2024年08月31日

福岡、新築マンション販売に陰り

  福岡県の新築マンション販売に陰りが見え始めているようです。



  今年の1〜6月に成約した物件が前年同月比で約2割減少していて、背景には価格高騰があり、特に福岡市では土地の価格や人手不足などに伴う建築費の上昇で平均価格が5563万円と、1年で約1000万円上昇しました。

  低中価格帯の物件では購入をあきらめるケースも出てきているといいます。



  福岡市の今年の1〜6月の平均価格は、鹿児島市(5000万円)や熊本市(4549万円)など九州の主要都市を大幅に上回り、1坪当たりで比べても福岡市は昨年比で14%上昇の275万円、鹿児島(229万円)、熊本(223万円)の両市を大幅に上回る構図は変わりません。

  福岡市の新築マンションを坪単価で区別に見ると、大濠公園などの人気エリアを抱える中央区は377万円で、5年前と比べると上昇率が52%に達し、ちなみに市全体の平均では5年間で38%でした。



  ほしい人が購入をあきらめる水準にまで価格が上がっていて、販売したものの売れ残って在庫となる物件も増えています。

  建設業界の人手不足で建設費が高騰しており、不動産販売業者は立てるタイミングがつかめず、しばらく様子を見ようと供給控えの動きもみられるといいます。

  また、地価の上昇もマンション価格を押し上げている要因の一つとなっています。



  一方で福岡市内の5000万円以上のマンションは、好調を維持しているようです。

  ファミリー向けなどの低中価格帯のマンションは不調ですが、市中心部の高額マンションは、値上がりと関係なく順調に売れているようです。

  特に中央区では、坪単価が500万円をこえる高額物件の建設が続々と進み、薬院の「グランドメゾン福岡The Central Luxe」や大濠公園近くの「ザ・パークハウス大濠翠景」など、立地の良さや高級感のあるつくりで人気となっています。



  今後、高額物件にも低中価格帯の不振が波及するのか、それともこのまま好調を維持するのか注目されます。
posted by 川上義幸 at 16:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2024年08月30日

スエズ運河を航行する貨物船まばら

2023年10月にパレスチナ自治区ガザで始まったイスラエルとイスラム組織ハマスの衝突。

これに呼応して周辺の親イスラム組織もイスラエルへの攻撃を続け、イエメンの反政府武装勢力カフーシは紅海周辺を航行する船舶への攻撃を繰り返ししています。



スエズ運河の中央部に位置するイスマイリアでは1月頃から目に見えて通航量が減り、ピーク時の3割ぐらいなっているようです。

スエズ運河はフーシが船舶への襲撃を繰り返す紅海に通じていて、年間約2万隻のコンテナ船やタンカーなどが通航し、中東やアジアと欧州を結ぶ主要航路となっていました。



紅海周辺のアデン湾では2000年代後半から2010年代半ばにかけて、ソマリアの海賊による身代金目的の乗っ取りが相次ぎましたが、国際的な取り締まりで活動は沈静化していました。

専門家は、「金銭目的の海賊に比べ、商船をミサイルなどで攻撃するフーシの動きはより危険だ」と警鐘を鳴らします。



船舶襲撃が激化して以降、APモラー・マースク(デンマーク)や日本郵船などの海運大手が紅海やスエズ運河の航行を見合わせ、南アフリカの喜望峰への迂回ルートをとるようになりました。

迂回で往復にかかる時間はスエズ運河経由に比べてアジア〜欧州北部で約15日、アジア〜地中海沿岸で約20日延びました。

その結果、1〜3月のスエズ運河の通航料収入が前年同期の22億ドルから57%減の9億5930万ドルにとどまりました。

輸送コスト増が欧州やアジアの物価上昇につながっています。


フーシはイスラエルとハマスの衝突が続く限り船舶への攻撃を続けるとしており、海域の緊張が緩和する兆しは見えない中、マースクは紅海の混乱が7〜9月期も続くとの見通しを示しています。



そこで、代替輸送ルートの構築など、サプライチェーンを見直す動きも広がっているようです。

中国とウズベキスタン、キルギスの3か国は6月、鉄道建設に関する政府間協定を結び、中央アジアやコーカサスを経由して中国と欧州を結ぶ「中央回廊」の一部とします。

イランとロシアやインドは、イラン南部の港湾から同国北部のカスピ海沿岸を抜けてロシアを結ぶ「南北輸送回廊」の整備を急いでいます。



また、第4次中東戦争以降でスエズ運河が寸断されたことはなく、今回の危機は(消費地の近くに生産地を置く)ニアショアリングの動きに拍車をかけるなどの影響を与える可能性も出てきそうです。
posted by 川上義幸 at 17:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2024年08月29日

