2023年10月31日

ハロウィン

  ハロウィンは、アメリカや日本を始め、世界各地で親しまれているイベントのひとつで、日本では、ハロウィン風の装飾を行ったり、仮装やコスプレをしたりして楽しむ、秋の風物詩として定着しつつあります。


  ハロウィンは、毎年、今日10月31日に行われるイベントです。

  キリスト教では、ハロウィンの翌日(11月1日)は「諸聖人の日(万聖節)」という祝日にあたり、諸聖人の日とは、キリスト教におけるすべての聖人を記念する日です。



  ハロウィンの起源は、2000年以上昔の古代ケルト人までさかのぼり、古代ケルト人とは、アイルランドやスコットランドを始め、ヨーロッパの多くの地域に居住していた人々のことです。

  古代ケルト人の宗教であるドルイド教では、10月31日に「サウィン祭」というお祭りを行っていました。

  サウィン祭は、ケルトにおいて1年の終わりである10月31日に収穫物を集めて盛大に行う、夏の終わりと冬の到来を告げるお祭りです。

  その後、歴史の中で古代ケルトの文化はキリスト教文化に吸収されていきますが、10月31日をお祭りとする風習は残り続け、現在に伝わるハロウィンへと変化していきます。



  ハロウィンは、発祥の地とされるアイルランドから多くの国に伝わっていますが、それぞれの国の文化と融合して独自の発展を遂げているのが特徴です。

  アメリカでは世俗的なイベントとして親しまれていて、ハロウィンの日は家をホラー風に装飾してホームパーティーを開催したり、仮装をしたりして楽しんでいます。

  近年日本で親しまれているハロウィンは、アメリカから伝わった楽しみ方です。

  

  ハロウィンの起源である古代ケルトでは、日本のお盆と同様に、10月31日は死後の世界との扉が開き、ご先祖の霊が家族に会いに現世へ戻って来る日と考えられていました。

  しかし、ご先祖様だけでなく、悪霊や悪さをする精霊なども一緒に現世に来てしまい、子どもを攫ったり人の魂を取ったりするともいわれていました。

  そこで人々は、仮面を被ったり化粧をしたり、魔除けの焚き火を焚いたりして、悪さをする悪霊や精霊を驚かせて追い払っていたとされています。

  この風習がもとになり、ハロウィンの日に仮装する文化が生まれました。



  日本では、ハロウィンといえば仮装を楽しむイベントとしてのイメージが強く持たれています。

  魔女や悪魔、モンスターといった定番の仮装だけでなく、アニメや漫画、映画のキャラクター、芸能人などのコスプレをして楽しんでいる方が多く見られるのが特徴です。



  しかし、もともとの起源をたどると、日本でいう大晦日や収穫祭、お盆を組み合わせたようなイベントであることがわかります。
 
posted by 川上義幸 at 18:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年10月30日

オーバーツーリズム

外国人も含め国内外の観光客が押し寄せて地元住民の暮らしに支障が出る「オーバーツーリズム」が、いま、各地で問題となっています。



毎日多くの観光客でにぎわう京都。

その中心部の世界遺産の清水寺近くのバス乗り場では、乗車を待つ観光客が長い列を作り、一度に全員が乗り込めないこともあります。

観光客だけでなく、ふだんからバスを利用する地域住民にも影響が出ています。



市民からは「混雑していて乗れなかった」「観光客の大きな荷物があって降りにくい」といった声が多く寄せられていて、なんとか混雑を解消できないかと、京都市では、新たな対策を始めています。

市内を走るバスであれば1日に何度でも乗れる「バス1日券」の販売を9月末で終了し、代わりに、バスと市営地下鉄の両方を利用できる「地下鉄・バス1日券」のバス車内での販売を始めました。

バスから地下鉄へと移動手段を分散させるねらいですが、どれだけの効果が出るかは未知数です。



オーバーツーリズムの問題は、京都の中心部以外でも起きていて、それは京都市から北に130キロ、「舟屋」が名所となっている伊根町です。

海に面した住宅の1階部分に小型の漁船を格納する家がおよそ230軒立ち並びます。

SNSの普及に伴って10年ほど前から国内外から多くの人が訪れるようになりました。

人口およそ2000人の町に、ことしは40万人が訪れると推計されています。

舟屋周辺の道幅は狭いため、人と大型バスがぶつかりそうになることもあります。

撮影スポットを求めて観光客が誤って舟屋の敷地内に入るケースも出ていて、住民の間には、戸惑いが広がっています。

観光客が訪れれば、経済的な効果や住民との交流といったメリットは生まれますが、ただ、その前提として、ここが生活の場であることをきちんと理解し、尊重してほしいというわけです。



観光庁によりますと、オーバーツーリズムは、すでに各地で起きているといいます。

例えば、北海道美瑛町。

広大な農地が広がる美しい景色で有名ですが、写真をおさめようと、農地に無断で立ち入る事例が相次いでいます。

地元の人が使う生活道路に、長時間、車を違法に止めるケースも報告されています。


神奈川県鎌倉市では、人気漫画ゆかりの場所とされる踏切周辺に観光客が殺到し、車道にはみ出して地域の交通の妨げになっていると問題になっています。



背景にあるのが、コロナ禍で落ち込んだ観光客の急激な回復です。

ことし1月から9月までに日本を訪れた外国人旅行者は1737万人で、去年の同じ時期の17倍に上っています。

  一方、観光業界では、コロナ禍で働いている人が仕事を離れ、サービスを縮小したところも少なくありません。

  受け入れ体制が十分でないところに観光客が集中したことも影響していると見られます。



  こうしたなか、政府は10月18日、緊急の対応策をとりまとめ、その1つが混雑状況に応じて鉄道の運賃設定を変える取り組みです。

  時間帯などによって運賃を変えられる現行の制度を、観光客で混雑した場合でも適用できるようにします。

  また、タクシー不足で観光客と地元住民の双方から不満が出ている地域もあるため、繁忙期に、ほかの地域から車両やドライバーの応援を受けられる仕組みを普及させます。


  さらに、混雑しがちな定番の観光ルートから、空いているルートへの誘導を図ったり、私有地への立ち入り対策として、防犯カメラの設置の支援を行ったりします。

  こうした対策で、オーバーツーリズムは解消されるのかというと、専門家は、そう簡単なことではないという見方を示しています。
posted by 川上義幸 at 12:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年10月29日

