2023年05月30日

浮体式原発

  海に浮かぶ浮体式原子力発電所が世界各地で開発が進んでいるようです。

  洋上で稼働させる浮体式の原子力発電所は、2030年代前半の商用化が計画されていて、地震や津波の影響が少なく安全性が高いといわれています。


  陸上では固有の設計が必要になりますが、洋上では共通化した構造物の大量生産で建設コストや工期が短くて済みます。

  造船所から洋上まで船を曳航して設置し、運営することができます。


  水素やアンモニアの生産設備を近くに設置することで発電した電力は脱炭素技術向けに使うこともできますし、海水淡水化プラントや海洋データセンター向けにも活用が検討されているようです。



  英コアパワーなどが取り組むプロジェクトには米エネルギー省が2022年夏に約130億円の研究資金を提供しました。

  同プロジェクトに今治造船、尾道造船など日本の13社が参画するようで、約100億円を出資します。


  コアパワーはビル・ゲイツが出資する米テラパワーや電力・ガス事業の米サザン・カンパニー、核燃料サイクルの仏オラノと共同で開発しています。

  4者の浮体式原発は小型モジュールの原子炉(SMR)の一種である溶融塩高速炉(MCFR)を使います。


  塩を400度以上に加熱して液体にし、ウランを溶け込ませ、ウランが核分裂して熱エネルギーを得てタービンを回す仕組みのようです。

  固体燃料を使う従来型の原発に必要な加圧設備が不要となるため、小型化でき、炉心溶融や爆発といった事故を引き起こすリスクも少ないということです。

  自身や津波のリスクを軽減できる点では、浮体式原発は日本では陸上原発よりも優位な可能性があります。


  洋上風力発電や核融合発電に続き、日本勢の次世代エネルギーでの巻き返しに注目が集まります。
posted by 川上義幸 at 12:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年05月29日

建設業界の担い手不足対策

建設業界で最近、「大量離職時代は確実にやってくる」ということを何度も聞きます。

その背景にあるのは急速な高齢化で、若い人たちの担い手が減り続けているのです。

どうすれば若い世代に建設業界に飛び込んでもらえるのか、試行錯誤が行われています。。



大手建機メーカーのコマツが子会社のIT企業とともに開発を進め、実用化目前となった重機の遠隔操作システムの開発です。

5Gを活用した通信スピードと鮮明な映像で、実際に重機に乗っているかのように操作できるといいます。


実は、30年以上前から遠隔操作の技術開発に取り組んでいまして、雲仙普賢岳の現場で当時火砕流の危険性が高かった中での土工工事に適用され、当時担当していたことを思い出します。

その技術の集大成がコックピット型のシステムだということです。



なぜ、あえて近未来のようなデザインにしたのかというと、そこには人手不足に悩む企業側の狙いがありました。

こういう仕事をしたいなって若い人が増えることで、雇用の間口を広げたいと考えられたようです。

ゲーム感覚で仕事ができるような感じで、暑くも寒くもないし、ヘルメットもいらないということで、これまでの建設業界のイメージが払拭されるのを期待します。


コックピット型の遠隔操作システムには、重機に搭載されたセンサーが例えば、地面の掘りすぎなどを検知すると注意を促したり、斜面の角度やショベルの刃先の距離を表示したりするなど、複雑な操作をしやすくするガイダンス機能も充実させています。

システムが人間をサポートすることで、若い人たちにも熟練の技を使いこなせるようにする狙いです。



現在、建設業界で働く人は479万人ですが、10年前と比べると24万人が減り、25年前と比べると206万人も減少しています。

また、働く人の年齢構成を見てみると、35.9%が55歳以上とほかの産業と比べても多い一方で、29歳以下の若い世代の層は少なく、高齢化が進んでいます。



このメーカーでは、さらに未来への開発にも乗り出しています。

自動運転システムです。

遠隔操作システムだけでは、人手不足のスピードに追いつけないと考えているのです。

技術面では着実に実用化に向けて進化をしていますが、そのほかにも課題はまだ多いといいます。

それは、法整備やルールづくりの遅れです。



このメーカーが描く未来の建設現場は、遠隔操作や自動運転の技術に加え、ダンプカーの動きや周辺の道路の状況などあらゆる情報を集めて、AIが解析するシステムが導入された現場です。

すでに、子会社のIT企業がデジタルツインと呼ばれる現実の情報をデジタル上で再現しながらシミュレーションを重ねる技術手法や、AIの活用を通じて、効率的に現場の作業を管理できるシステムを開発し導入を進めています。


さまざまな最新技術を組み合わせることで、人手不足にとどまらず、安全性や工期の長期化など建設現場でのあらゆる課題を解決していきたいと考えています。

建設業界の深刻な人手不足は、インフラ整備や災害復旧工事など私たちの暮らしや経済活動に大きな影響を与えるリスクがありますから、この問題に業界全体で取り組んでもらいたいものです。

posted by 川上義幸 at 09:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年05月27日

気になる数字

2020年10月1日の総人口は1億2494万7000人で、前年に比べて55万6000人減少しました。

これは、鳥取県の1件分の人数が丸ごと減った計算になります。

同県の人口は2020年10月の国勢調査時点で、55万3000人でした。



日本の総人口は2005年に初めて前年を下回った後、2008年にピークを迎え、2011年以降は減り続けています。

2022年の総人口に関し、前年比の減少幅は比較可能な1950年以降で最大だった2021年より減少したものの、12年連続で減少となりました。



このままのペースで人口減が進むと、2120年の総人口は5000万人をわりこみます。

国立社会保障・人口問題研究所が4月に公表した将来推計人口は次のような資産を出しました。

これから100年で1億2615万人だった2020年の4割相当にまで減ることになるということです。



日本人の出生率が低迷し続けるならば、人口の減少速度を緩めるには外国人を呼び込んでいくしかありません。

このためには、労働市場における日本人と外国人の公正な待遇の確保や、文化や習慣の違いを踏まえた生活
支援策も欠かせません。
posted by 川上義幸 at 17:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年05月26日

縮む経常黒字

  2022年度の経常収支の黒字が9.2兆円となり、前年度から半分以下に縮小しました。

  円安や資源高でモノの貿易に絡む赤字が過去最大に膨らみ、企業や個人が使う海外ITサービスへの支払い増も止まりません。

  モノで稼ぐ力は鈍り、外貨を獲得できる次世代産業の弱さが浮き彫りになってきました。



  経常収支は海外とのモノやサービスなどの取引状況を表します。

  2022年度の経常黒字が縮小した最大の要因は、モノの取引に絡む貿易赤字の拡大です。

  これは、急激な円安と原油価格の上昇が大きく影響しました。

  2022年度の原油の輸入価格は前年度に比べ、ドルベースで3割、円ベースで6割も上がり輸入額を膨らませました。


  モノも輸出が細れば、日本はこれまでのように外貨を獲得できません。

  電気機器の貿易収支は、前年度の1.4兆円の黒字から0.4兆円の赤字に転じましたし、新型コロナウィルス治療薬の輸入増などの影響を受け、医薬品の収支も4.3兆円の赤字となりました。



