九州に住んでいれば、当たり前のように口にする甘いしょうゆですが、九州でお刺身と言えば、これでないとという人が多いと思います。
実は、しょうゆ蔵は全国で1000あまり、九州にはその1/4が集中しており、なかでも福岡には100以上あるようです。
そして、各県や各蔵ごとにしょうゆの味に違いがあるそうです。
福岡のしょうゆは甘みもしっかりありますがさらっとしていて、大分鹿児島の方が甘みが強く、少し粘度もあるようです。
しょうゆの作り方のほとんどの工程は基本的に全国どの地域でも同じですが、九州の多くの蔵は作業工程の最後に砂糖や甘味料をブレンドしたものを加え、独自の甘さを追求しています。
では、一体なぜ九州ではしょうゆを甘くするのでしょうか。
福岡佐賀長崎は昔シュガーロードがあって砂糖が手に入りやすかったし、また、鹿児島ではサトウキビも栽培され、こうした甘さを好む食文化が生まれやすく、九州のしょうゆを甘くしたのではという説があります。
しかし、甘いものを好むとはいえ、なぜしょうゆを甘くしたのかというと、このあたりの海で獲れる魚(タイ、サワラ、イカなど)は、甘いしょうゆで食べた方がおいしさがよりわかりやすいようです。
福岡県には、各地域の家庭に直接しょうゆを配達する蔵が、今でも数多く残っています。
こうした配達文化の中で、かつてはお客さんの「もっとしょうゆを甘くしてほしい」といった声に応え、地域の人々や食材に寄り添った甘い味へと変えてきたといいます。
いまでも、おすし屋さんや居酒屋さんなどから、甘さについてのリクエストを受けることがあるそうです。
どうやら、九州の甘いしょうゆの背景には、歴史的に甘さを好む食文化と、地域に根ざしたしょうゆ蔵の存在があったようです。
食文化に詳しい 学習院女子大学 宇都宮由佳教授は、戦前、昭和初期の聞き書き調査や先行研究を見ても、九州のしょうゆの作り方はほかの地域と変わらなかったようですが、戦後になって甘くなったといいます。
戦時中から戦後にかけての物資不足で、しょうゆの原料が不足しうまみが出せなくなったため、しょうゆにアミノ酸を加えることでうまみを補っていました。
どうしてもアミノ酸液は臭みが出てしまい、その臭みをとるために甘味料を添加していきます。
すると、九州は甘いはうまい、という文化を持っていますから、おいしいこれは!と気づき、どんどんどんどん甘さが強くなっていきます。
その後原料が戻ると、全国の多くの地域で、しょうゆに何も加えない作り方に戻っていきましたが、歴史的に甘さを好む九州では、逆に文化として洗練されていったというのです。
九州にはシュガーロードやサトウキビの栽培の歴史があって、甘いものが好きという背景があるところに、戦争による物資不足という意外なきっかけでしょうゆを甘くするようになった。…なかなかに説得力があります。
その他にもいろいろな説があるようで、辛口の焼酎に合うようにしょうゆが甘くなってきた説、漁師が舟の上で、バランス良く栄養をとるために、塩分と同時に糖分も取れるよう、しょうゆを甘くしてきた説、九州は比較的手近とは言え、高級だった砂糖をしょうゆにも入れて料理に使うことで、おもてなしの気持ちを表してきた説などです。
どれも一理ありそうで、どれか一つが要因とも言い切れず、九州の甘いしょうゆはこうしたさまざまな要因が重なり合うことで、地域の文化になっていったのかもしれません。
2024年06月29日
2024年06月27日
コメの価格上昇
食品価格の値上がりが続く中、食卓に欠かせないコメの価格も上昇し、消費者などからは不安の声が上がっています。
JAグループなどが卸売業者に販売した去年産(令和5年)のコメの取引価格は、すべての銘柄の平均で60キロ当たり1万5597円でした。
去年の記録的な猛暑などを背景に前の年(令和4年)と比べて価格が上がっていて、先月(5月)で見ると1690円、率にして12%ほど高くなっています。
あるスーパーでは、「だんだん値段が上がってきて今は2280円です。ここから400円か500円くらい値上げせざるをえないくらいの仕入れ価格になります。市場からお米の在庫がどんどんなくなっている状況で、注文してもまともに入ってくるものがどんどん減ってきています。非常に心苦しいなという思いでいっぱいです」と話します。
影響は飲食店にも広がっています。
大阪・中央区のひとくちサイズのおにぎり専門店では、去年産の米が出始めたころから、おにぎりの値段を5円ほど値上げしたということです。
わかめやしゃけなどの具材も値上がりするなか、やむを得ない判断だったようですが、「(客には)『しかたないよね』と受け入れてもらったと思うんですけど。毎日買いに来られる方もいらっしゃるので、これ以上上げづらい部分はありますね」と語ります。
なぜ価格が上昇しているのか、コメの流通や生産に詳しい宮城大学の大泉一貫名誉教授は「猛暑」と「インバウンドの増加」を理由にあげます。
米どころの日本海側で高温障害を受けている県が多く、特に新潟のコシヒカリは打撃が大きかったようです。
さらに、インバウンドの増加により、コメの需要が拡大していることも価格を押し上げている要因になっていると指摘しています。
例えば、どんぶりだとか寿司だとか、インバウンドで日本の寿司を食べに来るというお客さんがどんどん増えていて、その需要が非常に大きくなっているようです。
また、今後の見通しについて大泉名誉教授は次のように指摘しています。
◎天候しだいだが9月や10月には新米が流通し始めるため、価格が落ち着く可能性がある。
◎ことしも猛暑が続くとみられるため、来年の今ごろは現在の水準よりも価格が高くなる可能性もある。
暑さの影響で、品質の低下が懸念されるなか、“暑さに強い新たな品種”の開発も各地で進められていて、今後の研究が注目されます。
JAグループなどが卸売業者に販売した去年産(令和5年)のコメの取引価格は、すべての銘柄の平均で60キロ当たり1万5597円でした。
去年の記録的な猛暑などを背景に前の年(令和4年)と比べて価格が上がっていて、先月(5月)で見ると1690円、率にして12%ほど高くなっています。
あるスーパーでは、「だんだん値段が上がってきて今は2280円です。ここから400円か500円くらい値上げせざるをえないくらいの仕入れ価格になります。市場からお米の在庫がどんどんなくなっている状況で、注文してもまともに入ってくるものがどんどん減ってきています。非常に心苦しいなという思いでいっぱいです」と話します。
影響は飲食店にも広がっています。
大阪・中央区のひとくちサイズのおにぎり専門店では、去年産の米が出始めたころから、おにぎりの値段を5円ほど値上げしたということです。
わかめやしゃけなどの具材も値上がりするなか、やむを得ない判断だったようですが、「(客には)『しかたないよね』と受け入れてもらったと思うんですけど。毎日買いに来られる方もいらっしゃるので、これ以上上げづらい部分はありますね」と語ります。
なぜ価格が上昇しているのか、コメの流通や生産に詳しい宮城大学の大泉一貫名誉教授は「猛暑」と「インバウンドの増加」を理由にあげます。
米どころの日本海側で高温障害を受けている県が多く、特に新潟のコシヒカリは打撃が大きかったようです。
さらに、インバウンドの増加により、コメの需要が拡大していることも価格を押し上げている要因になっていると指摘しています。
例えば、どんぶりだとか寿司だとか、インバウンドで日本の寿司を食べに来るというお客さんがどんどん増えていて、その需要が非常に大きくなっているようです。
また、今後の見通しについて大泉名誉教授は次のように指摘しています。
◎天候しだいだが9月や10月には新米が流通し始めるため、価格が落ち着く可能性がある。
◎ことしも猛暑が続くとみられるため、来年の今ごろは現在の水準よりも価格が高くなる可能性もある。
暑さの影響で、品質の低下が懸念されるなか、“暑さに強い新たな品種”の開発も各地で進められていて、今後の研究が注目されます。
2024年06月26日
モンスター船
中国とフィリピンの対立が激化する南シナ海で、いま中国海警局の大型船の動きを沿岸国が注視しています。
この船を南シナ海で中国と領有権を争うフィリピンのメディアが「モンスター船」と呼んで、その航行を大々的に報じました。
その正体は中国海警局の「海警5901」で、中国海警局が保有する最大級の船で全長165メートル、排水量は1万トンの海上保安庁の最大級の巡視船を上回る大きさです。
この“モンスター船”が、南シナ海のフィリピンの排他的経済水域の内側に入り、中国が実効支配するスカボロー礁の周辺海域を航行したと伝えられています。
さらにその同型船が東シナ海の日中中間線、台湾周辺でも活動し、ここ2年ほどは自らのプレゼンスを誇示するような動きを強めていることがわかってきました。
中国や台湾、それに東南アジア各国が領有権争いを続ける南シナ海において、中国はそのほぼ全域で管轄権を主張し、漁船などに対して威圧的な行動を繰り返しています。
10年前から、南沙諸島、英語名スプラトリー諸島に巨大な人工島を造成し、そこを拠点に海警局の船や中国漁船が活動していて、実効支配する海域を広げるなど攻勢を強めています。
とりわけ、中国が活動を活発化させているのが、フィリピンの排他的経済水域にあるセカンド・トーマス礁とスカボロー礁の周辺海域で、このうち、セカンド・トーマス礁ではフィリピンが1999年に意図的に軍艦を座礁させ、軍の兵士を常駐させています。
これに対し、中国は水や食料を補給するフィリピン側の船への妨害活動を続けていて、両国の対立が激化しています。
中国側は46隻を派遣して活動を妨害しており、3年前の2021年末からたびたび放水銃を使うなど、その活動はより強硬になっていて、ことし3月以降は、フィリピン側にけが人が相次いで出るなどしています。
現場の海域では中国海警局の船とともに大量の漁船も出ていて、中国海警局が海上民兵を乗せた漁船と連携しながら、大規模な活動を展開しているとみられています。
南シナ海での中国側の活動を分析している米戦略国際問題研究所の研究員は、中国側の狙いはフィリピン側の実効支配の拠点を崩壊させることにあると指摘します。
アメリカや沿岸国が懸念を深めているのが、中国が軍事力の行使には至らない、いわゆる「グレーゾーン」の手法で威圧的な行動を強めている点です。
先月にシンガポールで開催されたアジア安全保障会議に参加したアメリカ沿岸警備隊のトップ、フェーガン長官は中国側を強く批判しました。
軍ではなく警察力に位置づけられる「海警」を前面に出す中国に対し、各国も海上保安当局による対応を迫られています。