グリーントランスフォーメーション

グリーントランスフォーメーション、略して“GX”という言葉は、実は日本の経済産業省が提唱し始めたもので、世界的にはほぼ通じない日本独自の用語です。

その意味するところは少しわかりにくいですが、今年通称「GX推進法」という法律ができ、その正式名は「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律」と言います。

つまりGXというのは、気候変動を止めるための脱炭素そのものが目的と言うより、 それをきっかけにした“経済成長のための構造転換”を意味すると言えます。



今年国会で2つの法律が成立し、それを推進する戦略も閣議決定されました。

また先日、経産省が「東京GXウィーク」と銘打って脱炭素関連の国際会議を集中開催し、アジアを中心におよそ40か国が参加しました。

会期中には、日本が出す二酸化炭素をマレーシアに運んで地下に封じ込める初めてのプロジェクトに向け、同国の国営石油会社と協議を始める合意も交わされました。



そして、11日には東京証券取引所で、GXと深く関わる「カーボン・クレジット市場」が開設されました。

これは、企業や自治体などが再生可能エネルギーの導入や植林などでCO2の排出を減らせた分を株式のように売買する新たな市場で、188の企業や自治体などが参加しています。

排出量取引は既に各国で導入されていて、ようやく日本でも進み出したと言えます。



脱炭素社会に向けてはガソリン車からEVへの転換のように様々な産業で転換が求められていて、GXはそれを後押しするもので、司令塔は政府の「GX実行会議」です。

後押しする分野は再エネなどに限らず、“次世代型”と呼ばれる原子力の新技術やCO2を地下に封じ込める技術、さらに火力発電に混ぜて燃やせばCO2を減らせるという水素やアンモニアなど、多岐に渡ります。

これらに今後10年で官民合わせて150兆円以上の投資を呼び込む計画で、その呼び水として国が20兆円を支出予定です。

財源としては「GX経済移行債」と呼ばれる国債を発行するほか、今後「成長指向型カーボンプライシング」と名付けた排出量取引などの制度も設けます。



一方でGXは、気候変動対策としては課題があります。

現状ではほとんどの水素が化石燃料から作られていて製造時にCO2が出るため、実は今の時点では脱炭素に役立っていません。

そこで世界各国は今、製造時もCO2が出ない再エネなどから水素を作るように変えていく国家戦略を相次いで打ち出していますが、日本の水素基本戦略では再エネ由来の水素へ転換する具体的な目標は示されていないのです。



次にアンモニアです。

アンモニアも燃やした時CO2が出ないので、日本はアンモニアを石炭に混ぜて燃やすことでCO2を減らせるとして石炭火力を使い続ける方針ですが、 このアンモニアも現状は化石燃料から作られていて製造時にCO2が出ています。



気温の上昇を産業革命前から1.5℃に抑えるには、世界のCO2排出量を2030年までにほぼ半減させるペースが必要で、2030年までが“勝負の十年”だとされますが、どうも実態はスビート感にかけるようです

国連のグテーレス事務総長が“地球沸騰の時代”だと警鐘を鳴らすように、今年は観測史上も最も暑い夏になり、気候変動が影響したとされる水害や山火事も世界で相次ぎました。

気候変動対策はもはや私たちの命を守るためにも先送りできない課題です。
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2023年10月25日

ロシア産小麦豊作

小麦の国際相場が約3年ぶりの安値圏にあるようで、安価なロシア産が市場を席巻し、ウクライナ産の供給懸念やオーストラリアの不作見通しなどの懸念材料を相殺しているためです。

今年度のロシアの輸出量は方策を背景に初の5000万トン台に到達する見通しです。



食料インフレ鎮静化の一因となっているものの、世界がロシア産への依存を深めれば先行きのリスクもあります。

供給リスクそのものが消えたわけではなく、ロシアは7月にウクライナなどとの黒海穀物合意を停止しています。

ウクライナ政府は13日、黒海沿岸の港湾施設や船舶へのロシアの攻撃により7月以降、約30万トンもの穀物がしなわれたと明らかにしました。


ウクライナ以外の産地の供給にも懸念が出ていて、エルニーニョ現象に伴う干ばつ懸念からオーストラリアの小麦生産量は前年を38%と大幅に下回る見通しです。



ロシアは西側の経済制裁が同国産の農産物輸出を阻害していると主張してきましたが、実際にはロシア産の

小麦が世界の輸出に占める比率は侵攻前よりも拡大しています。

世界からロシア産の穀物を排除するのはエネルギー以上に難しいようです。

過去20年以上にわたり新興国・途上国を中心に拡大する世界需要を補ってきたのがロシアやウクライナを中心とする旧ソ連諸国の小麦の生産・輸出の増加であるためです。



旧ソ連時代に大量の穀物を輸入していたロシアが世界有数の穀物輸出に転じたのは、ソ連崩壊後に社会主義から市場経済に移行する過程で畜産業による穀物の消費と穀物生産の両サイドの効率化が進み、穀物の輸出余力が生じたことなどが背景にあるようです。

一方、2010年代前半まで世界の輸出シェアの2割程度を占め首位の小麦輸出国だった米国は、足元ではシェアが1割を切りました。

旧ソ連圏の生産拡大に加えて、為替市場で米ドル高が進み、競合の産地と比べて価格競争力が低下したことも、長期的にシェアを落とす要因となりました。



ロシアの穀物生産は史上最高だった2022年に続き2023年も豊作が見込まれ、現在は国内の供給過剰や価格低下を抑えるために、少しでも輸出したいという状況にあります。

