2024年11月29日

海の「CO2改修工場」

  米新興のキャプチュラは、2026年にも海水から直接二酸化炭素を回収する技術「ダイレクト・オーシャン・キャプチャー(DOC)」を商用化します。

  海水は大気中よりCO2濃度が高く、低コストで回収できます。

  同社は日本航空や日立製作所のベンチャーキャピタルも出資しており、日本での展開も計画しているようです。



  DOCは海が大気中からCO2を吸収し、ため込む性質を利用し、海中からCO2を回収すれば大気から新たに吸収するため、大気中の温暖化ガスを減らせる仕組みです。

  具体的な手順は、海上にプラントを設置し、ポンプのついた装置で海水をくみ上げ、この海水の一部に電気を流すと濃い酸性の海水ができます。

  酸性の海水を残りの海水と混ぜると、CO2が気体になり炭酸水となった海水をガス分離膜に通し、高濃度のCO2を気体として取り出します。



  キャプチュラは4月時点で総額4530万ドル(約70億円)の資金を調達しており、サウジアラビアの国有石油会社サウジアラムコや北欧石油大手のエクイノールのVCも出資しています。

  25年初めには、実証の最終段階となる大規模プラントをハワイで稼働させ、CO2の回収量は年間1000トンで、飲料工場や養殖業者などに販売します。

  26年の商用段階では回収量を1万トン超に増やします。



  プラントは原子力発電所や洋上風力に併設する形で提案し、発電時に余った再生可能エネルギーのみを動力に使います。

  そして、プラントを建設したいエネルギー企業などに技術のライセンスを販売します。

  また、プラントの運営事業者は回収したCO2を合成燃料の原料などとして外販できるほか、CO2の削減分をカーボンクレジット(排出量)に換えて収入につなげます。



  課題は採算性のようで、キャプチュラのDOCプラントは商用化段階でも回収コストが1トン当たり数百ドルとなる見通しで、政府の補助がないと収益化するのは難しいといいます。



  日本は海洋面積と海岸線の長さが世界6位の海洋国家で、DOCが普及する余地は大きいといいます。

  実際に日本では海の藻や海草を育てることで海中のCO2を減らす「ブルーカーボン」の導入は広まり始めています。
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2024年11月28日

テレビは中国

  テレビを買うなら日本企業のブランドという消費者行動は過去のものになってきたようです。

  代わりに選ばれるのは海信集団(ハイセンス)など中国企業のブランドです。



  中国は大量生産によるコスト競争力を生かし、2024年夏以降、日本での販売台数で過半のシェアを押さえました。

  中国勢が躍進する背景には、テレビの性能面の差異化が難しくなっていることがあります。



  2000年代初頭のブラウン管から液晶画面への切り替えや、11年のアナログ放送からデジタル放送への完全移行の時期には、消費者はテレビの大きさ・画質の違いをはっきり認識できました。

  ただ、この10年間ほどは有機ELパネルの普及や画面の大型化を競う動きはあったものの、視聴体験を塗り替えるような変化は起きていません。

  18年から高精細で臨場感のある映像が楽しめる4K・8K衛星放送が始まっていますが、地上波の対応は未定です。



  スマートフォンによる映像コンテンツの視聴が一般化し、大画面や画質への消費者のこだわりも以前に比べ薄れています。

  結果として、決め手はコストパフォーマンスとなります。

  こうした環境下で、中国勢は優位に競争を進めているようです。



  ネット配信映像とゲームだけ楽しめれば十分だとする消費者も増える中、今後はテレビとモニター、スマホやタブレットとの境目が一段と曖昧になります。

  AI機能に活路を見出そうとする動きがあって、パナソニックは視聴者の好みに合った映像コンテンツをAIが提案する新型テレビを開発しました。

  LGエレクトロニクス・ジャパンはAIで映像内の人間の顔を認識し、表情をよりリアルに表示するテレビを日本で発売しました。



  ただ、これらが視聴体験を一変させる機能だとは言い切るのは難しいようで、超高精細な16kテレビの開発も進みますが、一般的な家庭用サイズでは優れた映像化同化人間の目では識別できないという指摘もあります。

