2024年02月29日

ロシアと北朝鮮

北東アジア情勢を分析する専門家が注目している書簡があります。

それは、ロシアのプーチン大統領が昨年の7月、朝鮮戦争の休戦70年を祝う行事にあわせ北朝鮮の金正恩総書記に贈った祝辞です。

  1950年に勃発した朝鮮戦争に旧ソ連軍が秘密裏に「参戦」した事実を、ロシアの指導者が初めて公式的に認める内容がつづられていたといいます。



朝鮮戦争で戦ったのは北朝鮮と後ろ盾の中国、そして米国を中心とする国連軍と見なされていましたし、1953年の休戦協定に署名したのも米中朝の3者でした。


スターリンの命令でソ連空軍のパイロット数万人が先頭に加わりました。

中国人民義勇軍の制服を着て、ミグ15戦闘機で6万回にわたり出撃したといいます。

ソ連兵の参加を隠したのは第3次世界大戦への発展を恐れたからだといいます。


専門家は、ロシアは北東アジアの秩序作りで米国に主導権を握らせたくなくて、この地域で米国の覇権が強まらないようにしたいと考えているとみています。



北朝鮮は中国だけでなくロシアを対話の枠組みに引き込み、自らに有利な外交を展開しようともくろんでいるようです。

ここ数年で大幅に増強した核やミサイルの削減と引き換えに、経済制裁の緩和を引き出す交渉に乗り出す時期を探っているようです。



いずれにしろ、トランプ前大統領の再登板なら再び取引を目指すかもしれませんし、直接交渉に関心のないバイデン大統領の再選なら、中国とロシアを含む多者会議を動かそうとする可能性があります。
posted by 川上義幸 at 18:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2024年02月28日

肥料、世界で値下がり

穀物の生育に欠かせない肥料が世界的に値下がりしているようです。

肥料高は農作物が連鎖的に値上がりする「アグリ・インフレ」の起点でしたし、最近の価格下落で、農作物高が一服する可能性があり朗報です。



2022年は2月のロシアによるウクライナ侵攻で、窒素肥料の主な原料である天然ガスが高騰し、記録的な上昇率を示しました。

しかし、2023年に入ると天然ガスが下落に転じ、肥料価格全般を下押ししました。

ウクライナ侵攻で停滞していたロシアからの輸出が増え、中国も厳しい税関検査と規制を緩和したことも影響しているようです。



肥料価格の下落は主に2つの経路で農業に影響を及ぼします。

一つは農作物の収穫量の増加で、一般に肥料を多く使うと収穫量が増えます。

例えばトウモロコシの収穫量は窒素肥料を使わないと4割減るといわれています。

肥料が高騰した2021年と22年、世界の農家が使う肥料は減りました。

欧米の利上げを受けて借入金を減らし、肥料への支出を抑えたほか、作付け面積を縮小した農家も多かったようです。

世界的な異常気象も重なり、需要の伸びに比べ供給が不足する懸念が浮上し、トウモロコシ、小麦、大豆といった主要作物から、牛肉、乳製品まで幅広く値上げが連鎖しました。



もう一つは大規模農家の負担の緩和です。

米農家の場合、種子代、光熱費、人件費など様々な負担の中で肥料が営業費用に占める割合は、トウモロコシ、小麦で約35%と最大で、肥料安は主要作物の損益分岐点を下げると予想されます。



肥料価格の下落が農作物や乳製品の価格上昇を抑えても、大きく下押しするかどうかは不透明な面もあって、人件費や光熱費が高騰すれば、肥料の下落分を帳消しにするリスクがあって、肥料以外のコストが下がらないと、アグリ・インフレの解消は本格的に進まない可能性がありそうです。
posted by 川上義幸 at 16:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2024年02月27日

ロシア資産の活用

制裁で凍結したロシア資産をウクライナ支援に使う案を巡り、西側諸国の溝が埋まらないようです。

EUが資産の利子の活用で合意したのに対し、米英は資産の没収を主張しています。

40兆円を超える凍結資産はウクライナを救う有力な財源になりえますが、活用方針の隔たりが大きく落としどころは見えないようです。



国際法上、国家資産は原則没収できませんが、米国が主張するロシア資産を例外とする論拠にしたのは国連の国際法委員会が2001年にまとめた文書で、違法行為によって特別に影響を受ける国は加害国の責任を追及できると記されています。

ウクライナのゼレンスキー大統領はロシアの凍結資産そのものの活用を求めており、資産没収には各国の国内手続きも必要となりますが、旗振り役の米国も没収を可能にする国内法の成立は見通せていません。



独仏は没収できるとの米国の解釈に真っ向から反論していて、交戦状態にない第3国の資産を没収すれば異例の措置となり、国際法違反の悪しき前例になると訴えています。

専門家も「グローバルな投資を委縮させ、最終的には双方が打撃を被る」と指摘します。



ウクライナ侵攻前までロシアと良好な関係を保ってきたEUには報復措置への懸念が大きいようで、ロシア国内にはEU諸国の企業の資産が多く残っています。

仮にG7がそろって資産を没収し、ロシアが報復に出れば独仏は大きな打撃を受けます。

日本も4兆から5兆円のロシア資産を凍結していて、没収に踏み切れば日本企業などがロシア国内に持つ46億ドルの資産が奪われかねません。



一方EUのような利子活用も難しく、金利4%程度の欧州なら利子が生まれますが、マイナス金利政策を続ける日本では不可能です。


ロシア資産の活用に関しては今のところ妙案がなさそうです。
posted by 川上義幸 at 17:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2024年02月26日