ただ紛争が長期化する中で、今後ロシアがどのような行動に出て、その結果として世界の食料需給にどのような影響を及ぼすかを予見するのは難しいようです。

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2023年10月24日

絶好調『走るホテル』

JR九州が手掛ける豪華寝台列車「ななつ星in九州」が15日で運行開始から10年を迎えました。

当時、唐池社長が打ち出した豪華寝台列車構想が目指したのは「世界一の列車、世界一のサービス」で、投資額は30億円でした。

趣向を凝らした列車を九州に走らせることで世界に九州を知ってもらおう、ななつ星はそのための仕掛けとして誕生しました。



ななつ星には10年間でのべ1万9000人が乗車し、年間80本ほどのツアーが催行される中で、海外の旅行会社主催のツアーはうち10本に上ります。

台湾や香港などアジアを中心に、10年間で34の国と地域から2500人余りの外国人観光客を九州へ集客しました。

ななつ星はその名の通り、車窓から九州7県の景色を眺めながら豪華な車内でったりとした時間を楽しむことができます。

乗客を魅了する優雅さはJR九州の看板となり、全国に広がった豪華観光列車の火付け役にもなりました。



昨年の10月、10年目を迎えるにあたり行われたリニュアルで、ななつ星は定員を最大14室30人から10室20人に変更しました。

部屋数を少なくし、新たに茶室やバーカウンターも設けました。

現在の最高価格は3泊4日で1人当たり170万円で、当初より3倍に高まっています。

しかし、人気は衰えずツアーは毎回、抽選倍率4倍の狭き門です。



優雅な非日常を演出する「走る超高級ホテル」は、災害によるルート変更や新型コロナウィルス禍による運休など、いくつもの苦難を乗り越えながら九州を駆け抜けてきました。


ななつ星の運行の裏には、陰で支えてくれる多くの人の存在があります。

ななつ星はいまやJR九州のみならず九州7県の顔として、沿線やファンの期待を乗せて走っています。
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2023年10月22日

今、鉄道高架下が熱い

「鉄道の高架下」と聞くと、赤ちょうちんを掲げた居酒屋、駐車場や駐輪場、薄暗い空き地などを思い浮かべます。

いま、そんなイメージを覆す、高架下の活用が始まっています。



神戸市のJR神戸線の高架下の一角では、おしゃれにライトアップされたもとで、人工芝の上にはテントが設置され、その横のスペースにはバーベキューのセットが並びます。

街なかでもアウトドアの雰囲気を楽しめる施設として、ことし8月にオープンしました。

コロナ禍でアウトドア人気が高まる中、高架下のスペースを有効活用したいJR西日本のグループ会社と、アウトドア用品を手軽に試してもらいたいメーカー、それに隣接する飲食店の事業者の3者が協力して開設しました。

高架下にあるため、野外では気になりがちな、夏の強い日差しを遮ることができ、突然、雨が降ってきてもぬれる心配もありません。

バーベキューのグリルは、煙の少ない電気式が設置され、鉄道の運行に支障がでないよう配慮もされています。



一方、さいたま市の東北新幹線の高架下では、一見、倉庫のように見えますが、レタスなどの栽培装置で、3年前にオープンした屋内型の植物工場です。

LEDライトの光で育てるので、日当たりの悪い高架下でも、栽培に支障はありません。

都市部に近い立地から、鮮度を保ったまま、複数のスーパーに出荷でき、輸送コストも抑えられます。

運営会社では、高架下での植物工場の設置に手応えを感じていて、今後、ほかの地域の高架下にも広げていきたいと考えています。



神奈川県を走る相鉄線の横浜駅から3つ目、天王町駅と、隣の星川駅の間の高架下やその脇のスペースに、今年4月に整備されたのは、20人あまりが暮らせる居住スペースとなっています。

ワンルームの部屋にシャワーブースやトイレもついて、共有スペースには、キッチンや洗濯機も完備されています。

建物の構造を工夫し、防音材も活用することなどで、電車が通った際の揺れや音が、居住部分に、極力伝わらないようにしています。



かつては、「暗い」「怖い」といった印象も根強かった鉄道の高架下ですが、いまや、娯楽の場所、なりわ
いの場所、そして暮らしの場所に変わりつつあります。

人々のライフスタイルの変化や、技術革新を受けて、今後も、その活用の幅は広がっていくことになりそうです。
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2023年10月20日

鉄道事業の今後の展開は

新型コロナウィルス禍でテレワークが定着し、鉄道各社の定期券収入はコロナ前の約8割の水準にとどまっています。

少子高齢化に伴い、沿線人口の減少も避けられませんし、持続可能な経営モデルをどう構築するのかが問われています。



JR東日本では、アジアに都市鉄道を広げようとそこにビジネスチャンスを求めています。

バングラディッシュやインドネシアでは各都市の交通渋滞は手の付けられない状況で、敷設に向けたコンサルティングから運営、保守作業に至るまでセットで提供しようと入札のチャンスがあれば参画しようとしています。

海外での工事やメンテナンス作業は現地の人材に担ってもらう必要があり、海外企業のM&Aを検討するといいます。

鉄道ノウハウの輸出を進める上で、日本の鉄道は安心して快適に利用できるという実績をもとに、日本の技術を国際規格として認めてもらえるよう取り組むことが必要のようです。



国内の鉄道事業に目を転じれば、コスト構造の見直しが迫られています。

硬直的な運賃体系を見直し、時間や時期によって価格差をつけて、混雑の波を抑制できるようになればコスト削減にもつながります。


現行制度では新幹線の自由席の料金を改定するには国の認可が必要で、認可を必要としない指定席の料金のみを変えても自由席に旅客が流れてしまいます。

柔軟な運賃の決定に向けては国との議論を進めていくことは避けて通れないようです。



ローカル船の存廃に向けての議論も避けて通ることはできませんが、各地域の線区ごとに使命があるので、そう簡単に結論は出せませんし、地元自治体との丁寧な話し合いが必要のようです。
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2023年10月19日