訪日消費増、円安が支え

7月の訪日客数は329万2500人で、単月としては過去最高を更新しました。

旅行先としての日本の人気が引き続き高いことに加えて、学校の休暇シーズンに入ったことなどが寄与したようです。

300万人台は5か月連続となり、円安の影響もあって訪日客の消費額も増えています。



国・地域別に見ると中国が最も多かったようで、中国が1位となるのは2022年10月の水際措置の緩和以降で初となり、中国からの観光客も回復傾向にあります。



客数増に伴い訪日客の消費が日本経済に占める存在感も高まっています。

1〜6月の消費額は3兆9070億円で、貿易統計で同期の主要な輸出品目と比べると、半導体等電子部門(2兆8395億円)を上回りました。



消費増は円安や物価高が支えている側面もあり、コロナ禍前と比べた消費額の伸びを要因に分解して寄与度を試算したところ、為替の影響が最も大きかったといいます。

約半分は各国の通貨に対する円安による押し上げで、続いて国内の消費者物価の上昇が寄与し、訪日客数や宿泊日数の増加によるプラス効果は増加分の4割弱でした。



足元では1ドル145円前後まで円高が進み、円高局面では1人当たりの消費額は目減りする可能性があるとして、専門家は「富裕層を取り込むための観光資源の発掘や交通網の整備など、これまで以上に消費額を増やす知恵と努力が求められる」と指摘します。



訪日客を巡っては観光業や宿泊業の人手不足、地方空港を中心とした航空燃料の不足や京都など主要な観光地への偏重などの課題も浮き彫りになっていることから、消費額を増やすにはこうした課題を解決することも欠かせません。
posted by 川上義幸 at 16:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2024年08月28日

地方創生DAO

  地方創生にDAO(分散型自立組織)を活用する取り組みが全国に広がっているようです。

  対等な立場で意思決定をしながら、地域振興プロジェクトを進めます。



  高齢化や人口減少を背景に全国で空き家や山林放置が増えていて、これらを「地域の資産」として共同所有するプロジェクトが、新潟県湯沢町で始まりました。

  きっかけは外国資本が土地や建物を相次ぎ取得することへの危機感で、地域の歴史や伝統が心無い再開発で途切れないよう、所有者の思いを受け継ぎながら再生していきます。



  江戸時代、三国街道沿いの宿場町として栄えた二居地区の一角はかつて大名の家臣や商人が泊した宿「脇本陣」がプロジェクトの舞台となっています。

  立派な古民家ですが、今は誰も住んでおらず、所有者は高齢で県外にいるといい、建屋解体も検討する中、購入したいと持ち掛ける中国人も現れました。

  湯沢や近隣の妙高はスノーリゾートとして外国人からも人気で、外資が土地や宿泊施設を買収するケースが増えています。



  ゲストハウスも運営するITスタートアップ経営者は「外資を全て否定しないが、歴史や文化の重みを理解して再開発しなければもったいない」という思いで、建屋と裏山を取得しました。

  ただ、三国街道の歴史が詰まった資産だけに、単独で扱うことに大きなプレッシャーがあったようで、そこでDAOと呼ぶ新しい組織形態を取り入れました。

  DAOは社長のような特定の管理者を置かず、参加者全員が対等な関係で組織運営に携わります。



  データを改ざんしにくいブロックチェーン(分散型台帳)技術を使い、合意形成で意思決定し、すべてのやり方を時系列で記録に残すことで権力の集中や悪用も妨げることができます。

  空き家や山林の再生もプロジェクトごとに支援者を募り、アイデアや資金を出し合って所有、運用し、メンバーには物件の収益や利用権利などのリターンを設けています。



  脇本陣は、5人が主要メンバーとなり、江戸時代の雰囲気を残した宿泊施設への改修を決め、デザインや設計、裏山の活用方法など、チャットや会議で意見を出し合いながらプロジェクトを進め、2024年秋の開業を目指しているようです。

  そして、開業後も脇本陣の価値をさらに高める運営者として携わるといいます。



  全国には地域の歴史が詰まった価値ある空き家も少なくなく、一人ではなく、チームで守る、DAOという新たな形を生かし、次世代に文化や歴史を受け継いでいるようです。
posted by 川上義幸 at 16:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2024年08月27日

こんにゃくスイーツ

納豆や豆腐を製造・販売する熊本にある老舗のマルキン食品がこんにゃくを使ったスイーツを開発し、東南アジアや欧米など約20カ国・地域へと輸出を拡大しています。

健康志向を追い風に、低カロリーなこんにゃくのイメージが奏功しています。

人口減少で国内市場の縮小が見込まれる中、海外売上高比率を将来30%へと大幅に引き上げる考えです。



こんにゃくを使ったスイーツ「MOCHIKON(モチコン)」は、「黒蜜きなこ」「抹茶」「チョコバナナ」の3種類の風味を用意し、パッケージにはそれぞれ「115kcal」(黒蜜きなこ)や「82kcal」(抹茶)、「86kcal」(チョコバナナ)と1パック当たりのカロリーが表示されています。

一口ほおばると、モチモチした歯応えはあるものの、こんにゃくらしさは全く感じられないといいます。



同社は、日本の伝統食品であるこんにゃくや納豆を、海外の人でも食べやすいような形にして世界に拡げたいと、話しています。

同社は1915年に創業し、こんにゃくのほか、納豆や豆腐、ところてんなどを九州を中心に全国で販売しています。

国内市場が人口減少で先細りとなる懸念があることから、海外部門を事業の柱の一つと位置付け、本格的に輸出に力を入れ始めました。



2021年にはイスラム教の戒律に沿った「ハラル」の認証を取得し、マレーシアを皮切りにシンガポールや香港など、東南アジアを中心に販路が広がっています。

また、ハラル以外の需要も取り込もうと、食味を工夫し、輸出専用品としてチョコバナナの代わりに「Wチョコ」をラインナップしました。


チョコレート風味は北米市場の開拓を考慮すると不可欠で、抹茶も近年海外で人気の風味といいます。

こうした取り組みが奏功し、現在輸出先はマレーシアなどに加えてインドネシアやフィリピン、タイ、ベトナム、オランダ、ドイツ、英国、米国などおよそ20ヵ国・地域に拡大しました。



