摘します。
ロシア支持投稿で最も使われている言語はイタリア語で、スペイン語も多いといいいます。
ロシアはイタリアで反EU政党を長年支援するなど、自らの主張が浸透しやすい素地を作ってきたようで、そのほかにも中南米の反米感情を持つ層も、米国のヒスパニック系に働きかけるためのロシアの工作対象となっているようです。
人びとの関心が反ロシアよりもインフレによる生活苦に移り、既存政治に不満を持つ層ほどロシア工作に共鳴しやすくなっています。
今まさに、民主主義を守る戦いだとしてウクライナを支援してきた西側諸国の結束が問われています。
2022年08月16日
建物管理市場への参入
日本全体で高齢ビルが増え、保全管理の入手不足や非効率は課題となっていて、大成建設はそれに対処する新システム「ライフサイクル・マネージメント・コンソール(LCMC)」を開発しました。
このシステムは、大型ビルなら数百か所に上る日々の点検データをクラウド上で分析し、故障の兆しをつかんで対処するもので、新規の建設市場が縮小する中、予防医療に似た発想で4兆円に及ぶ建物管理市場に参入しようというものです。
まさに、ビルの「主治医」になろうとしています。
例えば、あるビルの場合、電圧や気温、設備の稼働音や形状変形を含めた多くのチェックポイントを設備員が1日4回ほど巡回し、すべてのデータをLCMCに入力していき、これが定期検診に当たります。
建設業界では近年、図面3次元(3D)化したソフトを下に設計・施工を行い、構造が視覚的に把握しやすく、建材や設備のデータも登録できます。
LCMCではこれと点検項目の台帳をひも付け、フロアや部屋ごとに設備の稼働状況や点検すべき項目を一覧できるようにして、3D画像でレントゲンのように内部を把握できるイメージとなります。
従来は設備に不調が発生してから大勢の設備員を投入して修理するか、経験に頼って早めに交換するかのどちらかでしたが、日々の定期健診でデータを積み重ね、偏重の兆しを正確につかめばより適切な処置ができ、まさに「予防医療」が実現できるというわけです。
世界的な半導体不足や物流混乱で、価格が上昇している設備も多い中で、メンテナンスで故障を防いだり、
早めに代替品を調達したりすることのメリットは大きいものがあります。
これからは、「造らずとも稼ぐ」事業を生み出せるかが、建設業にとって重要になってきます。
このシステムは、大型ビルなら数百か所に上る日々の点検データをクラウド上で分析し、故障の兆しをつかんで対処するもので、新規の建設市場が縮小する中、予防医療に似た発想で4兆円に及ぶ建物管理市場に参入しようというものです。
まさに、ビルの「主治医」になろうとしています。
例えば、あるビルの場合、電圧や気温、設備の稼働音や形状変形を含めた多くのチェックポイントを設備員が1日4回ほど巡回し、すべてのデータをLCMCに入力していき、これが定期検診に当たります。
建設業界では近年、図面3次元(3D)化したソフトを下に設計・施工を行い、構造が視覚的に把握しやすく、建材や設備のデータも登録できます。
LCMCではこれと点検項目の台帳をひも付け、フロアや部屋ごとに設備の稼働状況や点検すべき項目を一覧できるようにして、3D画像でレントゲンのように内部を把握できるイメージとなります。
従来は設備に不調が発生してから大勢の設備員を投入して修理するか、経験に頼って早めに交換するかのどちらかでしたが、日々の定期健診でデータを積み重ね、偏重の兆しを正確につかめばより適切な処置ができ、まさに「予防医療」が実現できるというわけです。
世界的な半導体不足や物流混乱で、価格が上昇している設備も多い中で、メンテナンスで故障を防いだり、
早めに代替品を調達したりすることのメリットは大きいものがあります。
これからは、「造らずとも稼ぐ」事業を生み出せるかが、建設業にとって重要になってきます。
2022年08月15日
中朝境界の街、苦境に
北朝鮮が続ける新型コロナウィルス禍の境界封鎖を受け、中国に隣接する地方経済の苦境がさらに深まっています。
鴨緑江をはさんだ北朝鮮北部にある両江道の中心都市である恵山市では、夜でもともる照明は少ないといいます。
電気やガスが足りないため、薪や練炭を炊事で使っているようで、北朝鮮で電気を使用できるのはコロナ禍前の2019年時点で総人口の26%のみで、都市部で36%、地方で11%に留まります。
中国で新型コロナが広がった2020年1月下旬、北朝鮮は貿易額の9割以上を占める中国との境界を封鎖しました。
ウィルスの流入を恐れたとみられますが、境界封鎖による貿易の途絶も追い打ちとなり、電力事情はさらに悪化しているとみられています。
「チャンマダン」と呼ばれる野外市場も厳しい状況に追い込まれています。
金正恩政権下でやみ市場の合法化が進み、事実上の市場経済化の動きが加速したとみられますが、北朝鮮には政府公認と非公式の運営を含め、少なくとも477の市場があるようです。
新設された市場はコロナ禍前まで毎年4〜6か所でしたが、今は1〜2か所となり、増えた市場の面積は2020年が対前年比で68%減、2021年が同97%減となっていて、境界封鎖の影響とみることができます。
船舶による貨物輸送は行われていますが、貨物列車の運行停止は続いています。
共産党の幹部人事を決める党大会を秋に控える中国は、北朝鮮からのコロナ流入を警戒しており、早期に陸路防疫が再開するとみる向きは少ないようです。
鴨緑江をはさんだ北朝鮮北部にある両江道の中心都市である恵山市では、夜でもともる照明は少ないといいます。
電気やガスが足りないため、薪や練炭を炊事で使っているようで、北朝鮮で電気を使用できるのはコロナ禍前の2019年時点で総人口の26%のみで、都市部で36%、地方で11%に留まります。
中国で新型コロナが広がった2020年1月下旬、北朝鮮は貿易額の9割以上を占める中国との境界を封鎖しました。
ウィルスの流入を恐れたとみられますが、境界封鎖による貿易の途絶も追い打ちとなり、電力事情はさらに悪化しているとみられています。
「チャンマダン」と呼ばれる野外市場も厳しい状況に追い込まれています。
金正恩政権下でやみ市場の合法化が進み、事実上の市場経済化の動きが加速したとみられますが、北朝鮮には政府公認と非公式の運営を含め、少なくとも477の市場があるようです。
新設された市場はコロナ禍前まで毎年4〜6か所でしたが、今は1〜2か所となり、増えた市場の面積は2020年が対前年比で68%減、2021年が同97%減となっていて、境界封鎖の影響とみることができます。
船舶による貨物輸送は行われていますが、貨物列車の運行停止は続いています。
共産党の幹部人事を決める党大会を秋に控える中国は、北朝鮮からのコロナ流入を警戒しており、早期に陸路防疫が再開するとみる向きは少ないようです。
2022年08月14日
地方自治DX
人口減や財源不足、低投票率などの課題を抱える地方自治をデジタル技術で変革する試みが広がっています。
オンライン上で住民が交流し、地域課題の解決策を募るなど、新たな経路で住民参加や合意形成を後押しします。