博多港、国際物流で存在感

  博多港が国際物流で存在感を高めています。

  2023年の輸出額は半導体など電子部品や自動車の輸出が好調で、前年比8%増の4兆2467億円と過去最高を更新し、大阪港とほぼ肩を並べるくらいになりました。

  輸入額も6%増の1兆4625億円と過去最高となっています。



  博多港は半径5km圏内に都市高速や空港、鉄道貨物ターミナルが集まり利便性が抜群です。

  このことを売りにして台湾でセミナーを開催し、TSMCの熊本工場稼働で見込まれる半導体関連の物流需要を狙っています。



  博多港の国際コンテナ定期航路は現時点で41航路、月間208便あり、韓国便は76便と最も多く、中国便が60便、台湾に寄港する航路は40便が就航しています。

  韓国便と台湾便にはトラックが船に自走して出入りできるRORO戦も就航し、振動に弱い精密機械も運べます。

  2022年のコンテナ取扱量は約89万TEU(20フィートコンテナ換算)で、九州の輸出入コンテナ貨物の5割を担っています。



  TSMCは第2工場の建設も検討しており、半導体関連の装置や資材、原料など台湾との物流需要は今後も増えそうです。



  追い風は半導体だけでなく、ドライバーの残業規制が強化される「24年問題」を受け、博多港はトラック輸送の一部を船舶に切り替える「モーダルシフト」の拠点としても注目されています。

  例えば、韓国のある電子商取引事業者の成功例があります。

  同社は韓国から航空便で関東に運んでから全国にトラック輸送していましたが、博多港にフェリーで運んで鉄道輸送する形にルート変更し、コストを従来の2/3に抑えたといいます。



  博多港は2020年代後半にもコンテナ取扱量を現在の1.5倍に引き上げる計画を持っていて、アイランドシティでコンテナターミナルの整備を進めています。



  博多港は遣唐使船が船出し、朱印船貿易の拠点にもなるなど、古くから国際線の役割を担ってきました。

  大規模な地震や津波の発生記録もなく、南海トラフ地震など太平洋側での大規模地震発生が予見される中で災害に強いとされます。



  博多港はつい最近まで利用が進まず低迷してきた時期がありましたが、今後は「日本の対アジア拠点港」として、九州だけでなく日本全体の経済成長を後押しする役割が期待されようになってきました。

posted by 川上義幸 at 17:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2024年02月24日

エヌビディア

巨大IT企業「アマゾン」や、「グーグル」の親会社を時価総額で抜き、世界4位に踊り出たアメリカの企業「エヌビディア」が今、関心を集めています。



半導体大手の「エヌビディア」は世界の企業の時価総額ランキングで先週、1位のマイクロソフト、2位のアップル、そして3位のサウジアラビアの国有石油会社に次ぎ4位となりました。

その背景にあるのは、生成AIブームで、生成AIに必要な大量の画像処理ができる高性能半導体で世界の8割を超えるシェアを握るエヌビディアの株価は、この1年で3倍以上になりました。その影響は大きく、NY市場の株高が続く原動力ともなってきました。



今週21日に直近の四半期決算が発表されましたが、売上高が前の期比2.3倍の609億2200万ドルで、韓国サムスン電子の半導体部門や米インテルの売上高を上回り、初の世界首位となりました。

AI半導体でシェア8割を握り1強になりつつあります。



世界最大の半導体企業となったエヌビディアは世界の株式市場も動かしていて、同社の株価急伸は他の半導体・製造装置メーカーに波及し、年初からの関連銘柄の時価総額増加分は世界株全体の5割強を占めたようです。

生成AI普及の期待が投資マネーの流入を促し、主要国株の高値更新を後押ししています。



創業者でもあるジェンスン・フアンCEOは日本企業との新たな連携や日本における研究開発拠点の設置に前向きで、今後の展開が待たれますが、今週は日本の株価への影響も見逃せません。

東京市場でも株高が続き、1989年12月の史上最高値に迫る展開となっていますが、半導体やAI企業への期待がその要因となっていて、エヌビディアの決算が、日本市場にも少なからぬ影響を及ぼすのではとみられていましたが、エヌビディアの決算結果を追い風に最高値を付けた模様です。



エヌビディアは、どうしてこれだけの成長を遂げることができたのかというと、その背景の一つに、社として「難しいことだけにしか、挑戦しない」という方針を掲げていることがありそうです。

他社にすぐ追いつかれてしまうようなものには手を出さず、あえて「簡単には手が届かない難しいゴールを目指し、開発をする」、そのルールが他社の追随を許さないイノベーションを生んだともいえ、そのチャレンジ精神には、日本も学ぶところがありそうです。
posted by 川上義幸 at 20:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2024年02月23日

テイラー現象と「もしトラ」

  2016年、米大統領選を控えた首相官邸では、常識破りのトランプ氏が勝った場合、日本の手で米中関係を動かす大胆な構想を練っていたといいます。



  当時、安倍政権はリベラル色が色濃いオバマ政権との間合いに苦慮していました。

  米国大統領として初めて広島の原爆資料館に訪れるという歴史的事業は残したものの、南シナ海で人工島建設などを進める中国にどこまで強い姿勢を示すかには相違がありました。