さらに熊本では現在、TSMCの進出をきっかけに台湾との交流が盛んになっていて、台湾で開催された食の展示会「フード台北」に出店するなど、モチコンや納豆の売り込みを台湾向けにも強化しているといいます。
posted by 川上義幸 at 13:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2024年08月25日

デジタル赤字

日本の起業や個人から、海外の巨大テック企業への支払いが増え続けています。

米GAFAMなどが提供するサービスは仕事や生活に欠かせなくなり、いわゆる“デジタル赤字”は過去5年で約2倍に膨らんでいます。

日本は稼ぐ力を高めなければ、国内の富が外に出ていくばかりになってしまいます。



検索はグーグル、会議はチームズやズームが当たり前になっていて、アマゾンで買い物をし、ネットフリックスやユーチューブで好きな映画やドラマ、動画を見ます。

いまや多くの人の日常の光景になっています。



こうしたサービスのほとんどは、海外のIT企業が提供していて、普段は意識することはないですが、使うたびにお金が日本から海外に出ていくというわけです。

グーグルやマイクロソフトといった巨大テック企業への支払いなどで生じるデジタル赤字は、2023年度5.5兆円に達しました。

5年前の1.7倍で、新型コロナウィルス禍の収束で急増した旅行収支の黒字(4.2兆円)をまるまる打ち消してしまう規模になっています。

今後もデジタル赤字は増え続ける公算は大きく、私たちが日々使っているデジタルサービスは、海外勢が圧倒的に強いからです。



大事なのは海外のデジタルサービスを使って、日本企業がイノベーションを生み出せるかで、デジタル化を加速して生産性が上がれば、海外にも売れる日本発の新たなサービスや製品が出てくるかもしれません。

利用料を払うだけで終われば、日本全体が「デジタル小作人」になってしまうということになります。



今では日本は、「貿易立国」の面影が薄くなっていて、2023年度の貿易収支は4兆円の赤字となっています。
輸出は自動車を除けば、かつての家電や電子機器といった稼ぎ頭が見当たりません。

新たな稼ぎ頭として期待できるのは、日本の漫画やアニメ、ゲームといったコンテンツ産業化もしれませんが、ただ韓国や中国もドラマやゲームで急速に国際競争力を高めていて、油断はできないようです。

posted by 川上義幸 at 21:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2024年08月23日

新米、今年も値上がりへ

秋に本格的に流通を始める2024年産の新米が、値上がりする見通しです。


コメの最大産地である新潟県のJAグループは2024年度産の新米の集荷価格(概算金)を大幅に引き上げ、コシヒカリの1等米だと前年を22%上回ります。

コメが店頭で品薄になるなど足元の需給ひっ迫に加え、膨らむ農家の生産コストも反映させた格好です。


新潟県産は指標価格のため、これから出てくる全国の新米価格も上昇する公算が大きいといいます。



JAグループが農家からコメを買い取る価格を7〜9月にかけて決め、これが概算金といいます。

産地を指定しない一般コシヒカリの1等米は60kg1万7000円と前年比3100円高く、上げ幅は2023年産から拡大し、関係者は値上げ幅は過去にあまりない大きな額といいます。

各農協は、1万7000円をベースに経費などを考慮し、生産者への最終的な支払金額を決めるようです。



新米価格が上昇した背景には2つの要因がありそうで、1つはこれまでの高騰してきた2023年産米のコメの相場の影響です。

昨年夏の猛暑による構音障害で流通量が減ったほか、堅調なインバウンド需要や、他の所品との相対的な値ごろ感から消費が拡大し需給が引き締まりました。



もう一つの要因が物価高などを背景とした農家の生産コストの上昇で、農家は肥料や電気代などのコストが上がって、利益がほぼ残らないとこぼしています。



新潟県産の価格の水準を受け、北海道や秋田、山形県など主要なコメ産地も概算金の引き上げに動く模様です。

9月下旬以降、本格的にスーパー店頭に並び始める新米は例年以上に高い値段で販売される可能性が高くなってきました。
posted by 川上義幸 at 17:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2024年08月21日

北極海に熱い視線

  NATO首脳会議に合わせ、米国はフィンランドとカナダの間で戦略的に進めている重要な極地砕氷船建造に関する協力協定を締結しました。

  この出来事はほとんど注目されませんでしたが、砕氷船は今や地球上で最も激しい競争の場の一つとなりつつある北極圏の探査と保護に不可欠で、その建造には多くの資本と高度な技術を要するといいます。