釜石市では若者の定住促進策などで住民らが意見を交わしていて、議論の場は住民参加型合意形成プラットフォーム「デシディム」です。
市の担当者は「今まで市民の要望はあっても1人の声なのか大勢の意見なのかわからなかった。デシディムで意見が可視化できている」と話します。
デシディムはスペインやフィンランドなど世界300以上の組織で使われているとされていて、発祥のバルセロナ市では開始直後に1万件の提案が投稿されたといいます。
台湾はオンライン上で60日以内に5千人が賛同した政策提案に行政が必ず回答します。
プラスチック製ストローの廃止の議論が起こり、実現につながった実績もあります。
国内でも2020年の加古川市を皮切りに、活用例が急速に増えているようで、従来の住民参画手法が限界に直面しているとの問題認識が背景にあるようです。
横浜市の脱炭素への意見募集、三重県は予算編成での事業アイデア募集などです。
対話集会や議会傍聴などの多くは平日開催ですので参加は高齢者に偏りがちで、地域の将来を担う若い世代の声を十分に聴いた政策立案ができているとは言い難い状況です。
加古川市ではスマートシティ構想策定時のデシディム登録者の4割を10代が占め、若年層の政治参加につな
がっています。
一方通行のやり取りにつながりやすい従来の意見公募と異なり、頻繁に多くの人と対話できる利点があります。
市民の意見を反映しやすく、対面式と併せて議論を深堀できるといいます。
ただ、前例重視の行政組織では、仕事の流れを大きく変えるデジタル活用は敬遠しがちで、ある政令市ではシステム管理・運用で仕事量が増やすことを嫌う反対論で導入を見送ったようです。
また、住民の声を代弁する議員の存在意義が薄れるということで、議員からの反発もあったと聞きます。
いずれにしても、DXでまちづくりを進化させないと、このまま従来からのシステムから脱皮できずにいると、厳しい未来が待っていることは確かなようです。
オンライン上で住民が交流し、地域課題の解決策を募るなど、新たな経路で住民参加や合意形成を後押しします。
釜石市では若者の定住促進策などで住民らが意見を交わしていて、議論の場は住民参加型合意形成プラットフォーム「デシディム」です。
市の担当者は「今まで市民の要望はあっても1人の声なのか大勢の意見なのかわからなかった。デシディムで意見が可視化できている」と話します。
デシディムはスペインやフィンランドなど世界300以上の組織で使われているとされていて、発祥のバルセロナ市では開始直後に1万件の提案が投稿されたといいます。
台湾はオンライン上で60日以内に5千人が賛同した政策提案に行政が必ず回答します。
プラスチック製ストローの廃止の議論が起こり、実現につながった実績もあります。
国内でも2020年の加古川市を皮切りに、活用例が急速に増えているようで、従来の住民参画手法が限界に直面しているとの問題認識が背景にあるようです。
横浜市の脱炭素への意見募集、三重県は予算編成での事業アイデア募集などです。
対話集会や議会傍聴などの多くは平日開催ですので参加は高齢者に偏りがちで、地域の将来を担う若い世代の声を十分に聴いた政策立案ができているとは言い難い状況です。
加古川市ではスマートシティ構想策定時のデシディム登録者の4割を10代が占め、若年層の政治参加につな
がっています。
一方通行のやり取りにつながりやすい従来の意見公募と異なり、頻繁に多くの人と対話できる利点があります。
市民の意見を反映しやすく、対面式と併せて議論を深堀できるといいます。
ただ、前例重視の行政組織では、仕事の流れを大きく変えるデジタル活用は敬遠しがちで、ある政令市ではシステム管理・運用で仕事量が増やすことを嫌う反対論で導入を見送ったようです。
また、住民の声を代弁する議員の存在意義が薄れるということで、議員からの反発もあったと聞きます。
いずれにしても、DXでまちづくりを進化させないと、このまま従来からのシステムから脱皮できずにいると、厳しい未来が待っていることは確かなようです。
2022年08月13日
スリランカの中国離れ
スリランカの新政権が、中国寄りだった外交路線の修正を探っているようです。
援助と引き換えに権益を失う「債務のワナ」で、中国側が運営権を得た南部ハンバントタ港を巡り、スパイ船と疑われる船の入港延期を中国政府に要請しました。
7月に就任したウィクラマシンハ大統領は最大都市コロンボの港湾開発を巡り、日印政府との合意を一方的に撤回したラジャパクサ前政権の方針も批判し、領土問題で中国と対立するインドに接近しようとしています。
スリランカは中東・アフリカと東アジアを結ぶシーンレーン上の要衝にあたり、中国とインドが影響力を競っていました。
入港を延期された中国の調査船「遠望5号」は人工衛星などの追跡・観測などに従事してきましたが、専門家の話では軍事も含めて宇宙開発以外の任務にも就いていたようです。
このため、隣国インドのメディアは遠望5号について、中国人民解放軍の管理下にある「スパイ船」で、インド軍の動向を偵察しようとしていると指摘していましたし、また、インド政府は外相会談なども通じて、スリランカ側に懸念を伝えていたようです。
スリランカは今回、インド側の懸念に配慮したとみられます。
スリランカでは足元の経済危機による政権への抗議活動の激化で、中国寄りとされていたラジャパクサ兄弟が政権の座から追われたことが大きかったようで、新政権は欧米やインド寄りの姿勢に転換しています。
スリランカでの影響力の減退は中国外交にとって大きな失点となりそうです。
援助と引き換えに権益を失う「債務のワナ」で、中国側が運営権を得た南部ハンバントタ港を巡り、スパイ船と疑われる船の入港延期を中国政府に要請しました。
7月に就任したウィクラマシンハ大統領は最大都市コロンボの港湾開発を巡り、日印政府との合意を一方的に撤回したラジャパクサ前政権の方針も批判し、領土問題で中国と対立するインドに接近しようとしています。
スリランカは中東・アフリカと東アジアを結ぶシーンレーン上の要衝にあたり、中国とインドが影響力を競っていました。
入港を延期された中国の調査船「遠望5号」は人工衛星などの追跡・観測などに従事してきましたが、専門家の話では軍事も含めて宇宙開発以外の任務にも就いていたようです。
このため、隣国インドのメディアは遠望5号について、中国人民解放軍の管理下にある「スパイ船」で、インド軍の動向を偵察しようとしていると指摘していましたし、また、インド政府は外相会談なども通じて、スリランカ側に懸念を伝えていたようです。
スリランカは今回、インド側の懸念に配慮したとみられます。
スリランカでは足元の経済危機による政権への抗議活動の激化で、中国寄りとされていたラジャパクサ兄弟が政権の座から追われたことが大きかったようで、新政権は欧米やインド寄りの姿勢に転換しています。
スリランカでの影響力の減退は中国外交にとって大きな失点となりそうです。
2022年08月12日
中国、科学技術大国へ
中国が米国に匹敵する科学技術大国の地位を着実に固めつつあります。