ネクタイを取り巻く環境の変化

  ネクタイの平均価格が6年ぶりに上昇し、デパートでは1本1万円以上する商品が売れ、専門店では遊び心のある製品が人気を集めているようです。

  原材料高や需要の回復に加え、新型コロナウィルス禍がもたらした位置づけの変化も透けて見えます。



  伊勢丹新宿店メンズ館では、1万円以上するネクタイの販売が好調で、コロナ前は9000円程度の商品が売れ筋の中心でしたが、現在は1万3000円を超すような高価格帯の品ぞろえを広げているといいます。

  小売物価統計調査によると、ネクタイの平均単価は3343円と前年より11円高く、わずかながら6年ぶりの値上がりに転じました。

  ここ数年は実は値下がり傾向が続いていました。

  所得の伸び悩みで衣類に使えるお金が減り、安価なファストファッションブランドのネクタイも増え、加えてコロナ禍でスーツを着る機会そのものも減りました。



  価格が下げ止まった一因は原料高で、中国産シルクの価格は直近10年間で最高値圏といいます。

  中国では農家の高齢化などでシルク生産が減り、コロナ禍による相場下落で、収益性の高い果樹の栽培を優先した農家も多いといいます。

  当然、感染収束によるネクタイ需要の回復もあります。



  コロナ禍はもう一つの変化をネクタイにもたらしたようです。

  かつてはビジネスシーンでは必需品でしたが、リモートワークやビジネスにおける軽装が浸透したことで嗜好品に変化した部分があり、遊び心のあるネクタイも増えています。



  いずれにしても、ネクタイ市場は長期的には縮小傾向で、コロナ後もその基調は変わらないとみられ、日々の装いからこだわりのアイテムへの変化を感じます。
posted by 川上義幸 at 20:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年10月17日

「一風堂」のラーメン展開

豚骨ラーメン店「一風堂」を展開する力の源ホールディングスが海外出店に力を入れているといいます。

今年度末には店舗数が国内と逆転する勢いで、出店意欲を後押しするのは高い営業利益率です。



その背景には、例えば米国では「ラーメンはファーストフード」との認識がないことを逆手にとって、バーを併設して高級感を演出するなどといった柔軟な店舗運営戦略があります。

米ニューヨーク市中心部のイーストビレッジ地区にある店舗では、店内の照明は暗めで、バーを併設しています。

夕食時はたいてい満席で、サケを飲みながら席を待ちます。

メニューには枝豆など居酒屋でおなじみの品が並びます。

案内されて席につき、ひとしきりつまんだ後にラーメンを食べて締めます。

これで客単価は円換算で4200円で、日本の店舗の4倍近いというわけです。

日本では「ラーメンは1杯1000円以下で、ギョーザなどと食べるもの」と思っている人も多いですが、米国ではそういう食文化はありません。



海外店では価格設定が柔軟にでき、サイドメニューも充実されるため、利益率が高いといいます。

  営業利益率が海外が13%なのに対して、国内は5%ほどにとどまります。

  同社は6月末時点で国内外15ヵ国・地域に展開し、海外ではアジアや米欧などで135店に上り、店舗網を急拡大できているのには、2つの理由があります。



  「日本の店の味を守る」という本物志向と宗教上の理由などで豚肉が禁忌でも食べられるラーメンを開発・
提供していることです。

  海外では日本人以外の創業者が経営しているラーメン店が多いですが、こうした店では、あっさり風味のしょうゆ系が多く、こってりした日本の豚骨ラーメンは少ないといいます。



  そこで一風堂では、日本の店の味を再現できるように工夫しています。

  例えば海外ではスープづくりで基本となる豚骨ですら入手困難で、食材になると認知されていないため、肉を取った後は廃棄されますから、米国の店舗では現地の食肉処理業者に骨に残った肉の削り方や、煮込んでだしを取るために最適な骨のカットの仕方などを一から指導しています。

  日本で入手できる豚骨と同等の材料を安定して調達できるようにしています。
posted by 川上義幸 at 16:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年10月16日

コーヒーの「2050年問題」

今、気候変動の影響が世界のコーヒーの産地を直撃しているといい、朝のひとときや仕事の合間に、コーヒーを楽しむ者の一人として無関心ではいられません。



コーヒーは育てるのがとても難しいと言われていて、寒さに弱く、日光を好むものの、過剰な日光はダメージになり、乾燥にも弱い、そして肥えた、水はけのよい土壌を好むといいます。

こうした気温や日射量など絶妙な条件をクリアし、生産に適しているとされるのが「コーヒーベルト」と呼ばれる一帯で、赤道を挟んで北緯25度、南緯25度の間に位置しています。

世界で消費されるコーヒーのほとんどが、この限られた地域で栽培されていて、世界の流通量の6割を占めるのは、アラビカ種と呼ばれる品種です。



しかし、国際的な研究機関「ワールド・コーヒー・リサーチ」などは、気候変動によって「アラビカ種の栽培に適した土地が、このままでは2050年には半減する可能性が高い」と警鐘を鳴らします。



世界最大のコーヒー生産量を誇るブラジルでも、気候変動に伴う影響に直面しています。2年前は記録的な寒波による霜で木が枯れ、高温や厳しい寒さ、深刻な干ばつなど、極端な現象が頻繁に起きるようになったといいます。

また気温の上昇による乾燥で、害虫による被害も増加し、害虫が葉を食べて傷を残すと、実の生育が悪くなり、全体の5%ほどに異常が出た年もあります。

農園の一角では、エチオピアやコスタリカなど、世界各地から集めたおよそ160種類のコーヒーの木が栽培されていて、高温や病気に強く、収穫量や風味も優れた品種を見つけようとしています。