  トランプ氏が大統領就任前の11月、訪米した安倍氏は、「中国は軍事力を40倍に増やしている」「米国の第7艦隊を狙っている」と、米国にとっての中国のリスクをとうとうと説いたといいます。

  それから8年、「ほぼトラ」といった言葉が飛び交うように、トランプ氏の再登板の可能性が高まってきました。

  あの時と同じ同じ戦略が通用するとは思えません。



  ところで、米国人気歌手テイラー・スウィフトさんは、若年層を中心に熱狂的なファンを持ち、インスタグラムのフォロワーは2億8000万人といいます。

  彼女に促されたら投票に行くと答えた若者は2割いたという調査結果もあります。

  その影響力は「スウィフト現象」と呼ばれ、無党派層に与える影響力は軽視できないようです。

  スウィフトさんを支持する若者らに多い無党派は43%、民主党と共和党の支持層は27%に留まります。



  「トランプ氏の出現以来、世論が陰謀論や極左、極右といった過激な意見に流されやすくなり、結果として無党派層の存在感が増した」と専門家は語ります。

  そして、「トランプ氏のように世論を動かす人物が出てくると振り子が大きく振れる土壌が米国には定着した」とも指摘します。



  ポスト冷戦期が終わりを告げ、国際政治はグローバルサウスと呼ばれる新興・途上国が発言力を強める時代に入りました。

  日米同盟の維持・強化に努めながら欧州やインド、韓国といった同志国との安全保障協力も急ぐ必要がありますが、米国で振り子が揺れて内向き志向が強まれば、8年前と同じトランプ戦略が奏功するとは思えません。

  トランプ氏やスウィフトさんのようなインフルエンサーに増幅されれば、極端な動きを止めることは難しくなります。

posted by 川上義幸 at 09:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2024年02月22日

中国からの不法移民

米南西部のメキシコと接する国境地帯で拘束された中国からの不法移民が2023年には1年前の10倍急増しているといいます。

中南米人を中心に250万人いるとされる不法移民全体の1.5%にすぎませんが、全体が高水準で横ばいなのに対
し、中国人の増え方は急激です。



山東省の不法移民一家が40日余りの旅路がどうなっているかというと、

▼2023年12月21日、まず中国人がビザなしで入れるタイへ▼トルコを経て空路、エクアドルへ。エクアドルも中国人はビザが不要▼車でコロンビアへ。海岸の町ネコクリから船で南北米大陸を結ぶ「ダリエン地峡」の端に上陸▼熱帯雨林を2日半かけて歩き、パナマへ▼車でメキシコへ。国境の町ティフアナで密入国請負業者「蛇頭」の手配でトランプ前大統領で話題となった「壁」の抜け道から2月4日、米国へというものです。
なぜ中国人がわざわざ海を渡り、メキシコから米南西部の国境を目指すのか、過酷な長旅は事故や強盗、詐欺に遭う危険を伴ってまでも、理解できません。



拘束された中国不法移民の年齢層は30〜40代が中心で、子連れの家族も多いといいます。

米国境にたどり着くまでにかかる費用は総額5000ドルほどのようです。

一定規模以上の中国企業で働く人の平均年収の1/3を超える大金をはたき、米国を目指します。



英語を話せる人はほとんどいなくて、中国のどこにでもいる普通の人々です。

強権体制による抑圧や迫害を逃れ、言論や信教の自由を求めて新天地を目指す中国人は間違いなくいますが、ですが米南部国境に押し寄せる人の多くは、生活苦にあえぐ普通の中国人のようです。

富裕層はこんな困難な道を選ばず、貧困層は国外に逃れる余裕がありませんから、結局普通の人々が危険に挑むというわけです。



英語のrun(逃げる)と中国語の発音表記が同じ「潤(run)」を当て「潤出去(逃げ出せ)」が彼らの合言葉だそうです。
posted by 川上義幸 at 15:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2024年02月21日

ロシアの厄介な国家観

  ロシアの侵略が始まって以来、ウクライナは奪われた領土の半分を取り返しましたが、戦況が困難な段階になってきました。



  ロシアはほぼ戦時の経済体制を敷き、休まずに弾薬や武器を製造していますが、西側諸国の防衛産業は平時体制からの移行に取り組んでいますが、調整にはなお時間がかかりそうです。

  EUは2月、500億ユーロの資金支援を決めましたが、米国による支援の決定が待たれます。



  ロシアのウクライナ侵略の動きに、19世紀後半に生まれたロシアのファシスト哲学者、イワン・イリイン氏の存在がありそうです。

  プーチン・ロシア大統領の国家観は、イリイン氏の哲学が土台になっていて、その内容とは国家を偉大にするために、ロシアには隣国を征服する権利があるというものです。

  ロシアでは近年、彼の著作が復活し、再版されていて、彼の哲学はクレムリンにとどまらず、ロシアの戦略エリートたちの考え方に浸透しているようです。



  予見できる将来において、こうしたロシアの内部体質を変えるほどに劇的な変化が同国で起こるとは考えずらく、また内部に外から影響を及ぼすこともできそうにありません。

  ならば、周囲の防御を確実にするため、西側が連携してロシアを封じ込めていく必要がありそうです。



  ラトビア外相のクリシュヤーニス・カリンシュ氏は、ロシアの封じ込めにはまずは同国に依存しない強固な経済を築くことで、そのうえで、必要なときに一緒に行動できる強力な軍隊を作り上げることだといいます。