  日本の企業では、低価格競争にならない技術革新のタネ探しの苦悩が続きます。
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2024年11月27日

熊本へ進出したTSMCとどう向き合うか

  スマートフォンやAIに欠かせない先端半導体の生産を請け負う巨大企業、台湾のTSMCは、熊本県にも進出し日本企業との連携や人材の確保を進めています。

  昨日、現地視察ということで、阿蘇の砂防事業と白川の河川改修事業を見に熊本へ行ってきました。

  その途中にあるTSMCの新設工場やその関連の住宅施設を車窓から見てきましたが、行くたびに風景が変わっていくようです。



  1987年に設立されたTSMCですが、当時の半導体業界は開発から生産まで一気通貫で手がけるのが主流でした。

  その中で「ファウンドリー」と呼ばれる半導体の受託生産を担うビジネスモデルを確立し、規模を拡大させてきました。

  今では半導体の受託生産の分野で世界の出荷額の半分以上を占める最大手です。



  とりわけスマホやAIに欠かせない先端半導体をコストを抑えて大量に製造する技術に強みがあます。

  半導体の性能を高めるためには回路の幅を「ナノメートル」(1ミリメートルの100万分の1)の単位で細くする技術が重要になりますが、この企業は3ナノメートルという微細な回路の先端半導体を量産できるのが売りです。

  この高い技術を武器にアップルの「iPhone」向けの半導体を生産し、AI向け半導体を手がけるエヌビディアからも受注しているとされます。



  そして今、日本で技術だけでなく人材の確保も進めています。

  ことし2月に第1工場を開き、来年3月までに第2工場の建設工事も始める予定です。

  工場を運営する子会社のJASMは、これらの工場であわせて約3400人の確保を目指しています。



  しかし半導体業界は深刻な人材不足で、危機感を持ったこの企業は、ことし初めて対面形式でのインターンシップを開催しました。

  ことし9月のインターンシップには電子工学を専攻する修士課程の学生など17人が全国から参加し、幅広い学生にこの業界の魅力を知ってもらい、将来の戦力になってほしいと期待を寄せます。



  また先月、都内のホテルで半導体の受託生産で世界最大手、台湾のTSMCがあるイベントを開きました。

  参加したのは、半導体の設計に必要なソフトウエアの開発などを行う日本企業や日本に拠点を置く海外企業、それに大学など約70の企業や団体です。

  そこで示されたのは、こうした企業などとの協業を進めるプラットフォームです。



  このプラットフォームでは、アメリカやヨーロッパなど世界の企業から半導体の設計に必要なソフトウエアなどの技術を集め、TSMCに生産を委託する企業に紹介するのが目的です。

  単に生産を受託するだけでなく、委託先と設計などを手がける企業の仲介役になることで、さらなる受注の増加につなげる狙いがあると見られます。



  AIや自動車といった今後の先端技術の開発に欠かせない半導体。

  TSMCが連携を深めようとする中、日本はどう向き合っていくべきなのか問われています。

  専門家は「TSMCみたいな一流のトップの企業が日本に来てくれるということをしたたかに利用するべきだと思う。いいものをどんどん取られておしまいではダメで、逆に利用するぐらいの戦略が必要だ」と指摘します。
posted by 川上義幸 at 15:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2024年11月26日

ふるさと納税、使い道を前面に出す動き

寄付金の使い道を事前に示すクラウドファンディング(CF)型のふるさと納税を採用する自治体が増えています。



ふるさと納税は故郷などの自治体を応援する趣旨で08年に誕生し、23年度は過去最高となる約1兆1000億円の寄付を集めました。

寄付金の使い道は原則自由で、寄付金を集めてから活用方法を考えたり、使いきれずに貯金したりするケースもあるようです。

自治体間の返礼品競争も激しく、自らの寄付が何に使われたかわかりにくく、制度の趣旨から外れていると
いう批判も出ていました。



CF型ふるさと納税は一般的なCFと同様に、具体的な活用方法と目標金額を示したうえで期間を区切って寄付を募ります。

批判が多い過度な返礼品頼みから脱却するためにも納税者の共感に訴える上でもCF型の採用が望ましいようです。



新潟県燕市は「雪が多い冬に子供が遊べる場所がない」という子育て世代の声を受け、屋内遊戯施設の建設を計画し、22〜23年度に計35億円を目標にCF型を実施し、約39億円を集めました。