  しかし、米国は砕氷船を2隻しか保有していないうえ、50年にわたり新しい砕氷船を建造してこなかったため、自力で新たな砕氷船を建造するのが難しいといいます。



  そこで、世界の砕氷船の半分以上を建造してきた実績を持つフィンランドと、造船大手デイビーを抱えるカナダと組んだというわけです。

  これら3か国で協力関係を築き、今後10年間で世界で必要と推定される70〜90隻の新たな砕氷船の多くを建造することを目指そうとしています。

  これは時宜を得た取り組みで、地球温暖化で極地の氷は解けており、これは問題ですが、同時にチャンスでもあります。



  氷が減り、北極海に新たな航路が開かれれば、アジアと大西洋の港の航行時間を最大で半分に短縮できる可能性があるからです。

  北極海で通過可能な唯一の航路は現在、ロシア北方の海岸線沿いにあり、ロシアは自国に管轄権があると主張しています。



  しかし、氷が解ければ、おそらく公海に航路が開かれることになり、新たに国家ベースや民間企業による航行が可能になるでしょう。

  一方、極地の氷が減るということはレアアースや石油、天然ガスが大量に埋蔵されている海底へのアクセスが容易になるということでもあります。

  米国、ロシア、中国およびその他の国々との間でかねて、誰がこれら資源の権利を有し、開発するかを巡って地政学的な競争が展開されてきました。



  北極圏は今後10〜20年間、南シナ海に次ぐ世界で最も重要、かつ競争の激しい場所となることは容易に想像がつきます。
posted by 川上義幸 at 18:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2024年08月19日

無料では続かない

  首都圏屈指の夏の風物詩である江戸川区花火大会ですが、台所事情は厳しいようです。

  これまで、区と対岸の千葉県市川市による補助金や民間の協賛金で賄ってきましたが、2023年に1.5億円だった開催費用は2024年に2.4億円へとふくらみました。

  花火や設営などの費用が増えるからです。



  そこで、実行委員会、花火大会を続けていくため有料席の導入を決めました。

  区のチケットは1〜4人席で4500円から2万000円、有料の1万4000席分で約6000万円の増収を目指し、補助金の増額と併せてコスト高に対応します。

  一会場では全国有数の規模を誇る1万4000発の花火で観客を魅了できるかどうか、今後の試金石となります。



  新型コロナウィルス禍による中止・縮小の苦難を経て、多くの祭が再開しましたが、一難去ってまた一難と、物価高や人件費上昇の波が押し寄せ、草加市民納涼花火大会のように中止となる事例も起きています。

  7〜9月にある主要106の花火大会のうち、7割が有料席を導入しており、2023年と比べて値上げした大会は56%にのぼり、最安値でも5000円を超える価格設定が多くみられるといいます。



  画家・山下清之代表作のモチーフにもなった「長岡まつり大花火大会」が今年も開催されましたが、名物は2004年の中越地震を機に翌年から始まった復興祈願花火フェニックスです。

  今年は能登半島地震からの復興の願いも込めて打ち上げられたようです。

  不死鳥も夏の夜空をいつまで舞えるか資金面での不安がつきまとい、新しい協賛金の集め方に挑戦し、大手クラウドファンディング(CF)サイトのCAMPFIEを初めて利用したということです。

  支援額に応じて観覧席を提供し、現地で観覧できない人などを念頭に記念グッズなどを送るプランも設けました。



  CFを利用して全国の人に支えてもらう取り組みは広がりを見せているようで、祭りのプロジェクト数が増加傾向にあります。

  祭がもたらす感動に対価を払うという観客側の意識は変化してきている一方で、祭りによっては見世物ではないとする意見もあり、「稼ぐ」ことへの抵抗感もあるようです。



  コロナ禍を乗り越え多くの夏祭りが平常開催2年目を迎え、人口減少社会の中で担い手確保が求められています。

  そして酷暑は、開催時期の変更を迫る一方で、祭りの存続のためには魅力の向上が欠かせず、また資金面での工夫も必要となっているようです。
posted by 川上義幸 at 19:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2024年08月18日

広がる樹木葬

  年間約160万人が亡くなる多死社会を迎えた日本ですが、核家族が増え、お墓は「家」から「個」へシフトが進んでいるようです。

  人気の中心は費用が安い樹木葬で、弔いの担い手も高齢化が進み、今や単独世帯が4割を占めます。

  次世代に向けたお墓は子や孫世代に継承しない形式が定着しつつあるようです。



  お墓の新規購入のうち、遺骨を墓石に納める「一般墓」の割合は2割強に過ぎません。

  約半数を樹木葬が占め、ビル内で管理する納骨堂も約2割に達します。

  継承者用のお墓が選ばれる時代になってきました。



  購入費は、墓石が必要な一般墓が平均150万円なのに対して、樹木葬や納骨堂は半分程度で、加えて一般墓で年間5000〜1万円とされる維持管理費が必要となりますが、樹木葬などはかからない場合が多いようです。

  さらに注意が必要なのが離壇料で、菩提寺に所属する檀家が一般墓を墓じまいする際、5〜20万円の離壇料を寺側に払う慣習があるといます。

  ただ、離壇料は「お布施」の意味合いがあるので「相場」がわかりにくく、数百万円を要求されるなどトラブルになるケースもあるようです。



  こうしたお墓に関わる費用は子や孫世代の経済的な負担になり、一般墓離れにもつながっています。

  ふるさとから遠く離れた都会で暮らす人にとって、お墓参りの心理的・物理的な負担もあり、そもそも継承できる家族がいない人が多いことも樹木葬などへの移行を促しています。



  最近では、海などへの「散骨」、「合祀(合葬)」、仏壇などに骨壺を置く「手元供養」、「遺骨ペンダント」などがあるようです。

 
 お盆が終わりましたが、お墓をどうするか考える方が多かったのではないでしょうか。
posted by 川上義幸 at 16:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2024年08月14日

