2024年03月31日

今が花見の旬

  今日は、東京都心では午前中に26℃を超えて、3月としては観測史上最も気温が高くなったようですが、全国の観測地点70カ所で3月の観測史上の最高気温を観測した模様です。

  今年の桜の開花は寒の戻りで開花予想よりも遅れましたが、この暑さで満開が早まりそうです。



  例年、北海道では開花から満開まで早く、春の訪れは遅いですが暖かくなるのが早いからでしょう。

  本州では1960年代に開花して2、3日で満開となったり、もっと早いところでは翌日というのもありました。


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  福岡でも気温が上がり、昨日から今日にかけて一斉に満開近くまでに開花しました。

  自宅の比恵公園や近くの山王公園では、朝では3、4分咲きだったのが、夕方には満開近くまで開花したように感じます。
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  今日は日曜日であったこともあり、山王公園では花見の団体で例年にない賑わいを見せていました。
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2024年03月30日

福岡アイランドシティ

福岡市東区の人工島「アイランドシティ」が子育て世代から脚光を浴びているということです。

島内の子どもの数が急速に増加し、4月には3つ目となる小学校が新たに開校します。

鉄道は通っておらず市中心部へのアクセスはバスか自動車に限られますが、学校や公園、医療施設などが充実していて、玄界灘を見渡すタワーマンションからの眺望もパワーカップルを引き付けているということです。



博多湾を埋め立ててできたアイランドシティは 東京ドーム85個分、約400haにのぼる巨大な人工島です。

西側は港湾施設の「みなとづくりエリア」、東側は「まちづくりエリア」と位置付けられ、九州でも随一の高さを誇るタワーマンションが立ち並んでいます。



大型船が離発着できる港を整備し、その残土で人工島が作られましたが、当初は近隣国のハブ港に押されて利用が進みませんでしたが、今ではコンテナの利用が盛んとなり、人工島も利活用が進みました。

2005年の街開きから19年になりますが、2023年12月時点で1万5000人ほどが暮らし、10年前より約3倍に増え、年齢別では15歳未満が全体の3割を占め、65歳以上の高齢者は7%程度にとどまります。

4月には島内3つ目となる照葉はばたき小学校が開校しますが、既存の2校も近接しており、徒歩10分圏内に小学校が3校という全国でも珍しい地点になります。



アイランドシティが子育て世代から人気を集める理由は環境の良さで、住民は「公園など緑が豊かで、歩道と道路ともに道幅が広く安全だ」と話します。

移住者ばかりのためコミュニティー形成もしやすく、同じマンション内で家族ぐるみの交流があるといいます。



1994年に埋め立てが開始されたアイランドシティはかつて福岡市内からアクセスが悪く、港湾部分の分譲も進まない「お荷物」とされてきましたが、都市高速が開通して利便性が一気に向上し、2022年には民間への土地の分譲が完了しました。


子育て世代だけでなく、セカンドハウスとして買う富裕層や外国人からの人気も高まっていて、アイランドシティの住む人口のうち1割弱が外国籍ということです。


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2024年03月29日

公示価格

  国土交通省は、26日に公示価格を発表しましたが、全用途の全国平均は前年比2.3%上がり、伸び率はバブル期以来33年ぶりの高さとなりました。

  株や賃金に続き土地にも上昇の波が広がり、ら本は脱デフレの転機を迎えようとしています。



  東京は在宅勤務の縮小などでオフィス回帰の動きが鮮明となり、23区の商業地は平均7.0%プラスとなり、大型オフィスビルの手なかと誘致が好調のようです。

  住宅地も前年比で5%超と大幅に伸び、沸き立つマンション需要を反映しています。



  地下の上昇は地方にも波及しているようで、訪日客の回復やインフラ整備、子育て支援の3つが追い風となって、地方は調査地点の5割弱で価格が上がりました。

  北海道富良野市のリゾート地である北の峰エリアは「第2のニセコ」としてホテルや賃貸型リゾートマンションの建設計画が相次ぎ、周辺住宅地の上昇率は全国トップの27.9%を記録しました。


  新幹線開業などの交通インフラ整備が進んだ地域も上昇が目につきました。

  北陸新幹線の沿線では、新たな発着点となったJR敦賀駅や福井駅周辺で商業施設が整備され、福井市は31年ぶりにプラスに転じました。


  子育て支援を強化した自治体も勢いが鮮明で、鳥取県日吉津村は全国の村で4番目に面積が小さいながらも、近年若い世代の転入が目立つといい、同村の住宅地は2.1%のプラス地点がありました。



  九州で見ていくと、地方投資が勢いづくところも出て、2月開業したTSMCの熊本工場に近い大津長野商業地の一部は33.2%上がり、商業地の上昇率で全国トップでした。

  福岡市も天神地区や博多駅周辺で再開発が進み、上昇率も前年の10.6%から12.6%に拡大しました。



  当面の懸念材料は日銀のマイナス金利解除が及ぼす影響で、海外投資家は低金利の日本で借り入れて不動産に投資する利点が大きかったのが、日本も本格的な利上げに移れば投資環境も変わりそうです。
posted by 川上義幸 at 10:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2024年03月28日

孤独・孤立問題

非正規雇用労働者の増加や情報通信社会の急速な進展、単身世帯の増加といった社会環境の変化の下で、孤独・孤立問題が顕在化しているということです。

新型コロナウィルス禍で改めてクローズアップされ、政府がその対策を強化してきており、4月に孤独・孤立対策推進法が施行されます。



政府の孤独・孤立問題へのアプローチは大きく2つに分けられます。

1つは孤独・孤立に陥った当事者や家族に問題が発生した場合、相談や保護といった直接支援をする課題解決
型の取組みです。

もう1つは、孤独・孤立の予防や早期対応の観点から、日常の生活環境での見守り、交流の場や居場所、まちづくりといったつながりの環境を整備するものです。



前者が国または地方の行政が中心となってすべき支援ですが、後者は行政ばかりではなく、民間企業、NPO、互助組織、地域住民などが重要な役割を担います。

官民がそれぞれ期待される役割を果たす、行政が民間活動を支援するだけでなく、官民の連携強化するため、連携の基盤となるプラットフォームの形成を自治体に促している点が注目されます。