  ロシアが武器を捨てさえすれば、戦争はすぐに終わりますが、ウクライナが武器を捨てたら、ウクライナという国家が終わってしまいます。

  ロシアは何度も繰り返し、停戦を破ってきました。

  対立が生じた場合、西側諸国の間では互いに一歩退き、交渉の機会を設け、妥協点を探り、妥協という美徳によって体制が成り立っています。

  しかし、ロシアは逆で、一歩譲れば、一歩踏み込んできます。
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2024年02月19日

オーバーツーリズム対策

JTBは観光地向けチケットシステムの導入先を年内に約3割増やすとし、観光施設が予約を一元管理し、訪日客などの集中を防ぐとしています。

また、リクルートは地域に人員を派遣し、道や飲食店の込み具合を可視化する活動を手助けし、観光地の混雑緩和を下支えして、オーバーツーリズム対策を新たに事業としようとしています。



JTBグループのグッドフェローズJTBは、観光地のチケット販売管理システム「チケットHUB」の導入先を現在より約3割多い2500事業者まで増やし、同システムを入れることで混雑を緩和できるといいます。

システムを導入すると、どの国・地域課にいつ観光客が来るか把握でき、他の観光施設を薦めるなどの分散化すれば、観光地が一体となって訪日消費を取り込めます。



リクルートは観光地に社員を派遣して技術やノウハウを提供して、地域のDXを手助けします。

同社が支援する箱根DMOは、「箱根観光デジタルマップ」の運用を始め、箱根町に関連する企業や飲食店と連携し、街の混雑状況をサイト上で示しています。

駐車場の混み具合のデータ、道路状況を見るAIカメラ、飲食店の受付・順番待ち管理システムなどと連携させています。

リアルタイムで町全体の混み具合を把握し、観光客が自主的に目的地を変える行動につなげられれば、需要の平準化が期待できそうです。



2023年の訪日客は2506万人となり、2019年の8割の水準まで回復しました。

新型コロナウィルス禍の巣ごもり消費の反動で国内の旅行需要も堅調ですので、国内外に観光客が押し寄せ、オーバーツーリズム対策が求められており、自治体の取組みだけでは限界があることから、このようなJTB
やリクルートのような民間の力も必要のようです。
posted by 川上義幸 at 13:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2024年02月17日

買い物弱者をどうするか

日常的に買い物に困る「買い物弱者」が増えています。


店舗まで500m以上離れ、車の運転も難しい高齢者が2015年に2010年比13%増の824万人という推計値があり、2030年代には1000万人以上になる可能性が高いようです。



小売企業にとって消費者との最終的な接点は店舗が担い、車や徒歩で来店してもらうことが当たり前でした。

移動に苦労する高齢者が増えて、商圏も縮む中、従来のように広域からの集客が難しくなります。

電子商取引も普及しますが、商品を選ぶ楽しみといった買い物体験を求めるニーズは残ります。



そこで、店から出て消費者に近寄ることで、買い物体験を提供する「ラストワンマイル」を探る小売企業の動きが相次いでいます。



セブン・イレブン・ジャパンは2025年度にも店舗から離島へのドローン配送の実用化を目指しています。

福岡市内のコンビニから、約600人が暮らす能古島までドローンが商品を届ける実証実験を実施し、セブン独自の商品配送サービス経由で注文を受け、約5km離れた能古島まで焼く10分で商品を届けます。



生活雑貨店「無印良品」を運営する良品計画は、酒田市や函館市など複数の地域で移動販売を展開しています。

店舗から食品や日用品を積んだ専用車両が山間地などを周ります。

地元のニーズに寄り添う店づくりを目指すなか、消費者の生活の場に出向き、困りごとを聞くことが新たな商品やサービス開発につながると期待します。



眼鏡専門店「JINS」を運営するジンズホールディングスは地域共生の一環として、移動販売に取り組み、福祉施設などに出向き、高齢者の視力測定や眼鏡の販売を行っています。

過疎地に暮らす買物弱者のニーズに応えるためにも、店舗をどのように維持するかを考える時期にきています。



セコマは北海道でコンビニ「セイコーマート」を約1090店展開しています。

コンビニの商売が成り立つには商圏内に約3000人が必要とされますが、人口約630人の音威子府村にも店があります。

商品の製造から配送、販売を自社で手掛けるなど、低コスト運営に徹することで過疎地での営業を可能にしています。



店舗や物流網を生かした持続可能なコントリビューションの取組みでなければ、過疎化が進む地域を支えられませんし、そのためにも店舗網をさえる物流が何よりも重要のようです。

posted by 川上義幸 at 15:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2024年02月14日

ウェルビーイング経営

企業が「環境」や「人的資本」などの非財務指標の充実に乗り出しています。

一方的に、従業員の健康だけを管理する時代は終わり、やりがい、生きがい、働きがいを見つけられるよう多様な選択肢を提供し、自己決定を促す「ウェルビーイング経営」が求められています。