また、東京に本社を置くコーヒーの製造・販売会社「キーコーヒー」も取り組みを進めます。

この会社では、インドネシアの直営農園で国際的な研究機関「ワールド・コーヒー・リサーチ」とともに、品種開発のための栽培試験を行っています。

同じアラビカ種でも育つ環境や気候、病気に対する耐性が異なるため、気候変動に適応できる品種を開発することに力を入れるといいます。



そして、国際的な研究機関によると、世界のコーヒーの供給量の60%を生産するのは小規模農家で、こうした農家は資金調達や技術支援が得られにくい状況だといいます。

そのため、コーヒーに関わる企業や消費者も、コーヒー農家が直面する状況を認識し、農業の革新と研究に対する支援をしてほしいと呼びかけます。


2050年、私たちは今まで通りコーヒーを飲むことができているのでしょうか。

産地の現状に、まずは私たち自身が関心を持ち、理解を深めることがまず必要のようです。
posted by 川上義幸 at 16:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年10月15日

金木犀

  昨日、筑紫丘CCでゴルフをしていると甘酸っぱい金木犀のにおいがしてきました。

  当日は秋晴れとはいきませんでしたが、ラウンド中に汗もかかずさわやかなゴルフ日和となりました。

  9月に彼岸花が咲き、10月にはこの金木犀の花が咲くと、本格的に秋の訪れを感じます。
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  金木犀の開花は気温の影響を受けるため、気温が高いほど開花時期が遅くなり、低いほど早く咲くそうです。

  まさに秋の訪れを届ける花です。


  金木犀の花は、時に年に2回咲くことでも知られていて、気候や気温の変化によっては一度散ってしまってもまた蕾をつけて2度目の開花を迎えることもあるようで、昨年が2度咲いたのを覚えています。


  「陶酔」という花言葉にもあるように、その香りに思わずうっとりしてしまう金木犀ですが、香りの強い花をつける3種類の樹木「三大香木」のひとつでもあります。

  金木犀は、小さなオレンジの花からは想像できないほど強く魅惑的な香りが特徴の、常緑小高木で、近年ではその香りは香水やアロマとしても人気です。


  原産地の中国では、その花を砂糖漬けやシロップ、リキュールなどにして、飲みものや食べものの香りづけとしても楽しまれています。


  「金木犀」は和名で、原種となった銀木犀が白い小さな花をつけるのに対し、鮮やかなオレンジの花をつけることが由来となり、「金木犀」と呼ばれるようになりました。


  金木犀は別名では、「木犀花」(モクセイカ)とも呼ばれます。

  ちなみに、木犀の「犀」という漢字は「サイ」とも読み、動物のサイの皮膚と、木犀の樹皮が似ていることに由来していて、ついその甘い香りと可憐な花が注目されますが、その木の樹皮にも注目して観察してみようと思います。



昨日のゴルフは、OBを4回出し、またラフの芝の強さに負けて難渋しました。

相変わらず90の壁を超えることができませんでしたが、ショットの力強さも多少戻ってきて、収穫のあるラウンドとなりました。

posted by 川上義幸 at 16:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年10月13日

中国の経済圧力

貿易や投資上の圧力を使って相手国を脅し、言いなりにさせようとする行為は「経済的威圧」と呼ばれ、2010年以降、中国による事例は120件を超えています。

特に2020年代に入り、中国は経済的威圧を多用していて、新型コロナウィルスの期限調査を求めたことが中国の怒りを買い、ワインや牛肉の輸入を制限されたことは記憶に新しいところです。



今回の東電福島第1原子力発電所の処理水を理由に、日本からの水産物輸入を全て止めている問題がまさにこれにあてはまります。

IAEAの総会で、中国は処理水を「核汚染水」と呼び、改めて批判しましたが、この問題で日本をそこまで非難した主要国はなく、かえって中国は孤立している感じでした。



中国は「食の安全」を禁輸の理由に挙げていますが、それが真意とは考えづらい。

中国漁船は、日本の漁業者と同じような海域で漁を続けているケースがありますし、本当に日本の水産物が危ないなら、それらの中国漁船による操業も禁じなければならないはずです。

そもそも中国には、放射線物質トリチウムの年間排出量が福島原発の6.5倍に上る処理水を流す原発もあるといいます。

どう見ても中国の本当の意図は処理水を外交カードに使い、日本を揺さぶることにあると考えざるを得ません。

ハイテクの対中移転規制や台湾政策を巡ってこれ以上、米国に同調しないよう、圧力を強める狙いがあるのでしょう。



今後このような問題に直面した際には、中国の経済的威圧に対して各国が個別に対応するのではなく、集団で中国に対抗していくことが求められます。

実は、米欧日の政府間で対応協議が進んでいるようです。

G7の高官協議が数回にわたって開かれ、「ファイブ・アイズ」と呼ばれる米英豪、カナダ、ニュージーランドでも、似た議論が交わされています。



8月下旬以降、中国国内のSNSで、福島原発の処理水を巡る偽情報やプロパガンダが急減していて、日中の経済交流がさらに冷えるのを防ぐため、中国当局がネット上の日本たたきを制御し始めたのかもしれません。

  経済的な脅しを乱発すれば、各国の中国離れが進み、結局中国自身の利益を損なうということに中国がそう悟らせることになってきたのかもしれません。
posted by 川上義幸 at 21:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年10月12日