  2008年のリーマン危機以降、海外に生産拠点を移す日本企業が増えたという事情もあります。


  外国との利子や配当のやり取りを示す第1次所得収支は、過去最大の35兆5591億円の黒字でしたし、海外の子会社から受け取る配当は増えていますが、貿易赤字の拡大に追い付いていません。


  サービス収支は5兆2765億円の赤字で、クラウドサービスや動画配信など、海外ITへの支払い超過が加速しています。



  海外への支払いが膨らみ続ければ、ドルの需要が高まり円安の加速にもつながっています。

  経常収支が示すのは海外とのお金のやり取りの状況なので、黒字の縮小したからといって景気や企業業績に直結するわけではありませんが、海外への支払いばかりが増え国内にたまるお金が減ると、家計や企業の余剰資金が減り、国内での国債消化の余地が狭まります。

  足元の経常黒字の縮小は、デジタルや脱炭素などの分野で国際的に稼げるプレーヤー日本に少ないこと示していて気になります。


  これまで何度も言われていますが、円安や貿易赤字の定着を避けるには、国内の産業構造の転換や、農業の輸出促進など既存産業の活性化が急務となっています。
posted by 川上義幸 at 13:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年05月25日

地域団体商標

  地域の特産品などを商標として登録する「地域団体商標」というのがあり、740件を超え、新たな地域ブランドが次々登録されています。


  地域団体商標の制度は2006年に作られました。

  商品などの名前を「商標」として特許庁に登録するもので、特に地域ブランドを保護しようというものです。



  登録すると民事上や刑事上の対抗措置が可能になります。

  ▽青森県の「大間まぐろ」▽滋賀県の「近江牛」といった魚や肉。

  ▽徳島県の「なると金時」▽沖縄県の「沖縄シークヮーサー」など農作物。

  食べ物のほかにも、▽福岡県の「博多人形」、▽石川県の「輪島塗」、などもあります。


  注意点があり、

  ▽地域に根差した団体が出願していること。例えば地元の農協や漁協、商工会などです。

  ▽団体の構成員が使えること。つまり農協なら組合員が使うことです。

  ▽地域名と商品・サービスの組み合わせ。先ほどの事例だと「沖縄」と「シークヮーサー」、「大間」と「まぐろ」、などで、

  そして最後に、▽少なくとも一定の地理的範囲である程度有名なことです。


  これは、全国的でなくても地元では知られていたというケースで、例えば大分県の「中津からあげ」、福島県の「なみえ焼きそば」など、いわゆる「ご当地グルメ」と呼ばれる食べ物は、多くが長く地域で親しまれてきており、このため最近は、こうした「ご当地グルメ」を登録する事例も増えています。



  商標登録するメリットは、1つには「ニセモノの防止」、もう一つは「新たなブランド化」です。

  地域の商品やサービスを守り、同時に名産にしていくということです。


  最近はこの商標登録、いろんな事例に広がっています。

  例えば、東京の「戸越銀座商店街」、岐阜県の「飛騨高山宮川朝市」のように、商店街や朝市でも登録が認められています。

  さらに地域団体商標ではないのですが、一昨年「野球拳おどり」で松山市などによる商標登録が認められました。



  今後の課題はというと、中国など海外での出願がたびたび問題になっていることです。

  最近では、香川県のブランド牛「讃岐牛」が中国で商標登録出願されていたことが分かりました。

  ブランドが知られてくると、海外でいわば「ただ乗り」しようとする事例も後を絶ちません。

  これでは海外進出しようとする際に支障が出ます。


  地域団体商標もすでに740を超えていますが、まだまだこれから増えそうで、地域団体商標の中でさらに
どれだけ独自性を打ち出していくことができるかが問われているようです。
posted by 川上義幸 at 15:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年05月23日

ポストコロナの働き方

  新型コロナの感染症法上の位置づけが5類に移行して、コロナとの向き合い方が大きく変わったようです。

  「コロナ明け」という言葉を耳にすると、アフターコロナから大きく世の中が舵を切ったように感じます。



  さて、新型コロナウィルス流行を契機に働き方が多様化し、都心から地方に移住する人が目立つようになりました。

  地方創生に詳しい専門家は「地方を拠点とした生き方も定着しつつある」と話します。

  移住相談などを手掛けるNPO法人によると、セミナーや面談を通じた移住相談の件数は2022年に初めて5万件を超え、静岡や長野、栃木など東京から100〜200km圏が希望先の上位を占めるようです。



  企業にも地方を目指す動きが生まれているようです。

  リモートワークを導入しやすいIT企業の誘致に力を入れる自治体が多くなっています。

  IT関連のパレットグループは、人口2万人余りの広島県江田島市にサテライトオフィス設けましたが、オフィス設立に県や市の補助を活用したといいます。

  社員のワーケーション拠点として使いたい意向で、東京の取引先が中心ですが、年内をめどに広島拠点の人数を倍増させる計画のようです。



  しかし、地方志向は高まったかに見えますが、東京のけん引力はコロナを経ても衰えていません。

  転入超過は、東京都は3年ぶりに拡大に転じ、足元では再び「都心回帰」が強まっています。

  とりわけ若者にとって仕事や出会いの場が多い東京は魅力的なようです。


  コロナ流行後に転職を希望する人は増えていますが、実際に転職した人の数は横ばいが続いているようです。

  「より良い条件の仕事を探すため」という前向きな転職者は2020年以降に減っているようで、その一方で経営不安による「人員整理・勧奨退職」を理由とした転職者は増えています。


  終身雇用や年功序列など「転職しない」ほど有利な雇用慣行が人材移動を阻んでいて、人材がスキルを磨いて成長分野に移りやすくする環境は整っていません。

  政府は今後5年間で1兆円をリスキリングに投じて転職者を支援することになっていますが、官民で環境を改善し、コロナで高まった転職熱を成長に行かせなければもったいないといえます。
posted by 川上義幸 at 16:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年05月21日