連携にあたっては、行政を中核とする垂直的な連携ではなく、対等なパートナーシップを構築していくとしています。

今後、孤独・孤立問題への対策の必要性は増していくものと思われます。



民間の担い手が育ち、官民のパートナーシップが構築されれば、孤独・孤立問題ばかりでなく、他の社会課題や地域課題への取組みにも資することになりそうです。

これからの日本は、人口減少を乗り越え成長を追求するだけでなく、生活の満足度や幸せを感じられる社会を作っていくことが求められており、そのためには、人と人とのつながりや支え合いを生み出す社会関係資本の充実が不可欠になってきます。

社会関係資本の充実は、いわゆる共助を強くするだけでなく、自助や公助との連携を通じて政策効果を高めることにつながることに期待しています。
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2024年03月26日

「平成の大合併」

市町村の財政基盤強化を目指した「平成の大合併」を巡り、「痛み先送り」のツケが顕在化してきました。

重複する公共施設の見直しといったスリム化がされないまま国の優遇措置が終わり、過剰な維持費などに耐え切られず財政危機に直面する自治体が相次いでいるようです。

慢性的な赤字は急速な行政サービスの縮小を迫り、しわ寄せは住民や地域の未来へと及ぶことになりそうです。



例えば、京都府南丹市。

市の支出は収入を年20億円前後上回る状態が続いていて、不足分は財政調整基金など市が積み立てた「貯金」で穴埋めしています。

その残高は69億円程度であり、このままでは数年でなくなります。

要因の一つは市町村合併があり、同市は2006年に旧4町が合併して誕生し、町ごとに違った補助金は一番高い水準に統一され、保健福祉センターなど旧来の公共施設は整理されずに各地に残っています。

合併に伴う国の財政優遇措置は2020年度までで終わり、膨らんだ経費が財政を圧迫しています。



市は2024年度予算案で大ナタを振るい始め、一部の公共施設の廃止や100件超の補助金予算1割カットを打ち出し、2027年度までの収支均衡を目指しています。

結果的に住民の利便性の低下へとつながりそうです。



「平成の大合併」は市町村の財政と行政能力を高めたでしょうか。

合併市町村は行政サービス費用を税収でどの程度賄えるかを示す財政力指数が大合併前後で0.15ポイント上昇し、小規模市町村が財政力の高い市町村と合わさり底上げされ、上昇幅は非合併市町村を0.04ポイント上回っているといいます。

合併により財政の自立性は高まった方向にあり、また消防や医療の専門の職員数も増え「人材の厚みが増した」とみられています。



  一方で、財政の硬直化は進み、収入に対する固定経費の割合を示す経常収支比率は急上昇し、2021年度は87.4%と非合併自治体より3.2ポイント高いようです。

  合併特例債の発行で公債費が増えたためで、新しい施策を打ち出す余裕がなくなっています。



  交付税の増額や合併特例債による国の支援額は累計20兆円以上に上りますが、副作用も指摘されていて、地方交付税の増額特例によって支出を最小限に抑えようという市町村の意識が薄れ財政規律が緩んだほか、合併特例債はハコモノの乱立を招いたとの声もあります。
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2024年03月25日

最もクリーンな新エネルギー、天然水素

地質学者は、二酸化炭素(CO2)を排出しない新エネルギー資源の「ゴールドラッシュ」が始まると指摘し始めています。

これは地中に存在する天然水素のことで、これまでは注目されていませんでした。



米地質調査所によると、全世界には5兆トンもの水素が埋蔵されているといいます。

専門家は、大部分の水素は手の届かないところにありますが、数パーセントの採掘でも、予測される年間5億トンという需要を何百年も満たせると話します。



燃料と工業原料として水素はこれまで、天然ガスに含まれるメタンの改質で作られてきました。

その際に排出されるCO2を回収すれば「ブルー水素」、回収しなければ「グレー水素」といわれてきました。

それより少量の製造方法として、再生可能エネルギー由来の電気で水を分解して生成するのが「グリーン水素」と呼ばれています。



コロラド鉱山大学のメンリ・チャン氏は、「この天然水素(「地中水素」あるいは「ゴールド水素」と呼ばれる)の利用はブルー水素やグリーン水素よりクリーンで安価になる」と、そして「ゴールド水素のゴールドラッシュが到来しようとしている」と述べています。

その将来性は投資家の関心をひきつけ始めていて、米新興企業のコロマはビル・ゲイツ氏の環境ベンチャーキャピタルなどから9100万ドル(約140億円)の資金を調達した模様です。

コロマのCBOは「地中水素は低炭素であるうえ、土地や水資源への影響とエネルギー消費も少ないクリーンな水素の生産という並外れた可能性をもたらすものだ」といいます。



地質学者は今、世界各地で天然水素の埋蔵を発見していて、西アフリカ・マリ共和国のプーラケブグー村が天然水素間発掘の発祥地とされているほか、南欧のアルバニア北東部のブルチザで、年間200トン以上の水素が噴出しているようです。
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2024年03月24日

桜(ソメヨシノ)の開花

  お彼岸も過ぎ桜の開花が待たれますが、寒の戻りもあって今年は予想よりも遅れ気味でした。
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  自宅の前の比恵公園の桜は一昨日から開花し始め、さくらの開花日とされる5〜6輪以上の花が開いた状態に至っているようです。

  満開は、約 80%以上 のつぼみが開いた状態をいうようですが、今年は月末となりそうです。



  昨年有志で、筑後川河畔にヨウコウサクラを植樹しましたが、ソメヨシノに先駆けて先週、開花しました。

  ここしばらく雨天が続くようですが、週末には満開となり花見に適した天候に回復することが期待されます。
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  昨日は、月に一回、第4土曜日に開催されている白川夜市の見学に有志で行ってきました。

  あいにくの雨で、夜市そのものは中止となりましたが、開催を運営している「Shirakawa Banks」の代表のJason Morganさんから白川夜市の開催の経緯や概要についてお話を聞くことができました。

