水素は、燃やしても二酸化炭素を出さないクリーンなエネルギーとして注目が集まります。
水素社会の実現を目指す政府は今月、6年ぶりに「水素基本戦略」を改定し、今後15年間で官民で15兆円を超える投資を行う方針を示しました。
この改定を追い風に水素事業の拡大を目指しているのが山梨県で、実は山梨県はいま、水素を作る技術で全国有数の研究拠点となっているようです。
そもそもなぜ、山梨県は水素を作りはじめたのかというと、その理由は、太陽光発電で余った電気を有効活用するためでした。
日照時間が長い山梨県では太陽光発電が盛んですが、発電量は天気任せで、日ざしが強かったり、電気の需要が少なかったりする日は、発電しすぎて余った電気がムダになってしまいます。
水電解装置は、この余った電気で水を分解し、水素を作ります。
水素の将来性に早くから注目し、水電解装置の開発に乗り出した山梨県でした。
最大の強みが、水素を製造する効率の高さで、装置の心臓部と呼ばれる部分には、長年、県とタッグを組んできた大手繊維メーカーの東レが開発した特殊な素材を使用し、水素の製造量が飛躍的に向上しました。
山梨県などが開発した水素製造装置はこれまでに、大手飲料メーカーなど国内企業4社が導入を決定。
この水電解装置をめぐっては、水素社会の実現を目指す政府も高い関心を示しており、今月6日、6年ぶりに改定された政府の「水素基本戦略」では、新たな戦略の中で、水電解装置の技術は、「戦略分野」の1つに指定され、研究開発や量産に向けて重点的に支援が行われることになりました。
山梨県は今後、政府の支援を追い風に県の水電解装置の導入を拡大していきたいとしています。
しかし、装置の普及には課題もあります。
それが海外勢の急激な成長です。
日本よりも再生可能エネルギーの普及が進むヨーロッパでは、水電解装置の導入計画が次々と浮上し、国をあげて技術開発を進めていて、装置の量産や大型化といった分野ではすでに日本が遅れを取りつつあります。
専門家は山梨県が水電解の分野で勝ち残っていくためには、先行する海外への進出が欠かせないと指摘します。
2023年06月30日
2023年06月29日
デパートがなくなる
65年余りの長きにわたって市民生活を支え、JR松江駅前のシンボルでもあった「一畑百貨店」が、2024年1月に閉店することが決まりました。
島根県唯一のデパートがなくなり、全国で3例目の“デパートゼロ県”に…
一畑百貨店は1958年、松江市に開店し、日常の買い物はもちろん、毎年恒例のお中元商戦に、年始の初売り、地域の特産をそろえた物産展に、伝統文化を発信する企画展も開催しました。
半世紀余りにわたって市民の生活を支え、地域経済の成長をリードしてきて、1998年には今のJR松江駅前に移転し、2002年には売り上げが100億円を超え、絶頂を迎えました。
しかし、時代の移り変わりとともに、“地方都市ならではのデメリット”が次々と襲いかかり、その栄光は陰りを見せ始めることになります。
人口減少に歯止めがかからない過疎県・島根。
総人口は2024年にも65万人を割り込む推計となっています。
市場規模が縮小の一途をたどる中、近年、周辺には大型ショッピングセンターが進出し、若者向けの映画館やゲームセンター、巨大な駐車場も備えたライバルの出現に加え、コロナ禍におけるネット通販の普及で集客力は伸び悩みました。
電気代の高騰が、厳しい経営環境にとどめを刺したようで、電気代の高騰分だけで、年間4000万円以上のコストが増加する見込みだといいます。
また、物価高騰を反映して実質賃金が減り続ける中、高価なブランド品を扱う百貨店への客足はより遠のく形となりました。
中小企業が多い島根では、都会と比べて給与水準が低いため、その影響はより顕著に出ているようです。
百貨店が1つもない“デパートゼロ県”は、山形、徳島に続いて3例目となる見通しです。
百貨店をめぐる苦境は、島根に限らず、全国の地方都市でも浮き彫りになっています。
百貨店が県内に1店舗しかない“デパートゼロ県”の予備軍は、島根を除き全国で16県にのぼるといい、佐賀も心配です。
一方、都会に目をやると、状況は全く異なるようで、例えば、大阪の「阪急」では、韓国や香港などからの買い物客による免税の売り上げがコロナ禍前を上回り、2023年1月、過去最高の売り上げを記録しました。
島根県唯一のデパートがなくなり、全国で3例目の“デパートゼロ県”に…
一畑百貨店は1958年、松江市に開店し、日常の買い物はもちろん、毎年恒例のお中元商戦に、年始の初売り、地域の特産をそろえた物産展に、伝統文化を発信する企画展も開催しました。
半世紀余りにわたって市民の生活を支え、地域経済の成長をリードしてきて、1998年には今のJR松江駅前に移転し、2002年には売り上げが100億円を超え、絶頂を迎えました。
しかし、時代の移り変わりとともに、“地方都市ならではのデメリット”が次々と襲いかかり、その栄光は陰りを見せ始めることになります。
人口減少に歯止めがかからない過疎県・島根。
総人口は2024年にも65万人を割り込む推計となっています。
市場規模が縮小の一途をたどる中、近年、周辺には大型ショッピングセンターが進出し、若者向けの映画館やゲームセンター、巨大な駐車場も備えたライバルの出現に加え、コロナ禍におけるネット通販の普及で集客力は伸び悩みました。
電気代の高騰が、厳しい経営環境にとどめを刺したようで、電気代の高騰分だけで、年間4000万円以上のコストが増加する見込みだといいます。
また、物価高騰を反映して実質賃金が減り続ける中、高価なブランド品を扱う百貨店への客足はより遠のく形となりました。
中小企業が多い島根では、都会と比べて給与水準が低いため、その影響はより顕著に出ているようです。
百貨店が1つもない“デパートゼロ県”は、山形、徳島に続いて3例目となる見通しです。
百貨店をめぐる苦境は、島根に限らず、全国の地方都市でも浮き彫りになっています。
百貨店が県内に1店舗しかない“デパートゼロ県”の予備軍は、島根を除き全国で16県にのぼるといい、佐賀も心配です。
一方、都会に目をやると、状況は全く異なるようで、例えば、大阪の「阪急」では、韓国や香港などからの買い物客による免税の売り上げがコロナ禍前を上回り、2023年1月、過去最高の売り上げを記録しました。
2023年06月28日
ジャガイモ
ポテトサラダに肉じゃが、フライドポテト…。
きょうも何かのかたちでジャガイモを食べた方も多いのではないかと思います。
そのジャガイモを原因とした食中毒が、ほぼ毎年のように起こっているということで、梅雨の時期ですので注意したいものです。
食べるときにより注意が必要なジャガイモはどんなものかというと、芽が出ているのは食べてはいけないというのは、なんとなく聞いたことがあるかもしれません。
しかし、緑色のものや極端に小さいイモも注意が必要ということです。
ジャガイモの食中毒の原因は何なのかというと、原因となる毒素は「グリコアルカロイド」と呼ばれる物質です。
代表的なのは「ソラニン」と「チャコニン」いう種類です。
これらは胃や腸などの消化管の働きを必要以上に活発にする作用があり、吐き気や腹痛、下痢などの症状を
引き起こすと考えられています。
ほとんどは軽症で済みますが、強い吐き気など子どもにとってはつらい症状が出ます。
こうした毒素は、植物が虫や菌などの外敵から身を守るために持っていると言われ、たとえば未熟なトマトにも多く含まれています。
毒素が一番多いのが芽で、皮にも比較的多く含まれています。
ジャガイモの毒素は体の中で分解されてたまらないので、問題は一度に食べる「量」にあるようです。
どのくらいなら影響が生じる可能性があるかというと、「体重1kgあたり1mg」以上と言われ、体重50キロの大人だと、50mgです。
この数字だけを示されても、分かりにくいかもしれません。
農林水産省によりますと、芽に含まれている毒素の量は100gあたり200から730mgです。皮だと30から60mg。中身はそれより少なく、4.3から9.7mgです。
ジャガイモは一般的なMサイズが1個、100gくらいですから、皮をむいて食べるとほとんど問題ない一方で、皮つきだとたくさん食べると影響が出る量を超える可能性があります。
それでは、どうすれば食中毒を防げるかというと、光にあたると毒素は増え、日光だけでなく蛍光灯などどんな光でも毒素は増えることが分かっていますので、暗いところで保管する必要があります。また、温度が高いと腐る可能性もあります。
通気性が良い紙袋に移し替えて冷蔵庫の野菜室に置いたり、光に当たらないよう段ボール箱に移し替えて保管したりするのがより適切のようです。
次に食べるときの注意点です。
ポイントは、芽や周りを取り除くこと、とくに緑色に変わっている場合は、普段よりも皮を厚めにむくことが必要です。
ジャガイモの毒素は熱に比較的強いので、調理してもあまり減りませんので、毒素が多い部分を取り除くのがもっとも有効のようです。
きょうも何かのかたちでジャガイモを食べた方も多いのではないかと思います。
そのジャガイモを原因とした食中毒が、ほぼ毎年のように起こっているということで、梅雨の時期ですので注意したいものです。
食べるときにより注意が必要なジャガイモはどんなものかというと、芽が出ているのは食べてはいけないというのは、なんとなく聞いたことがあるかもしれません。
しかし、緑色のものや極端に小さいイモも注意が必要ということです。
ジャガイモの食中毒の原因は何なのかというと、原因となる毒素は「グリコアルカロイド」と呼ばれる物質です。
代表的なのは「ソラニン」と「チャコニン」いう種類です。
これらは胃や腸などの消化管の働きを必要以上に活発にする作用があり、吐き気や腹痛、下痢などの症状を
引き起こすと考えられています。
ほとんどは軽症で済みますが、強い吐き気など子どもにとってはつらい症状が出ます。
こうした毒素は、植物が虫や菌などの外敵から身を守るために持っていると言われ、たとえば未熟なトマトにも多く含まれています。
毒素が一番多いのが芽で、皮にも比較的多く含まれています。
ジャガイモの毒素は体の中で分解されてたまらないので、問題は一度に食べる「量」にあるようです。
どのくらいなら影響が生じる可能性があるかというと、「体重1kgあたり1mg」以上と言われ、体重50キロの大人だと、50mgです。
この数字だけを示されても、分かりにくいかもしれません。