国産のミズナラ

ミズナラは家具やウィスキーの樽に使われる樹木です。

主流の欧州や北米産と並んで、国産の木を使おうとする蒸留所が出てきたこともあり、国産のミズナラの丸太価格が高騰しています。



そもそも価格上昇の背景には、2021〜2022年にかけて米国での需要拡大に端を発し、世界的に木材価格が上がった「ウッドショック」がありました。

現在は高値は落ち着きましたが、物流費高と円安で調達コストが上がっており、国産木材の利用が増える流れになっています。



加えて、日本産のウィスキーは愛好家にブームとなっており、香りの決め手となる樽から差をつけようとするブレンダーたちの熱意が価格を押し上げているようです。

特に希望が多いのは北海道産ミズナラで、海外ではオークと呼ばれる樹種のひとつです。



ウィスキーは大麦の麦芽を発酵させた液を「ポットスチル」と呼ばれる蒸留器で濃縮した原液を3年以上樽で貯蔵します。

日本産ウィスキーは大手メーカーの商品が海外のコンテストで受賞するなど、国内外の愛好家が注目します。

ウィスキーの2022年の輸出金額は、前年比22%増の560億円で、近年は前年を上回る傾向が続いています。


ブームを追い風に、樽に日本産のミズナラを取り入れた「シーバスリーガル ユニティカスク12年」も数量限定で発売されています。



国産ミズナラは自生している樹木がほとんどで、貯蔵用の樽に使うには原酒が漏れやすく本来は向いていないそうです。

虫食いや節がない部分を使うため、海外剤に比べて歩留まりが低く、水分が漏れないように職人が処理をするなど手間もかかります。


ただ、国産ミズナラを使った樽の価格は欧米産を大きく上回りますが、樹種はウィスキーの香りの決め手となるため費用が掛かっても作ってほしいという依頼が多いといいます。
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2023年10月11日

Z世代の嗜好から見えるビール市場

「とりあえずビール」と、全員がジョッキで乾杯する宴会も今は昔で、若者の間で「あえてお酒を飲まない」価値観が広がりつつあるようです。

ビール市場は2050年代に現在から半減し、ピークの1/10に縮小する可能性があるといいます。



若者が行き交う渋谷センター街にある飲食店「スマドリーバー シブヤ」。

1990年代半ば以降に生まれた「Z世代」の若者の支持を集め、客の約9割を20〜30代の男女が占めます。

外食業界で珍しい低アル飲料中心でアサヒビールの子会社が昨年の6月に開業しました。

利用する女性はここで行う職場の宴席でも、「1杯目は同僚に合わせてサワーを注文するけど、2杯目以降はノンアルコールや低アルコールが多い」と話します。



アサヒビール社長は、「2050年頃には売り上げの半分が低アル・ノンアル飲料になるかもしれない」と話し、人口が1億人をきる2050年代には自社のビジネスモデル大きく変わると予測します。

ビールは、日本社会の映し鏡と言え、1950年代以降、日本経済とともに成長してきたビール市場は1994年度をピークに縮小し、生産年齢人口も1995年をピークに減少に転じるなど軌を一にしてきました。

発泡酒の登場や嗜好の多様化もあり、ビール化の市場規模は2021年度にピークから約7割縮小しました。

1999年のピークから約2割縮小した酒類全体のペースを大きく上回ります。



酒類市場縮小の背景の一つに若者の「アルコール離れ」が指摘され、「ソバーキュリアス」というライフスタイルも広がってきました。

英語の「ソバー(しらふ)」と「キュリアス(好奇心が強い)」を組み合わせた造語で、健康への配慮などからお酒をあえて飲まないZ世代は少なくないようです。



ある調査では、20〜24歳のうち「日常的にお酒を飲みたい」と回答したものは2割弱で、8割強が日常的にお酒を飲みたくない意向を示したといいます。

全人口に占める34歳までの割合は現在、3割程度ですが、2050年代には新しい価値観を持つZ世代や、年下の世代が全体の約半数を占めるようになり、社会や消費の価値観が変わるのは必至です。



既に不特定多数の消費者を想定したマスブランドよりも、細分化された嗜好に対応した「スモールマス」の商品が支持を集め始めました。

そのような中で、地域の素材や作り手の思いにこだわったクラフトビールが存在感を高めています。



人口も減少するなか、新たな価値観に対応できなければ、ビールなどの消費財は泡と消えかねないかもしれません。

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2023年10月10日

ふるさと納税の過度な返礼品競争防止

  ふるさと納税の過度な返礼品競争を防ぐため、10月から、自治体が寄付を募るのに使う経費を寄付額の5割以下とする基準が厳格化されます。

  このため、ふるさと納税の基準が厳格化されることを受け、寄付額の値上げや、返礼品の内容を減らすなどの対応に追われる自治体が出てきました。



  そもそも、ふるさと納税の制度では、寄せられた寄付のうち半分以上を自治体が独自の財源として活用できるようにするため、返礼品の調達費用など「寄付を募るのに使う経費」は寄付額の5割以下に抑えるよう総務省が基準を設けていました。

  しかし、過度な返礼品競争で5割を超える自治体が相次いだため、基準が厳格化されることになったのです。


  具体的には、これまでその経費に含まれるのか、取り扱いがあいまいだったのが、寄付の受領証の発送費用や仲介サイトへの手数料など、新しい基準では、これらもすべて経費に計上した上で5割以下にするよう求めています。

  総務省は経費の基準について「ワンストップ特例制度の関連書類や受領証の発送費用など、募集に付随する事務費用を含む」と明記したほか、仲介サイトへの手数料もすべて経費に含まれることも自治体に通知しました。


  また、返礼品の「熟成肉」や「精米」に関する基準も厳格化し、原材料がその都道府県で生産されたものに限るとしています。



  ふるさと納税の経費の基準が厳格化されるのを前に、返礼品の送料を抑え経費そのものの削減に取り組む自治体もあります。

  北海道釧路市は、ふるさと納税の寄付は東京や大阪など大都市圏から寄せられる傾向が強く、距離が離れているため返礼品の送料がかさんでいます。

  さらに、返礼品の9割近くを魚介類が占め、冷凍や冷蔵で輸送する必要があるため、送料の増額に拍車をかけています。



  こうした中、市は、「送料のかからない返礼品」を増やすことで、経費を抑えることにしました。

  市が進めているのが、観光客などがその場で返礼品を受け取ることができる「現地決済型」のふるさと納税です。

  市内の観光体験施設や飲食店などの店舗に設置されたQRコードを読み取ることで寄付をすることができ、その場で返礼品として電子クーポンを受け取り、支払いに使うことができるシステムです。