中国海警局はこれまでに組織を大きく変化させてきたと指摘されていて、2018年、海警局は国家海洋局という政府組織から軍の指揮下にある「武装警察」に編入され、軍の影響力が増したとみられています。
さらに2021年には、海警局の権限として、管轄する海域で、外国の船舶が停船命令などに従わない場合に武器の使用を認める「海警法」が施行されました。
今、南シナ海と同様に海警局が大きく展開しているのが、東シナ海の台湾周辺と日本周辺で、日に日に緊張が高まってきています。
この船を南シナ海で中国と領有権を争うフィリピンのメディアが「モンスター船」と呼んで、その航行を大々的に報じました。
その正体は中国海警局の「海警5901」で、中国海警局が保有する最大級の船で全長165メートル、排水量は1万トンの海上保安庁の最大級の巡視船を上回る大きさです。
この“モンスター船”が、南シナ海のフィリピンの排他的経済水域の内側に入り、中国が実効支配するスカボロー礁の周辺海域を航行したと伝えられています。
さらにその同型船が東シナ海の日中中間線、台湾周辺でも活動し、ここ2年ほどは自らのプレゼンスを誇示するような動きを強めていることがわかってきました。
中国や台湾、それに東南アジア各国が領有権争いを続ける南シナ海において、中国はそのほぼ全域で管轄権を主張し、漁船などに対して威圧的な行動を繰り返しています。
10年前から、南沙諸島、英語名スプラトリー諸島に巨大な人工島を造成し、そこを拠点に海警局の船や中国漁船が活動していて、実効支配する海域を広げるなど攻勢を強めています。
とりわけ、中国が活動を活発化させているのが、フィリピンの排他的経済水域にあるセカンド・トーマス礁とスカボロー礁の周辺海域で、このうち、セカンド・トーマス礁ではフィリピンが1999年に意図的に軍艦を座礁させ、軍の兵士を常駐させています。
これに対し、中国は水や食料を補給するフィリピン側の船への妨害活動を続けていて、両国の対立が激化しています。
中国側は46隻を派遣して活動を妨害しており、3年前の2021年末からたびたび放水銃を使うなど、その活動はより強硬になっていて、ことし3月以降は、フィリピン側にけが人が相次いで出るなどしています。
現場の海域では中国海警局の船とともに大量の漁船も出ていて、中国海警局が海上民兵を乗せた漁船と連携しながら、大規模な活動を展開しているとみられています。
南シナ海での中国側の活動を分析している米戦略国際問題研究所の研究員は、中国側の狙いはフィリピン側の実効支配の拠点を崩壊させることにあると指摘します。
アメリカや沿岸国が懸念を深めているのが、中国が軍事力の行使には至らない、いわゆる「グレーゾーン」の手法で威圧的な行動を強めている点です。
先月にシンガポールで開催されたアジア安全保障会議に参加したアメリカ沿岸警備隊のトップ、フェーガン長官は中国側を強く批判しました。
軍ではなく警察力に位置づけられる「海警」を前面に出す中国に対し、各国も海上保安当局による対応を迫られています。
中国海警局はこれまでに組織を大きく変化させてきたと指摘されていて、2018年、海警局は国家海洋局という政府組織から軍の指揮下にある「武装警察」に編入され、軍の影響力が増したとみられています。
さらに2021年には、海警局の権限として、管轄する海域で、外国の船舶が停船命令などに従わない場合に武器の使用を認める「海警法」が施行されました。
今、南シナ海と同様に海警局が大きく展開しているのが、東シナ海の台湾周辺と日本周辺で、日に日に緊張が高まってきています。
2024年06月25日
燃料不足、運航できず
燃料不足を理由に海外の航空会社が日本への季節定期便の計画を見合わせる事例が出ています。
オーストラリアのカンタス航空は、2024年冬にシドニーと新千歳を結ぶ季節定期便の計画を中止しました。
燃料が確保できないことや空港の地上業務「グランドハンドリング」の人材不足などが理由のようです。
旭川空港と帯広空港で7〜8月に予定していた国際線の季節定期便についても、それぞれ週2往復の運航を断念しています。
帯広市によると、帯広空港への季節定期便を中止したのは韓国の大韓航空とティーウェイ航空で、石油元売りとの追加契約が結べず、燃料確保ができないことが理由のようです。
航空燃料の供給が滞る背景には、「国内の石油精製能力の減少」と「輸送などに携わる人出不足」があります。
石油元売り各会社は、人口減少などを受けて国内のガソリン需要が低迷したことで製油所の再編を進めてきました。
新型コロナウィルス禍の影響で2020年以降に激減したジェット燃料の需要は回復局面にありますが、製油製品の特性上、特定の燃料の急な増産は困難のようです。
ENEOSは一部の空港や航空会社に対し、新規のジェット燃料は断っているといい、元売り業界からは「全日空と日本航空の注文増に対応するので手一杯で、海外の航空会社から急に注文が来ても対応は難しい」との声が出ています。
加えて、運転手の残業規制に伴って輸送能力が不足する「2024年問題」が燃料不足に追い打ちをかけています。
ジェット燃料は内航船やタンクローリーで製油所から各地域の空港まで運び、航空機に給油します。
再編で製油所が減ったことで地方空港までの輸送距離が伸び、運送効率が下がりました。
人口減少が深刻な日本の地方では訪日客の観光需要が重みを増しています。
インバウンドは急回復しており、2023年は前年比6.5倍となっていますが、空港運営を支える人員はコロナ禍で減り、今も戻り切っていません。
国際線の増便は地方経済を底上げする生命線となっており、インバウンドの地方周遊による経済成長の目を取りこぼさないため、官民一体となった対策が急務となっています。
オーストラリアのカンタス航空は、2024年冬にシドニーと新千歳を結ぶ季節定期便の計画を中止しました。
燃料が確保できないことや空港の地上業務「グランドハンドリング」の人材不足などが理由のようです。
旭川空港と帯広空港で7〜8月に予定していた国際線の季節定期便についても、それぞれ週2往復の運航を断念しています。
帯広市によると、帯広空港への季節定期便を中止したのは韓国の大韓航空とティーウェイ航空で、石油元売りとの追加契約が結べず、燃料確保ができないことが理由のようです。
航空燃料の供給が滞る背景には、「国内の石油精製能力の減少」と「輸送などに携わる人出不足」があります。
石油元売り各会社は、人口減少などを受けて国内のガソリン需要が低迷したことで製油所の再編を進めてきました。
新型コロナウィルス禍の影響で2020年以降に激減したジェット燃料の需要は回復局面にありますが、製油製品の特性上、特定の燃料の急な増産は困難のようです。
ENEOSは一部の空港や航空会社に対し、新規のジェット燃料は断っているといい、元売り業界からは「全日空と日本航空の注文増に対応するので手一杯で、海外の航空会社から急に注文が来ても対応は難しい」との声が出ています。
加えて、運転手の残業規制に伴って輸送能力が不足する「2024年問題」が燃料不足に追い打ちをかけています。
ジェット燃料は内航船やタンクローリーで製油所から各地域の空港まで運び、航空機に給油します。
再編で製油所が減ったことで地方空港までの輸送距離が伸び、運送効率が下がりました。
人口減少が深刻な日本の地方では訪日客の観光需要が重みを増しています。
インバウンドは急回復しており、2023年は前年比6.5倍となっていますが、空港運営を支える人員はコロナ禍で減り、今も戻り切っていません。
国際線の増便は地方経済を底上げする生命線となっており、インバウンドの地方周遊による経済成長の目を取りこぼさないため、官民一体となった対策が急務となっています。
2024年06月24日
日本のDMO
国が観光立国の旗振り役として期待する観光地域づくり法人(DMO)の存在感が今一つのようです。
DMOはDestination Management/Marketing Organizationの略で、観光地経営組織とも呼び、人口減少時代の地方創生策としてインバウンド需要が盛り上がる観光を起爆剤にしようと、国が欧米を参考に日本版DMOの登録制度をはじめました。
都道府県をまたぐ「広域連携」、複数市町村の「地域連携」、単一市町村の「地域」の3種類のDMOが存在します。
地域の稼ぐ力を引き出し、地域への誇りと愛着を醸成するための戦略策定、調整、データ収集・分析など観光地域づくりのかじ取り役と位置付けます。
地域の観光戦略の司令塔として300近くが登録されていますが、人材や財源が足りず、自治体と事業が重なるといった課題があります。
新型コロナウィルス禍後の訪日客急増でオーバーツーリズムなどの弊害が表面化する中、実効性を高める取り組みが急務のようです。
観光庁のDNO調査では課題の首位は「人材の確保・育成」で、自治体からの出向者が数年で替わり人が育たず、公募した民間人はスキル不足のシニアばかりの団体もあるようです。
「予算・財源」も課題で、2021年時点ではDMOは収入の約6割を補助金などに依存し、補助がなくなれば事業も終わってしまうといった状況です。
このため、観光庁はDMOの登録要件を厳しくし、財務責任者の設置などを義務付けました。
また、3年ごとの更新制と登録取り消し規定も設けてすでに41件を取り消しているようです。
少ないながらも成果を上げているDMOはあり、豊岡観光イノベーション(TTI)は市内の城崎温泉の旅館と協力して、予約データを自動収集して需要予測できるシステムを構築しました。
旅館はデータを見て提供する価格や室数を調整し収益増を図ります。
TTIは訪日客向け宿泊・体験予約サイトの運営やツアー企画も手掛け、手数料が自主財源となります。
自治体、商工会など関係者と方向性や情報を共有して重複をなくし、最新データを迅速に生かす地域は成果が上がっていると専門家は指摘します。
国認定の「観光カリスマ」でDMOの有識者会議委員も務める山田桂一郎氏は「属人的なリーダーシップより地域経営を一体で進める体制づくりが重要」と強調します。
観光客を失望させない価値を提供するためにDMOが果たす役割は大きく、制度の立て直しが観光立国の行方を左右しそうです。
DMOはDestination Management/Marketing Organizationの略で、観光地経営組織とも呼び、人口減少時代の地方創生策としてインバウンド需要が盛り上がる観光を起爆剤にしようと、国が欧米を参考に日本版DMOの登録制度をはじめました。
都道府県をまたぐ「広域連携」、複数市町村の「地域連携」、単一市町村の「地域」の3種類のDMOが存在します。
地域の稼ぐ力を引き出し、地域への誇りと愛着を醸成するための戦略策定、調整、データ収集・分析など観光地域づくりのかじ取り役と位置付けます。