これまで米国しか達成していなかった科学技術論文の量と質に関する3指標で3冠を達成しました。
ヒトやカネを戦略的に投入し、2050年までに目指す米国並みの「科学技術立国」実現へ着々と歩みを進めています。
台湾問題も絡み米中対立が尖鋭化する中、習近平指導部は米国の制裁に影響を受けない独自の経済構造の確立を目指しているようです。
その基盤となるのが科学技術力というわけです。
今回、科学技術論文の量と質の3指標で世界首位に立ったことで、自国の宇宙ステーション建設などの大型の科学技術プロジェクトにとどまらず、基礎的な科学研究でも独自の成果を生み出す体制を構築しつつあることが浮き彫りになりました。
トップ論文を連続して出している研究者が増えているので、中国のノーベル賞受賞者はいずれ増えるであろうといわれています。
中国が科学技術分野で急速な成長を遂げたのは、政府主導で戦略的に資金を出し、人材育成を進めてきたからです。
専門家は、「スピード競争の科学技術研究では、トップダウンで予算投入や政策を迅速に決められる中国の政治体制が有利に働く面がある」と指摘します。
資源の集中投下は際立っていて、中国の2020年の研究開発費は前年比7.5%増の59兆円と10年で約2.5倍に増えました。
米国の研究開発費が72兆円で世界首位ですが、伸び率の大きい中国が迫りつつあります。
研究者数では中国が228万人(2020年)と2位の米国の159万人(2019年)、3位の日本の69万人をおおきく引き離しています。
存在感の低下が止まらない日本が気になるところです。
これまで米国しか達成していなかった科学技術論文の量と質に関する3指標で3冠を達成しました。
ヒトやカネを戦略的に投入し、2050年までに目指す米国並みの「科学技術立国」実現へ着々と歩みを進めています。
台湾問題も絡み米中対立が尖鋭化する中、習近平指導部は米国の制裁に影響を受けない独自の経済構造の確立を目指しているようです。
その基盤となるのが科学技術力というわけです。
今回、科学技術論文の量と質の3指標で世界首位に立ったことで、自国の宇宙ステーション建設などの大型の科学技術プロジェクトにとどまらず、基礎的な科学研究でも独自の成果を生み出す体制を構築しつつあることが浮き彫りになりました。
トップ論文を連続して出している研究者が増えているので、中国のノーベル賞受賞者はいずれ増えるであろうといわれています。
中国が科学技術分野で急速な成長を遂げたのは、政府主導で戦略的に資金を出し、人材育成を進めてきたからです。
専門家は、「スピード競争の科学技術研究では、トップダウンで予算投入や政策を迅速に決められる中国の政治体制が有利に働く面がある」と指摘します。
資源の集中投下は際立っていて、中国の2020年の研究開発費は前年比7.5%増の59兆円と10年で約2.5倍に増えました。
米国の研究開発費が72兆円で世界首位ですが、伸び率の大きい中国が迫りつつあります。
研究者数では中国が228万人(2020年)と2位の米国の159万人(2019年)、3位の日本の69万人をおおきく引き離しています。
存在感の低下が止まらない日本が気になるところです。
2022年08月11日
茶畑にAI
鹿児島県は、全国2位のお茶の生産量を誇ります。
農林水産省が5年ごとに行っている調査によると、高齢化などによってお茶を生産する農家や団体の数はおととしまでの10年間で1万5000以上減少し、鹿児島県でも生産者の問題は深刻になっています。
テレビのCMやコンビニ・スーパーで見かける大手飲料メーカーのブランド品にも鹿児島のお茶が使われていて、メーカーからしても安定的に茶葉を確保できるかは死活問題です。
5月は茶の収穫の時期を迎えますが、重要なのはいつ茶葉を摘むのか、その時期を判断することのようですが、摘み時がわかるようになるには、10年以上かかるともいわれ、特に経験豊富なベテランがその役割を担ってきたといいます。
お茶は収穫時期を遅くすると、収穫量は増えるもののアミノ酸の量などが減少し、品質が低下してしまいます。
大手飲料メーカーは、お茶の生産農家は減少の一途をたどっていて人手不足や高齢化などで原料調達に危機感を感じていて、IT技術やAIの技術でサポートしてきたということです。
大手飲料メーカーの「伊藤園」と「富士通」は、スマホやタブレットを使って簡単に積み時を推定できるシステムを開発しました。
アミノ酸量はお茶のうまみの指標のひとつで、繊維量は芽の成熟度というか固さをあらわしていて、これを推定しながら実際の収穫の時期を決めることができます。
どうして画像だけで「うまみ=アミノ酸」や「固さ=繊維量」がわかるのかというと、日時や場所、生育段階といった情報を元に整理し、「AI」に学習させ、「茶葉」の画像と成分との関係性が導き出され、茶葉の画像から「アミノ酸」と「繊維量」を推定できるシステムができたのです。
農業生産法人では新たなシステムの導入でコスト削減や業務の効率化につながると期待しています。
さらに、製品として仕上げる前の「荒茶」の画像から「AI」が味を推定する技術も開発されています。
スマホで撮影すると「アミノ酸」や渋みのもとの「タンニン」などの量をあらわすことができ、福島県の企業が開発した野菜や果物の画像からAIがおいしさを解析する技術が応用されています。
お茶の生産農家の減少が一段と進んでいることへの危機感から、このような技術の開発が進んでいるようです。
農林水産省が5年ごとに行っている調査によると、高齢化などによってお茶を生産する農家や団体の数はおととしまでの10年間で1万5000以上減少し、鹿児島県でも生産者の問題は深刻になっています。
テレビのCMやコンビニ・スーパーで見かける大手飲料メーカーのブランド品にも鹿児島のお茶が使われていて、メーカーからしても安定的に茶葉を確保できるかは死活問題です。
5月は茶の収穫の時期を迎えますが、重要なのはいつ茶葉を摘むのか、その時期を判断することのようですが、摘み時がわかるようになるには、10年以上かかるともいわれ、特に経験豊富なベテランがその役割を担ってきたといいます。
お茶は収穫時期を遅くすると、収穫量は増えるもののアミノ酸の量などが減少し、品質が低下してしまいます。
大手飲料メーカーは、お茶の生産農家は減少の一途をたどっていて人手不足や高齢化などで原料調達に危機感を感じていて、IT技術やAIの技術でサポートしてきたということです。
大手飲料メーカーの「伊藤園」と「富士通」は、スマホやタブレットを使って簡単に積み時を推定できるシステムを開発しました。
アミノ酸量はお茶のうまみの指標のひとつで、繊維量は芽の成熟度というか固さをあらわしていて、これを推定しながら実際の収穫の時期を決めることができます。
どうして画像だけで「うまみ=アミノ酸」や「固さ=繊維量」がわかるのかというと、日時や場所、生育段階といった情報を元に整理し、「AI」に学習させ、「茶葉」の画像と成分との関係性が導き出され、茶葉の画像から「アミノ酸」と「繊維量」を推定できるシステムができたのです。