アジアの新たな需要に向かう高級魚

日本で水揚げされるノドグロやマナガツオといったいわゆる高級魚の行き先が、国内から海外に移っていると言われています。

背景には、刺身でも食べられる日本の“鮮魚”に目覚めたアジアの巨大な胃袋がありました。



九州の近海でとれるおいしい魚が魅力の福岡でも、その影響がじわりじわりと広がっているようです。

全国有数の水揚げ額を誇る博多漁港を擁し、あの長浜ラーメンでもおなじみの長浜鮮魚市場では、競りの主役はなんと中国人の仲買人だということで、ノドグロやマナガツオなどの一部の高級魚種を次々と高値で競り落としていくといいます。

競り落とした魚は、香港のホテルや飲食店に出荷していきます。


この仲買人を雇う福岡市の仲卸会社では、ここ数年、輸出が急拡大し、海外の販売先を増やすには、競り落とす魚の種類や量、入札額などのやりとりが現地のことばでできたほうが有利になるということで、そのため、中国や韓国の仲買人を雇用し、競りの最前線に投入しているようです。

市場の運営会社によると、ノドグロやマナガツオ、アラカブ、タチウオといったいわゆる高級魚を中心に、輸出する魚の種類と量が急速に増えているといいます。



それではなぜ今、日本の魚の需要が伸びているのかというと、専門家は、刺身でも食べられる“鮮魚”の魅力に、海外が気付いたと指摘します。

アジアの生活水準が上がるにつれ、これまでのカリフォルニアロール的な日本食から、日本の飲食店と変わらない本格的な料理が求められるようになってきています。

そうした中で、魚を生で食べる文化が今、急速に広まっています。



しかし、なぜ、海外の国々は輸送コストをかけてまで、わざわざ日本の市場で買うのかというと、その背景には、血抜きや冷凍など、魚の鮮度を保つ日本ならではの技術があるといいます。

海外では、水揚げした魚を新鮮な状態で流通させる技術が十分に発展しておらず、それならば日本から取り寄せたほうがいいわけで、さまざまな魚を刺身にできるような状態で流通させるのは、実は深いノウハウが必要なのです。


さらに、福岡の地理的な条件も、輸出の拡大を後押ししているといい、アジア圏へのアクセスのよさがあって、かつ九州のいい魚が集まるということから、一気に注文が入っているようです。



それなりのお金を払わないと質のいい鮮魚が食べづらいというこの状況は、よほどの経済環境の変化がないかぎりは、続いていきそうです。

天然物なんてめったに食べないし、養殖があれば十分と考える人もいるでしょうが、実は、養殖の魚についても安心していられる状況ではありません。

養殖業者の間では、国内向けには販売せず、地域で一丸となって、より利益の出る海外輸出に取り組む動きもすでに出てきているようです。

アジアが“鮮魚”を知った今、われわれもその価値に向き合っていかなければ、いつか、地元食材の日本飛ばしという新たな課題に直面する日が訪れるかもしれません。

posted by 川上義幸 at 19:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年05月20日

バイデン大統領の失言癖

G7広島サミットが開催されており、広島市内は警護で厳戒態勢がとられています。

昨日は岸田首相夫妻が原爆記念館で各国の要人をお迎えして、時間は短かったようですが広島原爆の悲惨さを体験してもらえたのは意義深いものがありました。



5月18日、広島市で開かれた日米首脳会談で、バイデン大統領が、岸田文雄首相を「大統領」と言い間違える一幕があったようです。

「大統領閣下、再びお会いできてうれしいです――」  岸田首相にこう呼びかけたバイデン大統領は、この日、用意された原稿を読み上げていましたが、冒頭、アドリブであいさつした際、言い誤ったとみられます。



  バイデン大統領は、「失言製造器」「失言のランボルギーニ」と呼ばれるほど、失言癖で有名のようです。

「2022年5月、韓国を訪問した際は、尹錫悦大統領に対して、『文大統領』と述べ、直後に『尹』と訂正しましたし、2022年9月にホワイトハウスでおこなわれたイベントでは、交通事故で亡くなった議員の名前を呼んで探すようなそぶりを見せ、『死去を忘れたのか』と話題になりました。  


また、4月に先祖の故郷であるアイルランドを訪問したときは、『オールブラックス』の愛称で知られるラグ
ビーのニュージーランド代表チームを『ブラック・アンド・タンズ』と言い間違え、この組織は、アイルランド独立戦争を鎮圧した英国の治安部隊で、地元では嫌悪されているため、大きな騒動となりました。  


このほか、『韓国(サウスコリア)企業』を『南米(サウスアメリカ)企業』と言い間違えたり、『カナダ(Canada)を称賛する』と言うつもりで『中国(China)を称賛する』と言うなど、失笑されることが繰り返されています。  


  4月、2024年の大統領選での再選を目指して出馬表明しましたが、バイデン大統領の失言癖は、民主党内部でも懸念材料になっています。 

  バイデン大統領はすでに80歳となり、外国を訪問した際は予定を詰めすぎないようにしているといいますが、この日は、太平洋を横断する長旅を終えたばかり。疲れが出たのかもしれません。  



  バイデン大統領が、岸田首相を「大統領」と言い間違えたことに、SNSはすぐに反応したようです。



  今日はウクライナのゼレンスキー大統領がフランスの政府専用機で訪日したのは驚きでした。

  G7のメンバーだけでなく、インドやブラジルなどの首脳に対して対面でウクライナ侵略の実態と支援を訴える機会が実現したことは大きかったといえます。
posted by 川上義幸 at 20:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年05月19日

図書館振興の月

今月は「図書館振興の月」です。


公立図書館は本を読んだり調べものをしたりと、無料で誰でも利用できる公共施設です。

その特性を生かして、図書館をまちのにぎわい作りや活性化につなげようという事例が各地に見られます。



亀山市立図書館は、JR亀山駅の目の前にことし1月に開館しました。

亀山駅周辺は店の数が減るなど空洞化が進み、市が再開発を進めていましたが、新しい区画の正面部分に整備されたのが、4階建ての図書館です。

駅から1キロほど離れた公園からこの場所に移転し、広さは3倍になり、列車を待つ高校生などの利用が増えたということで、1日あたりの利用者数は4倍になりました。

イベントも開催しやすくなり、図書館では「人々がつながる場」として交流の拠点にしたいとしています。



豊橋市まちなか図書館も、亀山市と同じように再開発にともなって新たに整備され、高層ビルの2階と3階に入っています。


明石市の「あかし市民図書館」は、駅前の複合施設の4階にあり、5階と6階には「こども広場」や市の総合窓口があり、同じ建物内でさまざまな公共サービスが受けられます。

これらの図書館は、人が集まる場所になることで地域を支えている実例と言えます。



次は、「蔵書」や、調べ物の相談=「レファレンスサービス」を通じて地域を支えている図書館です。

鳥取県立図書館は「仕事とくらしに役立つ図書館」を柱の1つに掲げ、20年近くにわたって「課題解決」に向けたサービスの充実を図ってきました。

最初に目に入るのが、「暮らしの困りごと解決ナビ」というチラシ置き場に、「相続」や「インターネットトラブル」など、さまざまなチラシが用意され、関連図書や棚の場所、さらには相談窓口などが記されています。