地域の観光戦略の司令塔として300近くが登録されていますが、人材や財源が足りず、自治体と事業が重なるといった課題があります。
新型コロナウィルス禍後の訪日客急増でオーバーツーリズムなどの弊害が表面化する中、実効性を高める取り組みが急務のようです。
観光庁のDNO調査では課題の首位は「人材の確保・育成」で、自治体からの出向者が数年で替わり人が育たず、公募した民間人はスキル不足のシニアばかりの団体もあるようです。
「予算・財源」も課題で、2021年時点ではDMOは収入の約6割を補助金などに依存し、補助がなくなれば事業も終わってしまうといった状況です。
このため、観光庁はDMOの登録要件を厳しくし、財務責任者の設置などを義務付けました。
また、3年ごとの更新制と登録取り消し規定も設けてすでに41件を取り消しているようです。
少ないながらも成果を上げているDMOはあり、豊岡観光イノベーション(TTI)は市内の城崎温泉の旅館と協力して、予約データを自動収集して需要予測できるシステムを構築しました。
旅館はデータを見て提供する価格や室数を調整し収益増を図ります。
TTIは訪日客向け宿泊・体験予約サイトの運営やツアー企画も手掛け、手数料が自主財源となります。
自治体、商工会など関係者と方向性や情報を共有して重複をなくし、最新データを迅速に生かす地域は成果が上がっていると専門家は指摘します。
国認定の「観光カリスマ」でDMOの有識者会議委員も務める山田桂一郎氏は「属人的なリーダーシップより地域経営を一体で進める体制づくりが重要」と強調します。
観光客を失望させない価値を提供するためにDMOが果たす役割は大きく、制度の立て直しが観光立国の行方を左右しそうです。
2024年06月23日
福岡マンション高騰
建設費や地価の上昇を背景に、福岡市内の新築マンションの価格が高騰しています。
今年1〜4月の平均売買価格は6500万円を突破し、年ベースで過去最高だった2023年平均を1500万円超上回りました。
市中心部では6億円の物件も売り出され、業界からは「ミニ東京化」との指摘もあります。
福岡市内の新築マンションの2023年平均販売価格は4889万円(専有面積66m2)で、10年前の1.5倍で、1坪当たりでは242万円となっています。
今年はさらに上昇し、販売価格は6535万円、1坪306万円まで跳ね上がりました。
価格高騰はコストを反映しており、今年の公示価格で福岡市の住宅地の前年比上昇率は9.6%と都道府県庁所在地で全国1位となっています。
資金力のある事業者しか土地を買いづらくなり、供給数が減っているようです。
地場ディベロッパーは、「人件費上昇の影響が大きく、鉄筋など原材料費も2割近く上がった。利益率を落として販売し医いるが、今は郊外でも割安感はない」と明かします。
面積をコンパクトにして価格を抑えようとするマンション事業者も多いですが、それも限界に近くなっています。
価格上昇は九州他県も同様で、九州の県庁所在地と北九州市を合わせた2023年平均の坪単価は204万円です。
佐賀市以外はすべて前年を上回り、北九州、宮崎、鹿児島の3市は2桁の伸びを示しています。
契約戸数の伸びが小さくなっており、買い控えが出てきているようです。
一般的に、無理なく返済できる住宅ローンは「年収の7倍」といわれており、金利の上昇も今後見込まれ、購入のハードルは益々高くなってきています。
今年1〜4月の平均売買価格は6500万円を突破し、年ベースで過去最高だった2023年平均を1500万円超上回りました。
市中心部では6億円の物件も売り出され、業界からは「ミニ東京化」との指摘もあります。
福岡市内の新築マンションの2023年平均販売価格は4889万円(専有面積66m2)で、10年前の1.5倍で、1坪当たりでは242万円となっています。
今年はさらに上昇し、販売価格は6535万円、1坪306万円まで跳ね上がりました。
価格高騰はコストを反映しており、今年の公示価格で福岡市の住宅地の前年比上昇率は9.6%と都道府県庁所在地で全国1位となっています。
資金力のある事業者しか土地を買いづらくなり、供給数が減っているようです。
地場ディベロッパーは、「人件費上昇の影響が大きく、鉄筋など原材料費も2割近く上がった。利益率を落として販売し医いるが、今は郊外でも割安感はない」と明かします。
面積をコンパクトにして価格を抑えようとするマンション事業者も多いですが、それも限界に近くなっています。
価格上昇は九州他県も同様で、九州の県庁所在地と北九州市を合わせた2023年平均の坪単価は204万円です。
佐賀市以外はすべて前年を上回り、北九州、宮崎、鹿児島の3市は2桁の伸びを示しています。
契約戸数の伸びが小さくなっており、買い控えが出てきているようです。
一般的に、無理なく返済できる住宅ローンは「年収の7倍」といわれており、金利の上昇も今後見込まれ、購入のハードルは益々高くなってきています。
2024年06月21日
運輸・建設・医療の3業種の2024年問題
2024年4月から運輸・建設・医療の3業種で、働く人たちの時間外労働、つまり残業の上限規制が始まりました。
この3業種では、労働時間が短くなると、社会への影響がとても大きいと懸念されているため、「2024年問題」と呼ばれ、この問題について見ていきます。
まず運輸では大事な荷物が届かないおそれがあり、ある試算では、全体の14%、つまり7つの荷物のうち1つが運べなくなるおそれがあるとされています。
さらに、何も対策をしなければ、2030年度には全体の34%、3つに1つが運べなくなるおそれがあるというのです。
さらに深刻なのはバスの減便で、全国の路線バスの約1割で減便や廃止の影響が出る可能性があるという調査結果もあります。
医療はどうかというと、診療科によっては休診の時間帯が増えたり、緊急の患者に対応しきれず、遠く離れた別の病院まで搬送したりする事態が増えたりして、命に関わる問題が起きかねません。
建設の影響は、工事の期間が長くなることや、それを短くしようとすると値段が上がるということです。
円安などによる資材高騰の影響もありますが、人件費の高騰も背景にあり、残業規制が始まってさらにコストが上がると懸念されています。
また生活に欠かせないインフラへの影響も懸念され、高度経済成長期につくった橋やトンネルは半世紀以上たち、修繕する必要があっても工事が追いつかないという問題です。
私たちの生活と密接に関わるところにこれだけ影響が出てしまうのに、なぜ残業を規制する必要があるかというと、これまでこの3業種では“無理をしてでも”長時間労働をして何とか支えてきた面がありました。
運輸と医療は960時間、建設は720時間、というのが、それぞれ年間の時間外労働、つまり残業の上限になりました。
残業時間は1か月平均で80時間として過労死ラインと呼ばれていて、年間の時間に換算にすると960時間となり、そのラインを考慮して上限が設定された模様です。
違反した事業者には、労働基準法に基づいて、「6か月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金」が科せられる可能性があります。
なぜ2024年から規制されることになったかというと、実は他の業種では、残業の規制は、2019年に「働き方改革関連法」が施行された時から始まっています。
当時の安倍政権が打ち出した経済政策の中でも、深刻化する少子化の背景には長時間労働もあるという問題意識がすごくありました。
どうしても仕事に時間が取られると、夫婦間で家事や育児の分担ができなかったり、主に女性に負担が偏ったりして、子どもをもうけるという選択をしにくくなるという問題意識のもと、働き方改革が進められました。
過労死の問題も深刻で、日本では、過労死、過労自殺で命を失った人が、労災認定された件数だけでも年間200人を超える時代が続いてきました。
こうした状況を背景に、「こんなに長時間働くと、働く人がもうもたない…」という機運が高まりました。
ただ、運輸・建設・医療では、先ほど触れたように長時間労働がとても深刻だったため、上限規制が急に始まると影響が大きいとして、5年間の猶予が与えられ、2024年4月スタートとなったのです。
その猶予期間で対策は進んだかというと、運輸は「あまり進んでこなかった」と指摘されていますし、医療も“偏在”の問題は解消されていないので、十分進んだとは言えないと感じます。
運送会社って99%以上が中小企業で、事業者は6万社以上あって、競争がとても激しい業界となっています。
しかも荷主から仕事を受けた運送会社がさらに下請けの運送会社へ業務を委託していく「多重下請け構造」もよく見られます。
そんな中で、働き方改革を進めて「そんな無理な工程では受けられません」と言ったら、他社に仕事を奪われてしまいます。
医療では新型コロナウイルスの感染拡大が大きな影響を与えました。
建設はどうかというと、国は公共工事を発注する際、工事の内容などを書いた書類で週休2日を前提にするなどの対応をとりましたが、民間対民間の工事では十分に進んできたとは言えません。
これまでのように、当たり前のように長時間労働を続けてきた結果、ほかのさまざまな要因も積み重なり、少子化も深刻化し、経済の成長力を損なう原因になったのだから、いかに、当時、長期的な視野を持てていなかったのか、と反省しなければなりませんね。
これから人手不足はより進みます。
今のうちに長時間労働を是正して、若い人に魅力ある産業に変えていかないといけないと強く感じます。
この3業種では、労働時間が短くなると、社会への影響がとても大きいと懸念されているため、「2024年問題」と呼ばれ、この問題について見ていきます。
まず運輸では大事な荷物が届かないおそれがあり、ある試算では、全体の14%、つまり7つの荷物のうち1つが運べなくなるおそれがあるとされています。
さらに、何も対策をしなければ、2030年度には全体の34%、3つに1つが運べなくなるおそれがあるというのです。
さらに深刻なのはバスの減便で、全国の路線バスの約1割で減便や廃止の影響が出る可能性があるという調査結果もあります。
医療はどうかというと、診療科によっては休診の時間帯が増えたり、緊急の患者に対応しきれず、遠く離れた別の病院まで搬送したりする事態が増えたりして、命に関わる問題が起きかねません。
建設の影響は、工事の期間が長くなることや、それを短くしようとすると値段が上がるということです。
円安などによる資材高騰の影響もありますが、人件費の高騰も背景にあり、残業規制が始まってさらにコストが上がると懸念されています。