農業生産法人では新たなシステムの導入でコスト削減や業務の効率化につながると期待しています。
さらに、製品として仕上げる前の「荒茶」の画像から「AI」が味を推定する技術も開発されています。
スマホで撮影すると「アミノ酸」や渋みのもとの「タンニン」などの量をあらわすことができ、福島県の企業が開発した野菜や果物の画像からAIがおいしさを解析する技術が応用されています。
お茶の生産農家の減少が一段と進んでいることへの危機感から、このような技術の開発が進んでいるようです。
2022年08月10日
中国人民解放軍
世界最大の戦力を誇る中国人民解放軍ですが、足元では大きな異変に直面しています。
若者の軍隊離れが深刻で、人材確保に苦労しているといいます。
1976年の中越戦争に参加し、200万人以上いる解放軍で唯一の実践経験者であった参謀長が今年で定年を迎え、解放軍では実践経験者がゼロとなるようです。
習指導部が目標に掲げる台湾統一の作戦計画を握るキーマンの一人だっただけに、穴埋めが容易でないようです。
人材難は将校にとどまりません。
政府は、新平募集要項を決め、2021年からは「習近平の強軍思想を深く徹底し、精緻な徴兵理念を示す」に新たに「理工系大学生と闘いの準備に必要な技能人材を優先する」という文言が加わりました。
21世紀半ばまでに米軍と並ぶ実力を目指すということで、解放軍は兵器と装備品のハイテク化を急ピッチで進めています。
新世代の戦闘機や潜水艦を乗りこなすには、ITや電子機器の理解は欠かせないというわけです。
しかし、理工系の学生はIT企業など民間から引く手あまたで、新卒から平均を超す収入や待遇を得られるケースも多く、年功序列型の軍の給与体系よりも魅力的に映ります。
軍を辞めて民間に移る若者が後を絶たないといいます。
とりわけきついイメージが先行する陸軍は深刻です。
海・空軍では、軍務で技術を学んだ後、民間へ転職するケースが問題となっているようです。
習指導部は一時期、辞める若者の指名を公表し、海外渡航や進学を一定期間禁じるムチの政策をとったことがありましたが、逆に若者の軍離れに拍車がかかり、今はアメを与えるやり方に転換したといいます。
いまの若者は「一人っ子政策」の申し子世代で、このギャップを埋めることは容易ではなさそうです。
若者の軍隊離れが深刻で、人材確保に苦労しているといいます。
1976年の中越戦争に参加し、200万人以上いる解放軍で唯一の実践経験者であった参謀長が今年で定年を迎え、解放軍では実践経験者がゼロとなるようです。
習指導部が目標に掲げる台湾統一の作戦計画を握るキーマンの一人だっただけに、穴埋めが容易でないようです。
人材難は将校にとどまりません。
政府は、新平募集要項を決め、2021年からは「習近平の強軍思想を深く徹底し、精緻な徴兵理念を示す」に新たに「理工系大学生と闘いの準備に必要な技能人材を優先する」という文言が加わりました。
21世紀半ばまでに米軍と並ぶ実力を目指すということで、解放軍は兵器と装備品のハイテク化を急ピッチで進めています。
新世代の戦闘機や潜水艦を乗りこなすには、ITや電子機器の理解は欠かせないというわけです。
しかし、理工系の学生はIT企業など民間から引く手あまたで、新卒から平均を超す収入や待遇を得られるケースも多く、年功序列型の軍の給与体系よりも魅力的に映ります。
軍を辞めて民間に移る若者が後を絶たないといいます。
とりわけきついイメージが先行する陸軍は深刻です。
海・空軍では、軍務で技術を学んだ後、民間へ転職するケースが問題となっているようです。
習指導部は一時期、辞める若者の指名を公表し、海外渡航や進学を一定期間禁じるムチの政策をとったことがありましたが、逆に若者の軍離れに拍車がかかり、今はアメを与えるやり方に転換したといいます。
いまの若者は「一人っ子政策」の申し子世代で、このギャップを埋めることは容易ではなさそうです。
2022年08月08日
ドンバスの悲劇
「プーチンの戦争」が始まって五ヶ月、ますます残酷な姿で続いています。
かつてウクライナ経済を支えたドンバスといわれる重工業地帯は今、破壊しつくされています。
ドンバスとは、ソビエト時代はソビエト全体の、ウクライナ独立後はウクライナの経済を支えてきた重工業地帯で、ドネツク州とルハンシク州から成り立ちます。
ドンバスは、ウクライナの中でもクリミアとともにロシアとつながりが深い地域です。
住民のほとんどもロシア語を話していますし、また親ロシア派の政治家の強固な地盤でもありました。
実態として、2014年、ロシアがクリミアを一方的に併合した後、ドンバスでもロシアの支援を受けた親ロシア派の武装勢力が蜂起し、それ以後8年間戦争が続いてきたといえます。
州の中心都市ドネツクでは州庁舎が占拠され、“人民共和国”の樹立が宣言されています。
また北西部の街をロシアの武装勢力が占拠し、ウクライナ軍との間に散発的な戦闘が始まっていましたが、平穏な市民生活がまだ続いていました。
ドネツクはヨーロッパサッカーのチャンピオンズリーグの常連シャフタール・ドネツクの本拠地で、観客6万人が収容できるドンバスアリーナもあり、直前まで通常通り試合も行われていました。
親ロシア派の政権が倒れたキーウの民主化革命マイダン革命への反発は確かに強かったようですが、ただ街では民主化革命を支持する集会も開かれていたようです。
様々な立場はあっても、ドンバスの人々はまさかこのような戦争に巻き込まれ、砲弾の中を逃げ惑うとは想像もしていなかったし、もちろん望んでもいませんでした。
今、ウクライナ側の拠点はロシア軍のミサイルによって生活インフラを含めて攻撃されています。
一方親ロシア派が支配する中心都市ドネツクは逆にウクライナ軍の攻撃にさらされています。
この8年間、自らの意志ではなく、平和な生活が紛争によって破られ、さらに今ロシアの軍事侵攻に伴う本格的な残酷な戦争の中で、砲火の下で逃げ惑うドンバスの人々…、“プーチンの戦争”のもっとも残酷な姿が
ドンバスに表れています。
先月29日、ドンバス地域のドネツク州の親ロシア派の支配する地域でいかに戦争とは言っても信じられない事件がおきました。
ウクライナ軍の捕虜が収容されていた施設が爆破され、マリオポリで投降したアゾフ大隊の捕虜50人以上が死亡しました。
ロシア側はウクライナ軍がアメリカから提供されたハイマースで攻撃したと主張しています。
一方ウクライナ側は、ロシアが捕虜の虐待を隠すために、施設を内側から爆破したと主張しています。
双方とも相手を戦争犯罪だと激しく非難し、国際司法による捜査を求めていますが、どちらの主張が真実に近いのかわかりませんが、戦争捕虜を意図的に殺害したとしたら、誰が行ったにしろ、許されざる犯罪行為です。
国際司法は厳正な捜査をしてこの犯罪行為の真相を明らかにしなければなりません。
かつてウクライナ経済を支えたドンバスといわれる重工業地帯は今、破壊しつくされています。
ドンバスとは、ソビエト時代はソビエト全体の、ウクライナ独立後はウクライナの経済を支えてきた重工業地帯で、ドネツク州とルハンシク州から成り立ちます。