25年春の完成を目指しており、寄付金の超過分は維持費に充てるということです。



山梨県富士吉田市は23年度にジビエの加工販売施設の建設費用を募りました。

富士山麓の樹木を食い荒らすシカの駆除を進めるためで、目標の2倍の4億4000万円を集めました。



石川県珠洲市と1月の能登半島地震と9月の豪雨災害の復旧・復興支援としてふるさと納税を募り、7億2000万円の寄付があったようです。



地域経済の振興に活用する自治体も増えていて、大阪府泉佐野市は地場産品の開発などに取り組む事業者を市内外から公募し、審査に通った案件に必要な費用をCF型で募り、集まった寄付の4割を補助金として交付しています。



自治体にとってCF型は通常より事業を選ぶ手間がかかるうえ、財源の自由度が低下しますが、専門家はCF型は地域のファンづくりにもつながりやすく、取り組む自治体は増えていくだろうと話しています。
posted by 川上義幸 at 05:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2024年11月25日

令和の結婚観

昭和の記憶は薄れ、平成も過ぎ去り、令和の今、結婚観は変化してきているといいます。

「夫は年上、妻は年下」「結婚は勢い」「夫婦は添い遂げるもの」、こうした価値観は当たり前ではなくなりました。

少子化対策をより難しくする一因となっています。



妻が年上の夫婦は増えていて、2023年に結婚した初婚同士の夫婦のうち24.8%は妻の方が年上で、右肩上がりで過去最高を更新しているようです。

20代の男性に限ると年上の妻は3割を超え、男性が女性を養おうとする結婚の形は減っているといいます。



背景には、男女が互いに経済力を求めるようになったことがあります。

男性が結婚相手の女性に望む生き方は「結婚し子どもを持つが、仕事も一生続ける」との回答が初めてトッ
プに立ちました。

かつて上位だった「専業主婦」や「結婚し子どもを持つが、いったん退職する」を上回りました。



30代で職のある男性は年収が高いほど未婚率が低く、30代で職のある女性では年収が1000万円以下は未婚率が4割前後でほぼ横ばいですが、1000万円をこえると未婚率が3割以下にぐっと下がります。

稼ぎが多い女性が結婚しにくいとされたのは過去の話です。

男性も女性も経済力を求める傾向が強まると、条件に合う相手を見つけるのはより難しくなります。



また、離婚件数のうち長年連れ添った夫婦が分かれる「熟年離婚」が2割占める時代になりました。



生涯未婚の人も増え、高齢の「おひとりさま」は珍しくないようになりました。

結婚観や家族観の変化を踏まえ、老後に備える資産形成の後押しや社会保障制度改革が急務となってきました。

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2024年11月23日

温暖化が変える食生活

地球温暖化が健康に及ぼす影響として、食生活に関する新たな指摘が注目されています。

気温上昇に伴って食習慣が変わり、胃腸を痛めるだけでなく食中毒のリスクが高まるといいます。

世界人口の約6割を占めるアジアで特に影響が大きく、日本人も無縁ではなさそうです。



温暖化の健康影響については大気や水の汚染による被害、熱中症をはじめ様々な影響が調べられています。

東大のロン・イン准教授は世界中の気候変動と食生活や健康に関する研究論文を総点検し、英ネイチャー系の科学誌に発表しました。



従来、干ばつや高温が農作物の不作をもたらし、食料不足や栄養失調を生む問題などは議論されてきました。

今回新たな指摘をしたのは、高温による食品腐敗や食習慣の変化の影響です。

暑さが食品の腐敗を促し、また暑くなると人の食欲は減退し、辛いものや冷たいものの接種が増えます。

欧米でなじみが薄いトウガラシを香辛料に多く使うアジアの食習慣に注目すると、辛いものを食べると、冷たい食べ物の接種が増えて胃腸を痛めるリスクも増します。



四川省出身のロン氏は日本での経験を語り、辛さの刺激が味と匂いの異変を隠し、腐敗に気づけず完食してしまったそうで、2年前に飲食店で食べた火鍋で食中毒に遭ったといいます。