  筑後川でも白川と同様に河川のオープン化を目指していて、活動をしている人たちの参考になることを期待しての企画でした。



  久しぶりに白川の緑の区間を見させていただきましたが、治水と緑の景観の調和を目指して河川改修がなされていました。

  都市の中の限られた空間での河川のデザインは難しいようで、樹木を移し、治水を優先せざるを得ずに川を掘り下げ、高いパラペットを築かざるを得なかったようです。

  福岡市の御笠川のように都市河川の最たる様相を示しています。

  ただ、気候変動によりさらに洪水の流出量が増えると、川幅を変えないとすると川をさらに掘り下げ、パラペットを高くせざるを得なくなります。

  そうすると、緑の空間の景観も変わりそうです。
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2024年03月21日

高校普通科改革

  日本の高校は、普通科、専門学科、総合学科の3つに分かれていて、多くの教科を幅広く学ぶ普通科のほか、農業や工業、商業、理数などの専門学科は、それぞれの専門科目を多く学びます。

  高校生のおよそ7割が通う普通科に、2022年度から新しい学科が設置できるようになりました。



   新しい学科は専門学科とは何が違うのかというと、必修科目など、基本的なカリキュラムは普通科のままで、そのうえで、総合学習の時間など、学校の裁量で使える時間を活用して、ある分野に特化して、新しい学科を名乗ります。

  文部科学省は、例として、地球温暖化や格差解消など、現代社会の課題を学ぶ学科や、少子高齢化など、地域の課題解決を探る学科を挙げています。

  改革のねらいは、同じような教育内容で画一的な普通科に、特色や魅力のある高校を増やすことです。



  背景には、受験生の多くが、学校の特色や教育内容ではなく、いわゆる偏差値をもとに選んでいるという現状があり、入学後も、大学受験や就職に関係ない教科は意欲が低下しがちという問題があります。

  それに、日本、アメリカ、中国、韓国で、普通科の高校生に勉強の仕方を聞いたところ、日本は「試験の前にまとめて勉強する」が4か国で最も多い一方で、「できるだけ自分で考えようとする」などが最も少なく、能動的に学んでいない実態が裏付けられました。

  こうした中で、少子化が進む地方を中心に定員割れが相次ぎ、時代に合った教育内容という面でも改革が迫られていました。

  学習意欲に加えて、自分で課題を見つけ、解決する力などを高めようというわけです。

  課題解決力は、最近はソリューションという言葉で、企業でも重視されています。



  人口2万人余りでトラフグやアジフライが名物となっている松浦市。

  この松浦市にある長崎県立松浦高校がこの普通科改革に全国で真っ先に名乗りを上げ、令和4年度から普通科を新しい学科、「地域科学科」にしました。



  特色は4年前に始めた「まつナビ」という授業で、2年生が週2回、地元の経済活性化や高齢者福祉など、10以上のテーマから自分で選んで、グループで探求します。

  この「まつナビ」、文部科学省の高校改革の推進事業にも選ばれています。



  生徒たちも、大学で何を学びたいか、将来どんな職業に就きたいかなど、より具体的に考えるようになり、それに伴っていろいろな教科を幅広く学ぶ意欲や進学志向が高まっているといいます。

  生徒が受け身ではなく、自発的に進める姿が印象的ですが、こうした実践的な取り組みは先生たちだけでは難しく、地域の協力が必要です。

  市の担当者や協力してくれる市民のほか、毎週のように長崎大学から准教授がやってきて、内容や方針をアドバイスします。

  こうした連携が、大学のゼミのような深い学びに加えて、地域活性化にも役立っているといいます。



  ただ、 「地域科学科」に替わると発表したところ、地元の中学校や保護者から「大学進学を目指せなくなるのか?」「受験に不利なのでは?」といった不安が多く寄せられたといいます。

  改革に名乗りを上げたのが松浦高校が全国初で、高校普通科改革自体がまだよく知られていなかったこともあって、普通科の教育内容ではなくなるなどの誤解を生んでしまいました。


  地域連携がとてもうまくいっている一方で、改革は予想していた以上に「普通科信仰」という分厚い壁に直面しています。


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2024年03月20日

難問を高速処理する「イジングマシン」

  「物流の2024年問題」と呼ばれるトラック運転手の時間外労働規制強化を4月に控え、効率よく配送をこなす技術のニーズが高まっています。

  NECや富士通は最適な配送ルートを高速で計算する専用のハードウェアやソフトウエアを開発し、人出不足の克服につなげようとしています。



  NECフィールディングで最適なトラックの配送ルートを割り出すために開発したソフトウェアの性能を確認する為2022年から実際に導入したところ、これまでにトラックの台数と総走行距離をそれぞれ約2割削減できました。

  さらに、米グーグルの地図アプリ「グーグルマップ」と連携させることで、最新の渋滞情報を加味した経路も作成できるといいます。

  経験と勘を持つ専門人材でも2時間かかっていた配送ルートの立案時間を10分に短縮しました。

  そして、配送先が急に増えた場合でも柔軟にルートを組み替えられるということです。



  複数の配送先を最も短時間で回るルートの探索のように、多数の選択肢から特定の指標について最も望ましい解を求める計算は「組み合わせ最適化問題」と呼ばれます。

  ただ、選択肢が増えると計算量が膨大となり、従来のコンピューターでは解くのが難しいとされてきました。



  NECが開発したソフトは、磁性を帯びる物質が起こす現象を自社製の電子回路の上でシミュレーション(模擬実験)します。

  原理の発見者の名をとって「イジングマシン」と呼ばれ、内容は詳しくはわかりませんが、物流現場の配送ルート計算で普及し始め、最適な配送ルートが導けるということです。

  ニトリグループの物流企業ホームロジスティクスも、富士通が開発したイジングマシンを使って顧客宅への配送ルートを最適化する取り組みを始めました。

  トラック運転手の労働時間の短縮に加え、温暖化ガスの排出削減を見込んでいます。



  目的地を巡回する最短の経路を求めるだけなら他にも計算手法はありますが、個人宅への配送ではトラックの積載量や配達時刻など多くの条件を考慮しなければならないことから、複雑な問題を解く上ではイジングマシンが優れているといいます。
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2024年03月19日