農林水産省によりますと、芽に含まれている毒素の量は100gあたり200から730mgです。皮だと30から60mg。中身はそれより少なく、4.3から9.7mgです。
ジャガイモは一般的なMサイズが1個、100gくらいですから、皮をむいて食べるとほとんど問題ない一方で、皮つきだとたくさん食べると影響が出る量を超える可能性があります。
それでは、どうすれば食中毒を防げるかというと、光にあたると毒素は増え、日光だけでなく蛍光灯などどんな光でも毒素は増えることが分かっていますので、暗いところで保管する必要があります。また、温度が高いと腐る可能性もあります。
通気性が良い紙袋に移し替えて冷蔵庫の野菜室に置いたり、光に当たらないよう段ボール箱に移し替えて保管したりするのがより適切のようです。
次に食べるときの注意点です。
ポイントは、芽や周りを取り除くこと、とくに緑色に変わっている場合は、普段よりも皮を厚めにむくことが必要です。
ジャガイモの毒素は熱に比較的強いので、調理してもあまり減りませんので、毒素が多い部分を取り除くのがもっとも有効のようです。
2023年06月27日
海底ケーブル
携帯の電波やWi-Fiでどんな場所でもつながるサービスを支えているのは、実は世界中に張りめぐらされた海底ケーブルです。
日本列島につながれた海底ケーブルは、日本とつながるものだけでおよそ30本、世界では400本以上にのぼり、総延長は130万キロにおよびます。
スマホやパソコンと携帯の電波やWi-Fiでつながるネットは手元は無線ですが、建物や携帯の基地局から先は有線のケーブルでつながれています。
そして、海を渡り国境を越えてつなげるために使われるのが海底ケーブルです。
かつては通信衛星も使われていましたが、現在は膨大なデータ量とスピードを確保するために、国際通信の99%を海底ケーブルが占めています。
データ量の増加と通信スピードの加速に応じるために、その技術は大きく進化を続けています。
太さは抑えつつ、中身の密度が濃くなるイメージです。
光ファイバーは髪の毛ほどの細さで、最新の技術ではそれを48本束ねて、金属などで頑丈に保護しています。
深海での水圧に耐え、サメにかじられたくらいでは切断されることはないといいます。
その技術は世界の中でも日本企業のレベルの高さが目立っています。
アメリカ、フランスの企業とともに、日本のNECがトップ3を形成し、3社のシェア合計は9割を占めています。
海底ケーブルは実際にはどのように敷設しているのでしょうか、大事なのは最短距離のルートをいかに見極めるかだといいます。
水深1000メートルくらいまでの浅い海では、漁業活動が活発な海域が多く、こうした場所では底引き網にケーブルが引っ張られて切断されるリスクがあります。
また、タンカーのいかりが直撃して損傷することも考えられます。
逆に、4000メートルを超えるような深海では、万が一のトラブルの際の修理の難易度が高まり、復旧に時間がかかってしまいます。
そのため、日本海溝の中でも「渡り廊下」のようにひときわ浅くなっている水深6000メートルほどのエリアを通しているということです。
さらに、台風の通り道を避けるなど、さまざまな環境を考慮しながらルートを設計しているといいます。
しかしそれでも、世界各地で海底ケーブルの切断は頻繁に起きるものだといいます。
その頻度はなんと2週間に1度ぐらい、原因のほとんどが漁船やタンカーによるもので、切断を防ぐためにはルートの選定だけでなく、敷設時にも工夫を凝らしています。
実は、ほとんどの海底ケーブルは1本単独で運用するのではなく、あらかじめわずかにルートを変えて2〜3本をセットで敷設したり、他社のケーブルの一部を借り受けて一体的に運用したりして、万が一切れてしまっても影響が出ないよう備えているといいます。
最近では、その海底ケーブルに新たな荒波が押し寄せています。
それは経済安全保障で、数多くの海底ケーブルが結ばれている台湾の有事の懸念が高まり、地政学的なリスクが意識されるようになってきました。
日本列島につながれた海底ケーブルは、日本とつながるものだけでおよそ30本、世界では400本以上にのぼり、総延長は130万キロにおよびます。
スマホやパソコンと携帯の電波やWi-Fiでつながるネットは手元は無線ですが、建物や携帯の基地局から先は有線のケーブルでつながれています。
そして、海を渡り国境を越えてつなげるために使われるのが海底ケーブルです。
かつては通信衛星も使われていましたが、現在は膨大なデータ量とスピードを確保するために、国際通信の99%を海底ケーブルが占めています。
データ量の増加と通信スピードの加速に応じるために、その技術は大きく進化を続けています。
太さは抑えつつ、中身の密度が濃くなるイメージです。
光ファイバーは髪の毛ほどの細さで、最新の技術ではそれを48本束ねて、金属などで頑丈に保護しています。
深海での水圧に耐え、サメにかじられたくらいでは切断されることはないといいます。
その技術は世界の中でも日本企業のレベルの高さが目立っています。
アメリカ、フランスの企業とともに、日本のNECがトップ3を形成し、3社のシェア合計は9割を占めています。
海底ケーブルは実際にはどのように敷設しているのでしょうか、大事なのは最短距離のルートをいかに見極めるかだといいます。
水深1000メートルくらいまでの浅い海では、漁業活動が活発な海域が多く、こうした場所では底引き網にケーブルが引っ張られて切断されるリスクがあります。
また、タンカーのいかりが直撃して損傷することも考えられます。
逆に、4000メートルを超えるような深海では、万が一のトラブルの際の修理の難易度が高まり、復旧に時間がかかってしまいます。
そのため、日本海溝の中でも「渡り廊下」のようにひときわ浅くなっている水深6000メートルほどのエリアを通しているということです。
さらに、台風の通り道を避けるなど、さまざまな環境を考慮しながらルートを設計しているといいます。
しかしそれでも、世界各地で海底ケーブルの切断は頻繁に起きるものだといいます。
その頻度はなんと2週間に1度ぐらい、原因のほとんどが漁船やタンカーによるもので、切断を防ぐためにはルートの選定だけでなく、敷設時にも工夫を凝らしています。
実は、ほとんどの海底ケーブルは1本単独で運用するのではなく、あらかじめわずかにルートを変えて2〜3本をセットで敷設したり、他社のケーブルの一部を借り受けて一体的に運用したりして、万が一切れてしまっても影響が出ないよう備えているといいます。
最近では、その海底ケーブルに新たな荒波が押し寄せています。
それは経済安全保障で、数多くの海底ケーブルが結ばれている台湾の有事の懸念が高まり、地政学的なリスクが意識されるようになってきました。
2023年06月26日
粘り強い堤防
今週から梅雨空が戻ってきます。
これからは湿った空気が流れ込んで、特に前線の活動が活発になりやすい時期です。
今年も梅雨の末期の集中豪雨は要注意です。
大雨のたび繰り返される河川の氾濫や決壊。
いま被害を少しでも減らそうと、新たな取り組みが始まっています。
今月2日から3日にかけて西日本と東日本で「線状降水帯」が相次いで発生し、記録的な大雨になりました。
静岡県磐田市では敷地川の堤防が決壊して川の水があふれました。
2019年の台風19号では、総雨量が多いところで1000ミリを超え、国や自治体が管理する河川は、実に142か所で堤防が決壊しました。
浸水被害は3万棟。死亡した人は100人を超えました。
この堤防の決壊による浸水被害、毎年のように各地で起きています。
川の水が増えると、やがて堤防からあふれる「越水」が起き、このあふれた水で堤の土が徐々に削られて、最後は一気に水が川の外へ流れ出ます。
堤防は一度決壊すると、越水よりはるかに大量の水が流れ出て、被害が広がります。
これを防ぐには物理的には堤防をどんどん高くして、川底を次々掘り下げ、上流にたくさんダムを造れば、どれだけ猛烈な雨が降ってもあふれ出ず、決壊を防ぐことはできますが、これでは、際限がありません。
そこで、いま国が検討を進めているのが、「粘り強い堤防」という新たな考え方です。
「粘り強い堤防」は、堤防を高くするのではなく強化することで、この決壊までの時間を少しでも長くしようという考え方です。
水があふれてから決壊まで、1時間でも2時間でも伸ばし、住民の避難の時間を確保しようというわけです。
これは「氾濫させない」という河川防災と違い、いわばあふれ出ることを前提としている点で、これまでとまったく異なる考え方です。
これからは湿った空気が流れ込んで、特に前線の活動が活発になりやすい時期です。
今年も梅雨の末期の集中豪雨は要注意です。
大雨のたび繰り返される河川の氾濫や決壊。
いま被害を少しでも減らそうと、新たな取り組みが始まっています。
今月2日から3日にかけて西日本と東日本で「線状降水帯」が相次いで発生し、記録的な大雨になりました。
静岡県磐田市では敷地川の堤防が決壊して川の水があふれました。
2019年の台風19号では、総雨量が多いところで1000ミリを超え、国や自治体が管理する河川は、実に142か所で堤防が決壊しました。
浸水被害は3万棟。死亡した人は100人を超えました。
この堤防の決壊による浸水被害、毎年のように各地で起きています。
川の水が増えると、やがて堤防からあふれる「越水」が起き、このあふれた水で堤の土が徐々に削られて、最後は一気に水が川の外へ流れ出ます。
堤防は一度決壊すると、越水よりはるかに大量の水が流れ出て、被害が広がります。
これを防ぐには物理的には堤防をどんどん高くして、川底を次々掘り下げ、上流にたくさんダムを造れば、どれだけ猛烈な雨が降ってもあふれ出ず、決壊を防ぐことはできますが、これでは、際限がありません。
そこで、いま国が検討を進めているのが、「粘り強い堤防」という新たな考え方です。
「粘り強い堤防」は、堤防を高くするのではなく強化することで、この決壊までの時間を少しでも長くしようという考え方です。
水があふれてから決壊まで、1時間でも2時間でも伸ばし、住民の避難の時間を確保しようというわけです。
これは「氾濫させない」という河川防災と違い、いわばあふれ出ることを前提としている点で、これまでとまったく異なる考え方です。
2023年06月24日
カナダの山火事
米北東部などは、先週山火事の煙による深刻な大気汚染に見舞われました。
煙の流出もとであるカナダ東部の山火事は広範囲に及び、汚染は数日間続いた模様です。