館内にはテーマ別のさまざまなコーナーがあり、ビジネスや子育て支援、がん患者の手記などをそろえた「闘病記文庫」もあります。

ただ、図書館で得られる情報だけで課題が解決するとは限りませんので、そこで力を入れているのが、ほかの機関との連携です。


ビジネス関連では、日本政策金融公庫や中小企業診断士、経営相談所の「よろず支援拠点」などと定期的に無料相談会を開いています。

もう1つ重視しているのが、市町村などの図書館との連携です。



そして、「地域を支える」という視点で欠かせないのが、図書館と関わる地域住民の活動です。

岡山県瀬戸内市に2016年にオープンした「瀬戸内市民図書館」は、3つの町が合併してできた瀬戸内市の中核となる図書館で、「もみわ広場」という愛称があります。

 「もみわ」は図書館の基本理念、「もちより・みつけ・わけあう」のことで、疑問や課題を「持ち寄る」、解決策や展望を「見つける」、その発見や気づきを「分け合う」、という意味です。

  図書館が目指すものではなく、利用する側の行動を記しています。


  この図書館は、作るときから市民が主体的に関わっていて、自分たちの図書館をどのようにしたいか、建設前から開館までに「としょかん未来ミーティング」という会議を12回開催し、希望する市民は誰でも参加でき、意見を出し合いました。


  一つ一つは地道な取り組みかもしれませんが、まさに地域文化を下支えする役目を果たしていると思います。
posted by 川上義幸 at 08:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年05月17日

園遊会

  天皇皇后両陛下主催の園遊会が令和になって初めて、先週11日に5年ぶりに開催されました。

  招待された人たちは、両陛下や皇族方と和やかなひとときを過ごしたということです。



  園遊会は、天皇陛下と雅子さまに皇族方が続いて歩き、道沿いに並んだ招待客とお話しされながら進行します。

  コロナ禍の前までは食事やアルコール類などが提供されていましたが、今回は感染防止のためソフトドリンクのみだったようです。

  陛下や雅子さま、皇族方のお話がもてなしの中心となり、例年とは異なる園遊会でしたが、雅子さまのおもてなしはひときわ光り輝いていたといいます。



  4年半ぶりとあって、天皇陛下と雅子さま、皇族方のお出ましに、東京・赤坂御苑に集まった約1千人の各界の第一人者やその伴侶たちが心を躍らせていた開催を待っていましたが、13時、あたりが暗くなり、雲行きが怪しくなってきたようです。

  実際に予報よりも早めに雨が降ってきて、例年なら14時10分過ぎには両陛下を先頭に皇族方が赤坂御苑の丘の上に並ばれるのですが、時間になっても出てこられません。

  雨のために予定より遅れた形でのスタートとなりました。



  淡い水色の着物をお召しになった雅子さまを筆頭に、女性皇族方は和装でお出ましになり、華やかな装いの美しさに、招待客からもため息が漏れていたようです。

  しかし、両陛下と招待客の交流が始まると、いったんやんだ雨足が再び激しくなり、傘を差されてのご懇談となりました。

  突然の雷雨に現場が混乱気味で十分な対応ができないでいた一方で、雅子さまはお召し物を濡らしながらも、招待客の接遇に奮闘されていたのが印象的だったということです。


  春の園遊会でのご交流のご様子からは、天皇陛下と雅子さまが目指されている“国民の中へ”という思いを感じられます。



  さて、副知事をしていた平成18年にこの園遊会に行く機会に恵まれ、私は黒のモーニングコート、妻は訪問着といういでたちで出席しました。

  その日も雨は降りませんでしたが、曇り空のすっきりした天気ではなかったことを思い出します。

  庭園を散策したり、野外に設置されたテントには軽い食事や飲み物が用意されていて、一通り試食させていただいたように思います。

   短い時間でしたが、貴重な体験をさせていただきました。
CIMG0359.JPG
posted by 川上義幸 at 15:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年05月15日

超ソロ社会

  これからの日本社会はどうなるのか。

  独身研究家は「将来の日本は人口の半分が独身者となる超ソロ社会になる。未婚化と少母化が進む限り、この流れは止められない」といいます。



  高齢者以上に「独身者」が増え続けていて、日本は人口の半分が独身者となる超ソロ社会になるということです。 

  日本が世界一の超高齢国家であることは周知のとおりですが、2020年時点の国勢調査段階における65歳以上の高齢人口は約3600万人です。

  しかし、15歳以上の配偶関係別人口、未婚・離別死別を合わせた全独身人口を割り出すと、約4930万人になり、約5000万人が独身なのです。  

  高齢人口より独身人口が多い「超独身国家」といえます。



  国立社会保障・人口問題研究所の2018年時点の推計では、2040年は有配偶者53%に対して、独身者47%とほぼ半々となるとしています。  

  有配偶人口が2000年をピークに減少しているのとは対照的に、独身人口は1980年代から急速に増加しています。

  若い未婚人口の増加だけではなく、長寿化による高齢独身の増加もあるからです。

  有配偶人口が減るのは致し方ないとして、それでなくても、2020年の生涯未婚率(50歳時未婚率)は男性が28.3%、女性17.8%とこれも過去最高です。  

  婚姻件数は、もっとも多かった1972年の約110万組に対して、2021年は約50万組と半減以下で、結婚が少なくなれば出生数も減るのは当たり前です。



  政府は少子化対策と称して、「子育て支援の充実」を声高に叫びますが、残念ながら、子育て支援は直接的な少子化対策にはなりません。

  現在の母親が決して子どもを出産していないわけではなく、今でも結婚した夫婦は2人以上の子どもを産んでいて、一人の母親が産む子どもの数の比率は1980年代とほぼ変わっていないようです。

  むしろ3人以上の出産の比率は、第二次ベビーブーム期の1970年代より多いといいます。

  少子化ではなく少母化で、出生数が減るのは、子を産む対象である49歳以下の女性の絶対人口が減っているからです。


  その直接の原因は、1990年代後半に来るはずだった「消えた第三次ベビーブーム」によるもので、ただでさえ未婚化で結婚する女性の数が減っているのに加えて、絶対人口そのものが減っているのですから、どう逆立ちしても出生数が増えるはずがないのです。