また生活に欠かせないインフラへの影響も懸念され、高度経済成長期につくった橋やトンネルは半世紀以上たち、修繕する必要があっても工事が追いつかないという問題です。
私たちの生活と密接に関わるところにこれだけ影響が出てしまうのに、なぜ残業を規制する必要があるかというと、これまでこの3業種では“無理をしてでも”長時間労働をして何とか支えてきた面がありました。
運輸と医療は960時間、建設は720時間、というのが、それぞれ年間の時間外労働、つまり残業の上限になりました。
残業時間は1か月平均で80時間として過労死ラインと呼ばれていて、年間の時間に換算にすると960時間となり、そのラインを考慮して上限が設定された模様です。
違反した事業者には、労働基準法に基づいて、「6か月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金」が科せられる可能性があります。
なぜ2024年から規制されることになったかというと、実は他の業種では、残業の規制は、2019年に「働き方改革関連法」が施行された時から始まっています。
当時の安倍政権が打ち出した経済政策の中でも、深刻化する少子化の背景には長時間労働もあるという問題意識がすごくありました。
どうしても仕事に時間が取られると、夫婦間で家事や育児の分担ができなかったり、主に女性に負担が偏ったりして、子どもをもうけるという選択をしにくくなるという問題意識のもと、働き方改革が進められました。
過労死の問題も深刻で、日本では、過労死、過労自殺で命を失った人が、労災認定された件数だけでも年間200人を超える時代が続いてきました。
こうした状況を背景に、「こんなに長時間働くと、働く人がもうもたない…」という機運が高まりました。
ただ、運輸・建設・医療では、先ほど触れたように長時間労働がとても深刻だったため、上限規制が急に始まると影響が大きいとして、5年間の猶予が与えられ、2024年4月スタートとなったのです。
その猶予期間で対策は進んだかというと、運輸は「あまり進んでこなかった」と指摘されていますし、医療も“偏在”の問題は解消されていないので、十分進んだとは言えないと感じます。
運送会社って99%以上が中小企業で、事業者は6万社以上あって、競争がとても激しい業界となっています。
しかも荷主から仕事を受けた運送会社がさらに下請けの運送会社へ業務を委託していく「多重下請け構造」もよく見られます。
そんな中で、働き方改革を進めて「そんな無理な工程では受けられません」と言ったら、他社に仕事を奪われてしまいます。
医療では新型コロナウイルスの感染拡大が大きな影響を与えました。
建設はどうかというと、国は公共工事を発注する際、工事の内容などを書いた書類で週休2日を前提にするなどの対応をとりましたが、民間対民間の工事では十分に進んできたとは言えません。
これまでのように、当たり前のように長時間労働を続けてきた結果、ほかのさまざまな要因も積み重なり、少子化も深刻化し、経済の成長力を損なう原因になったのだから、いかに、当時、長期的な視野を持てていなかったのか、と反省しなければなりませんね。
これから人手不足はより進みます。
今のうちに長時間労働を是正して、若い人に魅力ある産業に変えていかないといけないと強く感じます。
2024年06月19日
異常気象による穀物価格の上昇懸念
異常気象が穀物価格を押し上げています。
世界気象機関によると、2023年春から続いたエルニーニョ現象が終息し、夏以降はラニーニャ現象に移行する可能性が高いといいます。
ラニーニャは小麦などの主食向け穀物の収穫に悪影響を及ぼす傾向が指摘されていて、小麦輸出国のロシアで発生した霜害に追い打ちとなるリスクがあり、食料供給への不安が再び高まり始めています。
エルニーニョは南米ペルー沖の海面水温が平年より高くなり、ラニーニャは逆に低くなる現象です。
エルニーニョとラニーニャの発生年には世界各地で異常気象の発生頻度が高まり、農作物の収穫に影響を与えやすくなります。
実際、エルニーニョの昨年は、東南アジアや西アフリカなどで干ばつや豪雨が発生し、カカオ豆やコーヒー豆などが不作となり、国際相場は過去最高値に急騰しました。
ラニーニャへの移行は農作物にどんな影響を及ぼすのか、影響は毎回一定ではないものの、過去の長期データからはトウモロコシ、大豆、小麦などの主食穀物への影響が示唆されています。
今回はラニーニャが夏に発生することが懸念材料といわれ、平国など北半球ではトウモロコシや大豆などの夏作物の受粉や開花が起こる7〜8月頃は特に大事な時期といえます。
豪州など南半球では小麦など冬作物の生育期と重なります。
異常気象の脅威はラニーニャに限らず、小麦の輸出大国ロシアで発生した霜害も穀物供給を脅かします。
市場が警戒するのが、自国供給優先の政策が広がる危険で、前年にはコメの最大輸出国であるインドが一部の高級品種を除くコメ輸出を禁止し、その結果国際価格が急騰しました。
仮にロシアが輸出制限に踏み切れば、小麦価格が急騰する恐れがあります。
ロシアは輸出禁止で世界に混乱をもたらした前科があることやウクライナ情勢も絡んで気になるところです。
国際価格の上昇再燃は、食料の大半を輸入する日本にとって影響が大きく、歴史的円安とも相まって食料インフレ圧力が一段と高まりかねません。
世界気象機関によると、2023年春から続いたエルニーニョ現象が終息し、夏以降はラニーニャ現象に移行する可能性が高いといいます。
ラニーニャは小麦などの主食向け穀物の収穫に悪影響を及ぼす傾向が指摘されていて、小麦輸出国のロシアで発生した霜害に追い打ちとなるリスクがあり、食料供給への不安が再び高まり始めています。
エルニーニョは南米ペルー沖の海面水温が平年より高くなり、ラニーニャは逆に低くなる現象です。
エルニーニョとラニーニャの発生年には世界各地で異常気象の発生頻度が高まり、農作物の収穫に影響を与えやすくなります。
実際、エルニーニョの昨年は、東南アジアや西アフリカなどで干ばつや豪雨が発生し、カカオ豆やコーヒー豆などが不作となり、国際相場は過去最高値に急騰しました。
ラニーニャへの移行は農作物にどんな影響を及ぼすのか、影響は毎回一定ではないものの、過去の長期データからはトウモロコシ、大豆、小麦などの主食穀物への影響が示唆されています。
今回はラニーニャが夏に発生することが懸念材料といわれ、平国など北半球ではトウモロコシや大豆などの夏作物の受粉や開花が起こる7〜8月頃は特に大事な時期といえます。
豪州など南半球では小麦など冬作物の生育期と重なります。
異常気象の脅威はラニーニャに限らず、小麦の輸出大国ロシアで発生した霜害も穀物供給を脅かします。
市場が警戒するのが、自国供給優先の政策が広がる危険で、前年にはコメの最大輸出国であるインドが一部の高級品種を除くコメ輸出を禁止し、その結果国際価格が急騰しました。
仮にロシアが輸出制限に踏み切れば、小麦価格が急騰する恐れがあります。
ロシアは輸出禁止で世界に混乱をもたらした前科があることやウクライナ情勢も絡んで気になるところです。
国際価格の上昇再燃は、食料の大半を輸入する日本にとって影響が大きく、歴史的円安とも相まって食料インフレ圧力が一段と高まりかねません。
2024年06月18日
南極の生物に絶滅リスク
ペンギンやカモメなどの独自の生態系が根付く南極で、鳥類を中心に貴重な生物が生息数を減らす懸念が高まっています。
温暖化の影響ですみかやエサの供給に関わる海氷が減るだけでなく、高病原性鳥インフルエンザウィルスが上陸し感染リスクが高まっています。
2023年10月に南極半島の東、英領バード島のトウゾクカモメからウィルスが見つかり、近隣の島でも検出しており、南極に偶然来たのではなく、周辺に広がっているとみられます。
数千km移動するトウゾクカモメが南米から運んできたと専門家はみています。
各国で高病原性鳥インフルエンザの被害が出ており、家禽の殺処分などの防疫措置が十分でない地域などがあり、2020年以降に世界へと流行が広がりました。
欧米では夏も終息せず、渡り鳥が感染するリスクが高まり、影響が南極まで及んだわけです。
感染は鳥類以外にも広がっており、南極に近い英領サウスジョージア島で、高病原性鳥インフルエンザウィルスにアザラシやオットセイが感染した模様です。
最寄りの南米からも約1000km離れた南極大陸や付近の島は厳しい気候の中、固有種のコウテイペンギンやアデリーペンギンを含む43種の鳥類が住む独自の生態系を築いてきましたが、その環境が変わってきています。
一つは温暖化の影響です。
南極半島の気温は過去50年間で約3度上昇し、地球平均の2倍以上のペースとなっています。
海水は生態系を支えていて、コウテイペンギンは海氷の上で卵を温め、海氷の下では藻類が繁殖し、それが海鳥やクジラ、魚のエサになるオキアミを育てているといわれています。
オーストラリアの研究チームの予想では、温暖化によって21世紀末には約20種の海鳥を含むほぼ全ての陸に住む生物の生息数が減る恐れがあるとしています。
温暖化で弱る生態系に病原体の侵入が追い打ちをかけた格好です。
南極が新たな病原体の経由地となり、人間の健康や生活に影響を与える懸念も指摘されています。
温暖化の影響ですみかやエサの供給に関わる海氷が減るだけでなく、高病原性鳥インフルエンザウィルスが上陸し感染リスクが高まっています。
2023年10月に南極半島の東、英領バード島のトウゾクカモメからウィルスが見つかり、近隣の島でも検出しており、南極に偶然来たのではなく、周辺に広がっているとみられます。
数千km移動するトウゾクカモメが南米から運んできたと専門家はみています。
各国で高病原性鳥インフルエンザの被害が出ており、家禽の殺処分などの防疫措置が十分でない地域などがあり、2020年以降に世界へと流行が広がりました。
欧米では夏も終息せず、渡り鳥が感染するリスクが高まり、影響が南極まで及んだわけです。
感染は鳥類以外にも広がっており、南極に近い英領サウスジョージア島で、高病原性鳥インフルエンザウィルスにアザラシやオットセイが感染した模様です。
最寄りの南米からも約1000km離れた南極大陸や付近の島は厳しい気候の中、固有種のコウテイペンギンやアデリーペンギンを含む43種の鳥類が住む独自の生態系を築いてきましたが、その環境が変わってきています。
一つは温暖化の影響です。
南極半島の気温は過去50年間で約3度上昇し、地球平均の2倍以上のペースとなっています。
海水は生態系を支えていて、コウテイペンギンは海氷の上で卵を温め、海氷の下では藻類が繁殖し、それが海鳥やクジラ、魚のエサになるオキアミを育てているといわれています。
オーストラリアの研究チームの予想では、温暖化によって21世紀末には約20種の海鳥を含むほぼ全ての陸に住む生物の生息数が減る恐れがあるとしています。