「帰省スルー」「帰省ブルー」 「セパレート帰省」

8月11日の「山の日」をはさみ、18日まで最大で9連休というケースもある今年のお盆休みです。

家族がいるとそれぞれの実家に帰省するシーズンですが、コロナ禍では感染対策のために「帰省スルー」し、コロナ明けで帰省できるようになると「帰省ブルー」という言葉が世間では飛び交っています。



今年の夏休みに帰省は22%と昨年から減ったようですが、昨夏のほうが帰省が多かったのは、新型コロナが5類に移行し、規制が緩和されて初めてのお盆だったために、帰省する人が増えたからだと考えられます。  

コロナ禍で、実家に帰らずに済む「帰省スルー」を経験したうえで、今夏は帰省する人たちの気持ちは様々のようで、コロナ禍で帰省しなかったら、『こんなにラクなんだ』と実感してしまったという女性もいます。

コロナの規制ではお盆の帰省は「なかったこと」にしましたが、平常に戻っても「スルー」することにした人もいて、真夏の暑い中、混雑する新幹線に乗って家族で移動するってもう考えられないといいます。



帰省のスタイルもさまざまですが、「セパレート帰省」が進んでいるようです。

「セパレート帰省」は、たとえば、旦那さんの実家には旦那さんだけ、もしくは子どもだけ連れて『父子帰省』し、奥さんはその間、自分の実家に帰省、あるいは仕事や女友達と旅行を楽しんだりするといった具合です。

時間差で帰省されている方もいて、休みの前半は奥さんが自分の実家に子どもを連れて実家に帰り、後半は旦那さんの実家に『父子帰省』してもらうなどです。  



特に今の30〜40代は共働き夫婦も多く、セパレート帰省が進んだ印象です。

「セパレート帰省」が進む理由について、「親御さんも、必ずしも夏休みの帰省を期待しなくなったから」と分析する専門家もいます。



幼い孫がいれば当然、孫の顔は見たいとなりますが、彼らの“じぃじ”や“ばぁば”に当たるのは、主にいま60代の『新人類(バブル世代の一部)』と、その上の『シラケ世代』で、青春時代から欧米文化の影響を受けて独立心が強く、『嫁が〜』『お墓が〜』という、いわゆる家族制度へのこだわりが弱いといいます。

“個”としての自分を大事にするがゆえに、夏の暑いなか、面倒なことに煩わされて自分の時間を犠牲にしたくないと考えやすい世代でもあるようです。  

また、帰省先の祖父母自身が、昔とは違い、まだ働いている『現役世代』でもあります。

そもそも、お盆に帰省する理由の一つはお墓参りでしたが、いまは60〜70代から先祖の“墓じまい”などを早めに始める方も増えているといいます。

またコロナ禍で、離れていても孫や子と会話できる『リモート対話』を習得したシニアも多く、今後、夏休みの帰省は、確実に減っていくことが予想されます。



一方で帰省は孫世代にとって「いい面」もあるようで、Z世代(主に現在の20代)は『社会貢献欲求』が強い世代だと言われ、彼らの話では、『帰省した際、地方は人口が減っていて大変だと気づきました』との声も聞きます。

その気づきから、『地方(地域)をなんとかしなきゃ』と地域貢献の活動をするようになったり、地方再生のNPOに参加したりと、動くケースもあるといいます。  

都会に住むお孫さん世代が帰省して、地方に『第二の故郷』を持つことは、長い目で見ると大きな意味を持つ場合もあるようです。
posted by 川上義幸 at 14:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2024年08月12日

クラブの進化、アイアンはこんなに簡単だったのか

  ここしばらくの間、ゴルフのスコアが90を切れずに悩んでいましたが、今日の月例でアウト43、イン41、トータル84で久しぶりに90を切ることができました。



  これまでは、アイアンが当たらない、飛ばないということでセカンドをミスし、グリーンに乗っても長い距離が残って3パット、そのことが尾を引いてドライバーのミスにつながり大叩きという負の連鎖でした。

  プロと一緒にラウンドする機会があり、「川上さん、アイアンを買い替えた方がいいですよ。今持っているアイアンは難しすぎます。最近のアイアンは簡単に打てるようになっていまよ」とアドバイスをいただいていました。



  一昨日のゴルフでパートナー3人に10ポイント近く差をつけられ、悔しい思いをしました。

  早速昨日、ゴルフマンモスに行って、自分に合ったアイアンを見繕ってもらい、中古品ですが買ってきました。



  試打では、まっすぐそして距離も以前と同様で、7番アイアンでは150ヤードが簡単に出ていたようです。

  何よりも、スウィングがした感じがよく、ヘッドの重みも感じることができました。



  早速今日は、練習もしないで実践で使ってみました。

  150〜170ヤードの距離でアイアンが使えるようになったことが大きく、プレー全体のリズムへも好影響したように感じます。

  ただ、140ヤードのショートホールで8番アイアンで打った球が飛び過ぎてグリーンをオーバーし、もう少しでOBとなるところでしたし、ショートアイアンが使いきれていなかったようです。



  ハンディがあがって20.3になっていましたから、8.3アンダーで優勝もあるのかと思っていましたら、上には上がいて、13.1アンダー、11.5アンダーの人がいて3位でした。

  今日のゴルフでは、まだまだ伸びしろがありそうなので、80を切れるように頑張りたいと思います。
posted by 川上義幸 at 20:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2024年08月11日