  少子化による人口減少の危機が叫ばれますが、そもそも日本の総人口自体がすでに減少しはじめており、その大きな要因は少子化よりも高齢者の多死化によるものでもあります。  



  未婚化、少母化、高齢者の多死化という3つの要素によって「ソロ社会」は不可避な現実となります。

  これは、子どもの数の減少であるとともに、家族の数の減少にもなり、婚姻減、出生減なのだから当然の帰結です。

  単身世帯が増え、独身が増える、まさに社会の個人化です。
posted by 川上義幸 at 17:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年05月13日

自然豊かな吹上御苑

4月23日、ふだんは立ち入ることができない、皇居の吹上御苑で、自然観察会が開かれました。

新型コロナウイルスの影響で、中止になった2020年に申し込んで当選した約80人が、国立科学博物館の研究員の案内で、森の中を散策しました。



この吹上御苑は、皇居の西側に位置し、皇居全体のおよそ5分の1を占めていて、この広大な敷地に、多くの緑が残されている皇居のなかでも、特に多様な生物を育んでいるのが、この場所です。

皇居では、1996年以降、国立科学博物館による調査が行われ、これまでに5903種類の動植物が確認されています。

上皇さまが、都心にありながら多くの種が生息する皇居内の動植物について、科学的に調査・研究して、正確な記録を残すことが望ましいと願われたことが調査のきっかけで、継続して行われています。



これまでの調査で、絶滅危惧種や新種も発見されています。

鮮やかな黄色い花を咲かせるヒキノカサは、かつては日本中で見られたものの、今では絶滅のおそれがあります。

平地のヨシや浮草のあるやや深い池などに生息するというベニイトトンボは、東京23区内では絶滅したと思われていました。



皇居では、さまざまな鳥類が生息し、国立科学博物館などの調査では、年間50種前後の鳥類が確認され、繁殖する鳥の種類が増えてきていることも分かってきました。

1970年代に繁殖したヤマガラやヒヨドリに加えて、1980年代にはコゲラやメジロ、1990年代には、青く美しい姿から「渓流の宝石」とも呼ばれるカワセミが繁殖するようになったと言われています。

2000年代に入ってからはオオタカ、2010年代にはウグイスなどの繁殖も確認されました。

都心で猛きん類の繁殖がまとまって確認されるのは珍しいということです。



この自然豊かな吹上御苑ですが、実は、もともとは森ではありませんでした。

宮内庁によりますと、江戸時代初期には、徳川御三家の屋敷などが建っていましたが、江戸の街の大半が焼けた「明暦の大火」以降は、防火のため屋敷などは建てないようにし、のちに庭園として整備されるようになったということです。



ここまで豊かな自然があるかというと、そこには昭和天皇の意向がありました。

戦後、武蔵野のような自然を取り戻すことを意識して、昭和天皇の住まいの御所がある吹上御苑を、できるだけ手をかけない形で管理するようになったといいます。

その結果、シイやカシなどの鬱蒼とした森林、落葉樹を主体とした明るい林や、小湿地などの水辺といった多様な環境がある、今の姿になったのです。



「皇居の豊かな自然を国民と分かち合いたい」という上皇ご夫妻の意向を受けて、自然観察会が始まったといいます。

今回4年ぶりに開催された観察会では、参加した人たちが都心ではほとんど見られなくなった自然を楽しんだようです。

posted by 川上義幸 at 16:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年05月12日

日本食、タイ富裕層に人気

  東南アジア・タイの街なかを歩くと、日本食レストランあちこちで見かけるようになったといいます。

  コロナ禍にもかかわらず、この1年でも1000店近く増え、その数は5300店あまりになっています。

  今、東南アジアでは「OMAKASE」という日本語がそのまま浸透し、特別な食の体験を指すものとして人気が高まっています。



  タイでも、日本人ではなくタイ人の経営者が手がける、本物志向の高級日本料理店が増えています。

  首都バンコク中心部にある店は、完全予約制で富裕層のタイ人に大人気で、メニューは日本の旬の食材を使った「OMAKASE」のコース2種類のみで、人気なのは1人7000バーツ、日本円で3万円近くする、値段が高いコースです。

  料理長は日本の有名店で腕を振るってきた日本人で、日本で働くよりも高い報酬を条件にヘッドハンティングされています。

  何度も日本を訪れ、本物の味を知るタイ人が増える中、日本国内の店にも負けないレベルだと胸を張ります。



  バンコク中心部にある市場に並ぶ長崎県産のタイや天然のヒラメ、愛媛県から届いた生の本マグロなどの新鮮な魚が日本各地から週に数回空輸されます。

  日本中の生産者と連携していて、早いものは水揚げの翌日にはタイに到着し、高級ホテルや日本料理店などの料理人、さらには舌の肥えた市民も直接買いに訪れます。


  いま、タイ人たちが求めるのは「本物の味」です。

  価格は日本で買うよりも平均で2.5倍高いものの、売り上げの8割はタイ人で、富裕層を中心に人気を集めているといいます。

  この前、日本に行ってきたよというタイ人が多く、日本についてかなり詳しく、本当においしく、価値がある物にお金を払って楽しむ人が多いようです。



  タイの人々の手によって進化するタイの日本食、これに伴って、店で出す日本の食材をタイ国内で作る動きも広がっています。

  これまでタイでは日本の米や野菜の生産が進んできましたが、日本原産のわさびまで作るようになりました。



  日本食料理店の拡大・進化に伴って、日本の食材だけでなく、足りなくなっているのが日本食の料理人です。

  タイでは食材だけでなく、人材の育成もタイ人によって進められています。



  タイでここまで日本食が進化する背景は何なのか。

  背景には、経済成長で生活が豊かになって、旅行や外食にお金をかけられるようになった分厚い中間層の存在があります。


  日本に来るタイ人は、2019年には131万人を超え、10年前のおよそ7倍に増えています。そのうち7割は何度も日本を訪れているリピーターだといいます。

  かつての日本食市場は、タイに進出する日本企業の日本人駐在員などをターゲットにしたものでしたが、現在は日本へ旅行したタイ人によって本物の日本食のニーズが高まり、現地で進化し発展を続けているようです。
posted by 川上義幸 at 16:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年05月11日