温暖化で弱る生態系に病原体の侵入が追い打ちをかけた格好です。
南極が新たな病原体の経由地となり、人間の健康や生活に影響を与える懸念も指摘されています。
2024年06月17日
外来生物のヒアリ
7年前に国内で初確認されて以降、毎年、主要な港を中心に発見されています。
定着を防ぐための対策は待ったなしと言われますが、そんな中、ヒアリを撃退する“救世主”の効果を確かめるための実験が台湾で実施されました。
使われたのは、日本人にとって馴染み深い「わさび」の成分です。
「ヒアリ」は体長は2ー6ミリほどの南米が原産の外来アリで、赤茶色で腹部の先端に毒針を持ち、刺されるとまるで火傷したような痛みを感じるといいます。
最悪の場合、死にいたることもあるとされていて、日本では去年、「要緊急対処特定外来生物」に指定されました。
蔓延した場合に、著しく重大な被害や支障が、生態系や私たちの生活に及ぶおそれがあり、発見した場合に検査や防除などの拡散を防止するための措置を緊急に行う必要があります。
彼らは海外で積み込まれた日本行きのコンテナに“密航”してきます。
ヒアリに詳しい兵庫県立大学の橋本佳明特任教授は、「ヒアリの日本への侵入は危機的な状況。定着するか否かの瀬戸際と言っていい」と指摘します。
国のヒアリ専門家委員会のメンバーでもある橋本さんは、これまでヒアリのほかにアルゼンチンアリなど外来アリの水際対策について、その生態から対応を検討してきました。
橋本さんたちが今、研究を進めているのが、ヒアリを撃退する“救世主”の活用で「ワサビ」です。
ワサビの“辛み成分”がアリに効果があることが分かってきており、台湾であるマル秘実験を行おうと考えているようです。
生きたヒアリを使って効果を確かめるため、すでにヒアリが侵入・定着した台湾でしかできないようで、「ヒアリ×ワサビのマル秘実験」は、日本の国立環境研究所が主導しています。
実験は、2つのコンテナに積み荷に見立てた段ボール箱を6段、積み重ねて安置し、最も上と下の段ボール箱に、生きたヒアリ50匹を入れたシャーレを入れます。
1つのコンテナのみ、シャーレに加えて“わさびの辛み成分”を含んだ10センチ四方のシート=「わさびシート」を入れ、運ばれてくるまでの時間の1週間、コンテナを密閉します。
わさびの辛み成分は、AITC=“アリルイソチオシアネート”と呼ばれる揮発性の成分で、ワサビシートが入っているコンテナのみヒアリは全滅でした。
これまでも、わさびの辛み成分を含んだシートは博物館や科学館などで、標本を害虫から守るための防虫剤として使用され、効果も認められるなどの実績はありました。
今回の実験は、コンテナという「実際にヒアリが運ばれてくる状況に近い環境」であっても、段ボール箱1つあたりに、シートを数枚置くだけで、箱の中に辛み成分が充満し「ほぼ全滅」という効果があることが明らかとなりました。
この濃度であれば、人体にとっても影響はほとんどないと考えられているうえ、匂い移りもほとんどなく、さらに、AITC自身についても、揮発性の成分のため時間がたてば徐々に濃度が薄まり、残留性がほとんどないことも確かめられたことから、実用化に向けた貴重な研究となったといいます。
定着を防ぐための対策は待ったなしと言われますが、そんな中、ヒアリを撃退する“救世主”の効果を確かめるための実験が台湾で実施されました。
使われたのは、日本人にとって馴染み深い「わさび」の成分です。
「ヒアリ」は体長は2ー6ミリほどの南米が原産の外来アリで、赤茶色で腹部の先端に毒針を持ち、刺されるとまるで火傷したような痛みを感じるといいます。
最悪の場合、死にいたることもあるとされていて、日本では去年、「要緊急対処特定外来生物」に指定されました。
蔓延した場合に、著しく重大な被害や支障が、生態系や私たちの生活に及ぶおそれがあり、発見した場合に検査や防除などの拡散を防止するための措置を緊急に行う必要があります。
彼らは海外で積み込まれた日本行きのコンテナに“密航”してきます。
ヒアリに詳しい兵庫県立大学の橋本佳明特任教授は、「ヒアリの日本への侵入は危機的な状況。定着するか否かの瀬戸際と言っていい」と指摘します。
国のヒアリ専門家委員会のメンバーでもある橋本さんは、これまでヒアリのほかにアルゼンチンアリなど外来アリの水際対策について、その生態から対応を検討してきました。
橋本さんたちが今、研究を進めているのが、ヒアリを撃退する“救世主”の活用で「ワサビ」です。
ワサビの“辛み成分”がアリに効果があることが分かってきており、台湾であるマル秘実験を行おうと考えているようです。
生きたヒアリを使って効果を確かめるため、すでにヒアリが侵入・定着した台湾でしかできないようで、「ヒアリ×ワサビのマル秘実験」は、日本の国立環境研究所が主導しています。
実験は、2つのコンテナに積み荷に見立てた段ボール箱を6段、積み重ねて安置し、最も上と下の段ボール箱に、生きたヒアリ50匹を入れたシャーレを入れます。
1つのコンテナのみ、シャーレに加えて“わさびの辛み成分”を含んだ10センチ四方のシート=「わさびシート」を入れ、運ばれてくるまでの時間の1週間、コンテナを密閉します。
わさびの辛み成分は、AITC=“アリルイソチオシアネート”と呼ばれる揮発性の成分で、ワサビシートが入っているコンテナのみヒアリは全滅でした。
これまでも、わさびの辛み成分を含んだシートは博物館や科学館などで、標本を害虫から守るための防虫剤として使用され、効果も認められるなどの実績はありました。
今回の実験は、コンテナという「実際にヒアリが運ばれてくる状況に近い環境」であっても、段ボール箱1つあたりに、シートを数枚置くだけで、箱の中に辛み成分が充満し「ほぼ全滅」という効果があることが明らかとなりました。
この濃度であれば、人体にとっても影響はほとんどないと考えられているうえ、匂い移りもほとんどなく、さらに、AITC自身についても、揮発性の成分のため時間がたてば徐々に濃度が薄まり、残留性がほとんどないことも確かめられたことから、実用化に向けた貴重な研究となったといいます。
2024年06月16日
マンション建設の工期の長期化
マンションが完成するまでの期間が長期化しています。
首都圏の大規模物件の工期は10年で3割伸びたようで、建設や設備工事関連の人手が不足しており、今後も長期化は続く見通しです。
2024年度の平均工期は884日と、10年前に比べて3割伸び、1棟当たりの平均延べ床面積も9%増え、100m2換算でも3割伸びました。
マンションは階数に3か月を足すのが工期の目安でしたが、今は10か月足すのが常識といいます。
工期が延びた主因は人手不足で、職人の高齢化もあり、建設業の就業者数はこの20年間で約2割減りました。
また、2024年4月から時間外労働の規制が厳しくなるのを見据えて、建設業界は働き方改革に取り組んできており、週休2日に相当する「4週8休」の導入も加速しました。
エレベータ―などの設備に必要な電気設備の作業員も不足しています。
2023年度の建設投資額見通しは10年前よりも5割弱増え、建設業界はこの10年間、東日本大震災からの復興や東京五輪・パラリンピック関連など工事需要は強いものがありました。
建設会社が利益率が低いマンション工事を後回しにしがちだったことも、工期が長期化する遠因となりました。
工期が延びれば総人件費が増え、建設コストも上昇します。
その結果、販売価格が上がり、首都圏の新築マンションの平均価格は2023年度に7566万円と、10年前に比べて51%上昇しました。
残業規制の適用に伴って建設作業員が不足する「2024年問題」の影響は今後、本格化し、工期はさらに長くなる可能性が高いようです。
首都圏の大規模物件の工期は10年で3割伸びたようで、建設や設備工事関連の人手が不足しており、今後も長期化は続く見通しです。
2024年度の平均工期は884日と、10年前に比べて3割伸び、1棟当たりの平均延べ床面積も9%増え、100m2換算でも3割伸びました。
マンションは階数に3か月を足すのが工期の目安でしたが、今は10か月足すのが常識といいます。
工期が延びた主因は人手不足で、職人の高齢化もあり、建設業の就業者数はこの20年間で約2割減りました。
また、2024年4月から時間外労働の規制が厳しくなるのを見据えて、建設業界は働き方改革に取り組んできており、週休2日に相当する「4週8休」の導入も加速しました。
エレベータ―などの設備に必要な電気設備の作業員も不足しています。
2023年度の建設投資額見通しは10年前よりも5割弱増え、建設業界はこの10年間、東日本大震災からの復興や東京五輪・パラリンピック関連など工事需要は強いものがありました。
建設会社が利益率が低いマンション工事を後回しにしがちだったことも、工期が長期化する遠因となりました。
工期が延びれば総人件費が増え、建設コストも上昇します。
その結果、販売価格が上がり、首都圏の新築マンションの平均価格は2023年度に7566万円と、10年前に比べて51%上昇しました。
残業規制の適用に伴って建設作業員が不足する「2024年問題」の影響は今後、本格化し、工期はさらに長くなる可能性が高いようです。
2024年06月13日
物価の高騰、食料貧国
消費者の家計防衛意識が高まっています。
卵や牛乳・乳製品で6割以上の消費者が物価高を感じていて、財布のひもも締まり、その背景には、食品価格の値上がりの勢いがあります。
世界的な穀物需要の増加、エネルギー価格の上昇、人出不足…、日本で足元で起きている食品価格の上昇は1つではなく、複合要因です。
足元でさらにのしかかるのが4月に一時1ドル160円まで進んだ円安で、為替は購買力に直結します。
「タコが和牛より高くなった」と嘆くのは大阪市内にあるたこ焼き店、会津屋の社長です。
たこ焼きに使うのはアフリカ大陸西部に位置するモーリタニア産のマダコですが、欧州や中国でパエリアやアヒージョの具としての人気が上昇し、日本の商社が買い負けるあおりを受け始めています。
豊洲市場の冷凍タコは10年前の2倍の高値となっており、外食で使われることの多いA2等級の和牛卸値を上回ります。
会津屋では原材料コストのうち7〜8割を占めるタコの仕入れ値は1割上昇しました。
日本中のたこ焼き屋がテイクアウトに選ばれやすいワンコイン500円から足が出そうな状況で、関係者は苦悩しています。
海鮮だけでなく、カレーや肉じゃがなど、多くのメニューで使われる牛肉も食卓から遠ざかります。
米国産牛肉は牛肉の貿易が自由化された1991年以降で最高値となり、買い控える日本勢を横目に米国産を買っていくのが韓国のようです。