高校球児、7割減

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  明日は彼岸の中日。

  一日一日と日が長くなり、暖かさも加わって春本番まであと一息というところでしょうか。

  桜の開花が待たれますが、ここしばらく気温が下がる日があったこともありやっとつぼみがみられる程度で、今年は早いという当初の予定よりも遅れそうです。



  春の選抜高校野球大会が昨日から開催されていますが、熱戦が期待される裏側で深刻な事態が進んでいます。

  硬式野球の部員が四半世紀後、ピーク時より7割減るということで、そのペースは高校生全体よりずっと急になりそうです。

  人口の多い東京でも試合に必要な9人を集められない高校が増えたこともあって、2012年から部員不足の学校が合同チームで大会に参加できるようになりました。



  スポーツ庁の推計によると、高校球児は今後も減っていくようで、ピークだった2014年度の17万人強から69%減り、数ある競技の中でも激減が目立ちます。

  高野連では、投手や捕手という専門職がいないとチームが成り立たない分、少子化の影響を受けやすいとみています。



  現場からは、「丸刈り」などの閉鎖的な雰囲気が敬遠されているという声も聞こえますし、炎天や厳寒にさらされる屋外スポーツであることも要因かもしれません。

  加えて金銭面の壁が大きく、バットやグローブ、スパイクなどを一式そろえると約10万円かかり、球技ではかなりの高額です。



  こうした中で、どうすれば野球に部員を引き込めるか、現場は変わりつつあるようです。

  丸刈りを指定する部は2018年の77%から2023年は26%減りましたし、休日の練習時間は「5時間以上」が73%から47%になったようで、2023年夏の甲子園で自由な髪形、選手主体のチーム作りで慶応義塾高が優勝したのは記憶にあたらしいところです。



  今後、期待がかかるのがICTの活用です。

  例えば、グランドが使えなくても体育館でできることをしようと、顔には大きなゴーグルをつけ、仮想現実(VR)で球速や球筋、スイングの軌跡を体感できる「V-BALLER」を使った「選球眼トレーニング」練習です。



  少子化や部活離れは一朝一夕に解決できません。

  子どもの趣味や嗜好も多様化し、「野球大国」であり続けるのは容易ではないようで、現場の創意工夫や最新技術で活路を見出す必要があるようです。

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2024年03月17日

大学、活かせぬ「富の元」

  大学の「知」が埋もれたままで、日本の大学は研究成果をビジネスにつなげる専門組織や人材が少なく、せっかくの種を開花できていません。


  日米の有力大学の特許取得数は2倍も差がないのに、特許から得る収入は米国の方が50倍も多いようです。

  国の支援を研究現場だけでなく、事業化への仕組みづくりにも回し、眠る富を経済成長に活かす必要があります。



  東京大学や京都大学など特許収入の多い上位10大学の合計額は最近では年平均24億円にとどまります。

  ノースウエスタン大学などの米国上位10大学の1/49で、特許の取得数は1320件と米国(2347件)の半分超あるのに稼ぐ力では大差がついています。

  1件の特許を取得するのにかかった研究費は日本の10億円に対し、米国の12億円弱とほぼ差がありませんが、特許収入は企業からのライセンス料などが多く、同じコストをかけているのに日本の大学は成果をビジネスにつなげることができていません。



  国内の大学の特許で企業に活用されているのは20%に満たないといいます。

  知財で稼ぐには大学内に専門の人材や組織、施設が必要になりますが、全大学のうち研究者の起業を支援するプログラムがあるのは8%、特許の専門家である弁理士を配置しているのも5%に過ぎません。

  知識不足で大手企業に特許料を安く買いたたかれた研究者もいるといいます。



  米欧の有力大学では特許やビジネス戦略の専門人材がそろい、起業支援の施設も充実しています。

  研究者が特許の書類や論文を書く前に専門家が競合する特許を分析し、ビジネス化するにはどの特許と組み合わせたら最適化知財戦略を立てることが一般的なようで、ベンチャーキャピタルが投資の判断をしやすく、スタートアップも立ち上げやすいようです。



  国の大学への支援は研究現場に重点を置き、成果を稼ぎにつなげる仕組みづくりには十分に資金が回っていません。

  知の種を生む研究開発への支援は欠かせませんが、今後は花を開かせる事業化への支援も手厚くする発想転換が重要になってきました。

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2024年03月15日

ライドシェア

  一般ドライバーが自家用車で乗客を有料で運ぶ「ライドシェア」が4月、日本で解禁されます。


  当面、タクシーが不足する地域や時間帯に限定され、タクシー会社の管理下で運行するという条件付きのスタートとなりました。

  これまで公共交通機関が少ない地域などに限って、非営利のライドシェアは認められていましたが、今回、営利目的のライドシェアも解禁されます。



  日本型の大きな特徴はタクシー会社が運行を管理することで、ライドシェア車両のドライバーはタクシー会社と雇用契約を結ぶことになります。

  タクシー会社はドライバーの教育や勤務管理を行い、給与はタクシー運転手は歩合給が一般的ですが、ライドシェアの場合は時間給で支払うことも想定しています。

  タクシーが不足している地域、時期、時間帯に絞って導入されるのも特徴のひとつです。

  国が複数のタクシー配車アプリ運営会社からデータ提供を受け、需給を分析して決め、運賃は通常のタクシー料金と同等とします。



  OECD加盟国のうち、ライドシェアや同等のサービスを認めている国は66%にのぼり、米国やカナダはアプリ事業者に運転手の管理を義務付けています。

  英国やフランスは個人タクシーのように、ライドシェアのドライバーに車両や運行管理の責任を負わせていて、韓国やトルコはライドシェアを禁止しています。



  日本では利用者は原則、配車アプリを通じて申し込むことになり、その際、乗車地と目的地を入力し、運賃が事前に確定します。

  走行中の空車車両を捕まえることはできませんし、支払い方法は原則キャッシュレスとなります。



  タクシーの業界団体は全面解禁には反対していますが、政府はライドシェアの全面解禁について議論を続けているようで、タクシー会社以外の参入を認めることや、地域や時間帯、台数制限の撤廃や、ダイナミックプライシングといった自由度の高い料金体系の導入などについて検討しているようです。
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2024年03月14日