  これまで1か所の宿泊施設で実施していましたが、10月からは観光の体験施設や地場産品を扱う商業施設にまで広げる方針です。


  釧路市ではクーポンは事前に紙に印刷されたものを送付していましたが、これを電子クーポンで受け取れるようにすることで、送料を削減できるとともに利便性も高まるとしています。


  さらに、市が検討しているのが関東地方での倉庫の利用です。

  現在は、寄付をした人に個別に返礼品を配送していますが、関東地方の倉庫に多くの寄付が寄せられる返礼品を一括して送り、そこから寄付した人に配送することで、送料を抑える案も検討しているということです。



  1番考えやすいのは寄付額を引き上げることですが、そうすると寄付する人が減ってしまうことから、なるべくそこは最後の手段として検討し、まずは送料の見直しなどを考えたいということのようです。
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2023年10月07日

SDGs“持続可能な開発目標”の進捗状況

先月、ニューヨークの国連本部で各国首脳らが参加し「SDGsサミット」が開かれ、2030年までの達成をめざすSDGs“持続可能な開発目標”が、2015年9月の国連サミットで採択され、ゴールまでの言わば中間地点に立つ今、厳しい現状が明らかになりました。



SDGsという言葉は今や日本でも認知度が8割を超えるとされ、子どもたちが学校で学んだり、企業が環境への配慮をアピールする際などに使われることも増えています。

カラフルなアイコンで示されるSDGsの17もある目標について、一番上の段は、「貧困をなくくす」「飢餓をゼロに」から「教育」を受ける権利や「ジェンダー平等」など“人間”の命や権利に関する目標です。

二段目は、「エネルギー供給」や「経済成長」「インフラ整備」「格差の是正」など、“経済”のあり方に関するで、下の段は、「気候変動対策」や「海」「陸の環境保全」、さらには「平和」など“地球”規模の課題を掲げています。



このSDGsの達成度が、2030年までの中間地点にあたる今、非常に厳しい状況にあるとわかってきました。

17目標すべてを達成できた場合を100とすると、2019年までは各国の平均で少しずつ向上していたものの、2020年以降それまでの上昇傾向を外れ停滞しています。

とりわけ所得の低い途上国に限ると達成度はむしろ下がっているのです。



2020年以降、新型コロナや気候変動、さらにロシアのウクライナ侵攻に伴う物価高などが影響し、17の目標のうち「貧困撲滅」や「医療」「教育」など7つで後退した指標があると指摘しています。

例えば、目標1の「貧困撲滅」では貧困を減らすどころか2020年以降の3年間で新たに世界で7500万人から9000万人が極度の貧困に陥ったとされ、目標4の「教育」では新型コロナによる休校などで悪影響を受けた子どもが90%以上に達したとしています。

このように同時多発的な悪影響が生じたのは、17の目標が互いに関わり合っているためです。



例えば、戦争によって目標16の平和が失われれば、目標7のエネルギー供給や目標9の産業インフラも破壊され、それは1の貧困や2の飢餓も生み出します。

  また、新型コロナのパンデミックは目標3の健康を損なっただけでなく、4の教育の機会や8の雇用も奪い、目標10でなくそうとしている格差も拡大させました。

  そして13の気候変動や15の環境破壊によって野生動物が住処を追われて人と接触する機会が増えれば、また新たな感染症パンデミックのリスクが高まるでしょう。

  このように各目標は複雑に関わり合っており、解決するにもこれらの課題に同時に取り組む必要がありま
す。



  各国首脳らは17目標全てについて、対応の加速を約束する政治宣言を採択しました。

  後退の危機に直面するSDGsが再び前に進み加速することができるのかは、今後の各国の具体的な行動にかかっています。

posted by 川上義幸 at 20:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2023年10月05日

七隈線延伸から半年

福岡市地下鉄・七隈線の天神南〜博多駅間が延伸開業して半年が経ちますが、沿線から博多駅までの所要時間が最大14分短くなり、利便性が大きく高まりました。


定期券の利用者数は新型コロナウィルス禍前の2019年に比べて3割が増えたようです。

半面、通勤時間帯には首都圏並みの混雑が生じ、輸送力の限界もあらわになっています。


増便の余地は現状ではなく、市は当面、空いている車両の利用を呼び掛けるといった対策で乗り切るようですが、まちの成長を妨げない交通体系の再構築が求められそうです。



延伸開業以降、朝のラッシュ時には六本松駅と3駅隣の薬院駅の間で「隣の人と密着した状態」とされる140%超えが常態化しています。

市は対策として、異例のダイヤ改正に踏み切り、平日の午前6時〜8時半に2本、午後5時〜7時に4本を増便しました。

専門家は「開業や延伸から半年未満でダイヤを変更した例はあまり聞いたことがない」といいます。



混雑の要因は、七隈線の車体の幅や長さが小さくもさせに連結する車両数も少ないことがあります。

地下鉄空港線や箱崎線の1編成6両に対して、七隈線は4両にとどまり、1編成車両当たりの定員も4割程度になっています。

4両から6両編成にするよう望む意見もあるようですが、ホームドアや信号設備の改修に約130億円、車両購入に約120億円がかかるようです。


市が投資をためらう理由はほかにもあって、博多駅付近で路面が大規模に陥没する事故が起き、延伸の総事業費が約600 億円と計画より150億円近く膨らんだことも影響しています。



七隈線沿線の人口は増加の一途をたどっていて、沿線周辺ではマンションなどの住宅の販売が相次いでお
り、沿線住民は今後も増えると見込まれています。

専門家は、地下鉄だけでなく総合交通体系の構築の中で予算をより適切に使い、「住みやすさ」を高めていく努力をしなければならないと指摘します。
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2023年10月04日