シンガポールの革新力に学ぶ

ヴェオリア・ジャパンの野田由美子会長が日経新聞のエコノミスト360°視点に投稿された「シンガポールの各新緑に学ぶ」の概要を紹介したいと思います。

いつも拝見しているのですが、共感する内容です。



スイスのビジネススクールIMDの「2024年世界競争ランキング」で、シンガポールが4年ぶりに世界首位の座に返り咲きました。

他方日本はカザフスタンやクウェートの後塵を拝し38位に落ち込み、我が国がシンガポールから学べることがあるということです。

それは社会課題に真正面から取り組み、独自のソリューションを生み出す「革新力」です。



象徴的な例が「水」で、マレーシアからの原水輸入に依存する構造から脱却するため、雨水や下水、海水といったあらゆる水を活用、下水再生や淡水化などの技術革新によって飲料水を作り出しています。

水がないという国家存亡にかかわる課題があったからこそ、自国を水ソリューションの実験場として開放、世界中のノウハウを集積し、水不足に悩む多くの都市にノウハウを提供するまでになったといいます。



もう一つは住みやすい都市づくりで、赤道直下、高温多湿という気象条件は、グローバル企業・人材の獲得において圧倒的な弱みであることを、それを克服すべく公園や街路樹の充実、ビルの屋上・壁面緑化、グリーンビルの認証、水辺づくりなどを迅速に推し進め、緑豊かで住みやすい都市へと変貌させました。

その知見は「都市の住みやすさフレームワーク」として、途上国へも輸出されています。



このように課題を起点として、国家・都市の優位性を生み出すメカニズムこそ日本が学ぶべきだと指摘しています。

少子高齢化、コミュニティーの衰退、災害の多発といった日本が抱える大きな課題に、最新の技術とビジネスモデルをもって挑み、包摂的で強靭なコミュニティーやまちづくりのソリューションを生み出し、同様の課題を抱える他国へと輸出することができるはずだといいます。



政官民が強烈な危機感を共有し、課題をソリューションさらにはイノベーションへと変える、これこそ、がけっぷちに立つ日本に求められる挑戦に他ならない強調しています。
posted by 川上義幸 at 17:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2024年08月09日

代替食への期待

  肉や魚、卵といった動物性たんぱく質の代わりに、大豆やえんどう豆などの植物性たんぱく質を原材料にする「代替食」が広がっています。

  大豆を原料にした代替肉は「植物肉」や「大豆ミート」などと呼ばれ、店頭で見かける機会も増えました。

  代替食に注目が集まる背景は地球温暖化だけではありません。



  世界で「胃袋」が広がり続け、畜産物や飼料の奪い合いが激しくなることの懸念もあります。

  日本の人口が1億人をわりこむ2050年代には世界の人口は100億人に達する見通しで、畜産物の需要が世界全体で2010年比で1.8倍に拡大する試算があります。

  日本は経済成長が著しい新興国などに肉や魚を買い負ける恐れがあり、食糧安全保障の面でも、代替肉などは未来の食卓を支える潜在力を持っていて、代替肉が2050年に世界の食肉市場の50%を占めるともいわれています。



  代替食を扱う企業について、前向きに評価する消費者は増えているようで、代替食の品質を改善したり、原材料の種類を増やしたりする動きが相次いでいるといいます。

  飲食店チェーンのふじやは雑穀のタカキビを使ったハンバーグを発売しましたが、タカキビは味やにおいがほとんどないため味付けがしやすく、低脂質で食物繊維が豊富といいます。

  培養肉は米国などで販売されていますが、日本では「安全性などを担保する規格が必要」ということで、国は法整備の検討を行っています。



  消費者が代替食をどのように評価しているかのアンケート調査では、60%が「代替食を食べたことがある」と答え、理由としては「健康のため」との回答が目立ちました。

  献立の例えとして、朝食は卵を使わないスクランブルエッグと植物由来のソーセージ、昼食は大豆肉の唐揚げ定食、夕食はこんにゃくで作った刺身の海鮮丼…。



  取材している記者が5日間、代替食を使った食事を試したところ、体重などに大きな変化はなかったが、便通は改善し、顔のニキビは少くなったように感じられたといいます。

  管理栄養士の話では、代替食だけでは脂質不足になる場合もあって、動物由来の料理とバランスよく食べることが大切だということです。



  代替食への理解が進み、主菜の選択肢に代替食をうまく取り入れる人が増えていけば、「1億総健康社会」も夢ではないかもしれません。


posted by 川上義幸 at 19:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2024年08月08日

シンガポールの革新力に学ぶ

  ヴェオリア・ジャパンの野田由美子会長が日経新聞のエコノミスト360°視点に投稿された「シンガポールの革新力に学ぶ」の概要を紹介したいと思います。

  いつも拝見しているのですが、共感する内容です。



  スイスのビジネススクールIMDの「2024年世界競争ランキング」で、シンガポールが4年ぶりに世界首位の座に返り咲きました。

  他方日本はカザフスタンやクウェートの後塵を拝し38位に落ち込み、我が国がシンガポールから学べることがあるということです。

  それは社会課題に真正面から取り組み、独自のソリューションを生み出す「革新力」です。



  象徴的な例が「水」で、マレーシアからの原水輸入に依存する構造から脱却するため、雨水や下水、海水といったあらゆる水を活用、下水再生や淡水化などの技術革新によって飲料水を作り出しています。