健康と経営を考えるにあたり世界保健機構の「健康」の定義を「肉体的にも精神的にも、そして社会的にもすべてが満足された状態」とあります。

経済協力開発機構(OECD)の調査では、日本の子どもや若者は身体健康はとても高いのに、精神健康は非常に低いと出てしまいます。

特に思春期の女子の主観的ウェルビーイングが低いことが分かっており、OECD調査のスコアの悪さにもつながっているようです。



これまで、企業が従業員の健康を管理するという発想が、リーマンショック前後に中間管理職の自殺者が増えたのをきっかけに、管理ではなく健康に投資するという発想が出てきました。

50年前は「健康の管理」という第1の波、20年前は「健康への投資」という第2の波、そして今は「ウェルビーイングを実現する」という第3の波が来ているようです。

健康は管理するものではなく、投資の対象であるということは、これからは「人的資本」という捉え方が重要になるということでしょう。

資本とはリターンを生むものであり、人材も投資によって価値が膨らんでいく存在であり、価値を高めた人材がもてる力を存分に発揮し、企業に、そして社会に、リターンを返すにはウェルビーイングが不可欠というこ
とです。



今のZ世代は新卒で就職してもすぐに転職サイトに登録するそうです。

会社がブラックかどうかだけでなく、「世の中にどう貢献したいのか」が見えない会社からは離れる傾向にあるといいます。



人と人、人と社会、人と未来をウェルビーイングの視点で結び直し、再起動する発想が不可欠のようです。
posted by 川上義幸 at 16:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2024年02月13日

今年の中国春節

  中国で春節(旧正月)に伴う大型連休が10日から始まっています。


  中国政府は春節の前後も含めた40日間で、帰省や旅行などで延べ90億人が移動すると予測しています。

  今年の春節休暇は10日から17日までの8日間で、2023年よりも1日長く、毎年10月の国慶節と並ぶ長期休暇で、旅行や買い物などの消費が活発になる時期でもあります。



  移動需要は国内が中心となる見通しで、海外旅行は回復の途上にあります。

  中国では昨年、春節直前の2023年1月まで新型コロナウィルスの感染拡大を抑え込む厳格な「ゼロコロナ」政策が続きました。

  日本などでは中国からの入国者に新型コロナの検査を求める水際対策が続きましたが、今年の春節ではそうした制約がありません。

  今回の春節休暇の人気の旅行先としてタイや日本、香港、マレーシアだそうですが、ただ、中国の航空会社の国際線旅客数はコロナ前の6割にとどまっているようです。

  国際線の便数が戻り切っていないようです。



  中国政府は今年の春節前後の40日間で「90億人の移動」を予測していますが、公共交通機関を利用する人はこのうち延べ18億人と、2023年予想比で14%減にあたり、残り8割にあたる延べ72億人は自家用車で移動すると予測されています。

  コロナ禍で広がった自家用車での移動が定着したのに加えて、春節休暇中は高速道路で乗用車の通行が無料になることから、節約志向が働いているとの指摘もあります。



  中国景気の回復力が弱い中、企業も春節休暇の消費を喚起しようと策を練っており、例えばアリババ集団はネット通販サービスで5日から10億元のお年玉の割引券の配布を始めました。

  この休暇中の消費動向は、今後の中国経済を占う指標の一つになりそうです。
posted by 川上義幸 at 20:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2024年02月12日

春の予感

  連休明け13日(火)から15日(木)ごろは低気圧が発達しながら日本海を進み、南風が強まって気温を押し上げる見通しで、地域によっては「春一番」の発表があるかもしれません。



  「春一番」とは、立春から春分までの間(2024年は2月4日から3月20日までの間)に広い範囲で初めて吹く暖かくやや強い南からの風のことを言います。

  南からの風が吹くのは冬型の気圧配置が緩んで春が近づいた証拠となります。

  また、各地域の特性に合わせて、春一番の定義には多少の地域差をつけているようで、北部九州では日本海に低気圧があって、前日より気温が高くなり、最大風速7m/s以上の風が吹いた時を言うようです。



  春一番というと、歌のような明るく好意的なイメージを抱くかもしれませんが、本来は古くから漁師の間で海難を起こす暴風として警戒されてきた経緯があって、つまり、春一番とは昔は漁師の命を奪う怖い風として恐れられていたようです。



  日本で唯一春一番がないのが北海道ですが、代わりに「雨一番」というものが存在します。

  「雨一番」とは、北海道など北国で立春後に、その年初めて降る雪がまじらない雨のことをいいます。

  春一番と違い、気象庁による正式な発表はないようです。



  今日は一日中日差しがあって、春を思わせるような暖かい日となりました。

  久しぶりに足を延ばして、那珂川の河畔をウォーキングしました。

  河畔の木々もすっかり葉が落ちて冬の様相でしたが、ウォーキングしていると汗をかくぐらいで、上着を脱いでちょうどよいくらいでした。


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  河畔の木々にビニールなどのゴミが引っかかっていて、昨年の洪水の痕跡を残していました。

  かなり大きな出水があったことを物語っていて、当然高水敷にも水が載ったと思われます。

  下流へ歩いていくと、高水敷の公園が洪水の被害を受けたようでその復旧工事が、そしてその対岸では護岸の災害復旧工事が、出水期前まで完了するように行われていました。
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2024年02月10日