外来種による被害

  国連総会の決議を元に設立されたIPBESという政府間組織は、ある報告書をまとめました。


  この報告書では、人間活動に伴ってそれまでいなかった地域に侵入した外来種が今や3万7千種以上にのぼり、毎年200種増えていて、そしてその被害額は10年ごとに4倍というペースで急増しており、2019年には年間4.230億ドル(日本円で約60兆円)以上としています。



  外来種がもたらす被害には色々ありますが、例えば熱帯性の蚊が感染症を広げるなど人の健康への被害があります。

  ヒアリも人を刺すことで健康被害を生じますが、他にもアメリカでは家畜への被害や電気の配線をかじるなど、あわせて経済損失が年間7千億円以上とも見積もられています。


  また外来種は、定着した国に元々いた生き物を駆逐したり時には絶滅させてしまうこともあって、生態系をこわし生物多様性を損ないます。

  その土地に元々いた生き物は農業・漁業など食料の供給面で重要な場合も多いですし、植物や微生物から薬の原料が得られることも多いので、こうした在来種が減ると食料安全保障や薬の確保にも悪影響があります。


  さらに外来種は、山火事など災害を悪化させる要因にもなります。

  先日ハワイのマウイ島で大規模な山火事がありました。

  原因は複合的だと考えられますが、そのひとつとして現地では近年、牧草として持ち込まれたアフリカ原産の燃えやすい外来種の草がはびこっていて、これが火事を拡大する一因になったとも指摘されています。



  国際自然保護連合が「侵略的外来種ワースト100」に挙げている動植物があって、ヤギやワカメといった身近な生き物もこの「ワースト100」に入っています。

  ヤギは家畜として役立っている一方で、元々いなかった太平洋の島などに導入され野生化したヤギが、希少な植物を食い荒らしたり、それによって土壌が露出して土砂崩れにつながるリスクもあるとして、地域によっては深刻な外来種となっています。


  そして、ワカメも近年アメリカやオセアニアに広がり、現地の水産資源を脅かすものとして漁業者などを悩ませています。

  ニュージーランドでは、ムール貝の養殖用のロープにワカメが繁殖して養殖に悪影響が出たり、サケの養殖場で網にびっしり生えたワカメが海水の流れを遮ることでサケの稚魚が酸欠で死んだりすることもあると言います。



  基本的に“外来種”は人間によって生き物が海を越えて運ばれることなどで生じます。

  まず人が意図的に持ち込んだケースや食用の魚介類や、害虫駆除を目的にしていたオオヒキガエルなど、人が持ち込んだものが逃げ出したりして野外で繁殖したケースがあります。

  これに対し意図せず人が運んでしまうケースも多く、例えばヒアリはコンテナ貨物に紛れて日本にも入ってきますし、ワカメは貨物船が荷を下ろした後、船を安定させるために代わりに積む海水=「バラスト水」に入り
込んで運ばれたとされます。



  近年外来種が急増しているのは、まず経済活動のグローバル化で人や物の行き来が急増したことがありますが、さらに開発による環境悪化や気候変動などで元々そこにいた生き物が住みにくい環境になってきたなど、様々な要因があるとされています。

  こうして他の地域に持ち込まれて、そこには天敵が少なかったりすると繁殖・拡散して、さらにそれが悪い影響を及ぼすと「侵略的外来種」と呼ばれるようになるわけです。



  IPBESの報告書は、まず侵入の予防や侵入したら早期の対策が特に重要だとしていて、そして、対策のコストは外来種の被害額の1割にも満たないとして、各国に対策を強化する必要性を示しています。
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2023年10月02日

民泊

民泊とは、一般の戸建てや集合住宅の一室などを有償の宿泊先とするサービスで、一般ドライバーが車で乗客を運ぶライドシェアなどと並ぶシェアリングビジネスの代表とされます。

その民泊が地方で広がっていて、新型コロナウィルス禍に伴いインバウンドは減りましたが、国内需要が伸びています。



別荘の一棟貸しが好調な栃木県を筆頭に、民泊の宿泊者は10件でコロナ禍前の2倍以上になっており、急回復する訪日客の滞在の受け皿としても期待されています。

日本の民泊は3種類あり、2018年施行の週択宿泊事業法(民泊新法)に基づくサービス、旅館業法の簡易宿所による営業のほか、国家戦略特区での特区民泊があります。

簡易宿所は営業日数に制約がないのに対し、新法での民泊は年間180日以内に限られるが開設要件が緩く始めやすいようです。



民泊新法に基づく民泊物件への宿泊者数は、4〜5月ではコロナ前の同期間の7割強です。

訪日客の落ち込みが尾を引く東京都や大阪府といった大都市圏など15都道府県でコロナ前を下回りましたが、他の約7割の県は増えています。



大分県は宿泊者が全国4位の約2.5倍となりました。

湯布院にある「我楽珍」は築30年ほどの一軒家ですが、中国出身の芸術家が自ら改修を行って民泊をはじめ、宿泊客は半分が日本人、その他は韓国や台湾などアジアからで多い月は利用が100人を超すといいます。

10月から朝・夕食の提供や茶道など日本文化の体験プランをはじめ、現状は1〜2泊が大半ですが、長期滞在も増やしたいとのことです。



民泊は収容人数が限られるものの少ない投資で開業しやすく、旅館やホテルの不足を補うことができ、専門家は「短期間に地方滞在の受け皿を整備でき、空き家の活用にもつながる」とその効果を強調します。



地方では民泊物件の運営に責任を負う管理業者が足りないといいます。

そこで政府は、7月に業者の要件を拡げましたが、本格解禁から民泊がさらに根付くにはサービス内容も問われそうです。

専門家は「地域にどんな宿泊者を誘客したいかを明確にし、個性的なオーナーや体験型コンテンツといった魅力の発信が必要」と指摘します。
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