食中毒は世界で毎年6億件ほど発生し、約42万人の命を奪っている言い、 摂氏37〜37度で繁殖しやすい「黄色ぶどう球菌」のような食中毒を生む病原体が温暖化によって繁殖し、リスクを増す可能性があります。



  気候変動の健康影響を巡っては、先進国・富裕層と途上国・貧困層との格差拡大が様々な点で懸念されていて、食料や水資源そのものの問題に加えて、脆弱なインフラは高温などの異常気象による被害を拡大させる要因となります。

  未整備な医療体制も拍車をかけます。



  格差を是正するのは簡単ではありません。

  冷房や空調設備などの整備が必要ですが、導入が進む程電力消費は増え、取り残された人は温暖化の影響をより受けてしまいます。
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2024年11月21日

ワカメ養殖、一石三鳥に

豊かな自然に恵まれ、野菜や肉などブランド食品の宝庫で知られる糸島市。

現在は朝ドラ「おむすび」の舞台となっていますが、番組の評価が低迷する中で糸島市そのものの魅力が視聴者に伝わっていないように感じます。



玄界灘に面した糸島半島では水産業が盛んで、ワカメの養殖にも取り組んできました。

ワカメそのものの販売に加え、ぬめり成分は化粧品や健康食品づくりに使い、海で吸収した二酸化炭素は排出枠として企業などに販売します。

漁業者の収入を安定させ、海洋生物にCO2を吸収させる「ブルーカーボン」も実現する一石三鳥の成果が期待されています。



ワカメを食用だけでなく、化粧品製造や脱炭素ビジネスなどに多重活用しようと仕掛けたのは美容関連企業、ヴェントゥーノです。

同社はワカメの根元部分の「メカブ」などに含まれるぬめり部分「フコイダン」を活用し、九州大学と協働研究しながら化粧品や健康食品を開発・販売しています。

同成分は免疫力を高める効果などが期待されるといいます。



ヴェントゥーノは同ブランドの商品開発に先立ち、糸島漁業組合と協定を結び、5年間にわたり漁協からメカブを継続購入する内容になっていて、商品開発の原料を確保しつつ養殖業者の収入を安定させることにつながっています。

協定ではワカメを使った脱炭素取引にも挑んでいて、近年は森林や海藻が吸収したCO2の排出枠を企業などが購入し、事業活動で排出したCO2と相殺する動きがありますが、それに積極的に取り組むといいます。



ただ、糸島産ワカメはこれまで正確な生産規模が把握されていなかったことから、藻場の現地調査を実施し、生産量⇒CO2吸収量を推定し、将来は金融機関と連携して九州企業を中心に排出枠を販売していく考えのようです。



糸島の周辺海域では地球温暖化の影響で異常繁殖したウニが海藻を食べつくす「磯焼け」も問題になっていて、排出枠販売で新たに生まれた収入を磯焼け対策に充てることで、持続的に水産業を営みやすい環境を整える狙いもあるといいます。