専門家は地球温暖化による異常気象が要因と指摘します。
カナダ当局は高温や異常乾燥などにより、例年の10倍強にあたる面積で火災が起きていると報告しています。
カナダでは例年5〜10月に西部を中心に山火事が頻発しますが、東部でも被害が急拡大しています。
山火事の煙は米北東部などに流入しており、大気汚染が深刻となっています。
山火事の背景にあるのが異常気象です。
カナダ政府の調査によると4月時点で10州すべてが異常気象や干ばつに見舞われており、落雷などで森林火災が一気に広がったようです。
気候変動による気温上昇は様々な形で山火事を起こし、広がりやすくします。
乾燥した落ち葉やコケ類、枯死した植物は一旦火がつくと消えにくいようで、雨を伴わない雷も発生しやすいといいます。
火災で発生した煙が上空で冷やされて雲が発生し、さらに雷雲に発達します。
落ち葉がこすれ合った摩擦熱で火が付くこともあります。
カナダに限らず、今後も大規模な山火事は続きそうで、世界気象機関によると、2015〜2022年は観測史上最も暑い期間でした。
気温上昇は今後も続き、特に高温の影響を受けやすい山火事や台風の大型化などが頻発する見通しだといいます。
煙の流出もとであるカナダ東部の山火事は広範囲に及び、汚染は数日間続いた模様です。
専門家は地球温暖化による異常気象が要因と指摘します。
カナダ当局は高温や異常乾燥などにより、例年の10倍強にあたる面積で火災が起きていると報告しています。
カナダでは例年5〜10月に西部を中心に山火事が頻発しますが、東部でも被害が急拡大しています。
山火事の煙は米北東部などに流入しており、大気汚染が深刻となっています。
山火事の背景にあるのが異常気象です。
カナダ政府の調査によると4月時点で10州すべてが異常気象や干ばつに見舞われており、落雷などで森林火災が一気に広がったようです。
気候変動による気温上昇は様々な形で山火事を起こし、広がりやすくします。
乾燥した落ち葉やコケ類、枯死した植物は一旦火がつくと消えにくいようで、雨を伴わない雷も発生しやすいといいます。
火災で発生した煙が上空で冷やされて雲が発生し、さらに雷雲に発達します。
落ち葉がこすれ合った摩擦熱で火が付くこともあります。
カナダに限らず、今後も大規模な山火事は続きそうで、世界気象機関によると、2015〜2022年は観測史上最も暑い期間でした。
気温上昇は今後も続き、特に高温の影響を受けやすい山火事や台風の大型化などが頻発する見通しだといいます。
2023年06月23日
海面上昇、中国沿岸部に迫る
予測によると中国沿岸部では、2100年までに4300〜5700万人の中国人が満潮時に水面より低い地帯で暮らすことになり、さらに6000万人が沿岸洪水の脅威に毎年さらされる恐れがあるといいます。
また、温暖化ガス排出量が高止まりするという「起こり得る最悪のシナリオ」では、2050年までに中国GDPのうち約32兆元が沿岸洪水の影響を受ける可能性があるという報告書もあります。
海水が温まり膨張するペースは海域ごとに異なり、沿岸部の海面は1993年以降、年平均4ミリ上昇しており、世界平均の3.4ミリを上回っています。
また、西太平洋に面する中国では、年に十数個の台風が南東沿岸部を襲います。
海洋温暖化に伴い、被害はさらに深刻化するとみられます。
海面が高くなれば、台風上陸時の高潮被害は増大する一方です。
40年以上前、ケ小平氏は沿岸都市へ自由主義経済の導入と外資誘致に着手しました。
沿岸の湿地帯とマングローブ林は洪水に対して自然の盾の役割を果たしますが、その半分は破壊されてしまいました。
都市部では持続不能な量の地下水がくみ上げられ、重厚な高層ビルが建てられました。
結果として地盤が沈下し、一部の都市では海面上昇を上回るペースで地盤沈下が進んでいます。
海面上昇はすでに問題を引き起こしていて、海岸線の一部は数十メートル後退し、建物やインフラに損害を与えています。
海水は農地に流れ込んで塩害を引き起こし、飲料水の安全を脅かしています。
沿岸部の当局がこうしたリスクをどこまで懸念しているかは定かではありませんが、ただ、無謀な開発の一部は減速していて、湿地帯やマングローブ林は保護が強化され、一部地域では再び育ちつつあるといいます。
埋め立て事業の承認件数は減り、地下水管理も改善されているようです。
とはいえ、沿岸部の土地は中国で最も価値が高く、当局はこの土地で建設を続ける考えでしょうし、建設された建物を守るため防潮堤に資金を投じなければなりません。
海にいわば「新しい万里の長城」を築くことになり、防潮堤の改修は高さに応じてコストが跳ね上がるため、費用がかさみますし、海面上昇が加速すれば、対策に失敗するリスクは高まります。
海の危険性を熟知している汕頭市ですら、汕頭市の1人当たりGDPは過去20年間で430%も増加し経済的豊かさを追求するあまり、多くの市民は海面上昇による危機感を抱いていないようです。
ケ小平氏による改革開放政策の前後の市中の風景が写真で紹介されていて、広大な湿地帯や泥地は高層ビルや工場に姿を変えています。
展示では市の変遷を「滄海桑田(青海原が桑畑に代わる、世の中の変化が激しいことを意味する)」と表現しています。
危険なのは、この変化が逆転することもあり得ると考える人が皆無だということです。
また、温暖化ガス排出量が高止まりするという「起こり得る最悪のシナリオ」では、2050年までに中国GDPのうち約32兆元が沿岸洪水の影響を受ける可能性があるという報告書もあります。
海水が温まり膨張するペースは海域ごとに異なり、沿岸部の海面は1993年以降、年平均4ミリ上昇しており、世界平均の3.4ミリを上回っています。
また、西太平洋に面する中国では、年に十数個の台風が南東沿岸部を襲います。
海洋温暖化に伴い、被害はさらに深刻化するとみられます。
海面が高くなれば、台風上陸時の高潮被害は増大する一方です。
40年以上前、ケ小平氏は沿岸都市へ自由主義経済の導入と外資誘致に着手しました。
沿岸の湿地帯とマングローブ林は洪水に対して自然の盾の役割を果たしますが、その半分は破壊されてしまいました。
都市部では持続不能な量の地下水がくみ上げられ、重厚な高層ビルが建てられました。
結果として地盤が沈下し、一部の都市では海面上昇を上回るペースで地盤沈下が進んでいます。
海面上昇はすでに問題を引き起こしていて、海岸線の一部は数十メートル後退し、建物やインフラに損害を与えています。
海水は農地に流れ込んで塩害を引き起こし、飲料水の安全を脅かしています。
沿岸部の当局がこうしたリスクをどこまで懸念しているかは定かではありませんが、ただ、無謀な開発の一部は減速していて、湿地帯やマングローブ林は保護が強化され、一部地域では再び育ちつつあるといいます。
埋め立て事業の承認件数は減り、地下水管理も改善されているようです。
とはいえ、沿岸部の土地は中国で最も価値が高く、当局はこの土地で建設を続ける考えでしょうし、建設された建物を守るため防潮堤に資金を投じなければなりません。
海にいわば「新しい万里の長城」を築くことになり、防潮堤の改修は高さに応じてコストが跳ね上がるため、費用がかさみますし、海面上昇が加速すれば、対策に失敗するリスクは高まります。
海の危険性を熟知している汕頭市ですら、汕頭市の1人当たりGDPは過去20年間で430%も増加し経済的豊かさを追求するあまり、多くの市民は海面上昇による危機感を抱いていないようです。
ケ小平氏による改革開放政策の前後の市中の風景が写真で紹介されていて、広大な湿地帯や泥地は高層ビルや工場に姿を変えています。
展示では市の変遷を「滄海桑田(青海原が桑畑に代わる、世の中の変化が激しいことを意味する)」と表現しています。
危険なのは、この変化が逆転することもあり得ると考える人が皆無だということです。
2023年06月22日
真珠の高騰
真珠の産地価格が急上昇しているようです。
2022年度は2019年度の2倍を超え、養殖に使う会の大量死が一因ですが、産地が確かで質も高い日本の真珠は世界的にブームとなっています。
SDGsへの関心から、宝石にも倫理性を求める考え方が広がっています。
高騰の一因は養殖に使うアコヤガイの大量死で、ウィルスが原因とみられています。
加えて価格を押し上げたのが中国の真珠人気で、かつては金やヒスイ、赤サンゴなどが好まれましたが、市場の成熟とともに需要が真珠に移ったといいます。
習近平国家主席の夫人による真珠愛用が知られたのも大きいといわれています。
実は真珠人気を支えるのは中国だけではありません。
2022年の輸出先で最も多いのは真珠取引の中心である香港ですが、2位の米国は22億円と前年比15%増、3位のタイは9億円と29%増えました。
EUは7億円ですが、前年比では15%多くなっています。
真珠はSDGsの観点からも再評価されていて、テロ組織や暴力的な反政府勢力に資金が流れないように、産地が明確なジュエリーを使う動きが2010年代半ば以降顕著になったようです。
その中で、計画的に養殖される日本の真珠に注目が集まっているといいます。
コロナの水際対策が緩和され、真珠を求める訪日客も増えていて、銀座ミキモト本店における売上額の8割は外国人のようです。
2022年度は2019年度の2倍を超え、養殖に使う会の大量死が一因ですが、産地が確かで質も高い日本の真珠は世界的にブームとなっています。
SDGsへの関心から、宝石にも倫理性を求める考え方が広がっています。
高騰の一因は養殖に使うアコヤガイの大量死で、ウィルスが原因とみられています。
加えて価格を押し上げたのが中国の真珠人気で、かつては金やヒスイ、赤サンゴなどが好まれましたが、市場の成熟とともに需要が真珠に移ったといいます。
習近平国家主席の夫人による真珠愛用が知られたのも大きいといわれています。
実は真珠人気を支えるのは中国だけではありません。
2022年の輸出先で最も多いのは真珠取引の中心である香港ですが、2位の米国は22億円と前年比15%増、3位のタイは9億円と29%増えました。
EUは7億円ですが、前年比では15%多くなっています。
真珠はSDGsの観点からも再評価されていて、テロ組織や暴力的な反政府勢力に資金が流れないように、産地が明確なジュエリーを使う動きが2010年代半ば以降顕著になったようです。
その中で、計画的に養殖される日本の真珠に注目が集まっているといいます。
コロナの水際対策が緩和され、真珠を求める訪日客も増えていて、銀座ミキモト本店における売上額の8割は外国人のようです。