  水がないという国家存亡にかかわる課題があったからこそ、自国を水ソリューションの実験場として開放、世界中のノウハウを集積し、水不足に悩む多くの都市にノウハウを提供するまでになったといいます。



  もう一つは住みやすい都市づくりで、赤道直下、高温多湿という気象条件は、グローバル企業・人材の獲得において圧倒的な弱みであることを、それを克服すべく公園や街路樹の充実、ビルの屋上・壁面緑化、グリーンビルの認証、水辺づくりなどを迅速に推し進め、緑豊かで住みやすい都市へと変貌させました。

  その知見は「都市の住みやすさフレームワーク」として、途上国へも輸出されています。



  このように課題を起点として、国家・都市の優位性を生み出すメカニズムこそ日本が学ぶべきだと指摘しています。

  少子高齢化、コミュニティーの衰退、災害の多発といった日本が抱える大きな課題に、最新の技術とビジネスモデルをもって挑み、包摂的で強靭なコミュニティーやまちづくりのソリューションを生み出し、同様の課題を抱える他国へと輸出することができるはずだといいます。



  政官民が強烈な危機感を共有し、課題をソリューションさらにはイノベーションへと変える、これこそ、が  けっぷちに立つ日本に求められる挑戦に他ならない強調しています。
posted by 川上義幸 at 16:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2024年08月07日

中国の水問題

世界の淡水に占める中国の割合はわずか6%ですが、これで世界人口の2割を占める同国民の渇きを満たさないといけません。

そのため、中国の指導者らは長年、水を比較的豊富な地域から少ない地域に運ぶ大型インフラ計画を進め、水不足に対応してきました。



問題は干ばつと洪水だけではなく、中国の主要な河川の水源となっているヒマラヤ山脈高地の氷河が縮小し続けていることです。

1950年代以降、地表を覆っていた氷河の1/5が解け消失しているということです。

今は溶けた氷河が中国の一部の地域を潤し、西部に広がる砂漠地帯のオアシスに花を咲かせているといいます。

しかし、21世紀半ばには氷河から雪解け水が減り始めると予想されていて、その影響を受ける地域の一つが、1200万人がくらし、水源の約4割を雪解け水に依存している中国北西部のタリム盆地です。



中国政府は水の供給面を重視しがちで、例えば北部の水不足を緩和しようと「南水北調」事業を数百憶ドルという巨額を投じ進めてきました。

中国が2023年に水インフラに投じた額は1兆元(約22兆1000億円)を上回るといわれ、その大半は水道管網の充実と、水漏れによる損失を防ぐための貯水槽の整備に充てられています。


沿岸部の多くの都市は水不足に備え海水淡水化プラント建設を進めているといいます。


効果がはっきりしませんが、雨を降らせる技術「クラウドシーディング」の活用も行っています。


また、チベット高原の氷河が解けるペースを遅らせようと氷河の一部を太陽光を反射する素材で覆ったりもしています。



ただ、多くのアナリストが必要性を指摘している水需要そのものを減らす対策はほぼ講じていないようです。

需要を減らすには水不足の実態を伝え、水道料金を引き上げ節水を奨励する必要がありますが、政府は水道料を人為的に低く抑えています。



政府の政策がかくもちぐはぐなため、信じがたい事態も生じているようです。

大量の冷却水を必要とするデータセンターのそのうち全体の41%が干ばつの影響を受けやすいところにあったり、大量の水を必要とする石炭火力発電所の多くも似た状況にあります。

北部の乾燥した河北省はかつてラクダの隊商が行き来した地域ですが、そこに今はスキー場を建設し人工雪を降らせています。



また、いくつかの省は水利権を取引する市場を立ち上げる計画に参加していますが、その市場はあまり機能していないようです。

水利権を担当していた時にJICAの仕事で水利権の講習会の講師として中国に行きましたが、当時も水利権の売買に関心があって多くの質問を受けたことを思い出します。



いずれどこかで水の危機が発生し、それが広範囲に電力不足と食料価格の高騰を招く事態は避けられそうにないようです。
posted by 川上義幸 at 17:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2024年08月06日

南シナ海は米中の「関ケ原」

  南シナ海の安全保障をめぐり、米中の攻防が一層、激しくなってきました。

  中国は2013年以降、南シナ海に設けた複数の軍事拠点を足場に、支配海域を広げようとしています。

  これに対して、米国は外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)をフィリピンと開き、南シナ海で軍事拡張を続ける中国にそろって対抗していく姿勢をあらためて鮮明にしました。

  南シナ海はただの海ではなく、米中覇権争いの行方を決する「関ケ原」だからです。



  米国は南シナ海の重要性を次のように考えているようです。

  19〜20世紀初め、米国は欧州勢を追い出し、南北アメリカ大陸を支配しましたが、それが可能だったのは中心点にあるカリブ海を抑えたからだといいます。

  インド太平洋では、南シナ海がそんなツボであり、「カリブ海」に相当するわけです。

  逆に言えば、南シナ海が中国の勢力圏に入ると、いずれインド太平洋も支配されてしまうという切迫感が米国にはあるようです。

  そして、中国も似たような視点から、南シナ海を重視しているとみられます。



  南シナ海が実態的にそこまで重みをもつ理由が主に2つあって、第1に南シナ海は世界の公益を支える大動脈となっています。

  世界で取引される貿易商品の約1/4が南シナ海を抜けていき、原油と液化天然ガスで見ると、全貿易量の約1/3〜半分程度がこの海を通ります。

  もし南シナ海を中国が支配すれば、世界貿易の命運を握るシーレーンを管轄下に収めることになり、その分、中国は外交や安全保障上も各国への発言力を強めることが予想されます。