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2024年11月20日

国立劇場再開の危機

  “日本の伝統芸能の拠点”が危機を迎えています。

  東京・半蔵門の国立劇場が建て替えのため閉場してから1年が経ちますが、入札の不調が続き、再開場のめどが立っていません。

  背景にあるのは、今、全国各地で問題になっている建設費の高騰です。



  「ナショナル・シアター」が長期にわたって“ない”という異常事態に、伝統芸能の担い手たちも危機感を募らせています。

  1966年に開場した国立劇場は、歌舞伎を始め、文楽、日本舞踊、邦楽など伝統芸能の保存や継承を目的に、数多くの舞台が上演されてきました。

  老朽化による建て替えのために去年10月末に閉場しましたが、すでに1年が経っています。



  大劇場には、直径20メートルに及ぶ廻り舞台「盆」に、歌舞伎のあらゆる演目に対応できるようにと16ものセリがあります。

  俳優の登場やセットを転換するようなダイナミックな演出に存分に生かされてきました。

  舞台の下には、この廻り舞台を動かしたり、セリを昇降させたりするための、深さ13メートル、重さおよそ300トンに及ぶ国内有数の舞台装置が設置されています。

  劇場の心臓部とも言える装置ですが、半世紀以上にわたって使われ、レールにはひびが入るなど老朽化が進んでいました。



  国立劇場をめぐっては、劇場の建て替えをメインに、ホテルやオフィスなどの収益施設を合わせて建てるという計画が当初、発表され、2029年度中の再開場を目指し、ことし春には解体に着手、来年秋からは本体の工事  に着手する予定でした。

  しかし、全国的な建設費などの高騰を背景に、おととし(2022)、去年(2023)と2回連続で入札に至りませんでした。

  そして、事業者が決まらないまま閉場を迎えてしまったのです。

  ことし8月末には、事業者が入札しやすいよう、ホテルを併設するとしていたこれまでの必須条件を外すなど計画を見直す方針が発表されました。



  国立劇場は、閉場中も都内のホールなどを借りて、主催公演を行っています。

  ただ、自分たちの劇場ではないので、これまでのように長期にわたって会場を確保することは難しく、主催する公演数は閉場前と比べると半分以下になったこともあり、公演場所が毎回変わることもあり、常連客の足も遠のいているのが実情です。



  国立劇場を運営する日本芸術文化振興会は、それぞれの劇場に応じた演出に積極的に取り組みたいとしています。

  自治体と協定を結ぶなどして何とか会場を確保していますが、固定の劇場がないことによる困難を感じているといいます。
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2024年11月19日

大型物流施設が避難場所

全国で次々と建設される大型物流施設ですが、トラックが頻繁に出入りする無機質な巨大倉庫というイメージが大きく変わろうとしています。

どういうことかというと、災害時に地域住民の命を守る避難場所として活用する動きが広がっているのです。



2019年10月の台風19号で、東京都内を流れる多摩川が増水し、水害の危機が迫っていました。

川に隣接した府中市にある5階建ての物流施設には、不安を感じた地域住民が避難のために集まり、最終的に一晩でおよそ100台の車を受け入れ、施設側は急きょカフェラウンジを開放して、多くの住民が朝まで過ごしたということです。



開発したこの会社では、避難場所として物流施設を活用しようと、翌年の2020年から各地の自治体と正式に協定を結び始めました。

台風19号のこのケースは、その必要性を強く意識する経験になったといいます。



立地や構造上、防災に役立てやすいことや地域貢献の必要性があることから、物流施設と避難場所の親和性があるといいます。

大型物流施設は高速道路など幹線道路の近くに立地していることが多く、災害の際に物資の配送拠点としても機能しやすいほか、トラック用の通路を使うことで地域住民も車に乗ったまま避難が可能となります。



ある事業者は「物流施設には大型のトラックが頻繁に出入りし、騒音や排気ガスを出しているので地元から一種の迷惑施設と捉えられる。自治体によっては開発を嫌がるところもある」と明かします。

大型物流施設の建設には地元の理解が欠かせず、いざという時に役に立つ存在となれば、理解を得やすいというわけです。



大型物流施設を防災拠点として活用する動きは各地で広がっているようです。

トラックの長距離輸送の限界による物流拠点の分散化やネット通販の普及を背景に、物流施設はそもそもコロナ禍以降、増え続けていて、少なくとも全国90以上の施設が地元自治体と協定を結ぶなどして、住民の避難場所や支援物資の配送拠点といった防災機能を担っているようです。



防災に詳しい専門家は「全国で水害が多発する中で逃げ込める大規模な施設は貴重だ」としたうえで、防災拠点としての実効性を高める取り組みを進めてほしいとしています。

「住民側は近くの物流施設が避難できる施設なのかを事前に知っておく、事業者側と一緒に定期的に訓練をしておくことで、名実ともにより実効性のある防災拠点になっていくのではないか」ということで、地域住民とのつながりを日頃から深めることが大切になるというわけです。
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2024年11月18日