2023年06月21日
ホームが変わる
JR東日本は、同駅を活用した地域医療の取組みを進めています。
2022年4月に、東京・西国分寺駅のホームに対面とオンラインの診察を組み合わせたハイブリッド診療所を開設しました。
2023年度には複数の駅で新しい診療所を展開する計画で、過疎が進む地方沿線に広がれば、医療格差の是正による地方創生の一助となる可能性があります。
中央線の上りホームに設置されているこの診療所には、検査室やオンライン診療専用のブースが設けられています。
受診者は1日平均30〜40人で、対面では内科が受診でき、オンラインで対応するのは皮膚科や耳鼻咽喉科、婦人科となっています。
通勤・通学前や帰宅時に利用できるよう、平日の診察は午前8時から午後の8時と長めにセットされ、休日や祝日にも対応しているため、かかりつけの病院が休診日でも医療サービスが受けられます。
街の診療所は半径2〜3km圏内で暮らす住人の診察に限られますが、駅のホームに設置すれば利用者を沿線全体に拡げられます。
JR東日本が医療分野に踏み出した背景には、新型コロナウィルス禍を受けた事業環境の変化があります。
同社はルミネやアトレといった商業施設などの集客拠点を主要駅に展開し、鉄道で大量送客するビジネスモデルで収益を上げてきました。
しかし、コロナ禍による移動自粛が既存のモデルを毀損しました。
そこで常識にとらわれない駅の活用法を模索し、収益源の多角化を図ったというわけです。
2050年に全市町村の66%で病院の存続が困難になるという試算が出ており、JR東日本にとっても2021年度に679億円の営業赤字を計上したローカル船への対応が喫緊の課題で、今後は無人駅でのオンライン診療も検討するといいます。
2022年4月に、東京・西国分寺駅のホームに対面とオンラインの診察を組み合わせたハイブリッド診療所を開設しました。
2023年度には複数の駅で新しい診療所を展開する計画で、過疎が進む地方沿線に広がれば、医療格差の是正による地方創生の一助となる可能性があります。
中央線の上りホームに設置されているこの診療所には、検査室やオンライン診療専用のブースが設けられています。
受診者は1日平均30〜40人で、対面では内科が受診でき、オンラインで対応するのは皮膚科や耳鼻咽喉科、婦人科となっています。
通勤・通学前や帰宅時に利用できるよう、平日の診察は午前8時から午後の8時と長めにセットされ、休日や祝日にも対応しているため、かかりつけの病院が休診日でも医療サービスが受けられます。
街の診療所は半径2〜3km圏内で暮らす住人の診察に限られますが、駅のホームに設置すれば利用者を沿線全体に拡げられます。
JR東日本が医療分野に踏み出した背景には、新型コロナウィルス禍を受けた事業環境の変化があります。
同社はルミネやアトレといった商業施設などの集客拠点を主要駅に展開し、鉄道で大量送客するビジネスモデルで収益を上げてきました。
しかし、コロナ禍による移動自粛が既存のモデルを毀損しました。
そこで常識にとらわれない駅の活用法を模索し、収益源の多角化を図ったというわけです。
2050年に全市町村の66%で病院の存続が困難になるという試算が出ており、JR東日本にとっても2021年度に679億円の営業赤字を計上したローカル船への対応が喫緊の課題で、今後は無人駅でのオンライン診療も検討するといいます。
2023年06月20日
花粉症の経済的損失
「国民病」となった花粉症による経済的損失が3800億円をこえる可能性があることが、民間の資産で明らかになりました。
花粉症を患う人たちの外出が減ったことで、外食やレジャー分野で特に消費が落ち込んだとみています。
今年も春にかけ、晴れた日には花粉が多く飛ぶ日が相次ぎ、政府は5月に健康被害と経済損失を抑えるための対策を打ち出しました。
花粉発生源のスギの伐採や植え替えの促進を柱とし、国産スギ材の用途開発など官民一体での取り組みが急がれます。
国際的な森林保全の動きや国内での人工林の拡大を受け、日本の木材自給率は最低だった2002年の18%から2021年に41%まで上昇しました。
スギ材の利用を促し、自給率をさらに高めるには安定した需要を生み出すことが欠かせません。
スギは縦の衝撃に強いですが、曲げに弱い特性があり、梁といった横架材にあまり使われません。ただ、脱炭素の動きを生かせると指摘する人もいて、プラスチックの代わりとして紙容器や紙袋、かみストローなどの需要が高まっているようです。
紙製の容器「カートカン」にスギやヒノキを活用する取り組みが広がっています。
林業従事者の高齢化や人手不足への対応も求められており、林野庁は伐採や加工の効率化につながる高性能な機械の導入補助を進めています。
官民が連携して国産のスギ材の需要を底上げし、伐採を進めるという好循環を作り上げる必要があります。
伐採した後には花粉被害の少ない品種に植え替え、適正な管理を続けられる仕組みも求められます。
花粉症を患う人たちの外出が減ったことで、外食やレジャー分野で特に消費が落ち込んだとみています。
今年も春にかけ、晴れた日には花粉が多く飛ぶ日が相次ぎ、政府は5月に健康被害と経済損失を抑えるための対策を打ち出しました。
花粉発生源のスギの伐採や植え替えの促進を柱とし、国産スギ材の用途開発など官民一体での取り組みが急がれます。
国際的な森林保全の動きや国内での人工林の拡大を受け、日本の木材自給率は最低だった2002年の18%から2021年に41%まで上昇しました。
スギ材の利用を促し、自給率をさらに高めるには安定した需要を生み出すことが欠かせません。
スギは縦の衝撃に強いですが、曲げに弱い特性があり、梁といった横架材にあまり使われません。ただ、脱炭素の動きを生かせると指摘する人もいて、プラスチックの代わりとして紙容器や紙袋、かみストローなどの需要が高まっているようです。
紙製の容器「カートカン」にスギやヒノキを活用する取り組みが広がっています。
林業従事者の高齢化や人手不足への対応も求められており、林野庁は伐採や加工の効率化につながる高性能な機械の導入補助を進めています。
官民が連携して国産のスギ材の需要を底上げし、伐採を進めるという好循環を作り上げる必要があります。
伐採した後には花粉被害の少ない品種に植え替え、適正な管理を続けられる仕組みも求められます。
2023年06月19日
自然共生サイト
豊かな自然を守る地域を国が認定する新たな制度がスタートしました。
これは、「自然共生サイト」と名付けられたもので、環境省が認定するための申請を受け付けています。
豊かな自然を守っている場所としては、国立公園や国定公園、鳥獣保護区などがありますが、こうした国などが具体的な規制をかけ保全している場所以外でも、民間企業やNPO、市町村などが管理する所で自然豊かな場所はたくさんあり、これを守っていこうというのが自然共生サイトで、いわば「民間の自然保護区」などとも言えます。
国が昨年度、試行例にした場所をいくつか挙げると、大手ゼネコンが福島県に持つ山林で、100ha以上の面積で一部は建材を得るための人工林ですが、ツキノワグマやカモシカをはじめ多くの動植物からなる生態系が見られます。
もう一つは大手製紙会社で、全国に9万haもの森林を持っていて、多くの絶滅危惧種の生息地にもなっています。
ただ、こうした大規模な所だけが対象になるわけではありません。
東京八王子市の公園で、宅地開発の狭間で残されてきた雑木林などを市の委託でNPOが管理していて、植樹や保全活動には市民や企業も参加し、ほ乳類だけでも11種、植物はおよそ800種が確認されています。
こうした身近な自然を含め国は今年2回に分けて100か所以上を認定する方針で、まず前期分として来月8日まで受け付けています。
なぜ、公募してこのような場所を認定するかというと、去年12月、生物多様性条約の国際会議で2030年までの新たな世界目標が採択され、その目標達成に必要だというのが大きな理由です。
“生物多様性”というのは「多くの種類の生き物がつながり合って生きている豊かな自然」といった意味ですが、この生物多様性はきれいな水や空気、食料や薬の原料などを供給してくれているほか、森林が地球温暖化の原因になる二酸化炭素を吸収したり、水害・土砂災害を防ぐ役割も持つなど、非常に重要なものです。
しかし、今や百万種もの動植物が絶滅の危機にあるなど生物多様性は年々失われていて、世界経済フォーラムはこれを「世界経済の重大なリスク」だと指摘している状況です。
このリスクをなんとかしようと、世界目標では2030年までに、今は減る一方とされる生物多様性を反転させ回復軌道に乗せることを掲げていて、今年開かれたG7の環境大臣会合でも再確認されました。
この生物多様性の回復に向けた具体的な目標として、身近な所では食料の生産も自然環境に負荷をかけることから食品ロスを半減するとか、生態系を乱す外来種が定着するのを半減させるとか、23の目標が決められました。
そのひとつに、2030年までに世界の陸と海のそれぞれ30%以上を各国が保護地域などにして守っていこう、という大きな数値目標があります。
これは、「自然共生サイト」と名付けられたもので、環境省が認定するための申請を受け付けています。
豊かな自然を守っている場所としては、国立公園や国定公園、鳥獣保護区などがありますが、こうした国などが具体的な規制をかけ保全している場所以外でも、民間企業やNPO、市町村などが管理する所で自然豊かな場所はたくさんあり、これを守っていこうというのが自然共生サイトで、いわば「民間の自然保護区」などとも言えます。
国が昨年度、試行例にした場所をいくつか挙げると、大手ゼネコンが福島県に持つ山林で、100ha以上の面積で一部は建材を得るための人工林ですが、ツキノワグマやカモシカをはじめ多くの動植物からなる生態系が見られます。
もう一つは大手製紙会社で、全国に9万haもの森林を持っていて、多くの絶滅危惧種の生息地にもなっています。
ただ、こうした大規模な所だけが対象になるわけではありません。
東京八王子市の公園で、宅地開発の狭間で残されてきた雑木林などを市の委託でNPOが管理していて、植樹や保全活動には市民や企業も参加し、ほ乳類だけでも11種、植物はおよそ800種が確認されています。
こうした身近な自然を含め国は今年2回に分けて100か所以上を認定する方針で、まず前期分として来月8日まで受け付けています。