ドンバスは、ウクライナの中でもクリミアとともにロシアとつながりが深い地域です。
住民のほとんどもロシア語を話していますし、また親ロシア派の政治家の強固な地盤でもありました。
実態として、2014年、ロシアがクリミアを一方的に併合した後、ドンバスでもロシアの支援を受けた親ロシア派の武装勢力が蜂起し、それ以後8年間戦争が続いてきたといえます。
州の中心都市ドネツクでは州庁舎が占拠され、“人民共和国”の樹立が宣言されています。
また北西部の街をロシアの武装勢力が占拠し、ウクライナ軍との間に散発的な戦闘が始まっていましたが、平穏な市民生活がまだ続いていました。
ドネツクはヨーロッパサッカーのチャンピオンズリーグの常連シャフタール・ドネツクの本拠地で、観客6万人が収容できるドンバスアリーナもあり、直前まで通常通り試合も行われていました。
親ロシア派の政権が倒れたキーウの民主化革命マイダン革命への反発は確かに強かったようですが、ただ街では民主化革命を支持する集会も開かれていたようです。
様々な立場はあっても、ドンバスの人々はまさかこのような戦争に巻き込まれ、砲弾の中を逃げ惑うとは想像もしていなかったし、もちろん望んでもいませんでした。
今、ウクライナ側の拠点はロシア軍のミサイルによって生活インフラを含めて攻撃されています。
一方親ロシア派が支配する中心都市ドネツクは逆にウクライナ軍の攻撃にさらされています。
この8年間、自らの意志ではなく、平和な生活が紛争によって破られ、さらに今ロシアの軍事侵攻に伴う本格的な残酷な戦争の中で、砲火の下で逃げ惑うドンバスの人々…、“プーチンの戦争”のもっとも残酷な姿が
ドンバスに表れています。
先月29日、ドンバス地域のドネツク州の親ロシア派の支配する地域でいかに戦争とは言っても信じられない事件がおきました。
ウクライナ軍の捕虜が収容されていた施設が爆破され、マリオポリで投降したアゾフ大隊の捕虜50人以上が死亡しました。
ロシア側はウクライナ軍がアメリカから提供されたハイマースで攻撃したと主張しています。
一方ウクライナ側は、ロシアが捕虜の虐待を隠すために、施設を内側から爆破したと主張しています。
双方とも相手を戦争犯罪だと激しく非難し、国際司法による捜査を求めていますが、どちらの主張が真実に近いのかわかりませんが、戦争捕虜を意図的に殺害したとしたら、誰が行ったにしろ、許されざる犯罪行為です。
国際司法は厳正な捜査をしてこの犯罪行為の真相を明らかにしなければなりません。
2022年08月07日
ドイツ流の「賢い支出」
ドイツは、働く人の7割が自動車で通勤する「車社会」となっていますが、政府が異例のインフレ対策を進めています。
目玉は月額9ユーロ(約1200円)で国内の電車やバスが乗り放題になる特別定期券で、ガソリン高の負担を和らげようというものです。
インフレ対策を公共交通の利用につなげ、脱炭素と両立しようというのがドイツ流の「賢い支出」というわけです。
ドイツ政府は6月、肝煎りのインフレ対策として「9ユーロチケット」を導入し、販売枚数は1か月で2100万枚に達し、単純計算で独国民の4人に1人が購入したことになります。
高速鉄道「ICE」など一部を除き、多くの電車やバスで利用できます。
ロシアによるウクライナ侵攻の後、欧州各国では資源価格の高騰に伴って物価が跳ね上がりました。
ドイツでも7月の消費者物価上昇率は8.5%に達しており、2%強の日本に比べると驚くほどのインフレで、賃上げが追い付いていません。
今回のインフレ対策ではガソリン価格を一時的1リットル当たり35ユーロセント下げる減税も導入されましたが、ガソリン価格は高止まりしていて国民の不満は大きくなっています。
自動車の利用を抑える支援策は、恩恵が低所得層まで広く届きやすく、自動車大国のドイツでは労働者のおよそ7割が車で通勤します。
仮に燃費が10リットル/kmの車に乗るとすると、自宅から10km離れた職場に月に3日、バスと電車で通えば、チケットの元は取れるといいます。
もう一つの狙いとして大きいのが、輸送部門の脱炭素を進めるきっかけとすることです。
電車やバスは大量の人員を運べば、異動する際の一人当たりの二酸化炭素排出量が少なくなります。
9ユーロチケットの問題は財源の確保だとされていて、ドイツ鉄道などの交通事業者の運賃収入が減るため、25億ユーロ(約3400億円)程度の補填が必要ですし、期間限定の取組みで公共交通の利用が定着するかもわかりませんが、インフレ対策、景気対策、脱炭素対策など効果が期待できるこの施策は「賢い支出」といえるでしょう。
目玉は月額9ユーロ(約1200円)で国内の電車やバスが乗り放題になる特別定期券で、ガソリン高の負担を和らげようというものです。
インフレ対策を公共交通の利用につなげ、脱炭素と両立しようというのがドイツ流の「賢い支出」というわけです。
ドイツ政府は6月、肝煎りのインフレ対策として「9ユーロチケット」を導入し、販売枚数は1か月で2100万枚に達し、単純計算で独国民の4人に1人が購入したことになります。
高速鉄道「ICE」など一部を除き、多くの電車やバスで利用できます。
ロシアによるウクライナ侵攻の後、欧州各国では資源価格の高騰に伴って物価が跳ね上がりました。
ドイツでも7月の消費者物価上昇率は8.5%に達しており、2%強の日本に比べると驚くほどのインフレで、賃上げが追い付いていません。
今回のインフレ対策ではガソリン価格を一時的1リットル当たり35ユーロセント下げる減税も導入されましたが、ガソリン価格は高止まりしていて国民の不満は大きくなっています。
自動車の利用を抑える支援策は、恩恵が低所得層まで広く届きやすく、自動車大国のドイツでは労働者のおよそ7割が車で通勤します。
仮に燃費が10リットル/kmの車に乗るとすると、自宅から10km離れた職場に月に3日、バスと電車で通えば、チケットの元は取れるといいます。
もう一つの狙いとして大きいのが、輸送部門の脱炭素を進めるきっかけとすることです。
電車やバスは大量の人員を運べば、異動する際の一人当たりの二酸化炭素排出量が少なくなります。
9ユーロチケットの問題は財源の確保だとされていて、ドイツ鉄道などの交通事業者の運賃収入が減るため、25億ユーロ(約3400億円)程度の補填が必要ですし、期間限定の取組みで公共交通の利用が定着するかもわかりませんが、インフレ対策、景気対策、脱炭素対策など効果が期待できるこの施策は「賢い支出」といえるでしょう。
2022年08月05日
台湾有事
ウクライナに侵攻したロシアに科したように、台湾有事で米欧日が中国経済を封じ込めたらどうなるか、公安省や国家安全省が分析をまとめたようです。
あらためて浮き彫りになった中国の弱点だった「食糧危機に直面するリスクが高い」ということです。
制裁で輸出入が滞れば、海外での稼ぎが吹き飛び、必需品も入ってこなくなります。
中でも輸入の3割を米国産に頼る大豆はアキレスけんになるといいます。
農業大国である中国ですが、実は大豆の自給率は2割に満たない状況です。