減り続ける漁獲量

日本の近海から魚が減っています。

温暖化による海水温の変化などで生育環境が変わり、スルメイカの漁獲量は最盛期の5%まで減りました。

一部の魚種では乱獲も響き、回復の兆しは見えていません。

展望を開くには、陸上養殖などで漁業を産業化する取り組みが必要だともいわれています。



魚介類は広大な海で育ち、年によっては不漁もあり、原因は一つではありません。

ただ、長期にわたるスルメイカの減少は温暖化が影響しているとされ、水産庁の調査によると産卵場となる東シナ海の水温が上がり、産卵や生育に適さなくなったようです。

サンマも最盛期の3%ほどしか取れていません。



代表的な魚介類が長期的な不漁に見舞われ、日本の漁獲量は大きく減り、漁獲高は1984年に約1150万トンだったのが2021年には約319万トンと1/4程度になりました。

一方で取れるようになった魚もあり、代表例のブリは年12万トンほどと、2000年代に入ってから緩やかな増加基調にあります。



漁業関係者が漁や加工の対象を変えるのは「魚種転換」といわれ、自然を相手にするための知恵ですがハードルは高く、漁船や網などの設備を入れ替える必要が出てきます。

国からの補助もありますが、利益が確保出る水準で魚が取れるとは限りません。



温暖化だけが不漁の理由ではなく、乱獲も避けなければなりませんが、専門家は、「日本近海での漁獲量は、2050年ごろにはほぼゼロになるペースで減っている。今後の水産業は持続可能な漁獲量ら制限し、その価値を高めることが重要」と話します。

漁獲量が制限される漁業者は収入が減り、2023年度予算では漁業収入安定対策事業として漁業者の収入保障に580億円ちょうが計上されているようです。



  巨額の予算も魚を増やす効果はないわけで、政策支援も「とる」から「育てる」に発想を切り替えなければ、産業としての復活は難しいようです。

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2024年03月13日

アジアリゾート

東南アジアのリゾート地で高級住宅市場が活況のようです。

タイ南部プーケットでは同国財閥大手セントラル・グループとシンガポールのバンヤングループがそれぞれ大型開発を始めていて、中国やロシアなど外国人富裕層の長期滞在需要が高まっています。

ホテルなどのブランド名を付けた住宅は「ブランデッドレジデンス」と呼ばれ、ホテル並みの品質を提供する住宅です。



新型コロナウィルス禍を経てリゾート地での長期滞在需要が高まっており、東南アジアで開発が活発化しています。

ベトナムのダナンでは地場不動産会社のIFFホールディングスが米マリオット・インターナショナルと組んで「ル・メリディアン」ブランドの高級住宅を建設中で、インドネシアのバリ島でもタイのホテル大手マイナー・インターナショナルが高級ブランド「アナンタラ」の住宅開発を手掛けます。



同タイプの高級住宅の世界市場のうち2割超をアジアが占め、アジアの首位はプーケットで、開発件数は完工済みを含めて22件に上ります。

「プーケットは世界の人びとが集うコミュニティーに変貌する」と、高級リゾートを展開するバンヤングループの創業者は語ります。

プーケットでのコンドミニアム供給数は2023年に約8700戸とコロナ前に比べて2倍以上に増え、過去最高となったようです。



外国人に人気のプーケット南部では2023年1〜3月の不動産購入の60%を中国人、25%をロシア人が占めています。

購入者は月収80万円以上の40〜50代が多いといいます。



中国人は自らの長期滞在と投資を兼ねた購入が目立つといい、中国人観光客に民泊として部屋を貸すケース も多いようです。

中国国内が不動産不況にあえぐ中で、投資マネーは外国に向かっています。



ロシア人の購入はウクライナ侵攻後に顕著となり、戦争を避けて国外で暮らしたいという需要が膨らんだようです。

温暖な東南アジアはもともとロシア人に人気が高く、経済制裁に参加していない国も多く、ロシア人が購入しやすいということです。



タイ政府も外国人富裕層の呼び込みに積極的で、富裕層向け長期滞在ビザの新規発行件数はコロナ前より2.6倍に増えました。


住宅開発の急増による懸念も出てきており、プーケットでは農地を住宅にする開発も多く、緑地の減少は避けられず、治水上や環境面での影響が出てきそうです。

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2024年03月11日

モルドバ情勢

旧ソ連圏の東欧・モルドバ情勢が再び緊迫しています。


モルドバ共和国はルーマニアとウクライナに挟まれた小さな国で、日本人にあまり馴染みのない国です。

モルドバ人は民族的・言語的にルーマニアと同根であり、モルドバ国土の主要部分はかつてルーマニアの領土でした。

ルーマニア語はラテン語を起源とし、イタリア語やスペイン語に似ています。

モルドバは旧ソ連構成国でもあるためロシア語の通用度も高く、街を歩いていると両方の言葉が聞こえてくるようです。



モルドバは1991年に旧ソ連から独立しましたが、実はそのモルドバの中に独立国を自称する地域があります。

モルドバ東部を流れるニストリア川とウクライナ国境に挟まれたトランスニストリア地域(沿ドニエストル共和国)は、ソ連時代に多くのロシア人やウクライナ人が移住した地域です。

モルドバの独立に先立ち政府が打ち出したモルドバ語の国語化などに反発したロシア系住民が「沿ドニエストル共和国」の分離独立を宣言し、武力衝突が勃発し、1992年に停戦協定が締結されましたが、30年以上が経った今もなお、親ロシア派による事実的な実行支配が続いています。



この親ロシア派勢力の議会は2月28日、モルドバ中央政府の圧迫から保護をロシア側に要請したようです。

欧米各国はロシアがウクライナと接するモルドバの親欧州政権を揺さぶろうとしていると警戒します。

沿ドニエストル共和国には1992年以来ロシア軍が駐留し、中央政府の支配が及んでいない地域になっています。



ロシアはモルドバのEUやNATOへの加盟を阻むために有用とみてこの地域を支援してきました。

住民は費用を支払わずロシア産の天然ガスの提供を受けてきました。



ただ、2年前に始まったロシアのウクライナへの全面侵攻で沿ドニエストル側とウクライナとの境界は閉鎖されました。

これで地域の企業は独自の輸出入ができなくなり、関税収入などの財源も減少しました。

経済的な窮状が深まったことを受け、沿ドニエストルの議会は、ロシアに「モルドバからの圧力が高まるなか、沿ドニエストルを保護する措置」を取るよう訴える決議を採択しました。