対ドルの下落幅が円よりもウォンの方が小さく、輸入関税率も韓国の方が低くなっているからで、米国にとり最大の牛肉の輸入先は日本から韓国に代わろうとしています。
食品価格の継続的な上昇は家計をむしばみ、エンゲル係数は27.8%に達し、2000年以降最大となりました。
このように、物価の伸びに賃金が追い付かない状況が続く中、家計で食費の割合が高まれば、旅行など不要不急の消費を抑制され、消費が下振れする懸念が増します。
日本で強まっているのはコストプッシュ型のインフレ圧力で、モノの価格上昇は消費だけでなく、生産現場にも及んでいます。
野菜農家は、肥料や資材など生産コストが上がっても売価は上げられず、利益が圧迫されるといいます。
買えないだけでなく、つくれなくなれば食料貧国が現実のものとなります。
卵や牛乳・乳製品で6割以上の消費者が物価高を感じていて、財布のひもも締まり、その背景には、食品価格の値上がりの勢いがあります。
世界的な穀物需要の増加、エネルギー価格の上昇、人出不足…、日本で足元で起きている食品価格の上昇は1つではなく、複合要因です。
足元でさらにのしかかるのが4月に一時1ドル160円まで進んだ円安で、為替は購買力に直結します。
「タコが和牛より高くなった」と嘆くのは大阪市内にあるたこ焼き店、会津屋の社長です。
たこ焼きに使うのはアフリカ大陸西部に位置するモーリタニア産のマダコですが、欧州や中国でパエリアやアヒージョの具としての人気が上昇し、日本の商社が買い負けるあおりを受け始めています。
豊洲市場の冷凍タコは10年前の2倍の高値となっており、外食で使われることの多いA2等級の和牛卸値を上回ります。
会津屋では原材料コストのうち7〜8割を占めるタコの仕入れ値は1割上昇しました。
日本中のたこ焼き屋がテイクアウトに選ばれやすいワンコイン500円から足が出そうな状況で、関係者は苦悩しています。
海鮮だけでなく、カレーや肉じゃがなど、多くのメニューで使われる牛肉も食卓から遠ざかります。
米国産牛肉は牛肉の貿易が自由化された1991年以降で最高値となり、買い控える日本勢を横目に米国産を買っていくのが韓国のようです。
対ドルの下落幅が円よりもウォンの方が小さく、輸入関税率も韓国の方が低くなっているからで、米国にとり最大の牛肉の輸入先は日本から韓国に代わろうとしています。
食品価格の継続的な上昇は家計をむしばみ、エンゲル係数は27.8%に達し、2000年以降最大となりました。
このように、物価の伸びに賃金が追い付かない状況が続く中、家計で食費の割合が高まれば、旅行など不要不急の消費を抑制され、消費が下振れする懸念が増します。
日本で強まっているのはコストプッシュ型のインフレ圧力で、モノの価格上昇は消費だけでなく、生産現場にも及んでいます。
野菜農家は、肥料や資材など生産コストが上がっても売価は上げられず、利益が圧迫されるといいます。
買えないだけでなく、つくれなくなれば食料貧国が現実のものとなります。
2024年06月12日
博多コネクティッド
福岡市の玄関口、JR博多駅エリアの再開発が加速してきたようです。
2019年に始まった市の再開発促進策「博多コネクティッド」は2028年末の期限までに20棟としていた当初の建て替え目標はすでに達成し、駅前の一等地で2棟の建て替え計画も浮上して、最終的には30棟を超す勢いです。
オフィスビルが立ち並ぶ駅前の風景が一変しそうです。
博多コネクティッドは博多駅の半径約500mを対象に、2019年から2028年までに竣工するビルの容積率を最大50%上乗せするなどの優遇策を設けています。
同時に進行している天神の再開発促進策「天神ビックバン」とともに、市内の2つの核を作り替える構想となっています。
コネクティッドの最大の目玉はJR博多駅で線路上に高層ビルを建てる「空中都市プロジェクト」で、駅南側の在来線上にある敷地面積約5200m2の空間を活用して、オフィスビルやホテルなどが入った施設を2028年までに完成させます。
駅西側の博多口では、西日本シティ銀行の新本店が2026年完成に向け工事を進めており、地上14階建てのビルには銀行本部機能や400人規模を収容するホールなどを設けます。
新たなビル建て替え計画も判明し、地元関係者によると三井不動産と日本生命保険が、それぞれ博多口から目と鼻の先に所有する大型オフィスビル2棟を立て替える方針といいます。
再開発によって多くのオフィス供給が見込まれますが、オフィス仲介大手は博多駅のオフィス需要は高く、確実に埋まっていくだろうとみています。
2023年に福岡市地下鉄七隈線が天神南から博多駅に延伸開業し、博多駅の利便性が再評価されています。
天神はオフィス賃料が1坪当たり2〜3万円まで上がっているのに対し、平均2万円弱と低く新幹線による各地へのアクセスもいい博多駅エリアを選ぶ企業は増えているようです。
2019年に始まった市の再開発促進策「博多コネクティッド」は2028年末の期限までに20棟としていた当初の建て替え目標はすでに達成し、駅前の一等地で2棟の建て替え計画も浮上して、最終的には30棟を超す勢いです。
オフィスビルが立ち並ぶ駅前の風景が一変しそうです。
博多コネクティッドは博多駅の半径約500mを対象に、2019年から2028年までに竣工するビルの容積率を最大50%上乗せするなどの優遇策を設けています。
同時に進行している天神の再開発促進策「天神ビックバン」とともに、市内の2つの核を作り替える構想となっています。
コネクティッドの最大の目玉はJR博多駅で線路上に高層ビルを建てる「空中都市プロジェクト」で、駅南側の在来線上にある敷地面積約5200m2の空間を活用して、オフィスビルやホテルなどが入った施設を2028年までに完成させます。
駅西側の博多口では、西日本シティ銀行の新本店が2026年完成に向け工事を進めており、地上14階建てのビルには銀行本部機能や400人規模を収容するホールなどを設けます。
新たなビル建て替え計画も判明し、地元関係者によると三井不動産と日本生命保険が、それぞれ博多口から目と鼻の先に所有する大型オフィスビル2棟を立て替える方針といいます。
再開発によって多くのオフィス供給が見込まれますが、オフィス仲介大手は博多駅のオフィス需要は高く、確実に埋まっていくだろうとみています。
2023年に福岡市地下鉄七隈線が天神南から博多駅に延伸開業し、博多駅の利便性が再評価されています。
天神はオフィス賃料が1坪当たり2〜3万円まで上がっているのに対し、平均2万円弱と低く新幹線による各地へのアクセスもいい博多駅エリアを選ぶ企業は増えているようです。
2024年06月10日
新しい免疫薬
体の中で眠る免疫細胞を覚醒させ、従来の免疫薬では治療が難しいすい臓がんや脳腫瘍を攻撃させる新技術を北海道大学や理化学研究所が相次いで開発したといいます。
診断5年後の生存率が10%以下の治療が難しいがんを対象に2020年代末に臨床試験(治験)の実施を目指しています。
がん治療手段は長く手術と放射線、抗がん剤の3種類でしたが、2010年代に第4の治療法として免疫薬が登場しました。
代表格にあたるのが「オプチーボ」で、開発につながる発見をしたのがノーベル生理学・医学賞を受賞した京都大学の本庶佑特別教授です。
抗がん剤などが効かない患者にも効果が出る革新的な治療法として肺がんや胃がん向けに普及が進んでいます。
がんは免疫を担うT細胞がもつ分子と結合し、その攻撃をのがれようとしますが、免疫薬は結合を断ち切り、がんへの攻撃を促します。
しかし、病気が進むとがん細胞は自らの目印になるたんぱく質を出さなくなり、免疫細胞の目を逃れます。
この状態で免疫薬を投与しても効果が出ませんから、免疫薬が効く患者は全体の10〜30%に留まるようです。
北大の小林弘一教授らは狙った遺伝子に届くガイドRNAに酵素を付けた化合物を併用して、免疫薬の効果を高めました。
酵素ががん細胞の特定の遺伝子に作用して、がんの目印になるたんぱく質を作らせるようになります。
T細胞ががんを認識できるようになって、既存の免疫薬の効果を高められる可能性があります。
今後は診断5年後の生存率が8.5%にとどまるすい臓がんなどでも効果を試し、2029年以降に治験の実施を目指しているようです。
さらに小林教授は、がん患者の直接の死因の多くは病巣の臓器や組織から離れた部位への転移だということもあり、「化合物でT細胞の攻撃力を高めれば、転移したがんの治療も狙える」と話します。
特殊なカプセルに包んだ抗がん剤を組み合わせて、免疫薬を効果を高める研究も進んでいたり、免疫細胞そのものの力を引き出す試みもあるようです。
新技術の実用化につなげれれば、多くの患者を教える可能性がありますが課題もあるといいます。
免疫細胞の働き過ぎることによる副作用が出る可能性があるといい、治療効果とのバランスを見極めながら、治療薬の開発を進めていく必要があるということです。
診断5年後の生存率が10%以下の治療が難しいがんを対象に2020年代末に臨床試験(治験)の実施を目指しています。
がん治療手段は長く手術と放射線、抗がん剤の3種類でしたが、2010年代に第4の治療法として免疫薬が登場しました。
代表格にあたるのが「オプチーボ」で、開発につながる発見をしたのがノーベル生理学・医学賞を受賞した京都大学の本庶佑特別教授です。
抗がん剤などが効かない患者にも効果が出る革新的な治療法として肺がんや胃がん向けに普及が進んでいます。
がんは免疫を担うT細胞がもつ分子と結合し、その攻撃をのがれようとしますが、免疫薬は結合を断ち切り、がんへの攻撃を促します。
しかし、病気が進むとがん細胞は自らの目印になるたんぱく質を出さなくなり、免疫細胞の目を逃れます。
この状態で免疫薬を投与しても効果が出ませんから、免疫薬が効く患者は全体の10〜30%に留まるようです。
北大の小林弘一教授らは狙った遺伝子に届くガイドRNAに酵素を付けた化合物を併用して、免疫薬の効果を高めました。
酵素ががん細胞の特定の遺伝子に作用して、がんの目印になるたんぱく質を作らせるようになります。
T細胞ががんを認識できるようになって、既存の免疫薬の効果を高められる可能性があります。
今後は診断5年後の生存率が8.5%にとどまるすい臓がんなどでも効果を試し、2029年以降に治験の実施を目指しているようです。
さらに小林教授は、がん患者の直接の死因の多くは病巣の臓器や組織から離れた部位への転移だということもあり、「化合物でT細胞の攻撃力を高めれば、転移したがんの治療も狙える」と話します。
特殊なカプセルに包んだ抗がん剤を組み合わせて、免疫薬を効果を高める研究も進んでいたり、免疫細胞そのものの力を引き出す試みもあるようです。