今年の中国春節

  中国で春節(旧正月)に伴う大型連休が今日から始まります。


  中国政府は春節の前後も含めた40日間で、帰省や旅行などで延べ90億人が移動すると予測します。

  今年の春節休暇は10日から17日までの8日間で、2023年よりも1日長く、毎年10月の国慶節と並ぶ長期休暇で、旅行や買い物などの消費が活発になる時期でもあります。



  移動需要は国内が中心となる見通しで、海外旅行は回復の途上にあります。

  中国では昨年、春節直前の2023年1月まで新型コロナウィルスの感染拡大を抑え込む厳格な「ゼロコロナ」政策が続きました。

  日本などでは中国からの入国者に新型コロナの検査を求める水際対策が続きましたが、今年の春節ではそうした制約がありません。



  今回の春節休暇の人気の旅行先としてタイや日本、香港、マレーシアだそうで、ただ、中国の航空会社の国際線旅客数はコロナ前の6割にとどまっているようです。

  国際線の便数が戻り切っていないようです。



  中国政府は今年の春節前後の40日間で「90億人の移動」を予測していますが、公共交通機関を利用する人はこのうち延べ18億人と、2023年予想比で14%減にあたり、残り8割にあたる延べ72億人は自家用車で移動すると予測されています。

  コロナ禍で広がった自家用車での移動が定着したのに加えて、春節休暇中は高速道路で乗用車の通行が無料になることから、節約志向が働いているとの指摘もあります。



  中国景気の回復力が弱い中、企業も春節休暇の消費を喚起しようと策を練っており、例えばアリババ集団はネット通販サービスで5日から10億元のお年玉の割引券の配布を始めました。

  この休暇中の消費動向は、今後の中国経済を占う指標の一つになりそうです  。

posted by 川上義幸 at 19:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2024年02月09日

CO2から糖を効率生産

大阪大学や豊田中央研究所などは二酸化炭素を使って、光合成の数百倍の速度で糖を作る技術を開発しました。

将来的には砂糖などの食用糖やたんぱく源となり得る培養肉の原料を生産できる可能性があるといいます。



エネルギー源になる砂糖などの食用糖は農作物のサトウキビやトウモロコシから作ります。

体を作るたんぱく質を摂取するための食肉は主に家畜を飼育して得ますが、いずれも広大な農地や牧草地が必要で大量の水を必要とします。

世界の人口は2100年までに約104億人と現在より3割増え、用地や水の不足が懸念されています。



一方で、農業や牧畜業はCO2換算で世界の温暖化ガス排出量の1/4を占めていて、農地からは温暖化の影響がCO2の約300倍の一酸化二窒素N2Oが出るためです。

食料不足への対応と温暖化防止を両立する取り組みが必要となるわけです。



手段の一つとしてCO2から、糖を作る技術の研究が進んでいて、大阪大と豊田中研などは新開発の触媒で、CO2由来の糖を効率よく作る技術を開発しました。

水に溶かしたCO2に電気を流すなどして炭素原子、酸素原子からできている単純な分子のホルムアルデヒドをまず作ります。

中性の水溶液で化学反応を起こすタングステン酸ナトリウムを触媒に使ってホルムアルデヒドから糖を化学合成します。

この触媒を使うことで、実用化の障壁だった糖の分解や化学反応の中断を防ぎ、効率の向上と生産コスト低減に道が開けたようです。



そして、人工的に作る培養肉は、環境への負荷を下げられるとされていますが、原料となる糖は農業に頼っています。

人工的に糖を作れれば、課題のひとつを解決でき、一つ前進です。
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2024年02月08日

スウィフトノミクス

世界的人気歌手テイラー・スウィフトさんの東京ドーム公演が昨日から4日連続で行われます。

今月4日には、音楽界最高の栄誉であるグラミー賞で、史上初めて4度目の「年間最優秀アルバム賞」に輝いたばかりで、世界の歌姫は4日連続の同所公演を終えた後、米国で開催される米プロフットボールNFLの王座決定戦を観戦するために猛ダッシュで帰国する予定のようです。



午後6時の開演に合わせて「3、2、1、0」と5万5000人がカウントダウンし、テイラー・スウィフトさんを割れんばかりの大歓声で迎えました。

「コンバンワッ」、序盤ではセクシーな水着風衣装にブーツ姿で現れ、「トーキョー。とても幸せ。ファンタスティック」、そして「とてもパワフル」と言いながら左腕に力こぶを作り、そっと口づけをしてみせました。



昨年3月に始まり、今年12月まで世界25カ国52都市を回るツアーの日本公演で、この5年ぶりのツアー「ジ・エラズ・ツアー」の興行収入は10億ドルを超えています。

2023年の全米ツアーは巨額の経済効果をもたらし、米のGDPの押し上げ要因にもなりました。

米旅行協会は、2023年の全米公演で「間接支出も含めると計100億ドルの経済効果があった」と見積もっています。



観客はホテルや食事など地元経済に1人当たり平均1300ドルを費やし、他のコンサートの4.3倍にあたるといっています。

エラズ・ツアーのチケットの平均販売価格は1607ドル(約24万円)といいますから驚きで、東京公演の一般席は最も高いSS席でも税込み3万円で、安すぎてコンサートのために訪日する外国人も多そうだという声も聞こえてきます。