しかし、ロシアにはウクライナ侵攻が泥沼化する中、この地域の併合に向けて戦線を広げる余力はありませんので、今回の一連の動きには、親欧米に傾斜するモルドバのサンドゥ政権を揺さぶる思惑があるとの見方が広がっています。

また、欧米の軍事支援をウクライナからモルドバに割かせる狙いも透けてみえます。



西側各国も、ロシアが状況を不安定にさせようとしていると警戒感をあらわにしています。
posted by 川上義幸 at 14:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2024年03月09日

投資先は「ジェンダー平等」

昨日、3月8日は国際女性デーでしたが、UN Women(国際女性機関)が定める今年のテーマは「女性に投資を」でした。

2030年までにジェンダー平等を達成するためには年間3600億ドル(約54兆円)が不足しているといいます。



日本では経済分野での遅れが目立つ一方、女性役員が多い企業の方が業績がよいという傾向がみられます。

政府は2030年に東証プライム市場の上場企業の女性役員比率を30%に引き上げる目標を定めています。



日経新聞の調査では、女性役員比率が高いほどROA(総資産利益率)の直近3期平均でも高い傾向で、効率的に利益を稼げていることがわかっています。

女性役員がゼロの企業のROAは単純平均で1.3%でしたが、役員が3割以上の起業では平均4.2%、2〜3割の企業では3.5%でした。

経営や業績に好影響を与えるより良い意思決定には、多様性が欠かせないようです。

機関投資家などは意思決定層の多様性に注目しています。



2023年3月期決算から上場企業は社員の資質や能力などの人的資本に関する指標を有価証券報告書に開示することが義務付けられました。

うち女性活躍に関連する指標は女性管理職比率、男性の育児休業取得率、男女間賃金格差があります。



投資家が見ているのは、数字の背景にある事情だといい、例えば「女性管理職30%」という数字だけを見て「他と比べて高いからよい」とするのは早計で、部下のいる管理職なのか、部長や役員クラスではどのくらいいるのかを見ます。

そのうえでジェンダーに関する指標だけでなく、環境や社会、企業統治などの多様な指標を一つとして見ているようです。



他人のお金を預かり運用する機関投資家にとって、投資先の多様性は運用リターンに直結する需要なファクターとなっています。

高いリターンを挙げているコモンズ投信の社長は「世代を超えて成長する会社を選ぼうと思えば、女性に代表される多様性に配慮しない選択はありえない」「女性はユーザーとしても働き手としても半分を占めるのに、意思決定レベルだけは男性オンリー。投資家としてそんな会社が伸びるとは思えない」と断言します。
posted by 川上義幸 at 17:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2024年03月08日

ロシア経済は制裁を受けずに成長

ロシアの高い経済成長を保っています。

ウクライナ侵攻後、西側諸国から経済制裁を科されましたが、代わりに中国やインド、ブラジルなど制裁に参加していない国との貿易を増やして補っているためです。

20ヵ国・地域(G20)内の分断がロシア経済の反転を許している構図が浮かび上がります。



ロシアの2023年のGDPは前年比3.6%増え、IMFは1月、ロシアの2024年のGDP成長率を2.6%に上方修正し、同時期のG7の平均成長率の約1.0%を大きく引き離しています。

背景にはロシアを含めたブラジル、インド、中国、南アフリカで構成するBRICS内の貿易増加があります。

日本、米国、EU、英国のロシアからの輸入額はこの2年間で約7割、金額にして1841億ドル減りましたが、BRICSにインドネシア、トルコを加えた新興国6ヵ国のロシアからの輸入額は同期間で1244億ドル得ています。

日米欧の減少分を新興国6か国で補った形です。



対ロシア制裁で中立の実利外交を貫くインドの輸入額は7倍に膨らみ、中国は6割増、G20議長国のブラジルも8割増えました。



ロシア産原油の価格に上限を設ける措を導入しましたが、これもロシアのエネルギー収入を断つ仕組みにはなっていません。

ロシア産原油の流通量を確保しなければ、原油高がインフレに拍車をかけたり、供給不安が途上国経済に逆風になったりする懸念があるためです。



侵攻直後に西側諸国が急いだ金融規制網もロシア経済を封じ込めるには不十分でした。

国際銀行間通信協会からロシアの主要銀行を遮断したものの、資源金融を手掛けるガスプロムバンクは対象外でした。

液化天然ガスなどロシア資源への依存を完全に断ち切ることができず、ガスプロムバンクは依然としてロシアの資源輸出の代金を受け取るハブ銀行として機能しています。



G7のGDPは世界の4割ほどに縮小していて、今やBRICSは世界人口の4割を占め、2024年からエジプトなどが新たに加わり、今後も高い経済成長が見込まれています。

G20の足並みがそろわない中では、ドル経済圏からロシアを締め出しても兵糧攻めの効果には限界があるようです。
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2024年03月07日

感染症を防ぐ蚊

蚊はデング熱やマラリアといった感染症の病原体を媒介し、間接的に人を最も多く殺しているといわれています。

こうした感染症を防ぐため、細菌に感染した蚊を使って、人への感染を防ぐ手法が国際的に注目を集めています。

2024年末には世界最大の「蚊工場」が稼働予定で、人類と蚊との戦いの決定打となるのか注目されています。



米ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団が出資するNPOのワールド・モスキート・プログラム(WMP)は、細菌の「ボルバキア」に感染したネッタイシマカをつくる世界最大の工場をブラジル南部に建設します。

新設する工場では年間約50億匹のボルバキア蚊を作る予定です。

感染症の広がる熱帯地域では殺虫剤への耐性を持つ蚊が増えて対策に苦慮していて、その切り札として期待されるのがボルバキアです。



体長1マイクロメートル前後の細菌で、自然界でありふれており昆虫の半分以上が感染しています。

感染した蚊を野外に放てば地域にいる蚊全体へと感染が広がり、人が刺されてもウィルスをうつされにくくなります。



WMPは感染したオス・メスの両方や、メスだけを放出する取り組みをしていて、オーストラリアのほか14ヵ国で実施しています。

先行例で効果は出ていて、インドネシアのジョグジャカルタ市での調査によると、ボルバキア蚊を放った地域では、放っていない地域に比べデング熱の発生率が77%減り、入院率は86%減りました。