大豆は中華料理に欠かせない食用油だけでなく、養豚の飼料にも使っています。
大豆の供給が止まれば、途端に14億人が食の問題に悩まされることになります。
1989年の6月に、民主化運動を武力で弾圧した天安門事件が起きましたが、学生らが声をあげる陰で進んでいたのがインフレでした。
豚肉などの高騰が社会不安を増幅し、事件の遠因になったという指摘もあります。
中国と主要国の貿易が止まった場合の経済損失を試算したものがあります。
それによると中国はGDPがロシアの10倍、世界最大の貿易総額を誇りますから、その中国の名目GDPが10%近く減るだけでなく、日本は3.7%、欧州が2.1%、米国は1.3%と、それぞれの域内経済が打撃を被ります。
新型コロナウィルス禍で世界の貿易は8%縮小しGDP比で2%落ち込みましたが、単純比較はできないものの、台湾有事はそれを上回る世界恐慌をもたらしかねないといいます。
あらゆる国や企業がつながる大中国の時代だからこそ、経済制裁はもろ刃の剣となっていきます。
いかに抜かずして最悪を防ぐか、中国の良識と世界の関係国の知恵と努力が求められます。
あらためて浮き彫りになった中国の弱点だった「食糧危機に直面するリスクが高い」ということです。
制裁で輸出入が滞れば、海外での稼ぎが吹き飛び、必需品も入ってこなくなります。
中でも輸入の3割を米国産に頼る大豆はアキレスけんになるといいます。
農業大国である中国ですが、実は大豆の自給率は2割に満たない状況です。
大豆は中華料理に欠かせない食用油だけでなく、養豚の飼料にも使っています。
大豆の供給が止まれば、途端に14億人が食の問題に悩まされることになります。
1989年の6月に、民主化運動を武力で弾圧した天安門事件が起きましたが、学生らが声をあげる陰で進んでいたのがインフレでした。
豚肉などの高騰が社会不安を増幅し、事件の遠因になったという指摘もあります。
中国と主要国の貿易が止まった場合の経済損失を試算したものがあります。
それによると中国はGDPがロシアの10倍、世界最大の貿易総額を誇りますから、その中国の名目GDPが10%近く減るだけでなく、日本は3.7%、欧州が2.1%、米国は1.3%と、それぞれの域内経済が打撃を被ります。
新型コロナウィルス禍で世界の貿易は8%縮小しGDP比で2%落ち込みましたが、単純比較はできないものの、台湾有事はそれを上回る世界恐慌をもたらしかねないといいます。
あらゆる国や企業がつながる大中国の時代だからこそ、経済制裁はもろ刃の剣となっていきます。
いかに抜かずして最悪を防ぐか、中国の良識と世界の関係国の知恵と努力が求められます。
2022年08月04日
アンモニア
いま次世代のエネルギーとして「アンモニア」が注目されつつあります。
7月13日にオーストラリアのシドニーで日米豪印の4か国の枠組み、クアッドのエネルギー担当大臣による初会合が開かれました。
ウクライナ情勢の緊迫化を受けて、液化天然ガスをいかに安定調達するかが議論されましたが、日本政府がもうひとつ力を注いだのが「アンモニア」でした。
4か国は、燃やしても二酸化炭素を出さないアンモニアなど次世代エネルギーの技術開発や普及を協力して進めていくことで一致したといいます。
アンモニアは、炭素を含んでいないことから、燃やしても二酸化炭素を排出しないのが特徴です。またすでに肥料用として使われているため、運搬や貯蔵の技術が確立していて、その分、調達コストも抑えられます。
2050年に温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすることを目指す日本は、アンモニアのこうした特徴に早くから目を付け、技術開発を着々と進めてきました。
いま力を入れているのが、石炭にアンモニアを混ぜて、既存の石炭火力発電所で燃やす「混焼技術」の開発です。
太陽光や風力など再生可能エネルギーによる発電を増やそうにも、国土の狭い日本では立地に適した場所が限られています。
そこで石炭にアンモニアを混ぜて発電することで、二酸化炭素の削減につなげようというものです。
ただアンモニアの普及に向けては課題もあります。
まずアンモニアは燃焼時に二酸化炭素を排出しないものの、有害物質である窒素酸化物を排出しますので、国内の企業や研究機関では、窒素酸化物の排出を抑える技術開発を急いでいます。
もう1つは、アンモニアをいかに安定的に供給するかです。
現在、生産されているアンモニアの多くは肥料の原料として使われています。さらに発電で使うとなると、生産が追いつかなくなる事態も予想され、海外からいかに大量に調達できるかが課題です。
そして最後の課題は、アンモニアの作り方です。
アンモニアは燃やしても二酸化炭素を出しませんが、実は製造時に化石燃料を使うため、そこで二酸化炭素を出してしまい、このため製造過程で出た二酸化炭素を回収し地中に埋めることや、二酸化炭素を出さない再生可能エネルギーを利用することなどが合わせて求められています。
また技術面だけでなく、普及に向けて国際的な理解をどう得ていくかも課題です。
というのも、二酸化炭素の排出量が削減できるとはいえ、石炭火力を使い続けることに対して、ヨーロッパを中心に厳しい意見があるからです。
まず日本としては、アンモニアの生産や調達で協力できる国々との“仲間づくり”を進める戦略です。
そのうえで鍵となるのが、東南アジアの国々での普及促進で、日本としては、こうした国々に脱炭素のツールとしてアンモニア導入のメリットを訴えながら、普及を拡大させたい考えのようです。
7月13日にオーストラリアのシドニーで日米豪印の4か国の枠組み、クアッドのエネルギー担当大臣による初会合が開かれました。
ウクライナ情勢の緊迫化を受けて、液化天然ガスをいかに安定調達するかが議論されましたが、日本政府がもうひとつ力を注いだのが「アンモニア」でした。
4か国は、燃やしても二酸化炭素を出さないアンモニアなど次世代エネルギーの技術開発や普及を協力して進めていくことで一致したといいます。
アンモニアは、炭素を含んでいないことから、燃やしても二酸化炭素を排出しないのが特徴です。またすでに肥料用として使われているため、運搬や貯蔵の技術が確立していて、その分、調達コストも抑えられます。
2050年に温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすることを目指す日本は、アンモニアのこうした特徴に早くから目を付け、技術開発を着々と進めてきました。
いま力を入れているのが、石炭にアンモニアを混ぜて、既存の石炭火力発電所で燃やす「混焼技術」の開発です。
太陽光や風力など再生可能エネルギーによる発電を増やそうにも、国土の狭い日本では立地に適した場所が限られています。
そこで石炭にアンモニアを混ぜて発電することで、二酸化炭素の削減につなげようというものです。
ただアンモニアの普及に向けては課題もあります。
まずアンモニアは燃焼時に二酸化炭素を排出しないものの、有害物質である窒素酸化物を排出しますので、国内の企業や研究機関では、窒素酸化物の排出を抑える技術開発を急いでいます。