育て方改革

今年も研修等を終え、多くの職場に新入社員が配属されています。


若手の育て方を巡っていまの管理職の皆さんは大変なようで、働き方改革と並び、“育て方改革”を迫られているようです。



ある企業で、「負荷」のかかり方が本人の成長実感にどのように影響するかを調査したものがあって、19〜21年卒の社員に尋ねた結果と、10〜14年卒社員に入社1年目の状況ついて聞いた結果を比較したものがあります。

新しく覚えることが多い、自分の業務が難しいといった負荷(「質的負荷」という)が高いほど成長実感が増すのはどちらもそうでした。

違いが出たのは、上司や先輩の指導が厳しい、人間関係のストレスがあるといった、「関係負荷」で、10〜14年卒は負荷が高くても成長実感には影響がみられなかったものの、19〜20年卒は関係負荷が高まると成長実感が低下していました。


このような若手変化の背景に、新卒者を募集する企業は応募者から求めがあれば一定の職場情報の開示が義務付けされたこと、パワーハラスメントの防止措置をとることが義務付けられたこと、終身雇用が崩れ自分のキャリアは自分で切り開く必要があるとの自覚を若手社員がもち始めたことがありそうです。

このことが上司らとの距離感を採ることにつながったとみられます。



日本企業の特色であり強みでもあった計画的な職場内訓練(OJT)の停滞が目立つといいます。

背景にあるのは指導役の上司らが自分の仕事で忙しく、若手を鍛える時間を取りにくくなっことを指摘されます。


そこでカギを握るのが外部の力の活用が挙げられています。

社員が刺激を受ける機会は兼業・副業、社外での勉強会、ボランティア活動など会社の外に広がっています。


一方社内でも、所属する職場以外の社員との活発な交流は、人材育成効果が見込めるというわけで、ソニー
グループはオフィスに、社員が自発的に勉強会やワークショップ、講演会などを開くスペースを開設しています。

日立製作所は、ジョブ型人材マネージメントの浸透に力を入れています。



日常業務の基本的なことはきちっと指導しなければなりませんが、「俺についてこい」といった流儀や、若手を身近において「背中で教える」というやり方が、今の時代にそぐわなくなってきたことも確かなようです。

これまで企業は垂直的な関係だけで若手育成を考えてきましたが、これからは水平的な関係に向けての「育て方改革」が求められているといいます。
posted by 川上義幸 at 10:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年05月09日

海のない長野でサーモンが

  先月、軽井沢町で開かれたG7外相会合の「ワーキングディナー」で、信州サーモンが握りずしなどでふるまわれました。

  去年、アメリカのバイデン大統領が来日した際の岸田総理大臣との夕食会でもムニエルとして出されていて、その知名度は確実に上がっています。



  信州サーモンは10年かけて長野県が開発し、平成16年4月に承認された養殖魚です。

  稚魚から約2年で、全長が50〜60cm、体重は1.5〜2kgに成長します。

  脂身が少なく、かみ応えもしっかりとしていて、くさみのない味がどんな料理にも合うと評判です。


  長野県ではもともとニジマスなどのマスの養殖が盛んでしたが、1970年代以降、ライフスタイルの変化もあり、生魚の需要が増えました。

  こうした中、飲食店や旅館業者から生で提供できる長野県独自の魚でおもてなしをしたいという声があり、開発が始まりました。


  信州サーモンは、それまで広く養殖されていたニジマスと、病気に強いブラウントラウトをかけあわせた魚です。

  このかけあわせによって卵を産まなくなり、その分栄養を体に蓄えてうまみが凝縮されるといわれています。

  ニジマスもブラウントラウトもサケ科の魚で、海を泳ぐサケのような身の紅さをもつことから、“信州サーモン”と名付けられました。



  信州サーモンの価値を高めるため、地域ブランドの商標を獲得し、長野県で生産された正真正銘の信州サーモンであることを示すシールも作成し、出荷時に貼るなどしてブランド化を図りました。

  どのホテルでもレストランでも信州サーモンがメニューに入ることが増え、長野県に来たら信州サーモンということが定着し、ブランド化はうまくいっているようです。



  松本市のフランス料理店のシェフの田邊さんは、「透き通ったような味がします。きめが細かくて色もきれいですし、脂もそんなに多くないです。刺身もいいですが、ムースやフライにもソテーにもできますし、いろんなものに合わせられて、料理人としては扱いやすい食材です」といいます。

  田邉さんが作った信州サーモンの料理は、去年9月、日本航空の国内線のファーストクラスで提供され、レストランで提供している信州サーモンをパイで包んだ料理は、ことし6月からJR東日本の豪華寝台列車のランチでも登場する予定です。

  客の反応も上々のようです。
posted by 川上義幸 at 16:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年05月08日

ホテルが休館日

今年の連休は都心部も観光地もホテルが満室だったようです。

新型コロナウィルス感染が落ち着いてきて、ホテル業界は久しぶりに活況を呈してきたようですが、新たな悩みが出てきました。



松山市の状況を例にあげると、「ホテルはいつでも営業している」と思っていましたが、松山市のあるホテルは、新たに「休館日」を設けることにしたといいます。

松山を代表する観光地、道後温泉にあるホテルは春休みの期間中、ほぼ満室の日が続いていましたが、このホテル、今年4月からほぼ毎月、休館日を設けることにしました。

理由は深刻な人手不足といいます。


派遣社員やアルバイトの採用を増やそうとしていますが、求人の募集を出しても応募が少なく、時給を大幅に引き上げたくても簡単ではありません。

春休みシーズンの3月は、大学生アルバイトをのべ100人ほど集め、何とか乗り切ったものの、飲食業などとの人材獲得競争は厳しく、人手不足は長期化する様相です。

「休館日」を導入するねらい、それは労働環境を改善させて「働きたい職場」にすることにあります。

宿泊業は連休がとりにくい業態とされますが、休館日があれば従業員はまとまった休みを取れるようになります。

もちろんその分売り上げは減りますが、働き方改革として進めることで、従業員の定着も図りたい考えです。



JR松山駅前のビジネスホテルですが、新型コロナで出張の需要が激減した影響を受けて、一時は1億円近い債務超過に陥り、人員削減も行いました。

去年以降は国の支援策もあって業績は回復しましたが、従業員を募集しても集まらないことに頭を悩ませています。

そこで苦肉の策として導入したのがロボット掃除機です。

レストランの掃除はこれまで従業員が30分以上かけて行っていましたが、今は完全自動の掃除機が拭き掃除
までやってくれます。



390年余りの歴史があり、明治時代には夏目漱石や渋沢栄一なども宿泊した道後温泉の旅館の老舗旅館はというと、デジタル化に力を入れています。

デジタルで一括管理すれば、従業員の事務作業量を減らすことができ、老舗旅館らしい接客に注力できるのではないかと期待しています。



コロナ禍の長期化に人手不足も加わって事業の継続を断念したホテルもあります。

松山市中心部にあり、大小の宴会場や地元のホテルでは珍しかったチャペルも備えた老舗シティホテルは、ことし6月で営業を終了することになりました。

コロナ前は年間7億円ほどあった売り上げが、コロナ禍では2億から3億円ほどに激減し、毎年およそ1億円の
赤字となっていました。

ことしに入って売上げは好転したものの、光熱費は大幅に上昇し、人手不足で人件費が高騰したことも経営への打撃となったと言います。

こうしたことから、客足は戻っていたものの、事業を終了する決断をしたということです。



旅行需要が回復する一方で、事業者が直面する人手不足などの課題ですが、いかに乗り越え、自社の業績の回復につなげていくことができるのか、事業者はいま大きな岐路に立たされているとも言えそうです。

posted by 川上義幸 at 17:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年05月06日