なぜ、公募してこのような場所を認定するかというと、去年12月、生物多様性条約の国際会議で2030年までの新たな世界目標が採択され、その目標達成に必要だというのが大きな理由です。
“生物多様性”というのは「多くの種類の生き物がつながり合って生きている豊かな自然」といった意味ですが、この生物多様性はきれいな水や空気、食料や薬の原料などを供給してくれているほか、森林が地球温暖化の原因になる二酸化炭素を吸収したり、水害・土砂災害を防ぐ役割も持つなど、非常に重要なものです。
しかし、今や百万種もの動植物が絶滅の危機にあるなど生物多様性は年々失われていて、世界経済フォーラムはこれを「世界経済の重大なリスク」だと指摘している状況です。
このリスクをなんとかしようと、世界目標では2030年までに、今は減る一方とされる生物多様性を反転させ回復軌道に乗せることを掲げていて、今年開かれたG7の環境大臣会合でも再確認されました。
この生物多様性の回復に向けた具体的な目標として、身近な所では食料の生産も自然環境に負荷をかけることから食品ロスを半減するとか、生態系を乱す外来種が定着するのを半減させるとか、23の目標が決められました。
そのひとつに、2030年までに世界の陸と海のそれぞれ30%以上を各国が保護地域などにして守っていこう、という大きな数値目標があります。
2023年06月15日
エチオピアのゴミをエネルギーに
アフリカ東部に位置するエチオピアは、人口はおよそ1億2000万人とアフリカで2番目に多く、急速な経済成長を続けています。
エチオピアの首都アディスアベバは日本を含む外国企業の注目も高まる一方、現在、「ゴミ問題」に直面しています。
首都アディスアベバにあるゴミ処分場には、処理しきれなかったゴミがそのまま埋め立てられているといいます。
近くに焼却炉がありますが、休止が続くこともあり、処理が追いつかず、周囲の環境への影響に加え、汚臭による健康被害も懸念されています。
そのエチオピアに今、帯広市の廃棄物リサイクル会社が進出を目指しています。
廃棄物をリサイクルする自社の技術がエチオピアのゴミ問題の解決に生かせるかもしれないということで、現地で事業の展開を目指すようになりました。
核となるのは、RPFという固形燃料で、その原材料となるのが紙や木、プラスチックなどの産業廃棄物です。
材料を加工しやすいように砕いたあと、不要な金属を取り除き、熱を加えて圧縮して作られます。
JICA=国際協力機構はODA=政府開発援助を使って、途上国の課題を解決する技術を持った中小企業の海外進出を支援する事業も行っていることから、この支援の枠組みも活用しながら、10年ほど前から現地での視察を繰り返してきました。
この会社は、現地に自社工場を作ってRPFを製造し、燃料として販売することを目指しています。
今後は、エチオピア政府などの協力を得ながら、ゴミを分別して回収する仕組みを作ったうえで、RPF製造のパイロット事業を開始したい考えです。
また、帯広市の別の廃棄物リサイクル会社と協力し、RPFの原材料となる紙や木などの廃棄物以外のゴミを堆肥として活用することも目指しています。
農業国であるエチオピアでは現在、世界的な肥料の高騰も課題となっていて、ゴミを減らしながら、さらに肥料問題の解決につなげることも期待されています。
しかし、課題もあるようで、一つが、廃棄物の処理に対する現地の人の意識です。
エチオピアでは、廃棄物にお金をかけて適切に処分するという意識がまだ根づいていないため、廃棄物の有効活用の重要性から広めていく必要がある言います。
廃棄物処理に対する現地の人の意識を高めていけるかが、事業化への重要なポイントとなります。
もう一つの大きな課題が中国との競争です。
アフリカ連合の本部が置かれるなど、アフリカの外交拠点の一つともいえるエチオピアでは、中国の巨大経済構想「一帯一路」により、インフラなどを含めて多くの中国資本が投入され、中国が存在感を示しています。
この中に日本の中小企業が食い込んでいかなければなりません。
会社としては、事業の安定性をアピールするなどして中国企業との差別化を図り、現地の信頼を得ることで、ビジネスチャンスにつなげたい考えです。
エチオピアの首都アディスアベバは日本を含む外国企業の注目も高まる一方、現在、「ゴミ問題」に直面しています。
首都アディスアベバにあるゴミ処分場には、処理しきれなかったゴミがそのまま埋め立てられているといいます。
近くに焼却炉がありますが、休止が続くこともあり、処理が追いつかず、周囲の環境への影響に加え、汚臭による健康被害も懸念されています。
そのエチオピアに今、帯広市の廃棄物リサイクル会社が進出を目指しています。
廃棄物をリサイクルする自社の技術がエチオピアのゴミ問題の解決に生かせるかもしれないということで、現地で事業の展開を目指すようになりました。
核となるのは、RPFという固形燃料で、その原材料となるのが紙や木、プラスチックなどの産業廃棄物です。
材料を加工しやすいように砕いたあと、不要な金属を取り除き、熱を加えて圧縮して作られます。
JICA=国際協力機構はODA=政府開発援助を使って、途上国の課題を解決する技術を持った中小企業の海外進出を支援する事業も行っていることから、この支援の枠組みも活用しながら、10年ほど前から現地での視察を繰り返してきました。
この会社は、現地に自社工場を作ってRPFを製造し、燃料として販売することを目指しています。
今後は、エチオピア政府などの協力を得ながら、ゴミを分別して回収する仕組みを作ったうえで、RPF製造のパイロット事業を開始したい考えです。
また、帯広市の別の廃棄物リサイクル会社と協力し、RPFの原材料となる紙や木などの廃棄物以外のゴミを堆肥として活用することも目指しています。
農業国であるエチオピアでは現在、世界的な肥料の高騰も課題となっていて、ゴミを減らしながら、さらに肥料問題の解決につなげることも期待されています。
しかし、課題もあるようで、一つが、廃棄物の処理に対する現地の人の意識です。
エチオピアでは、廃棄物にお金をかけて適切に処分するという意識がまだ根づいていないため、廃棄物の有効活用の重要性から広めていく必要がある言います。
廃棄物処理に対する現地の人の意識を高めていけるかが、事業化への重要なポイントとなります。
もう一つの大きな課題が中国との競争です。
アフリカ連合の本部が置かれるなど、アフリカの外交拠点の一つともいえるエチオピアでは、中国の巨大経済構想「一帯一路」により、インフラなどを含めて多くの中国資本が投入され、中国が存在感を示しています。
この中に日本の中小企業が食い込んでいかなければなりません。
会社としては、事業の安定性をアピールするなどして中国企業との差別化を図り、現地の信頼を得ることで、ビジネスチャンスにつなげたい考えです。
2023年06月13日
漁業から海業へ
2022年の1年間の水産物の生産量は(養殖含む)、初めて400万トンを割り込み、比較可能な1956年以降、過去最低を更新し、日本近海での不漁に歯止めがかかりません。
不漁や漁業者の高齢化で、漁船の数はピーク時からほぼ半減、担い手の数も減っています。
そこで今、課題になっているのが、漁業の拠点となる地域の漁港をどう元気にしていくかですが、キーワードは「漁業から“海業”(うみぎょう)への転換」のようです。
和歌山県有田市の箕島漁港は、ここにことし4月、漁協直営のバーベキュー場がオープンしました。
売りは新鮮で格安な魚介類。殻付きのかきは、なんと6個で698円。食材は、すぐ隣にある漁協の直売所で買うことができます。
魚市場などを介さず、漁業者が直接販売しているので、格安な値段で提供できます。
この漁港では、主にタチウオを漁獲し、大阪などに出荷しています。
しかし漁獲量は去年までの10年間で半分以下に減り、高齢化などで漁業者も減少していました。
そこで3年前、漁協と自治体が協力し、かつて駐車場だった空きスペースに直売所を建設しました。
もくろみは当たって、観光客の数は年々増加し、さらに人を呼び込もうと、バーベキュー場が建設されたのです。
このように漁業以外の施設を作って漁港を活性化させようという取り組みを、水産庁は「海業」と名付けています。
海や漁村の魅力をいかすことで、観光客を新たに呼び込み、地域の活性化につなげ、そうすれば漁業者の所得向上にもつながるという発想です。
不漁で漁獲量が減る中、漁港の機能を維持するためにも大事な取り組みだとして、国も支援に乗り出しています。
漁業を体験してもらって、消費者と交流を深めようという取り組みもあります。
こうした海業に向けた取り組みを、国は5年間で500件増やす目標を掲げています。
ことし新たに12の漁港をモデル地区に選定し、それぞれの漁港では専門家から経営のアドバイスを受けながら、今年度中に計画をまとめることにしています。
専門家は、漁業以外の地域の資源も集めて、魅力を高めていけるかが成功の鍵を握っていると指摘します。
そして、地域の漁業者や民間業者も一緒になって話し合い、事業の全体像を考えていくことが活性化のカギではないかといいます。
海流の変化や海水温の上昇によって、日本の漁業はかつてない厳しい状況にあり、漁獲量がかつての水準に戻ることは考えにくく、漁業者には地域資源をフル活用して、その魅力を外に向かって売り込んでいく、攻めの姿勢が求められているようです。
不漁や漁業者の高齢化で、漁船の数はピーク時からほぼ半減、担い手の数も減っています。
そこで今、課題になっているのが、漁業の拠点となる地域の漁港をどう元気にしていくかですが、キーワードは「漁業から“海業”(うみぎょう)への転換」のようです。
和歌山県有田市の箕島漁港は、ここにことし4月、漁協直営のバーベキュー場がオープンしました。
売りは新鮮で格安な魚介類。殻付きのかきは、なんと6個で698円。食材は、すぐ隣にある漁協の直売所で買うことができます。
魚市場などを介さず、漁業者が直接販売しているので、格安な値段で提供できます。
この漁港では、主にタチウオを漁獲し、大阪などに出荷しています。
しかし漁獲量は去年までの10年間で半分以下に減り、高齢化などで漁業者も減少していました。
そこで3年前、漁協と自治体が協力し、かつて駐車場だった空きスペースに直売所を建設しました。
もくろみは当たって、観光客の数は年々増加し、さらに人を呼び込もうと、バーベキュー場が建設されたのです。
このように漁業以外の施設を作って漁港を活性化させようという取り組みを、水産庁は「海業」と名付けています。