デングウィルスだけでなく、チクングニア熱やジカ熱の原因ウィルス、マラリアを起こす寄生虫などの増殖を防ぐ効果もあるとみられています。



ただ、感染症が発生しにくくなると聞いても、蚊に刺されること自体に抵抗を覚える人もいて、オスとメスを放つ方式では蚊が減らないため、市民の理解が得にくい面がありました。

そこで蚊の数に注目した戦略をとるのがシンガポールで、感染したオスのみを放つ事業をしています。



感染したオスと非感染のメスが交尾すると「細胞質不和合」という現象が起き、詳しい仕組みは不明だが卵が孵化できなくなり、次世代を減らせます。

先行して実施した地域では蚊の数が約9割減り、住民がデング熱にかかるリスクが最大約8割減りました。
posted by 川上義幸 at 13:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2024年03月06日

中国経済の今

不動産不況を背景とした内需の弱さに加えて外国企業の直接投資も30年ぶりに低水準に陥っている中国ですが、「全人代」が開催されていますがこれからの経済政策が気になるところです。



中国のスーパーで、ローストチキン1羽が416円、豆腐が一丁17円、コメが5kg420円と格安商品が並びますが、このスーパーを手掛けているのはネット通販のアリババグループです。

かつては販売力が高いネットスーパーを行っていましたが、近年では格安店に注力し、上海を中心に140店舗を展開しているようです。

また、 60円のソフトクリームを扱うドリンクスタンド、中国版ドン・キホーテといわれるディスカウント店も登場しています。

ここ数年このような店が登場し、中国ではモノやサービスの値段を引き下げ、消費者の節約志向を取り込むデフレ銘柄といえるものが勢いを伸ばしています。



デフレ圧力に直面している中国経済ですが、さえない内需にあるのが不動産不況です。

そのような中、不動産市場に変化が出てきました。



使われていない工場を改装して造られたマンションですが、家具、家電付きのワンルームタイプで部屋の広さは42m2で、家賃が約6万円と相場より2、3割安いようです。

その理由は、土地の取得オークションやリフォームの審査などですべて政府がサポートしてくれるということですし、奨励金や手当も出すといいます。

  こういう住宅は保障性賃貸住宅といい、住宅を借りることができない若者や出稼ぎ労働者が主に入居しているようです。

政府は保障性賃貸住宅の建設を推進することで、不動産関連産業の落ち込みを防ぐ狙いもあるようです。



その一方で、富裕層向けのマンションも新たな動きに。

リゾート地の海南島、町全体が地中海をイメージして造られていて、この町の魅力は豪華な住宅だけではありません。


演劇祭が毎年行われていて、映画祭、音楽祭も行われ、一種のライフスタイルを提供してくれていて、文化の発信の街となっています。

こうした付加価値が人気を呼び、新しい物件を次々に開発していきます。


3LDK(170m2)の物件が約1億6000万円、自動洗浄機が付いた最新式のトイレ、エアコンはnamoe機能が付き、さらにキッチンでは家電や調理器具すべてが人気のパナソニック製品となっています。

  不動産業の不振が続く中で、このように付加価値を武器として住宅事業を展開している例も出てきました。



  中国社会はいろいろな意味で転換点を迎えていて、住宅はこれまでの「買えば必ず上がる」から「いい物件だけが値上がりする」に代わってきました。
posted by 川上義幸 at 13:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2024年03月04日

日本産食品に海賊版

  和牛やシャインマスカットといつた日本産食品の「海賊版」の流通を食い止めようと農林水産省などが力を入れているといいます。


  海外で広がる模倣品の販売や日本由来品種の生産による被害総額は1000億円をこえるようです。

  また、日本国内ではおよそ600人いるという「Gメン」の目が届きにくい「ふるさと納税」を悪用した産地偽装が目立つようになってきました。



  オーストラリア産の「但馬牛」、中国産の「夕張メロン」と海外の電子商取引(EC)サイトで日本のブランド食品をまねた商品が次々と見つかっています。

  ネット上だけでなく、店頭においても見受けられます。



  例えば、「神戸牛」の模倣品で、ドイツのスーパーの店頭ではニュージーランド産の「Wagyu Kobe-Style」、スペインのレストランでは「TROPICAL KOBE BEEF」と表示された牛肉が販売されていました。

  特許庁が公表した日本産食品の模倣による推計被害額は741億円で日本の食品輸出の5%に相当します。

  JETROはアジア圏で模倣品の相談・通報窓口を特に被害が多いタイや中国に設置しました。



  模倣品とともに生産者が頭を抱えるのが品種の流出です。

  香港で高級品として人気がある日本産白イチゴ「淡雪」と店頭に並んでいたのが、日本から流出して生産されるようになった韓国産で価格は日本産の1/4だったといいます。

  イチゴのほかにも、ブドウやリンゴなど少なくとも日本由来の36品種が中国や韓国などで生産され、ECサイトで販売されているようです。



  日本国内では2021年に改正種苗法が施行され、新品種の海外への持ち出しを制限することが可能になりました。

  しかし、自治体や農家などには知的財産を管理するノウハウや資金は乏しいようです。

  海外で、“海賊版”の流通を許せば輸出の機会が奪われるだけでなく、粗悪な品物が流通すれば日本産食品のイメージを悪化させかねません。

  インバウンドの増加で日本の食が脚光を浴びる今こそ、実効性のある水際対策が求められています。



  また、日本国内ではふるさと納税の返礼品による産地偽装が近年目立ってきました。

  熊本県の食肉加工業者がブラジルやタイからの輸入鶏肉を宮崎県産と偽って、都城市のふるさと納税の返礼品として卸していたことが発覚しましたし、佐賀県産と出荷して偽装した九州地方の食肉業者も摘発されまし
た。