企業の災害予報への参入

  今日は久しぶりにまとまった雨が降っています。

  明日、明後日と錬ちゃんゴルフの予定ですが、今日のような降り方になるとキャンセルしないといけないかもしれません。



  さて、気候変動で増える集中豪雨の「想定外」をなくす防災テックが注目を集めています。

  「防災テック」とは、「防災」と「テクロノジー」を掛け合わせた造語です。

  自然災害の発生予測、現場の状況確認、災害時の情報通信、被災者の生活支援など、災害によって発生する様々な問題をテクノロジーで解決することを指しています。



  スタートアップのスペクティやNTTアドバンステクノロジなどはそれぞれ、千年に一度よりも発生確率が低い稀な豪雨の予測にめどをつけ、企業の災害予報への参入を促す法改正の後の事業化を視野に入れています。

  近年、気候変動の影響で同じ地域で豪雨が数時間続く線状降水帯などの被害が相次いでおり、スペクティはAIやSNSを使い、浸水範囲を9割以上の精度で予測するサービスを2024年初夏にも始めます。

  AIがSNSに投稿された浸水した建物の画像や、防災用カメラによる河川や道路の画像をもとに浸水の状況を判定します。



  また、気象庁の降水量予報や地形データも使い、浸水の広がりや推進を予測します。

  都市部を中心に数万年に一度といった稀な極端な大雨でも高精度のハザードマップを作れるといいます。

  精密なデータをもとにした取り組みを進めるのは、NTTアドバンステクノロジや東芝などで、利用する新型気象レーダーは2種類の電波を使い雨粒の大きさと数を捉え、1種類の電波を使う通常のレーダーよりも誤差が小さくなります。



  また、河川の氾濫に注目した取り組みを進めるのは日立製作所で、支流などが逆流して起きる内水氾濫を予測する技術を開発しました。

  実際の降水量や浸水被害、予測データから素早く高精度のハザードマップをつくれれば、安全な非難の実現につながります。



  政府は2019年度発表のAI戦略で、自然災害に強いまちづくりを進める考えを示し、AIで被害情報を集めて解析し、避難情報提供して被害を抑える計画です。


  近年、異常気象によりこれまで想定しなかった降雨に見舞われることが多くなり、国は「流域治水」を掲げ、地域の人たちと連携して総合的な治水対策を目指していますが、これからは各種対策の基本となるテクノロジーの活用は不可欠になります。
posted by 川上義幸 at 16:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年05月05日

子どもファーストトラック

今日は子どもの日、政府は少子化対策の一環として、子連れの人が窓口で並ばないようにする「こどもファスト・トラック」と呼ばれる取り組みの普及を図るとしています。


少子化対策のたたき台に、社会の意識改革の一環として、国立博物館などの国の施設で、子連れの人が窓口で並ばず、優先的に入場できる「こどもファスト・トラック」を新たに設け、ほかの公共施設や民間施設にも広げていくことを盛り込みました。



その普及を図るため、関係省庁の担当者を集めた会議の初会合が開かれ、これまでの取り組み例として、東京の新宿御苑で花見で混雑する時期に専用の入り口を設けたことや、一部の自治体が運転免許やパスポート申請の手続きの優先窓口を設けていることなどが報告されました。

小倉こども政策担当大臣は「どこが開放しやすいかではなく、子どもや家族連れがどこに行きたいか、何をしたいかを起点にするよう心がけてもらいたい」と行政側の都合ではなく、子どもや家族連れの意向をくみながら取り組みを進めていくよう要請しました。

今後、民間の取り組みも含めてホームページで公表するとともに、ことし夏をめどに、民間企業などとも連携して、周知・広報活動を展開することにしています。



これから暑くなって、子ども連れで長い時間並ぶのは大変になってきますから、子ども連れや妊娠中の女性が列に並ばず入場できるようにしようという、 「こどもファスト・トラック」はいわば子連れ優先レーンということになります。


すでに一部で始まっていて、たとえば東京の新宿御苑では先日、花見の時期に設けた所、一日3000人の利用があったといいます。

今後、政府としては連休や夏休みに向けて、国の博物館や美術館、それに自治体の施設などにも協力を求めて増やしていく方針です。

こどもが行きたい所で作ることになるでしょうから、そうなるとやはり、テーマパークや遊園地、水族館やスポーツイベント、などの民間の施設や催しが欠かせません。



しかし、この取り組みをもっと増やしてほしいという声がある一方で、なぜ、子どもだけを特別扱いするのか、障害者や高齢者の人たちへの配慮はどうするのか、という声もあがってます。

大事なのは、この取り組みが本来目指しているのはこども連れに優しい社会であるのと同時に、
“人にやさしい社会”ということだということです。


この連休で、この動きに広がりを見せたのでしょうか。
posted by 川上義幸 at 19:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年05月04日

博多どんたく

  ゴールデンウィークの我が国最大規模のお祭りとなった「博多どんたく」は、新型コロナウィルス感染症の影響で2度の中止を余儀なくされましたが、3年ぶりの開催となった今年はいつものようにたくさんのお客さんで賑わいを見せました。