海や漁村の魅力をいかすことで、観光客を新たに呼び込み、地域の活性化につなげ、そうすれば漁業者の所得向上にもつながるという発想です。
不漁で漁獲量が減る中、漁港の機能を維持するためにも大事な取り組みだとして、国も支援に乗り出しています。
漁業を体験してもらって、消費者と交流を深めようという取り組みもあります。
こうした海業に向けた取り組みを、国は5年間で500件増やす目標を掲げています。
ことし新たに12の漁港をモデル地区に選定し、それぞれの漁港では専門家から経営のアドバイスを受けながら、今年度中に計画をまとめることにしています。
専門家は、漁業以外の地域の資源も集めて、魅力を高めていけるかが成功の鍵を握っていると指摘します。
そして、地域の漁業者や民間業者も一緒になって話し合い、事業の全体像を考えていくことが活性化のカギではないかといいます。
海流の変化や海水温の上昇によって、日本の漁業はかつてない厳しい状況にあり、漁獲量がかつての水準に戻ることは考えにくく、漁業者には地域資源をフル活用して、その魅力を外に向かって売り込んでいく、攻めの姿勢が求められているようです。
2023年06月12日
先週のゴルフ
先週は男子プロが“ASO飯塚チャレンジドゴルフトーナメント” 、女子プロが“宮里藍 サントリーレディスオープンゴルフトーナメント”が行われ、4日間の熱戦が繰り広げられました。
雨天の日もありましたが、どちらもハイスコアが出て、バーディ合戦となりました。
男子の優勝スコアは29アンダー、女子は23アンダーで、男子は1日あたりの成績が7アンダー強、女子は6アンダー程度になり、これまでの大会にはないハイスコアが出ました。
男子は3日まで金谷拓実プロが独走していましたが、中島啓太プロが本戦最後の18番バーディで金谷プロと並んでプレーオフに突入し、2ホール目のピンそばバーディで、決着したようです。
実はこのトーナメントは2日目に竹谷佳孝プロの応援に行ってきました。
残念ながら、3打足りずに予選落ちとなりましたが、麻生飯塚ゴルフ倶楽部がプロにとって距離が短いとはいえ、バーディをとらないと生き残れない試合も見ててメンタル的にきつそうでした。
同伴者がバーディを積み重ねる中で、心理的な重圧が痛いほどよくわかりました。
女子は岩井千怜プロが一時申ジエプロに詰め寄られる時もあったようですが、最終的には5打差をつけての優勝で、また全英オープン出場も決まり、おめでとうございます。
昨日、プロのプレーを目に焼き付けて、プレーをしてきました。
バーディー1、パー6、ボギー5、ダブルボギー4、トリプル1、4オーバー1の91でした。
良いショットと気を抜いての大叩きの両方が出る出入りの激しいゴルフとなりましたが、よいときのイメージが戻ってきたことは収穫でした。
雨天の日もありましたが、どちらもハイスコアが出て、バーディ合戦となりました。
男子の優勝スコアは29アンダー、女子は23アンダーで、男子は1日あたりの成績が7アンダー強、女子は6アンダー程度になり、これまでの大会にはないハイスコアが出ました。
男子は3日まで金谷拓実プロが独走していましたが、中島啓太プロが本戦最後の18番バーディで金谷プロと並んでプレーオフに突入し、2ホール目のピンそばバーディで、決着したようです。
実はこのトーナメントは2日目に竹谷佳孝プロの応援に行ってきました。
残念ながら、3打足りずに予選落ちとなりましたが、麻生飯塚ゴルフ倶楽部がプロにとって距離が短いとはいえ、バーディをとらないと生き残れない試合も見ててメンタル的にきつそうでした。
同伴者がバーディを積み重ねる中で、心理的な重圧が痛いほどよくわかりました。
女子は岩井千怜プロが一時申ジエプロに詰め寄られる時もあったようですが、最終的には5打差をつけての優勝で、また全英オープン出場も決まり、おめでとうございます。
昨日、プロのプレーを目に焼き付けて、プレーをしてきました。
バーディー1、パー6、ボギー5、ダブルボギー4、トリプル1、4オーバー1の91でした。
良いショットと気を抜いての大叩きの両方が出る出入りの激しいゴルフとなりましたが、よいときのイメージが戻ってきたことは収穫でした。
2023年06月10日
ドクター・カッパー
銅は幅広い産業で使われるため、需要動向が世界の経済状態を映し出しやすいといわれています。
その価格は景気の回復局面では上昇し、景気の下降局面では下落する傾向が強くなっています。
あらゆる経済活動の成果を集約する必要があることから四半期に1度の頻度しか公表しないGDPなどの経済指標と比べて、価格動向から世界経済の変調をいち早く診断できるため、「ドクター」の異名を持ちます。
過去の世界経済の変化に敏感に反応してきており、1997年のアジア通貨危機期や2008年のリーマンショック、2020年の新型コロナウィルス感染拡大時といった世界的な経済ショック時には、銅の価格は経済指標に先んじて急落しました。
最近では脱炭素社会の実現に不可欠な金属の一つとしても注目が集まっており、脱炭素化に伴いEVや風力発電など再生可能エネルギーの普及が進むと、EVや再生エネ発電設備の内部配線などに使う銅需要が大きく増えるとみられています。
銅価格は現時点では景気とのかかわりで需要が増減する傾向が強いものの、長期的には景気循環と連動しにくい脱炭素の需要が高まり、価格が高止まりしやすくなるという見立てもあります。
市場で世界景気の減速を示唆するシグナルとして銅の下落と米国では債券市場で景気悪化のサインとされる長短金利差の逆転が42年ぶりの長さを記録すること、そして低迷する海運運賃が欧米の消費の弱さを反映していることの3つが挙げられています。
その価格は景気の回復局面では上昇し、景気の下降局面では下落する傾向が強くなっています。
あらゆる経済活動の成果を集約する必要があることから四半期に1度の頻度しか公表しないGDPなどの経済指標と比べて、価格動向から世界経済の変調をいち早く診断できるため、「ドクター」の異名を持ちます。
過去の世界経済の変化に敏感に反応してきており、1997年のアジア通貨危機期や2008年のリーマンショック、2020年の新型コロナウィルス感染拡大時といった世界的な経済ショック時には、銅の価格は経済指標に先んじて急落しました。
最近では脱炭素社会の実現に不可欠な金属の一つとしても注目が集まっており、脱炭素化に伴いEVや風力発電など再生可能エネルギーの普及が進むと、EVや再生エネ発電設備の内部配線などに使う銅需要が大きく増えるとみられています。
銅価格は現時点では景気とのかかわりで需要が増減する傾向が強いものの、長期的には景気循環と連動しにくい脱炭素の需要が高まり、価格が高止まりしやすくなるという見立てもあります。
市場で世界景気の減速を示唆するシグナルとして銅の下落と米国では債券市場で景気悪化のサインとされる長短金利差の逆転が42年ぶりの長さを記録すること、そして低迷する海運運賃が欧米の消費の弱さを反映していることの3つが挙げられています。
2023年06月08日
密告社会
ウクライナに軍事侵攻を続けるロシアでは厳しい言論統制が行われ、かつての“密告社会”の時代が再び来るのではないかと懸念が強まっています。
ロシアでは去年のウクライナ侵攻後、法律で軍の信用を損なう言動が禁止されました。
これには、軍を批判することに限らず、「戦争反対」を訴えることも含まれるとされ、告発の対象となります。
ロシアではかつてソビエト時代、体制に批判的な言動を当局に通報する「密告」が奨励された歴史があり、それが繰り返されるのではないかと危惧されているのです。
去年、モスクワの南にあるトゥーラ州の学校で6年生の少女が戦争反対をテーマに絵を描いたところ、学校が当局に通報しました。
その後、父親のSNSの投稿からこの絵や反戦の訴えが見つかったとして、ことし3月、父親が自宅軟禁を経て実刑判決を受けたほか、少女は児童養護施設に移され、ロシア国内でも物議を醸しました。
ロシアの独立系メディアや人権団体「OVDーInfo」によりますと、学校の通報で子どもが取り調べを受ける事例はほかにもあり、一方で生徒や親が教師の発言を通報する事例も各地で伝えられています。
このほか、食堂の雑談でウクライナのゼレンスキー大統領を「ハンサムだ」と言った70歳の女性が通報され、ウクライナを称賛したとして、先月罰金を科されたケースもありました。
人権団体「OVDーInfo」によりますと、軍事侵攻に反対する言動でこれまでに拘束された人は1万9000人を超えています。
SNSの発言をめぐる通報や取り締まりも連日伝えられ、人々の疑心暗鬼やもの言えぬ雰囲気の度合いが高まっています。
独立系の世論調査機関「レバダセンター」によると、軍事作戦について公共の場で発言を控えると答えた人は84%にのぼっています。
さて、ウクライナ戦争に大きな動きが出てきました。
ウクライナによるロシアへの大規模な反転攻勢がいつになるか世界中の関心が集まる中で、ウクライナ南部ヘルソン州のカホフカ水力発電所に設置された巨大ダムが破壊されました。
両国とも破壊者として相手を批判していますが、この決壊により、ドニエプル川沿いのロシアとウクライナの支配地域でおよそ4万2000人が洪水被害に遭う危険性があると予想され、ウクライナ戦争はどんどん深みに入っていきます。
ロシアでは去年のウクライナ侵攻後、法律で軍の信用を損なう言動が禁止されました。
これには、軍を批判することに限らず、「戦争反対」を訴えることも含まれるとされ、告発の対象となります。
ロシアではかつてソビエト時代、体制に批判的な言動を当局に通報する「密告」が奨励された歴史があり、それが繰り返されるのではないかと危惧されているのです。
去年、モスクワの南にあるトゥーラ州の学校で6年生の少女が戦争反対をテーマに絵を描いたところ、学校が当局に通報しました。
その後、父親のSNSの投稿からこの絵や反戦の訴えが見つかったとして、ことし3月、父親が自宅軟禁を経て実刑判決を受けたほか、少女は児童養護施設に移され、ロシア国内でも物議を醸しました。
ロシアの独立系メディアや人権団体「OVDーInfo」によりますと、学校の通報で子どもが取り調べを受ける事例はほかにもあり、一方で生徒や親が教師の発言を通報する事例も各地で伝えられています。
このほか、食堂の雑談でウクライナのゼレンスキー大統領を「ハンサムだ」と言った70歳の女性が通報され、ウクライナを称賛したとして、先月罰金を科されたケースもありました。