また、同ツアーを編集した映画の興行収入は2.6億ドルと、コンサート映画で歴代最高となっています。

2023年に音楽配信サービスのスポティファイでテイラーさんの曲が再生された回数は261億回と同年の最多歌手となっています。

配信に限らず、グッズ収入も破格で、歌詞にひも付くグッズが人気で、総計は公演日以外も含めると2億ドル以上にふくらみます。



楽曲のパフォーマンスにとどまらない多岐にわたる経済現象「スウィフトノミックス」は、世界中の経済学者や文化学者の研究対象になり始めているようです。
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2024年02月07日

梅の開花、そして立春

梅は例年1月下旬に咲き始め、2月上旬に綺麗に咲き、2月中旬には満開になり、3月末まで咲くことが多いといいます。

今年は冬場に気温が高い日が続いたため、福岡では平年よりも約20日早い1月11日に梅の開花が観測されたようです。

山王公園では、紅梅、白梅とも今が満開を迎え、見ごろとなっています。
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関東地方は積雪に見舞われ、首都高が通行止めとなっていましたが、今日全面開通したことが報道されていました。

2月上旬といえば気温が低い日も多く、冬のイメージが強いかもしれませんが、暦のうえでは2月4日が「立
春」でした。

立春の「春が立つ」という漢字からは、なんだか春の兆しを感じます。

立春を迎えると暦のうえでは春となり、「寒さも峠を越え、春の気配が感じられる」とされます。



立春の由来には、古代の中国北方で成立した「二十四節気」が関わっています。

二十四節気とは、1年を4つの季節(春夏秋冬)に分け、各季節をさらに6つに細分化した24個の目印のことで、各目印の瞬間だけでなく、そこから始まる期間を指すこともあります。

なお二十四節気は、2016年にユネスコの無形文化遺産に登録されていて、2022年の立春に開催された北京冬季五輪開会式では、カウントダウンの演出に二十四節気が用いられました。



立春に食べるとよいとされる行事食もあります。

立春の朝に搾った日本酒のことを「立春朝搾り」といい、立春の前日である節分の夜からもろみを搾り続
け、立春当日の朝に完成させるお酒です。


「立春朝生菓子」とは、立春の朝に作り、その日のうちに食べる生菓子のことで、主に、桜餅やうぐいす餅など春を感じられる和菓子や、「立春大福」が食されます。

大福のあんこの材料となる赤い小豆には邪気を払う力があるため、縁起がよいといわれています。


立春や節分に食べる豆腐のことを「立春大吉豆腐」といい、「白い豆腐には邪気を払う力が宿る」との考えから、立春に食べる豆腐は幸福を呼び込み、立春前日の節分に食べる豆腐は罪や穢れを払ってくれる、といわれています。
posted by 川上義幸 at 17:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2024年02月06日

日本の鮮魚、東南アジアへ

日本の鮮魚ビジネスが東南アジアで広がっています。


タイの最大財閥のチャロン・ポカバングループ(CP)は魚力と組み、5年以内にタイで鮮魚店100店を出すようですし、「スシロー」は2026年までに東南アジアの回転ずし店を2倍の約50店にします。

中国が日本の鮮魚を禁輸する中、最重要の市場となりそうです。



CPグループは2023年4月、鮮魚小売り大手の魚力と合弁会社を設立しました。

今後はCPグループが展開するロータスに加え、食品量販店「マクロ」にも鮮魚店を設ける方針です。

日本での鮮魚の仕入れや鮮魚管理などノウハウ提供は魚力が行います。



現在はマグロなど約30種類を販売し、ブリやキンメダイなど一部は冷蔵で空輸し、日本各地での水揚げから最短3日で店頭に並びます。

これまで最大の輸出先だった中国は、東京電力福島第1原子力発電所の処理水放出を受け、日本産の水産物を全面的に禁輸しました。

2023年の輸出総額は前年同月比で26%に減ったのに対して、東南アジア主要6か国向けは4%増となった模様です。

ジェトロのバンコク事務所長は、東南アジアで処理水放出による大きな問題は生じてなく、輸出先の多様化が重要だと指摘します。



スシローは東南アジアの店舗を現在の約2倍に増やすようですし、中でも業績好調なタイは都市部を中心に積極的に増やしていく方針です。

バンコクを中心部にある鮮魚の卸売店「日本生鮮卸売市場」には60種類もの魚介類が並んでおり、運営するのは日本航空と双日の共同出資会社などが出資する商社「JALUX」です。

同店に日本各地で買い付けた魚介を週3回、成田や羽田、関西の各空港から空輸します。



当初は日本人が経営するレストランなどへの卸が主でしたが、コロナ禍以降、自宅で鮮魚の料理を楽しみたい個人客が増えているといいます。
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2024年02月05日

ラグビーと中国

中国ネット通販の最大手のアリババ集団の傘下企業が、国内でラグビーのプロリーグを10年以内に立ち上げると表明したのが2016年のことでしたが、その後どうなったか聞こえてきません。

どうも、14億人の巨大市場があっても、中国でラグビーをビジネスにするのは難しいようです。

とにかく人気がないようで、中国人は個が強すぎますから、ラグビーは合わないのではないかと指摘する人もいます。



現代のラグビーは高度に組織化され、15人のうち1人でも身勝手な動きをすれば勝てません。

スーパースターの派手な個人技を好む中国人の目には、ルールもわかりにくく、退屈に映るのかもしれません。



一方、中国共産党にとって、これほど都合のいいスポーツはないような気もします。

全ての選手は自己犠牲の精神でチームのために戦い、時には危険を顧みずタックルで敵を倒しますから、習近平国家主席を頂点とする中国共産党にとって人民に求める忠誠心と似ていて好都合です。