  明治通りではパレードが実施され、市内に39カ所に設けられたどんたく演舞台では踊りや演奏などが披露されました。

  老若男女、幅広い層の方が参加されていて、リタイア後の趣味で始められたような方もいるようでした。

  多少ぎこちなさや恥ずかしさもあるようでしたが、常日頃練習を重ねられた成果を一生懸命演じておられました。


  この二日間、福岡市全体がテーマパーク化されているようで、今年もこの時期の来客数は日本一ではないでしょうか。



  「博多どんたく」は、我が国の古い民俗行事「博多松囃子」(国指定重要無形民俗文化財)を起源としています。

  「どんたく」の名称は、明治時代に一時禁止されていた「松囃子」を復活させる際に呼ばれ始めたもので、オランダ語のZondag(休日)がその語源といわれています。

  戦後の昭和21年5月「松囃子」と「どんたく」が8年ぶりに復活しました。

  肩衣を紙で作り、馬はハリボテを首から胸に下げ、三味線、太鼓など戦災を逃れた店や家々から駆り集め、“博多どんたく”の囃子をがれきの町に響かせながら練り歩いたことが、復興へ大きな勇気を与えたといわ
れています。


  そして昭和37年、“どんたく”は、市民総参加の「福岡市民の祭り 博多どんたく港まつり」となり、今回で62回を数え、全国でも有数の祭りに成長しました。

  7月に実施される山笠と並んで、博多の元気度を示す祭りとなっています。
DSC_0284 (002).JPG
DSC_0288 (002).JPG
posted by 川上義幸 at 17:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年05月02日

ランドセル

令和4年度に小学校に進学した児童のいる全国の保護者1500人に聞いたアンケート調査では、購入したランドセルの平均価格は5万6000円余りで、4年前と比べておよそ4000円上昇していました。

祖父母が購入した割合がおよそ55%を占め、孫への入学祝として装飾が付いたものや高価な素材でできたランドセルが選ばれる傾向にあるほか、少子化で子ども1人にかけられる費用が増えていることが要因とみられています。



富山県立山町では、 リュックサックの無償配布事業を行っています。

町長は「ランドセルを手に入れるのに苦労されている家庭がある。それなら、リュックサックをすべての児童に配ることで保護者が助かるのではないかという思いで始めた。子どもにさみしい思いをしてほしくない。経済的に余裕のある家庭は、ランドセル以外の自転車やヘルメットなど子どもの生活や学びに使ってもらえれば」と話します。


このリュックサックは、ランドセルと同じA4サイズが収納でき、ナイロン素材のため本体の重さがおよそ930グラムと従来の皮革製のランドセルと比べてとても軽いのが特徴です。

ランドセルを連想させるデザインと機能性の高さから、全国から購入を希望する声が多く寄せられ、去年12月に一般に発売されましたが、注文が殺到し生産が追いついていないなど大きな反響を呼んでいます。


一方で、配布されたリュックサックではなく、ランドセルで登校した児童も多くいたそうで、立山中央小学校の入学式では、全体のおよそ7割がランドセルでした。


また、ランドセルに代わるかばんを配布した自治体はこれまでもありましたが、配布したカバンしか使えないとしたことで、「家族で選びたかったのに」とか、「お祝いだからこちらであげたかったのに」という声が出て、保護者に受け入れてもらえなかったケースが多かったとのことです。

ランドセルが文化として根付いているため、保護者が選べる自由を奪うと、受け入れてもらえないところがあります。



立山町の今回の取り組みは、配布したリュックサックの使用を限定せず、“ランドセルを使ってもよい”としたところが、ランドセルの特殊な性質を理解したいい取り組みといえそうです。

立山町から始まったリュックサックの無償配布事業は、その後ほかの自治体にも広がりを見せています。

今回の立山町の取り組みは、ランドセル以外の新たな選択肢としてリュックサックを具体的に提示したことや、無償配布することで、子どもの生活や学びにより多くの資金を充てられることから、大きな意味があると言えそうです。



リュックサックが今後、広がりを見せるか注目されますが、なによりも、ランドセルでもリュックサックでも、子どもがお気に入りのカバンを背負って楽しく通学できることが1番大切かもしれません。
posted by 川上義幸 at 14:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年05月01日

ホテルが休館日

「ホテルはいつでも営業している」と思っていましたが、松山市のあるホテルは、新たに「休館日」を設けることにしたといいます。


松山を代表する観光地、道後温泉にあるホテルは春休みの期間中、ほぼ満室の日が続いていました。

このホテルの客室の数はおよそ130で、200人以上を収容できる宴会場もある地域最大規模の施設です。

このホテル、今年4月からほぼ毎月、休館日を設けることにしたのですが、理由は深刻な人手不足といいます。


派遣社員やアルバイトの採用を増やそうとしていますが、求人の募集を出しても応募が少なく、時給を大幅に引き上げたくても簡単ではありません。

春休みシーズンの3月は、大学生アルバイトをのべ100人ほど集め、何とか乗り切ったものの、飲食業などとの人材獲得競争は厳しく、人手不足は長期化する様相です。


そこで、4月から休館日を設けることにしたようで、今年度の休館日は37日間です。

「休館日」を導入するねらい、それは労働環境を改善させて「働きたい職場」にすることにあります。

宿泊業は連休がとりにくい業態とされますが、休館日があれば従業員はまとまった休みを取れるようになります。

もちろんその分売り上げは減りますが、働き方改革として進めることで、従業員の定着も図りたい考えです。



一方、JR松山駅前のビジネスホテルですが、新型コロナで出張の需要が激減した影響を受けて、一時は1億円近い債務超過に陥り、人員削減も行いました。

去年以降は国の支援策もあって業績は回復しましたが、従業員を募集しても集まらないことに頭を悩ませて
います。


そこで苦肉の策として導入したのがロボット掃除機です。

レストランの掃除はこれまで従業員が30分以上かけて行っていましたが、今は完全自動の掃除機が拭き掃除までやってくれます。



390年余りの歴史があり、明治時代には夏目漱石や渋沢栄一なども宿泊した道後温泉の旅館の老舗旅館はというと、デジタル化に力を入れています。

デジタルで一括管理すれば、従業員の事務作業量を減らすことができ、老舗旅館らしい接客に注力できるのではないかと期待しています。



コロナ禍の長期化に人手不足も加わって事業の継続を断念したホテルもあります。

松山市中心部にあり、大小の宴会場や地元のホテルでは珍しかったチャペルも備えた老舗シティホテルは、ことし6月で営業を終了することになりました。

コロナ前は年間7億円ほどあった売り上げが、コロナ禍では2億から3億円ほどに激減し、毎年およそ1億円の赤字となっていました。

ことしに入って売上げは好転したものの、光熱費は大幅に上昇し、人手不足で人件費が高騰したことも経営への打撃となったと言います。

こうしたことから、客足は戻っていたものの、事業を終了する決断をしたということです。



旅行需要が回復する一方で、事業者が直面する人手不足などの課題ですが、いかに乗り越え、自社の業績の回復につなげていくことができるのか、事業者はいま大きな岐路に立たされているとも言えそうです。
posted by 川上義幸 at 16:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記