  食品は工業製品と異なり、品質や数量は気象などの自然条件に左右され、供給量に限りがあるにも関わらず、ふるさと納税などで高まる需要に応えきらずに偽装している事例が目立つといいます。
posted by 川上義幸 at 17:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2024年03月03日

セーヌ川における五輪開幕式

今年夏のパリ五輪では、パリ中心部を流れるセーヌ川が開幕式や競技の舞台となるようです。

パリ市は2025年に1世紀ぶりにセーヌ川での市民の遊泳を解禁し、大会のレガシーとする予定です。

五輪史上、屋外開催の開幕式は初めてです。

水質浄化やテロ対策など、五輪開幕前に解決すべき課題は山積しています。



開幕式ではセーヌ川を6kmにわたり、選手を乗せた船が水上パレードのように進む予定で、街の東側に位置するオステルリッツ橋を出発し、修復工事中のノートルダム寺院やルーヴル美術館など数々の観光名所の横を通り過ぎて、最後にエッフェル塔の下のイエナ橋に到着します。



7月26日の指揮でセーヌ川の両岸に設置する観客席に入れるのは「左岸に10万人、右岸に万人」と当初計画の60万人から半減しました。

前例のない意欲的な計画なだけに、人流の制御や警備対策のハードルは高いものがあります。

当日は治安維持部隊4万5000人が動員されて警戒に当たるということですが、ロシアのウクライナ侵攻や緊迫する中東情勢が飛び火し、五輪でのテロ計画につながる恐れは否定できません。

観客数を引き下げざるを得なかったのも、安全管理上の問題とみられます。



セーヌ川岸で本を売るパリ名物の露天商「ブキニスト」に五輪期間中の立ち退きを求める方針でしたが、店主たちは補償がないなどと強く抵抗し、現地メディアにも大々的に報道されました。

結局マクロン大統領が折れ、「ブキニストは首都にとって生きた遺産だ」と立ち退き支持の撤回を命じました。



パリ市にとってセーヌ川の水質改善も課題です。

セーヌ川は五輪のトライアスロン、パラリンピックのパラトライアスロンなどの競技会場となる予定です。

パリでは商業施設や住宅から出る汚水と雨水が同じ下水道に流れ、大雨が降ると汚れた水が下水道から溢れてセーヌ川に流れ込みます。

水質を保証できないため、1923年からは遊泳が禁止されてきました。



仏政府やパリ市は14億ユーロの予算を費やし、様々な水質浄化策を進めていて、2023年夏には水質は「10日のうち7日は遊泳可能な水準」まで改善したといいます。

しかし、準備に手を尽くしても、極端な悪天候など会費しきれないリスクは残ります。



4年前、パリを訪れて感じるのはセーヌ川を生かした企画そのものは評価しますが、水質問題はクリアできるかどうかは甚だ疑問です。
posted by 川上義幸 at 15:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2024年03月02日

国産大豆の今は

豆腐に納豆、みそ、しょうゆ、それに寒いと、おでんのがんもどきが恋しくなってしまいます。

和食に欠かせない、これらの食べ物に共通する原料と言えば、「大豆」です。

和食を支える大豆ですが、その国産の割合は6%にとどまっています(2022年)。

大豆は油を搾る「搾油用」とそのものを食べる「食品用」に分かれ、食品用だと国産の割合は増えるのですが、それにしても自給率は23%で、大半を輸入に頼っています。



ですが、最近は中国を中心に、世界的に需要が増えて国際価格が上昇傾向にあり、将来的に安定して調達できるか、心配な面があります。

大豆の収穫量は、戦後の復興に伴って増え、1952年には、52万トンあまりまで増えました。

このときの自給率は64%ありましたがその後、急速に減ります。



大きな要因は、海外産の安い大豆が増えたことで、1961年、大豆は輸入自由化され、関税さえ払えば、自由に輸入できるようになりました。

その結果、主にアメリカから安い大豆が大量に入ってくるようになりました。

消費者としては、輸入大豆の安さは大きなメリットですが、豆腐などの食品メーカーは、品質面では「国産大豆のほうが良い」と口をそろえ、国産大豆の生産量が増えることを期待しています。



国産には致命的な問題があって、なかなか安定して量が確保できません。

大きな原因は、まずは全体のおよそ8割が田んぼで作られていることにあり、田んぼでは、年によってコメを作ったり、大豆を作ったりします。

大豆を作付けする年は、稲を育てるときは水を張るところの水を抜いて大豆を植えます。

ところが十分、水が抜けない田んぼがあり、大豆は湿気を嫌う作物なので、その場合、なかなか収量があがりません。


また、田んぼで生産する農家の多くは、どうしてもコメを優先しがちで、大豆の生産は補助金目当てで力が入っていないとも指摘されています。



しかし最近では、収穫量が期待できる「品種」で進歩がありました。

この大豆、農研機構が2023年度、品種登録出願を行った「そらみのり」という新品種です。

従来品種の「さやがはじけやすく、収穫ロスが多い」という欠点を解消したこともポイントで、この新品種は、温暖な地域向けで、東海地方から九州での拡大を目指しているということです。

新品種は母親が「九州148号」と国産で、父親はアメリカの品種「Santee(サンティー)」で、たくさん実る、いわば“アメリカの血”を入れたことが成功につながりました。



ただ、新品種の作付けを広げるには、十分な量の種を増やさなくてはなりませんが、工業製品ではないので一定の時間がかかります。

さらに時間では解決できない課題もあって、国は大豆の生産を増やそうと旗を振って、品種の開発だけでなく、補助金も手厚くつけて生産を促していますが、過去も農業政策はコロコロ変わってきましたので、大豆重視
の政策が本当に続くのか、疑っている農家はたくさんいるようです。

農家の意識も重要で、日本では、大豆だけを作り続けている農家は少数派で、多くはコメも手掛け、あくまでコメを重視しています。

大豆は片手間に作付けするという意識が変わらない限り、いくら良い品種がデビューしても、劇的に収穫量が増えることは望めません。



大豆が復活することは、日本農業の復活にもつながる可能性を秘めていると言っても過言ではありませんので今後の大豆生産に期待したいものです。
posted by 川上義幸 at 10:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記