もう1つは、アンモニアをいかに安定的に供給するかです。
現在、生産されているアンモニアの多くは肥料の原料として使われています。さらに発電で使うとなると、生産が追いつかなくなる事態も予想され、海外からいかに大量に調達できるかが課題です。
そして最後の課題は、アンモニアの作り方です。
アンモニアは燃やしても二酸化炭素を出しませんが、実は製造時に化石燃料を使うため、そこで二酸化炭素を出してしまい、このため製造過程で出た二酸化炭素を回収し地中に埋めることや、二酸化炭素を出さない再生可能エネルギーを利用することなどが合わせて求められています。
また技術面だけでなく、普及に向けて国際的な理解をどう得ていくかも課題です。
というのも、二酸化炭素の排出量が削減できるとはいえ、石炭火力を使い続けることに対して、ヨーロッパを中心に厳しい意見があるからです。
まず日本としては、アンモニアの生産や調達で協力できる国々との“仲間づくり”を進める戦略です。
そのうえで鍵となるのが、東南アジアの国々での普及促進で、日本としては、こうした国々に脱炭素のツールとしてアンモニア導入のメリットを訴えながら、普及を拡大させたい考えのようです。
2022年08月03日
第7波対応
新型コロナウイルスの感染「第7波」が続く中、医療現場の厳しい実態を踏まえた関係者の動きがいくつか見られました。
まずは、日本感染症学会など4学会は昨日、「症状が軽い場合は、検査や薬のため医療機関を受診することは避けてほしい」とする緊急声明を発表しました。
オミクロン株は「順調に経過すれば風邪と大きな違いはない」とした上で、自宅で抗原検査キットを活用したり、市販薬を購入したりするよう求めています。
声明では、「オミクロン株は平均3日で急性期症状が出現するが、ほとんどが2〜4日で軽くなる」と指摘し、発熱や喉の痛みなどの症状が出た際は「まずは仕事や学校を休んで外出を避け、自宅療養を始めてほしい」としました。
また、呼吸困難や37.5度以上の発熱が4日以上続いた場合などは重症化する可能性があるとし、「かかりつけ医や近隣の医療機関に必ず相談してほしい」と要請しました。
緊急性を要する際の救急車の利用も呼び掛けました。
まさに、誰もが感染してもおかしくない身近な病気となった今、感染した場合の対応について患者目線での指摘はよくわかります。
一方、尾身茂会長ほか新型コロナウイルスの専門家有志らも、感染者の急増によるいまの第7波への緊急的な対応と、今後、通常医療へ移行するための法改正などを含めた対応の、2段階にわたる提言を取りまとめたといいます。
ただ、今日的にマスコミ等で議論となっていることの追随といった感があります。
提言では、まず、1段階目にいまの第7波への緊急対応として、全ての感染者の発生届などを提出してデータを集める、いわゆる「全数把握」をやめ、入院患者や重症化が懸念される人に絞って情報を収集する新たな仕組みの構築などを打ち出しています。
保健所の濃厚接触者の特定が困難な場合には、それぞれ一人ひとりが、自らが主体的に判断して感染予防の行動をすることとしています。
その後の2段階目では、感染症法などの改正を行って新たな医療提供体制をつくり、より多くの医療機関での入院を可能としながら、重症患者の治療薬の費用などは公費負担とすることなどを提言しています。
この専門家グループは、医療行政にも詳しい方ばかりですから、今議論となっている感染症法の2類と5類の違い、保健所の役割など基本的な考え方などを示したうえで現在流行しているオミクロン株感染の実態と照らし合わせて、どうすべきかの判断を適確に示してほしいと思います。
提言には詳しく書いてあるのかもしれませんが、マスコミ情報からだけではわかりませんし、これまでの対応経緯からして存在感を感じません。。
さらに、新型コロナ感染者に対応する医療現場や保健所の業務負担を減らすために、コロナ感染者の発生状況を届け出るいわゆる「全数把握」について、全国知事会と日本医師会がやり方を見直すよう後藤厚生労働大臣に申し入れました。
制度改正を促すためには、このような組織からの申し出は必要となってきます。
まずは、日本感染症学会など4学会は昨日、「症状が軽い場合は、検査や薬のため医療機関を受診することは避けてほしい」とする緊急声明を発表しました。
オミクロン株は「順調に経過すれば風邪と大きな違いはない」とした上で、自宅で抗原検査キットを活用したり、市販薬を購入したりするよう求めています。
声明では、「オミクロン株は平均3日で急性期症状が出現するが、ほとんどが2〜4日で軽くなる」と指摘し、発熱や喉の痛みなどの症状が出た際は「まずは仕事や学校を休んで外出を避け、自宅療養を始めてほしい」としました。
また、呼吸困難や37.5度以上の発熱が4日以上続いた場合などは重症化する可能性があるとし、「かかりつけ医や近隣の医療機関に必ず相談してほしい」と要請しました。
緊急性を要する際の救急車の利用も呼び掛けました。
まさに、誰もが感染してもおかしくない身近な病気となった今、感染した場合の対応について患者目線での指摘はよくわかります。
一方、尾身茂会長ほか新型コロナウイルスの専門家有志らも、感染者の急増によるいまの第7波への緊急的な対応と、今後、通常医療へ移行するための法改正などを含めた対応の、2段階にわたる提言を取りまとめたといいます。
ただ、今日的にマスコミ等で議論となっていることの追随といった感があります。
提言では、まず、1段階目にいまの第7波への緊急対応として、全ての感染者の発生届などを提出してデータを集める、いわゆる「全数把握」をやめ、入院患者や重症化が懸念される人に絞って情報を収集する新たな仕組みの構築などを打ち出しています。
保健所の濃厚接触者の特定が困難な場合には、それぞれ一人ひとりが、自らが主体的に判断して感染予防の行動をすることとしています。
その後の2段階目では、感染症法などの改正を行って新たな医療提供体制をつくり、より多くの医療機関での入院を可能としながら、重症患者の治療薬の費用などは公費負担とすることなどを提言しています。
この専門家グループは、医療行政にも詳しい方ばかりですから、今議論となっている感染症法の2類と5類の違い、保健所の役割など基本的な考え方などを示したうえで現在流行しているオミクロン株感染の実態と照らし合わせて、どうすべきかの判断を適確に示してほしいと思います。
提言には詳しく書いてあるのかもしれませんが、マスコミ情報からだけではわかりませんし、これまでの対応経緯からして存在感を感じません。。
さらに、新型コロナ感染者に対応する医療現場や保健所の業務負担を減らすために、コロナ感染者の発生状況を届け出るいわゆる「全数把握」について、全国知事会と日本医師会がやり方を見直すよう後藤厚生労働大臣に申し入れました。
制度改正を促すためには、このような組織からの申し出は必要となってきます。
2022年08月02日
稼ぐ農地へ
面積当たりの農業産出額が大きい「稼ぐ農地」への転換が全国的に進んでいるようです。