新技術の実用化につなげれれば、多くの患者を教える可能性がありますが課題もあるといいます。
免疫細胞の働き過ぎることによる副作用が出る可能性があるといい、治療効果とのバランスを見極めながら、治療薬の開発を進めていく必要があるということです。
2024年06月08日
電力ゼロで海水淡水化
電力を使わずに海水から真水を得る海水淡水化の技術が日本で生まれているようです。
核融合発電を目指しているEX-Fusion(エクスフュージョン)は東京工業大学と電力をほぼ用いずに水を得る新たな技術の実用化を目指しています。
世界では生活に必要な水を確保できていない人は20億人にのぼっており、日本の環境技術が世界の水不足の解決につながることが期待されています。
このほど実験室内の小さな装置で水の生成に成功し、2025年にも規模を大きくした実証装置を稼働させま
す。
開発した基礎技術の最大の特徴は、電力がほぼ不要だということです。
液体金属の中でもすずに着目し、融点が約230度と比較的低く、熱が伝わりやすくなっていて、これを太陽の光を集めて温め、300度程までの熱い液体になったところに海水を吹き付けます。
水分を蒸留させて集め、真水を得る仕組みです。
世界では20億人が水不足に陥っていて、中東などですでに海水淡水化が始まっています。
ただ、逆浸透の原理を生かした既存の淡水化技術は、こし出すように真水を作り続けるために高い圧力が必要となり、その分電力もかさみます。
水不足の地域での需要もまだ十分に賄えておらず、実用化済みの海水淡水化技術で生成されている水は1日当り1億m3で、単純計算でまだ4億人分ほどの量しかありません。
地域によっては水不足が引き金となって、GDPを押し下げる影響があるという試算も出ています。
新技術で淡水の需要に応えるには、水を得た半面、塩分が濃くなった水がそのまま海に戻れば環境に影響するとの指摘もあるように、エネルギーの省力化に加えて環境への配慮も必要になってきます。
エクスフュージョンと東工大の技術では、すずが冷えながら様々な物質が出てくる仕組みが、工場廃水の浄化などに応用できるとみています。
核融合発電を目指しているEX-Fusion(エクスフュージョン)は東京工業大学と電力をほぼ用いずに水を得る新たな技術の実用化を目指しています。
世界では生活に必要な水を確保できていない人は20億人にのぼっており、日本の環境技術が世界の水不足の解決につながることが期待されています。
このほど実験室内の小さな装置で水の生成に成功し、2025年にも規模を大きくした実証装置を稼働させま
す。
開発した基礎技術の最大の特徴は、電力がほぼ不要だということです。
液体金属の中でもすずに着目し、融点が約230度と比較的低く、熱が伝わりやすくなっていて、これを太陽の光を集めて温め、300度程までの熱い液体になったところに海水を吹き付けます。
水分を蒸留させて集め、真水を得る仕組みです。
世界では20億人が水不足に陥っていて、中東などですでに海水淡水化が始まっています。
ただ、逆浸透の原理を生かした既存の淡水化技術は、こし出すように真水を作り続けるために高い圧力が必要となり、その分電力もかさみます。
水不足の地域での需要もまだ十分に賄えておらず、実用化済みの海水淡水化技術で生成されている水は1日当り1億m3で、単純計算でまだ4億人分ほどの量しかありません。
地域によっては水不足が引き金となって、GDPを押し下げる影響があるという試算も出ています。
新技術で淡水の需要に応えるには、水を得た半面、塩分が濃くなった水がそのまま海に戻れば環境に影響するとの指摘もあるように、エネルギーの省力化に加えて環境への配慮も必要になってきます。
エクスフュージョンと東工大の技術では、すずが冷えながら様々な物質が出てくる仕組みが、工場廃水の浄化などに応用できるとみています。
2024年06月07日
代替肉
培養肉や植物肉などの肉や魚に代わる「代替たんぱく質」の開発で日本企業の存在感が高まっているようです。
関連特許の価値は日本が米国に次いで世界2位だということで、企業・団体別で世界の上位に入る中小企業もあります。
世界の人口増加や経済成長で代替肉の市場規模は2050年に138兆円にたっする見込みで、日本が世界の産業をけん引する可能性があります。
代替たんぱく質は家畜由来の食品に代わるたんぱく源で、大豆など植物からつくります。
家畜の細胞を培養する、藻類や酵母など微生物由来、昆虫食などに分けられます。
特許の価値をスコアで算出すると、国別首位は米国で、日本は2位、後スイス、中国と続きます。
組織別にでは日本から不二製油と天野エンザイム、日清食品ホールディングスの3社が上位20社に入っています。
医薬品酵素剤を手掛ける天野エンザイムは植物のたんぱく質をコーヒー飲料などに使うための特許を出願済みで、たんぱく質を酵素で処理して水に混ざりやすくし、牛乳の代わりに使います。
宗教上の理由で動物性たんぱく質を食べない人や菜食主義の需要を見込んでいます。
2位に入った不二製油は、植物からバターやチーズにアジや食感が似た食品を作る特許を持っています。
これまで、大豆から作った植物肉製品を発売するなど、代替たんぱく質の市場をけん引してきました。
2020年には食感やうまみを肉に近づけた大豆由来の代替肉を発売し、焼き肉屋唐揚げなどに幅広く使えます。
世界の人口増加と新興国の経済成長を背景に、代替たんぱく質の市場は急成長しています。
肉の生産に必要な家畜の飼料や農業用水が世界で今後不足しそうですし、人口増加に対して畜産物の供給が追い付かず、十分な食料を手に入れられない人が世界で増える可能性が高くなりそうです。
不足するたんぱく質を補うため、代替たんぱく質の普及が待たれます。
代替たんぱく質は温暖化ガスの抑制も見込まれ、畜産だと動物のげっぷから発生するメタンなどが、代替たんぱく質だと減るとされています。
ただ、開発が活発になってきた代替たんぱく質ですが、普及には課題も残されていて、植物肉の味や食感を肉に近づける添加物の使用や表示に関するルールが要ります。
そして、培養肉は製造過程や製品の安全性を担保する規格も必要のようです。
関連特許の価値は日本が米国に次いで世界2位だということで、企業・団体別で世界の上位に入る中小企業もあります。
世界の人口増加や経済成長で代替肉の市場規模は2050年に138兆円にたっする見込みで、日本が世界の産業をけん引する可能性があります。
代替たんぱく質は家畜由来の食品に代わるたんぱく源で、大豆など植物からつくります。
家畜の細胞を培養する、藻類や酵母など微生物由来、昆虫食などに分けられます。
特許の価値をスコアで算出すると、国別首位は米国で、日本は2位、後スイス、中国と続きます。
組織別にでは日本から不二製油と天野エンザイム、日清食品ホールディングスの3社が上位20社に入っています。
医薬品酵素剤を手掛ける天野エンザイムは植物のたんぱく質をコーヒー飲料などに使うための特許を出願済みで、たんぱく質を酵素で処理して水に混ざりやすくし、牛乳の代わりに使います。
宗教上の理由で動物性たんぱく質を食べない人や菜食主義の需要を見込んでいます。
2位に入った不二製油は、植物からバターやチーズにアジや食感が似た食品を作る特許を持っています。
これまで、大豆から作った植物肉製品を発売するなど、代替たんぱく質の市場をけん引してきました。
2020年には食感やうまみを肉に近づけた大豆由来の代替肉を発売し、焼き肉屋唐揚げなどに幅広く使えます。
世界の人口増加と新興国の経済成長を背景に、代替たんぱく質の市場は急成長しています。
肉の生産に必要な家畜の飼料や農業用水が世界で今後不足しそうですし、人口増加に対して畜産物の供給が追い付かず、十分な食料を手に入れられない人が世界で増える可能性が高くなりそうです。
不足するたんぱく質を補うため、代替たんぱく質の普及が待たれます。
代替たんぱく質は温暖化ガスの抑制も見込まれ、畜産だと動物のげっぷから発生するメタンなどが、代替たんぱく質だと減るとされています。
ただ、開発が活発になってきた代替たんぱく質ですが、普及には課題も残されていて、植物肉の味や食感を肉に近づける添加物の使用や表示に関するルールが要ります。
そして、培養肉は製造過程や製品の安全性を担保する規格も必要のようです。
2024年06月05日
高齢者講習
最近、高齢者の交通事故が多く、加害者として社会的問題を引き起こす例が多いからでしょうが、70歳になる前に運転免許の更新に関するお知らせが来ました。
更新期間満了日における年齢が70歳以上の方は、道路交通法第10条の4の規定により更新手続きの前に高齢者講習を受ける必要があり、受けない場合は、運転免許証を更新できませんというものでした。
予約手続きが有効期限間近になると、予約が取れず、運転免許証の有効期限が切れる恐れがありますのでご注意くださいと付記されていましたので、昨日、福岡地区で自宅から最も近い所の博多区月隈にあるはかた教習所に事前に予約を取って行ってきました。
50年ぶりの教習所で、免許証を取った場所は異なりますが、昔の古い建物でありましたから懐かしく感じました。
午後の部は8名が参加し、4名ずつ2つのグループに分かれて、実車指導と視力等の運転適性検査が主な講習内容でグループごとに交互に実施しました。
実車指導は、仮免の実地試験で指導員を助手席に乗せて構内のコースを3、4周走るもので、チェックポイントは一旦停止が着実に行われているかと、段差に乗り上げた後にスムースにブレーキを踏めるかでした。
視力検査は静態検査に加えて動態検査と夜間の対向車の照明下における検査でどちらも視力が落ちましたが、0.2以上はOKということでした。
指導員も高齢者で、参加者をリラックスさせてくれたのはよかったのですが、講習内容はシビアなものではなく、ほとんどの人が問題ないというものでした。
これで効果が上がるのかどうかわかりませんが、2時間(実際は1時間)講習手数料の6450円を払ってきました。
更新期間満了日における年齢が70歳以上の方は、道路交通法第10条の4の規定により更新手続きの前に高齢者講習を受ける必要があり、受けない場合は、運転免許証を更新できませんというものでした。
予約手続きが有効期限間近になると、予約が取れず、運転免許証の有効期限が切れる恐れがありますのでご注意くださいと付記されていましたので、昨日、福岡地区で自宅から最も近い所の博多区月隈にあるはかた教習所に事前に予約を取って行ってきました。
50年ぶりの教習所で、免許証を取った場所は異なりますが、昔の古い建物でありましたから懐かしく感じました。