人権団体「OVDーInfo」によりますと、軍事侵攻に反対する言動でこれまでに拘束された人は1万9000人を超えています。
SNSの発言をめぐる通報や取り締まりも連日伝えられ、人々の疑心暗鬼やもの言えぬ雰囲気の度合いが高まっています。
独立系の世論調査機関「レバダセンター」によると、軍事作戦について公共の場で発言を控えると答えた人は84%にのぼっています。
さて、ウクライナ戦争に大きな動きが出てきました。
ウクライナによるロシアへの大規模な反転攻勢がいつになるか世界中の関心が集まる中で、ウクライナ南部ヘルソン州のカホフカ水力発電所に設置された巨大ダムが破壊されました。
両国とも破壊者として相手を批判していますが、この決壊により、ドニエプル川沿いのロシアとウクライナの支配地域でおよそ4万2000人が洪水被害に遭う危険性があると予想され、ウクライナ戦争はどんどん深みに入っていきます。
2023年06月06日
建設業界の担い手不足対策
建設業界で最近、「大量離職時代は確実にやってくる」ということを何度も聞きます。
その背景にあるのは急速な高齢化で、若い人たちの担い手が減り続けているのです。
どうすれば若い世代に建設業界に飛び込んでもらえるのか、試行錯誤が行われています。
大手建機メーカーのコマツが子会社のIT企業とともに開発を進め、実用化目前となった重機の遠隔操作システムの開発です。
5Gを活用した通信スピードと鮮明な映像で、実際に重機に乗っているかのように操作できるといいます。
実は、30年以上前から遠隔操作の技術開発に取り組んでいて、雲仙普賢岳の現場で当時火砕流の危険性が高かった中での土工工事に適用され、当時担当していたことを懐かしく思い出します。
その技術の集大成がコックピット型のシステムだということです。
なぜ、あえて近未来のようなデザインにしたのかというと、そこには人手不足に悩む企業側の狙いがありました。
こういう仕事をしたいなって若い人が増えることで、雇用の間口を広げたいと考えられたようです。
ゲーム感覚で仕事ができるような感じで、暑くも寒くもないし、ヘルメットもいらないということで、これまでの建設業界のイメージが払拭されるのを期待します。
コックピット型の遠隔操作システムには、重機に搭載されたセンサーが例えば、地面の掘りすぎなどを検知すると注意を促したり、斜面の角度やショベルの刃先の距離を表示したりするなど、複雑な操作をしやすくするガイダンス機能も充実させています。
システムが人間をサポートすることで、若い人たちにも熟練の技を使いこなせるようにする狙いです。
現在、建設業界で働く人は479万人ですが、10年前と比べると24万人が減り、25年前と比べると206万人も減少しています。
また、働く人の年齢構成を見てみると、35.9%が55歳以上とほかの産業と比べても多い一方で、29歳以下の若い世代の層は少なく、高齢化が進んでいます。
このメーカーでは、さらに未来への開発にも乗り出しています。
自動運転システムです。
遠隔操作システムだけでは、人手不足のスピードに追いつけないと考えているのです。
技術面では着実に実用化に向けて進化をしていますが、そのほかにも課題はまだ多いといいます。
それは、法整備やルールづくりの遅れです。
このメーカーが描く未来の建設現場は、遠隔操作や自動運転の技術に加え、ダンプカーの動きや周辺の道路の状況などあらゆる情報を集めて、AIが解析するシステムが導入された現場です。
すでに、子会社のIT企業がデジタルツインと呼ばれる現実の情報をデジタル上で再現しながらシミュレーションを重ねる技術手法や、AIの活用を通じて、効率的に現場の作業を管理できるシステムを開発し導入を進めています。
さまざまな最新技術を組み合わせることで、人手不足にとどまらず、安全性や工期の長期化など建設現場でのあらゆる課題を解決していきたいと考えています。
建設業界の深刻な人手不足は、インフラ整備や災害復旧工事など私たちの暮らしや経済活動に大きな影響を与えるリスクがありますから、この問題に業界全体で取り組んでもらいたいものです。
その背景にあるのは急速な高齢化で、若い人たちの担い手が減り続けているのです。
どうすれば若い世代に建設業界に飛び込んでもらえるのか、試行錯誤が行われています。
大手建機メーカーのコマツが子会社のIT企業とともに開発を進め、実用化目前となった重機の遠隔操作システムの開発です。
5Gを活用した通信スピードと鮮明な映像で、実際に重機に乗っているかのように操作できるといいます。
実は、30年以上前から遠隔操作の技術開発に取り組んでいて、雲仙普賢岳の現場で当時火砕流の危険性が高かった中での土工工事に適用され、当時担当していたことを懐かしく思い出します。
その技術の集大成がコックピット型のシステムだということです。
なぜ、あえて近未来のようなデザインにしたのかというと、そこには人手不足に悩む企業側の狙いがありました。
こういう仕事をしたいなって若い人が増えることで、雇用の間口を広げたいと考えられたようです。
ゲーム感覚で仕事ができるような感じで、暑くも寒くもないし、ヘルメットもいらないということで、これまでの建設業界のイメージが払拭されるのを期待します。
コックピット型の遠隔操作システムには、重機に搭載されたセンサーが例えば、地面の掘りすぎなどを検知すると注意を促したり、斜面の角度やショベルの刃先の距離を表示したりするなど、複雑な操作をしやすくするガイダンス機能も充実させています。
システムが人間をサポートすることで、若い人たちにも熟練の技を使いこなせるようにする狙いです。
現在、建設業界で働く人は479万人ですが、10年前と比べると24万人が減り、25年前と比べると206万人も減少しています。
また、働く人の年齢構成を見てみると、35.9%が55歳以上とほかの産業と比べても多い一方で、29歳以下の若い世代の層は少なく、高齢化が進んでいます。
このメーカーでは、さらに未来への開発にも乗り出しています。
自動運転システムです。
遠隔操作システムだけでは、人手不足のスピードに追いつけないと考えているのです。
技術面では着実に実用化に向けて進化をしていますが、そのほかにも課題はまだ多いといいます。
それは、法整備やルールづくりの遅れです。
このメーカーが描く未来の建設現場は、遠隔操作や自動運転の技術に加え、ダンプカーの動きや周辺の道路の状況などあらゆる情報を集めて、AIが解析するシステムが導入された現場です。
すでに、子会社のIT企業がデジタルツインと呼ばれる現実の情報をデジタル上で再現しながらシミュレーションを重ねる技術手法や、AIの活用を通じて、効率的に現場の作業を管理できるシステムを開発し導入を進めています。
さまざまな最新技術を組み合わせることで、人手不足にとどまらず、安全性や工期の長期化など建設現場でのあらゆる課題を解決していきたいと考えています。
建設業界の深刻な人手不足は、インフラ整備や災害復旧工事など私たちの暮らしや経済活動に大きな影響を与えるリスクがありますから、この問題に業界全体で取り組んでもらいたいものです。
2023年06月05日
電気運搬船
日本のエネルギー問題解決の一助となるプロジェクトが、2023年に岡山県玉野市で本格的に始動します。
それは電気をためる「蓄電池の巨大工場」です。
今までは石油やガス・石炭にエネルギーがたまっていて、それらを発電所で燃やして電気をつくっていましたが、蓄電池、つまり『エネルギーを貯める』というこれからの新しい産業になりそうです。
2021年、東京に誕生したスタートアップ企業「パワーエックス」ですが、電気をためる「蓄電池」を製造販売する企業で、いま国内最大級の工場を、岡山・玉野市に建設しています。
玉野の工場で5ギガワットアワー分の電池が作れるので、蓄電池の工場としては国内最大級となります。
エネルギーを石油やガスの輸入に依存している日本ですが、ロシアのウクライナ侵攻などの影響で燃料価格は高騰し、「家計の圧迫」や「節電要請」といった声が聞かれるようになりました。
2022年に東京都では、「新築住宅に太陽光パネルの設置を義務付ける条例」が成立するなど、再生可能エネルギーの活用が模索されていますが、発電した電気を効率的に活用するには、電気をためる、つまり「蓄電」といった課題の解決が必要不可欠でした。
玉野市の工場は、建設中にも関わらず物流企業や電力会社を中心に、大量の予約注文が入っているといいます。
現在予約で3ギガワットアワーを超えていて、金額にすると1700億円ぐらいで、ただこれは予約ですから、どこまで最終注文に変わるか分かりませんが、非常に需要が大きいといえます。
パワーエックスの商品では、大型の蓄電池に加え、一般的な電気自動車の充電が30分程度で可能な「超急速のEV充電器」も注目を集めています。
海外では既にノルウェーでは、去年の新車のうち8割が「EV」となっており、アメリカも去年、いよいよ5%を上回り、その一方で日本は0.9%と日本だけが極めて出遅れている状態です。
蓄電池によるエネルギー網は、まもなく一般化しそうな雰囲気です。
また同社は、今治造船などと世界初の「電気運搬船」を開発しています。
電気の燃料ではなく、電気自体を運ぶ船です。
電池が大量に船の中にあるので、船全体を充電して、充電された状態で航行し、電気を運んだ先に放電していきます。
通常の海底ケーブルによる送電よりもコストを下げられ、環境負荷も減らすことができるとしています。
世界初の電気運搬船は九州電力提携し2025年の完成を目指しています。
九州電力は洋上風力だけでなく、九州と本州を結ぶ電力系統を補完する送電事業としても活用したい考えのようです。
洋上の風力発電から都市の蓄電池に電気を運ぶ電気運搬船は、化石燃料に依存してきた日本のエネルギー事情を変える可能性を秘めています。
それは電気をためる「蓄電池の巨大工場」です。
今までは石油やガス・石炭にエネルギーがたまっていて、それらを発電所で燃やして電気をつくっていましたが、蓄電池、つまり『エネルギーを貯める』というこれからの新しい産業になりそうです。
2021年、東京に誕生したスタートアップ企業「パワーエックス」ですが、電気をためる「蓄電池」を製造販売する企業で、いま国内最大級の工場を、岡山・玉野市に建設しています。
玉野の工場で5ギガワットアワー分の電池が作れるので、蓄電池の工場としては国内最大級となります。