  第2に軍事的な影響も大きく、中国は米本土全体に届く核ミサイルを積んだ原子力潜水艦を南シナ海に本格的に配備しようとしています。



  中国はかねて、南シナ海のほぼ全域の管轄権を主張してきており、これについてオランダ・ハーグの仲裁裁判所は2016年、国際法の根拠はないと判断しましたが、中国による拡張の試みは止まりませんでした。

  日本など米同盟国は米国や東南アジアの国々と協力し、南シナ海の現状を保つ努力を強めるときです。

  中国が力ずくで南シナ海を自分の「内海」にするのを認めたら、影響は国際経済だけにとどまりません。
posted by 川上義幸 at 15:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2024年08月05日

AI社会の電力需要

2050年代には日本の人口が1億人を割り込む一方、電力需要は今より大幅に増えるかもしれないといいます。

AI技術の進展に伴うデータセンターなどの増加で、4割程度増えるとの予測があります。

AI利用が当たり前となる暮らしを支えるためには、省エネ技術の大幅な飛躍がカギを握りそうです。



国際エネルギー機関(IEA)によると、Chat GPTの回答にかかる消費電力はグーグルの検索に比べて10倍程度大きく、今後も処理データは増加の一途が見込まれます。

電力中央研究所は、人口が減っても、2050年までに最大で電力需要が37%増加すると予測し、地球環境産業技術研究所も最大で2050年に2019年比で30%程度増えると試算します。



地盤が強固で都市部へのアクセスもよい印西市は、ここ数年データセンターの建設計画が相次ぎ、現在のインフラ設備で送れる量を超える電力が必要となっています。

企業の要望に対応するため、東電パワーグリッド(PG)が県や市の同意も踏まえ地下に巨大トンネル作っています。

東電PGによると、印西市を含むエリア内に贈れる電力は当初110万キロワットでしたが、トンネルが運転を始めたことで170万キロワットに増え、それでもデータセンターなどの新規電力利用の申し込みは後を絶たず、必要な電力は200万キロワットにのぼり一層の増強が必要だといいます。



同市はデータセンター設置のための企業進出により、税収が大幅に増え、子育て支援など暮らしの向上につながる政策に使える財源も増えたといいます。

その一方で、データセンターの増加で電気代の将来負担が増えることは大きな関心事です。



通常、電力インフラにかかる費用は東電管内全域の利用者の電気代に広く薄く転嫁される仕組みです。

インフラ整備の負担は地元の自治体に集中するわけではなく、印西市の電気料金は急増していません。

ただ電力需要が大幅に増えインフラ整備が各地で増えれば、日本全体で電気代の負担が高まる可能性があります。



そこで解決策として期待されるのが省電力技術の発展です。

NTTは光で情報処理する新技術で、消費電力を1/100に抑える次世代通信技術「IOWN」の開発を進めています。



また、省エネ型の半導体や対応分野を絞った特化型AIなども電力効率を高める上で重要な技術分野になるとの指摘もあります。

適切な電力インフラの整備や省電力の技術開発と実用化を着実に進められることが肝要のようです。

posted by 川上義幸 at 21:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2024年08月01日

関係人口

  「関係人口」という言葉があるそうで、特定の地域に継続的にかかわる人々のことで、「観光以上、移住未満の関係性を持つ人」と表現されることもあるようです。



  関係人口が話題となるのは、移住を巡る議論が、移住するか、しないかという二元論に陥りがちだったことへの反省があるからといいます。

  「移住せずに地域に応援する」という選択肢もあるはずです。



  他の地域に関心を持たない人たちに、いきなり移住を呼びかけるのではなく、すでに関係人口化している人から始めて、無関心な人を巻き込んでいくという段階的なプロセスを考えるべきでしょう。

  これを「かかわりの段かい」と呼んでいて、例えば、無関心⇒地域産品の購入⇒ふるさと納税による寄付⇒頻繁な訪問⇒ボランティア活動⇒二地域居住⇒定住という段階が想定されます。

  移住者の増大は、この関係人口の厚みと広がりの上に生まれる現象だといえます。



  若者を中心に農村との多彩なかかわりが広がり、その一つの形として移住というという現象が生まれるようです。

  最近では、移住者の枯渇なども指摘されていますが、こうした裾野が広がれば、新しい可能性がまた生まれることにつながります。

  ただ、地域と関係を持つ人々を、移住候補者として捉えてしまえば、真の多様性を見失ってしまいます。



  「かかわりの段かい」の最後まで登らずに、ある段に留まる人もいるようです。

  頻繁に地域を訪ねてボランティア活動に汗を流しながらも、移住は当面の選択肢にはないといった若者もいます。

  ライフスタイルが多様化する中で、地域への関係性にも様々な選択肢が生まれています。

  そうした選択肢に気づいた人は、自分のやり方で地域とかかわろうとしているようです。



  関係人口は単なる移住候補者ではないことがわかりますし、都市と農村のつなぎ役として、新しい社会のキーパーソンと捉えるべきかもしれません。
posted by 川上義幸 at 14:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記