午後の部は8名が参加し、4名ずつ2つのグループに分かれて、実車指導と視力等の運転適性検査が主な講習内容でグループごとに交互に実施しました。
実車指導は、仮免の実地試験で指導員を助手席に乗せて構内のコースを3、4周走るもので、チェックポイントは一旦停止が着実に行われているかと、段差に乗り上げた後にスムースにブレーキを踏めるかでした。
視力検査は静態検査に加えて動態検査と夜間の対向車の照明下における検査でどちらも視力が落ちましたが、0.2以上はOKということでした。
指導員も高齢者で、参加者をリラックスさせてくれたのはよかったのですが、講習内容はシビアなものではなく、ほとんどの人が問題ないというものでした。
これで効果が上がるのかどうかわかりませんが、2時間(実際は1時間)講習手数料の6450円を払ってきました。
2024年06月03日
揺れているジョージア
政府が提出した“ある法案”をめぐって大きく揺れているジョージアですが、4月以降、連日、市民による大規模なデモが行われ、議会では与野党の議員が殴り合いをする事態になっているようです。
ジョージアは黒海とカスピ海に挟まれたコーカサス地方の国で、人口およそ370万、面積は北海道より少し小さいおよそ7万平方キロメートルです。
北はロシア、南はトルコなどと国境を接し、アジアとヨーロッパをつなぐ位置にあり、昔から多くの民族が行き交う交通の要衝でした。
旧ソビエトの構成国の1つで1991年に独立したジョージアは、美食の国としても知られています。8000年のワインづくりの歴史があるとされ、みずから「ワイン発祥の地」だとしています。
「クベブリ」と呼ばれる素焼きのかめの中で熟成させて作るワインが特徴で、その製造技術はユネスコの無形文化遺産にも登録されています。
にんにくソースで鶏肉を煮込んだジョージアの伝統的な家庭料理「シュクメルリ」が日本の牛丼チェーンで販売され、話題になったこともありました。
そのジョージアが4月以降、“ある法案”の審議をめぐって大きく揺れています。
ある法案というのは、与党「ジョージアの夢」が提出した「外国の影響力の透明性に関する法案」で、外国から20%以上の資金提供を受けるNGOやメディアなどの団体に対し、国への登録を義務づけるものです。
ロシアにも同様の法律があるため、「ロシア法」とも呼ばれています。
EUやNATOに加盟することを目指してきたジョージアですが、2023年12月にようやくEUの加盟候補国として認められたところに、この「ロシア法」が出てきたのです。
外国からの資金提供を受けて民主的な活動を行うNGOなどを押さえ込む根拠になりかねないとして多くの市民が反発しています。
世論調査では、国民の8割以上がEUへの加盟を支持しているという結果も出ていて、デモに参加した人たちからも「自分たちはロシアではなく、ヨーロッパの一員だ」といった声が多く聞かれました。
ジョージアの人たちの反ロシア感情があって、大きな理由の1つとなっているのが、ロシアによる軍事侵攻という苦い記憶です。
紛争の発端については、ジョージアと、分離独立を主張する「南オセチア」双方が、相手が先に攻撃や挑発をしたと主張し合い、ロシアは、攻撃を理由に「南オセチアのロシア系住民を保護する」という名目で軍事侵攻
したのです。
その後、ロシアは西部の「アブハジア」と、北部の「南オセチア」の独立を一方的に承認し、2つの地域には今もロシア軍が駐留していて、多くの人が故郷を追われたままになっています。
ジョージアは黒海とカスピ海に挟まれたコーカサス地方の国で、人口およそ370万、面積は北海道より少し小さいおよそ7万平方キロメートルです。
北はロシア、南はトルコなどと国境を接し、アジアとヨーロッパをつなぐ位置にあり、昔から多くの民族が行き交う交通の要衝でした。
旧ソビエトの構成国の1つで1991年に独立したジョージアは、美食の国としても知られています。8000年のワインづくりの歴史があるとされ、みずから「ワイン発祥の地」だとしています。
「クベブリ」と呼ばれる素焼きのかめの中で熟成させて作るワインが特徴で、その製造技術はユネスコの無形文化遺産にも登録されています。
にんにくソースで鶏肉を煮込んだジョージアの伝統的な家庭料理「シュクメルリ」が日本の牛丼チェーンで販売され、話題になったこともありました。
そのジョージアが4月以降、“ある法案”の審議をめぐって大きく揺れています。
ある法案というのは、与党「ジョージアの夢」が提出した「外国の影響力の透明性に関する法案」で、外国から20%以上の資金提供を受けるNGOやメディアなどの団体に対し、国への登録を義務づけるものです。
ロシアにも同様の法律があるため、「ロシア法」とも呼ばれています。
EUやNATOに加盟することを目指してきたジョージアですが、2023年12月にようやくEUの加盟候補国として認められたところに、この「ロシア法」が出てきたのです。
外国からの資金提供を受けて民主的な活動を行うNGOなどを押さえ込む根拠になりかねないとして多くの市民が反発しています。
世論調査では、国民の8割以上がEUへの加盟を支持しているという結果も出ていて、デモに参加した人たちからも「自分たちはロシアではなく、ヨーロッパの一員だ」といった声が多く聞かれました。
ジョージアの人たちの反ロシア感情があって、大きな理由の1つとなっているのが、ロシアによる軍事侵攻という苦い記憶です。
紛争の発端については、ジョージアと、分離独立を主張する「南オセチア」双方が、相手が先に攻撃や挑発をしたと主張し合い、ロシアは、攻撃を理由に「南オセチアのロシア系住民を保護する」という名目で軍事侵攻
したのです。
その後、ロシアは西部の「アブハジア」と、北部の「南オセチア」の独立を一方的に承認し、2つの地域には今もロシア軍が駐留していて、多くの人が故郷を追われたままになっています。
2024年06月01日
オフィス回帰
新型コロナウィルス禍で下落基調にあったオフィス賃料に反転上昇の兆しが見えてきました。
都心で働く利便性の高さ、アフターコロナの出社率上昇、満足度の高い福利厚生の充実などの要因がオフィスへの回帰を促し、人流の復活が賃料相場を押し上げているようです。
オフィスの活発化は運輸や飲食など周辺産業にも恩恵を及ぼしているといいます。
森ビルは、2024年3月期の営業利益が前の期比23%増の781億円でした。
大幅増益のけん引役が2023年に竣工した「麻生台ヒルズ」と「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」で、強気な賃料設定で知られる2物件ですが引き合いが強く、テナント誘致は順調だといいます。
実際、賃料は上昇していて、東京都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)に立地する大規模オフィスの今年の1〜3月期の1坪当たりの想定成約賃料は、2四半期連続で前年実績を上回りました。
賃料上昇の一番の理由は出社回帰で、在宅勤務を導入した企業が出社を奨励し、オフィスの増床や移転が相次ぎました。
職場内訓練(OJT)とテレワークの愛称は悪く、転職が増え人材流動性が高まるなか、テレワーク主体では人材育成がうまくいかないとして出社に戻す動きは止まらないだろうといわれています。
好立地オフィスを求める都心回帰の動きも賃料上昇を下支えしていて、築年数が浅く好立地のオフィスに人気が集まって、平均賃料が上昇しやすくなっています。
福利厚生の一環として企業がオフィスを充実させる点も賃料相場の追い風で、近年は求職者有意の市場が続き、出社したくなるオフィスは採用活動の武器となっています。
個別ブースや共有スペースの拡充に加え、スポーツジムや瞑想ルームなどを備えるオフィスも増えてきました。
不動産デベロッパーはアフターコロナのオフィスを「コミュニケーションの場」と定義し、立地や設備などオフィスの付加価値を高めて賃料を引き上げる作戦をとっているようです。
森ビルは麻生台ヒルズで入居テナントの社員が共用できるラウンジやカフェを備え、在宅勤務では得られないウェルビーイングをアピールしています。
オフィス回帰による人流の活発化は運輸や飲食など周辺産業にも恩恵が及び、JR東日本の定期収入はコロナ禍前の8割超に回復しました。
また、オフィス周辺の店舗は商談や打ち合わせなどでの利用が回復傾向にあるようです。
都心で働く利便性の高さ、アフターコロナの出社率上昇、満足度の高い福利厚生の充実などの要因がオフィスへの回帰を促し、人流の復活が賃料相場を押し上げているようです。
オフィスの活発化は運輸や飲食など周辺産業にも恩恵を及ぼしているといいます。
森ビルは、2024年3月期の営業利益が前の期比23%増の781億円でした。
大幅増益のけん引役が2023年に竣工した「麻生台ヒルズ」と「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」で、強気な賃料設定で知られる2物件ですが引き合いが強く、テナント誘致は順調だといいます。
実際、賃料は上昇していて、東京都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)に立地する大規模オフィスの今年の1〜3月期の1坪当たりの想定成約賃料は、2四半期連続で前年実績を上回りました。
賃料上昇の一番の理由は出社回帰で、在宅勤務を導入した企業が出社を奨励し、オフィスの増床や移転が相次ぎました。
職場内訓練(OJT)とテレワークの愛称は悪く、転職が増え人材流動性が高まるなか、テレワーク主体では人材育成がうまくいかないとして出社に戻す動きは止まらないだろうといわれています。
好立地オフィスを求める都心回帰の動きも賃料上昇を下支えしていて、築年数が浅く好立地のオフィスに人気が集まって、平均賃料が上昇しやすくなっています。
福利厚生の一環として企業がオフィスを充実させる点も賃料相場の追い風で、近年は求職者有意の市場が続き、出社したくなるオフィスは採用活動の武器となっています。
個別ブースや共有スペースの拡充に加え、スポーツジムや瞑想ルームなどを備えるオフィスも増えてきました。
不動産デベロッパーはアフターコロナのオフィスを「コミュニケーションの場」と定義し、立地や設備などオフィスの付加価値を高めて賃料を引き上げる作戦をとっているようです。
森ビルは麻生台ヒルズで入居テナントの社員が共用できるラウンジやカフェを備え、在宅勤務では得られないウェルビーイングをアピールしています。
オフィス回帰による人流の活発化は運輸や飲食など周辺産業にも恩恵が及び、JR東日本の定期収入はコロナ禍前の8割超に回復しました。
また、オフィス周辺の店舗は商談や打ち合わせなどでの利用が回復傾向にあるようです。