福岡空港の旅客数、最高

  2024年4〜9月期の旅客数が前年同期比11%増の1296万人で4〜9期の過去最高を記録した模様です。

  国際線のインバウンド需要がけん引し、25年3月には第2滑走路の運用が開始される予定で、今後も旅客増が続きそうです。



  25年3月期通期では国際線と国内線で計2622万人と、過去最高の更新を見込んでいます。

  25年3月には第2滑走路の運用が始まり、発着枠が拡大します。

  中期事業計画では28年度までに国際線を現在の6割増となる38路線に増やすとしており、東アジアや東南アジアと結ぶ国際線を中心に今後も往来が活発になりそうです。



  受け入れ体制も着々と整っていて、利用拡大を目指し、22年5月に着工した国際線旅客ターミナルビルの増改築工事が25年3月までにおおむね完了します。

  延べ床面積が従来の2倍になり、保安検査場や免税店エリアの拡大、各交通機関に乗り継げるアクセスホールの新設などを予定しています。

  インバウンド需要に対応した北部九州の玄関口として、福岡空港は着々と整備が進んでいます。



  以前、福岡空港に代わる新空港が津屋崎沖に建設が検討されていましたが、新空港は断念され、福岡空港を機能拡張させる現在の流れになっていきました。

  当時、将来的に福岡空港で対応できない機能を新北九州空港、佐賀空港で分担できないかということで、機能分担論が一つの議論の方向があったと思いますが、佐賀空港側からアピールがなされずに議論もされないままでした。


  当時は現在のようなインバウンド需要は想定外でしたが、現在話題となっている西九州新幹線の佐賀空港経由ルート案は、福岡空港が整備される前に3空港の機能分担が議論され北部九州における佐賀空港の役割(国際空港)が明確になっておれば、面白い構想だったように考えます。

  しかし、これだけ福岡空港の整備が進んでしまうと佐賀空港経由ルート案は魅力に欠け、費用対効果は期待できないかもしれません。



  福岡国際空港の25年3月期通期の純利益は41億円の最終赤字とになる見通しですが、国際線旅客ターミナルビルなどの増改築工事に伴い、撤去費など20億円程度の特別損失を計上するためで、従来予想からは29億円上方修正しました。

  26年以降、通期での黒字化が期待できそうですから、今後は着実な運営がなされそうです。



  地下鉄の国際線旅客ターミナルまでの延伸が計画されれば、さらに福岡空港の利便性は向上していくものと思われます。

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2024年11月16日

日本のコメ政策

  2024年夏、コメの小売価格が上昇し、、一部スーパーの棚からコメが消えました。

  政府は「コメは足りており、やがて新米が出るので心配はない」とのメッセージ出し続け、不安の解消に努めました。

  この事態を「令和の米騒動」と呼ぶ人も現れ、新米が出回る10月以降も高値が続いています。



  騒動の原因は基本的には需要と供給のミスマッチにあり、供給側では猛暑で白濁米が増えて1等米比率が低下し、主食用として流通する量が減少しました。

  需要側では、食品価格が上昇する中で相対的に割安感のあったコメの消費が伸びたのに加えて、新型コロナウィルス禍の収束によりインバウンドが増加し、外食需要が増えました。