担い手が減り、耕作放棄地も広がる農業を再活性化するには、収益性を高める努力が欠かせません。
稼ぐ農地への転換が進む上位県は、カット野菜向け生産を拡大するなど世のなかの変化に柔軟に対応し、価格競争に負けない産品への切り替えも進んでいます。
稼ぐ農地への転換の進み具合を、耕地1ha当りの農業産出額を都道府県別に算出し、2005年〜2020年にかけての増減率であらわすと、最も向上したのが群馬県(31.6%)で、山梨県(29.0%)、長野県(26.7%)と続きます。
群馬県ではキャベツの契約生産に注力し、通常の生産と異なり大きさを選別する手間がなく、出荷用段ボールなどを用意する必要もなく、生産コストの低減に加え、定額で買い取られる安定収入にもつながります。
比較的温暖な気候の館林市では冬場のキャベツを、高冷地の嬬恋村は夏場のキャベツというわけでこうした時間差も活用した通年出荷の確立を目指しています。
山梨県は特産品のブドウを高付加価値な品種に切り替え、甘く皮ごと食べられることで人気を集め単価の高いシャインマスカットを増やし、今では出荷量で巨峰を抜き品種別トップに立ちました。
品種を転換することで、高齢化による生産量減少の悪影響も緩和しています。
県全体のブドウの生産量は栽培面積の減少により、この12年間で2割減ったにもかかわらず、高単価品種へのシフトによって生産額は68%増加しました。
九州でいうと長崎県は、耕地の収益性伸び率は2番目に高く21.4%で、特に生産を延ばしているのが付加価値の高い葉物野菜のレタスです。
傾斜地の多い雲仙市の段々畑で栽培が盛んにおこなわれるようになりました。
10年間で出荷量はほぼ倍増しており、温暖な気候のため冬場の霜対策の手間が少なく、レタスに不織布を直接かぶせる「べたかけ」と呼ばれる栽培方法で低コスト化が実現しました。
農家の収入を安定させるため、契約栽培の拡大にも努めていて、現在出荷量の51%を占めるようになってきました。
担い手が減り、耕作放棄地も広がる農業を再活性化するには、収益性を高める努力が欠かせません。
稼ぐ農地への転換が進む上位県は、カット野菜向け生産を拡大するなど世のなかの変化に柔軟に対応し、価格競争に負けない産品への切り替えも進んでいます。
稼ぐ農地への転換の進み具合を、耕地1ha当りの農業産出額を都道府県別に算出し、2005年〜2020年にかけての増減率であらわすと、最も向上したのが群馬県(31.6%)で、山梨県(29.0%)、長野県(26.7%)と続きます。
群馬県ではキャベツの契約生産に注力し、通常の生産と異なり大きさを選別する手間がなく、出荷用段ボールなどを用意する必要もなく、生産コストの低減に加え、定額で買い取られる安定収入にもつながります。
比較的温暖な気候の館林市では冬場のキャベツを、高冷地の嬬恋村は夏場のキャベツというわけでこうした時間差も活用した通年出荷の確立を目指しています。
山梨県は特産品のブドウを高付加価値な品種に切り替え、甘く皮ごと食べられることで人気を集め単価の高いシャインマスカットを増やし、今では出荷量で巨峰を抜き品種別トップに立ちました。
品種を転換することで、高齢化による生産量減少の悪影響も緩和しています。
県全体のブドウの生産量は栽培面積の減少により、この12年間で2割減ったにもかかわらず、高単価品種へのシフトによって生産額は68%増加しました。
九州でいうと長崎県は、耕地の収益性伸び率は2番目に高く21.4%で、特に生産を延ばしているのが付加価値の高い葉物野菜のレタスです。
傾斜地の多い雲仙市の段々畑で栽培が盛んにおこなわれるようになりました。
10年間で出荷量はほぼ倍増しており、温暖な気候のため冬場の霜対策の手間が少なく、レタスに不織布を直接かぶせる「べたかけ」と呼ばれる栽培方法で低コスト化が実現しました。
農家の収入を安定させるため、契約栽培の拡大にも努めていて、現在出荷量の51%を占めるようになってきました。
2022年08月01日
人口動態の異変が経済に影響
2021年の婚姻数は過去最低を更新し、ピークだった1970年代から半減しており、「20台の独身男性の約4割がデート経験なし」というデータもあり、恋愛離れ、結婚離れが広がっているようです。
賃金水準は上がらず、ちまたでは「結婚はぜいたく品」という声が漏れているとか。
こうした長期的なトレンドの結果、出生率の低下も進んでしまいます。
個人消費でも若者や家族がけん引した昭和、平成とは異なり、超少子化はすなわち超高齢化ですから、高齢化が進めば外食や飲酒など消費は当然落ちていきます。
量的な「消費破壊」が起きそうな事態をどうすれば防げるか、超少子化時代に対応し、創造的な破壊による質的な転換を図れるかが課題となっています。
例えば、セブンイレブンジャパンでは1985年の客層を年齢別にみると、50代以上は9%にすぎず、20代以下は64%を占めていたといいます。
それが2000年になると50代以上が17%に上昇し、20代以下は50%を下回るようになります。
2021年になるとさらに大きく変動し、50代以上が36%に急伸し、20代以下が24%に低下しました。
こうした人口動態の異変はセブンイレブンの販売戦略を大きく変え、商品構成を大きく変えることになりました。
最近では、こだわりの高いおにぎり、総菜の小容量パックなどが増えています。
市場を細かく分析し、新たなニーズを探り出すビジネスモデルが欠かせません。
小売りもメーカーもモノを売るだけの発想では限界があり、消費者の潜在的な悩みを見つけ、ソリューションを提供するコンサルティングサービス型へのシフトが超少子化時代の活路になるといわれています。
賃金水準は上がらず、ちまたでは「結婚はぜいたく品」という声が漏れているとか。
こうした長期的なトレンドの結果、出生率の低下も進んでしまいます。
個人消費でも若者や家族がけん引した昭和、平成とは異なり、超少子化はすなわち超高齢化ですから、高齢化が進めば外食や飲酒など消費は当然落ちていきます。
量的な「消費破壊」が起きそうな事態をどうすれば防げるか、超少子化時代に対応し、創造的な破壊による質的な転換を図れるかが課題となっています。
例えば、セブンイレブンジャパンでは1985年の客層を年齢別にみると、50代以上は9%にすぎず、20代以下は64%を占めていたといいます。
それが2000年になると50代以上が17%に上昇し、20代以下は50%を下回るようになります。
2021年になるとさらに大きく変動し、50代以上が36%に急伸し、20代以下が24%に低下しました。
こうした人口動態の異変はセブンイレブンの販売戦略を大きく変え、商品構成を大きく変えることになりました。
最近では、こだわりの高いおにぎり、総菜の小容量パックなどが増えています。
市場を細かく分析し、新たなニーズを探り出すビジネスモデルが欠かせません。
小売りもメーカーもモノを売るだけの発想では限界があり、消費者の潜在的な悩みを見つけ、ソリューションを提供するコンサルティングサービス型へのシフトが超少子化時代の活路になるといわれています。