エネルギーを石油やガスの輸入に依存している日本ですが、ロシアのウクライナ侵攻などの影響で燃料価格は高騰し、「家計の圧迫」や「節電要請」といった声が聞かれるようになりました。
2022年に東京都では、「新築住宅に太陽光パネルの設置を義務付ける条例」が成立するなど、再生可能エネルギーの活用が模索されていますが、発電した電気を効率的に活用するには、電気をためる、つまり「蓄電」といった課題の解決が必要不可欠でした。
玉野市の工場は、建設中にも関わらず物流企業や電力会社を中心に、大量の予約注文が入っているといいます。
現在予約で3ギガワットアワーを超えていて、金額にすると1700億円ぐらいで、ただこれは予約ですから、どこまで最終注文に変わるか分かりませんが、非常に需要が大きいといえます。
パワーエックスの商品では、大型の蓄電池に加え、一般的な電気自動車の充電が30分程度で可能な「超急速のEV充電器」も注目を集めています。
海外では既にノルウェーでは、去年の新車のうち8割が「EV」となっており、アメリカも去年、いよいよ5%を上回り、その一方で日本は0.9%と日本だけが極めて出遅れている状態です。
蓄電池によるエネルギー網は、まもなく一般化しそうな雰囲気です。
また同社は、今治造船などと世界初の「電気運搬船」を開発しています。
電気の燃料ではなく、電気自体を運ぶ船です。
電池が大量に船の中にあるので、船全体を充電して、充電された状態で航行し、電気を運んだ先に放電していきます。
通常の海底ケーブルによる送電よりもコストを下げられ、環境負荷も減らすことができるとしています。
世界初の電気運搬船は九州電力提携し2025年の完成を目指しています。
九州電力は洋上風力だけでなく、九州と本州を結ぶ電力系統を補完する送電事業としても活用したい考えのようです。
洋上の風力発電から都市の蓄電池に電気を運ぶ電気運搬船は、化石燃料に依存してきた日本のエネルギー事情を変える可能性を秘めています。
2023年06月03日
中国における日本の不動産の魅力
中国の富裕層が日本の旅館を巨額で購入し、改装・改修して高級宿泊施設として利用する現象が最近増えているといいます。
中国の資産家の間では、統制一辺倒の習近平長期政権から逃れるため、海外への資産移転が加速していて、日本の旅館の買収もその現象の一つと指摘されています。
実際、日本現地では中国人からの旅館購入の問い合わせが殺到しているようです。
日本国内の雰囲気も一因として挙げられ、慢性的な人手不足や経営者の高齢化、施設の老朽化などが続く中、3年余り前から新型コロナウイルス感染症で客が減り、廃業する旅館が続出しました。
このようにお互いのニーズが一致した結果、旅館のオーナーが変わるケースが少なくありません。
90年以上の歴史を持つ「つるや旅館」の売買事例が代表的で、首都圏から近い静岡県熱海市にあるこの旅館は、かつては吉田茂元首相など政財界の著名人が訪れるほど威勢を誇っていました。
また新婚旅行先としても憧れの存在だったようで、 そんなつるや旅館を数年前に買収したのは、香港の企業「グローリー・チャンピオン・エンタープライズ・リミテッド」です。
中国系資本の同社は、約250億円かけてつるやを改修し、名前も「熱海パールスターホテル」に変更し、中国人富裕層をターゲットにした高級宿泊施設として昨年9月にリニューアルオープンしました。
コロナ以前、日本を訪れる中国人は日本製の電気炊飯器などを集中的に購入し、「爆買い」という新語まで生まれましたが、不動産分野ではこれに例えて「中国の富裕層が日本の旅館を『爆買い』し始めた」とも言われているようです。
中国の富裕層は旅館を「一石二鳥」の投資先とみなしています。
日本の不動産投資収益率は平均4〜6%で、比較的安定した収益源となっているうえに、日本国内の不動産名義で子どもを日本で教育を受けさせる機会も得られます。
実際、日本の在留資格を維持するために旅館の買収と経営をセットで検討するケースも少なくなく、また、日本に不動産を持っていれば、比較的質の高い医療や老人介護サービスも受けることができます。
米国・欧州などに比べて、外国人の不動産購入制限など敷居が比較的低いのも日本の不動産の魅力のようです。
中国資本の浸食は急速に進んでいて、ホテル旅館経営研究所によると、中国系の潤沢な資本などの影響で、今後10年間で温泉旅館の外国人所有率は4割程度になる見通しで、日本政府の海外資本誘致基調もこれを後押ししている雰囲気です。
中国の資産家の間では、統制一辺倒の習近平長期政権から逃れるため、海外への資産移転が加速していて、日本の旅館の買収もその現象の一つと指摘されています。
実際、日本現地では中国人からの旅館購入の問い合わせが殺到しているようです。
日本国内の雰囲気も一因として挙げられ、慢性的な人手不足や経営者の高齢化、施設の老朽化などが続く中、3年余り前から新型コロナウイルス感染症で客が減り、廃業する旅館が続出しました。
このようにお互いのニーズが一致した結果、旅館のオーナーが変わるケースが少なくありません。
90年以上の歴史を持つ「つるや旅館」の売買事例が代表的で、首都圏から近い静岡県熱海市にあるこの旅館は、かつては吉田茂元首相など政財界の著名人が訪れるほど威勢を誇っていました。
また新婚旅行先としても憧れの存在だったようで、 そんなつるや旅館を数年前に買収したのは、香港の企業「グローリー・チャンピオン・エンタープライズ・リミテッド」です。
中国系資本の同社は、約250億円かけてつるやを改修し、名前も「熱海パールスターホテル」に変更し、中国人富裕層をターゲットにした高級宿泊施設として昨年9月にリニューアルオープンしました。
コロナ以前、日本を訪れる中国人は日本製の電気炊飯器などを集中的に購入し、「爆買い」という新語まで生まれましたが、不動産分野ではこれに例えて「中国の富裕層が日本の旅館を『爆買い』し始めた」とも言われているようです。
中国の富裕層は旅館を「一石二鳥」の投資先とみなしています。
日本の不動産投資収益率は平均4〜6%で、比較的安定した収益源となっているうえに、日本国内の不動産名義で子どもを日本で教育を受けさせる機会も得られます。
実際、日本の在留資格を維持するために旅館の買収と経営をセットで検討するケースも少なくなく、また、日本に不動産を持っていれば、比較的質の高い医療や老人介護サービスも受けることができます。
米国・欧州などに比べて、外国人の不動産購入制限など敷居が比較的低いのも日本の不動産の魅力のようです。
中国資本の浸食は急速に進んでいて、ホテル旅館経営研究所によると、中国系の潤沢な資本などの影響で、今後10年間で温泉旅館の外国人所有率は4割程度になる見通しで、日本政府の海外資本誘致基調もこれを後押ししている雰囲気です。
2023年06月01日
ヒルムシロ
朝ドラ『らんまん』9週に、ヒルムシロという水草が登場しています。
蛭(ヒル)が乗っかって休む蓆(ムシロ)のような葉の形から、ヒルムシロと呼ばれる植物です。
ヒルムシロは、池や水田、小川などに生育する多年生の水生植物で、水中には線状の水中葉があり、水面には水をはじく楕円形の葉を水面に浮かせます。
水中の葉は、水の上に浮かぶ葉より細く小さめで、細長い浮き葉の形は、流水条件に適応して生育するための形といえます。
日本では、さまざまな種類が全国各地に生息しますが、近年は、薬の使用、水質汚濁、生息地の埋め立てなどの環境破壊が原因で、各地で生息数が減っているようです。
花期はこれからの6〜10月です。
ヒルムシロの花言葉は、とても素敵で、「清らかな愛」「清純な心」「思いやり」で、主人公の万太郎が寿恵子に寄せるほのかな恋心を表したタイトルになっています。
清楚で優雅なヒルムシロの姿形から、純粋さや清らかさ、思いやりといった花言葉が付けられています。
恋に悩む万太郎の今後の展開が楽しみです。

また、この時期の花、アジサイが満開を迎えています。
アジサイの花言葉は「移り気」「辛抱強さ」「浮気」「無常」となっていますが、花の色や種類によって異なるようです。
紫・青のアジサイの花言葉は「冷淡」「無情」「浮気」「知的」「神秘的」「辛抱強い愛」です。紫は神秘的な色であることから、「知的」や「神秘的」といった花言葉があります。
「辛抱強い愛」は、江戸時代にドイツ人の医者、シーボルトが愛した日本人女性「お滝さん」がモチーフとされています。
ピンクのアジサイの花言葉は「元気な女性」「強い愛情」です。
ピンクや赤などと明るい色のアジサイは、そのほとんどがヨーロッパに分布します。
白いアジサイの花言葉は「寛容」「一途な愛情」です。どのような色にも染まらない白色の美しさから、懐の広さをイメージさせる花言葉がついたとされています。
蛭(ヒル)が乗っかって休む蓆(ムシロ)のような葉の形から、ヒルムシロと呼ばれる植物です。
ヒルムシロは、池や水田、小川などに生育する多年生の水生植物で、水中には線状の水中葉があり、水面には水をはじく楕円形の葉を水面に浮かせます。
水中の葉は、水の上に浮かぶ葉より細く小さめで、細長い浮き葉の形は、流水条件に適応して生育するための形といえます。
日本では、さまざまな種類が全国各地に生息しますが、近年は、薬の使用、水質汚濁、生息地の埋め立てなどの環境破壊が原因で、各地で生息数が減っているようです。
花期はこれからの6〜10月です。
ヒルムシロの花言葉は、とても素敵で、「清らかな愛」「清純な心」「思いやり」で、主人公の万太郎が寿恵子に寄せるほのかな恋心を表したタイトルになっています。
清楚で優雅なヒルムシロの姿形から、純粋さや清らかさ、思いやりといった花言葉が付けられています。
恋に悩む万太郎の今後の展開が楽しみです。
また、この時期の花、アジサイが満開を迎えています。
アジサイの花言葉は「移り気」「辛抱強さ」「浮気」「無常」となっていますが、花の色や種類によって異なるようです。
紫・青のアジサイの花言葉は「冷淡」「無情」「浮気」「知的」「神秘的」「辛抱強い愛」です。紫は神秘的な色であることから、「知的」や「神秘的」といった花言葉があります。
「辛抱強い愛」は、江戸時代にドイツ人の医者、シーボルトが愛した日本人女性「お滝さん」がモチーフとされています。
ピンクのアジサイの花言葉は「元気な女性」「強い愛情」です。
ピンクや赤などと明るい色のアジサイは、そのほとんどがヨーロッパに分布します。
白いアジサイの花言葉は「寛容」「一途な愛情」です。どのような色にも染まらない白色の美しさから、懐の広さをイメージさせる花言葉がついたとされています。