ラグビーは、実は中央集権的ではなく、いったん試合が始まればゲーム展開の判断は現場にいる主将に、そして個々のプレーヤーにゆだねられます。

そこには忖度も何もなく、チームにとって何が最善かをそれぞれが判断し、行動するわけで、いちいち上司の指示を仰ぐ余裕はありませんし、最後に決めるのはあくまでも現場です。



2015年のラグビー・ワールドカップで日本代表が優勝候補の南アフリカ勝った試合ですが、リーチ・マイケル主将がヘッドコーチの指示を無視してスクラムを選択し、「史上最大の番狂わせ」をやってのけました。

このことは、社長の命令に現場の課長が背くようなことでした。



あらゆる権限を自らに集め、異論を唱える者は遠ざけてきた習氏にはこのようなラグビースタイルは受け入れがたいことでしょう。

命令に逆らう部下を認めてしまえば、共産党の一党支配は守れません。


習氏もラグビーから学ぶことは多いはずですが、実はサッカー好きで知られいるようです。
posted by 川上義幸 at 09:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2024年02月03日

テック分野で「トガり人」が活躍

  発達障害などの人々がもつ高い集中力と知識を、AIやサイバーセキュリティーといったテック業務で生かすニューロダイバーシティ(脳の多様性)の取組みが広がっています。

  不得手な「コミュニケーション力」や情緒は周囲が支え、チームとして大きな成果を上げることを可能にしますから、ジョブ型採用の広がりも背景に、人事担当には障害の有無にかかわらず、個々の社員の持つとがった個性の見極めが求められています。

  しかし、国内企業の採用意欲は低調で、障害者全体の就職率の46.2%に比べ、発達障害者は33.1%に留まります。



  ニューロダイバーシティは専門人材不足に苦しむ米国のシリコンバレーのテック企業が発祥で、明確な医学的根拠は不明としつつ「テック以外でも、品質管理や統計処理など知識や集中力が必要な業務が向くとされる」といいます。



  オムロンでは、開発・研究領域で活躍したい障害者に対してスキルを生かした高度な役割を担ってもらう目的で創設された「異能人材採用プロジェクト」の一環で、情報処理系の大学院で主席だった男性を採用しまし
た。

  その男性は日常会話こそ苦手ですが、作りたい技術のイメージを伝えると自ら必要な機能を創造し開発を進めてくれるため、技術に関するやり取りには不自由がないといいます。

  他部門との連絡・調整こそ別の社員が担いますが、仕事ぶりは部門内でもトップクラスのようです。



  デバッグやサイバーセキュリティーの業務で採用している「デジタルハーツプラス」、フルリモートが可能な「グリービジネスオペレーションズ」などでも採用が広がっています。


  米マイクロソフトでは5年間で170人採用し、主力製品の開発に従事したり、英国国防省では自閉症やアスペルガー症候群などの採用増を表明しています。



  これまで日本では、面接選考を重視することから採用がかなわなかったようですが、これからは古い偏見にとらわれる組織は新時代の「金の卵」を逃し続けることになりそうです。
posted by 川上義幸 at 15:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2024年02月01日

ロシア富裕層、タイに移住

  昨年の12月に110億バーツ(約455億円)を投じて、「ガーデン・オブ・エデン」が開業しました。

  そのオープニングセレモニーで、「プーケットは楽園であり、ここを第2の故郷にしようとするすべての人を歓迎する」と、ご当地の知事は強調したようです。



  「ガーデン・オブ・エデン」は、南の島のプーケットで過去最大の不動産開発となっています。

  ロシアや中国、インド、欧州が主導する不動産市場が大きく変化していて、投資目的ではなく、家族がより良い暮らしを求めて移住するための不動産の購入が増えているといいます。



  中でも2022年の住宅購入者で圧倒的に多かったのはロシア人のようです。

  合計8億7500万バーツを投資して240戸を購入し、フランス、米国、中国、英国の購入者をはるかに上回りました。

  11.7haの「ガーデン・オブ・エデン」は「豪華で健康的な住居とおもてなしのコミュニティー」を売り物にしており、敷地の7割は森や庭園、水辺、遊び場、ジムエリアに充てられています。

  最終的には500戸を超える規模になるようです。

  過去1年〜1年半の間に2万7000人のロシア人がプーケットに移住したといわれています。

  ロシア経済は閉ざされており、これらの人々はすでに十分な収入を得ていて、快適に住む場をプーケットに求めているようです。



  プーケットのコンドミニアムの最低価格は10万〜14万バーツ/m2程度ですが、ガーデン・オブ・エデンは22万〜30万バーツ/m2といわれています。

  東洋の真珠とも呼ばれるプーケットには26の砂浜、透き通った海、素晴らしい自然があり、様々な意味でタイ観光の重要な拠点となっています。



  経済の約2割が観光業に関連しているタイは新型コロナ禍で大打撃を受けましたが、域内の生産額の半分は観光に依存しているプーケットの打撃はさらに大きかったようです。

  タイへの入国者数は2023年に2800万人超まで回復しました。
posted by 川上義幸 at 18:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記