  専門家は、この騒動は起こるべきして起こったといい、我が国の農政が国内需要だけを見た縮小均衡策をとっているからだと指摘します。



  今回のように、生産は順調なのに猛暑で流通量が減ったり、需要が増えたりといった予期せぬ事態が生じると途端に均衡は崩れてしまいます。

  そうなった際に、本来は政府備蓄米がバッファー役を果たすことになっていますが、今回は新米が出てくる時期でもあり対応しなかったようです。



  新米が出てくれば需給が緩和するので、当然価格は下がるはずでしたが、24年産米は前年より30%も高い値で推移しています。

  コメ価格は、まず全農・農協が農家から買い取る価格(概算金)が決められ、全農は総同時の高値のままに24年産米を決定しました。

  資材費が値上がりする中、コスト補填の意味合いもあり、農家には明るい話題のように見えました。

  政府が備蓄米を放出しなかったのも、需給が緩和し概算金が下がることを懸念したからでしょう。



  わが国の稲作政策の基本は、米価の維持にあり、需要減少に合わせ、減反で生産・流通量を減らす需給均衡策を半世紀にわたり取ってきました。

  専門家は、「わが国は本来、国内はもとより国際的にもコメで貢献できる国を目指すべきであって、成長を目指す農政の基本は、規模拡大や技術革新をしながらコストを低減し増産を図り、輸出を拡大することです」と指摘します。



  世界のコメ市場は出回りが少なく、他の穀物と比べ不安定で、日本が恒常的な輸出国として登場すれば、国際コメ市場の安定につながり、食料不足に悩む国々に貢献できることになります。
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2024年11月15日

中国「一帯一路」、南米で展開

  APEC(アジア太平洋経済協力会議)の首脳会議が15日、南米ペルーで開幕するのを前に各国首脳が続々と現地入りしています。

  APECの目的は「地域の成長と発展を持続し、世界経済の成長と発展に貢献する。 経済的相互依存関係の進展による利益の増進を図る。 開かれた多角的貿易体制の推進・強化を促進する」で、次期米国大統領のトランプ氏の目指す方向はそれとは真逆です。



  中国の習近平国家主席は14日、首都リマに到着し、ペルーのアドリアンセン首相の出迎えを受けました。

  ペルーは中国主導の経済圏構想「一帯一路」に参加していて、リマの北約60kmにある「チャンカイ港」には中国が巨額を出資していて、習氏はこの会議に合わせて開港式に出席します。



  ペルーの首都リマ郊外で、中国国有の海運大手の中国遠洋海運集団が過半を出資するチャンカイ港が昨日開港しました。

  アジアと南米を結ぶ貿易の大幅な効率化が期待され、南米の新たなハブ港となります。

  中国の広域経済圏構想「一帯一路」の南米での要になるとみられており、中国の影響力が増すことを米国は警戒をしています。



  チャンカイ港はリマの北方約60kmに位置し、世界最大級のコンテナ船も入港でき、南米最大のブラジル・サントス港をしのぐ規模になります。

  コンテナを運搬するクレーンは自動化されており、遠隔で管理されます。

  荷物の積み下ろしの効率化が見込まれ、中南米でも最新の設備を備えた港になるといいます。



  アジア向けの貨物の多くは現在、中米か北米を経由して積み替えられていましたが、同港が開港すれば南米から中国への輸送にかかる所要時間は35日から25日に短縮されます。

  ブラジルやペルー、チリなどの中南米の大半の国にとっては中国は最大の貿易相手国になっています。



  IMFなどによると、中南米の対中貿易額は過去20年間で39倍に急増し、貿易額全体における中国の割合は20年前の2%から16%にまで高まり、米国は同期間に52%から39%へとシェアを落としています。

  中国には外交上の思惑もあり、中南米は歴史的に米国の影響力が強かったのですが、米中対立が激しくなるなか中国は米国に対抗するためグローバルサウス諸国の取り込みを急いできました。

  中南米ではすでに22カ国が一帯一路に参加しています。



  米国などはチャンカイ港が軍事拠点としても利用される可能性を危惧しています  。



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2024年11月14日

日本よ、もっとアフリカへの投資を

  欧米や中国、新興国がアフリカ開発を急いでいます。

  最大の狙いはクリーンテクノロジーに不可欠な重要鉱物と将来の巨大な消費市場にあります。


  過度にリスクを嫌う日本は明らかに出遅れていて、アフリカ開発銀行(AfDB)総裁は将来の成長可能性に目を向け、公正なリスク評価を重視するよう訴えています。

  アフリカ開発銀行は多くの国が植民地支配から独立した直後の1964年に設立されました。

  先進国主導のアジア開発銀行(ADB)などと異なり、出資の過半数はアフリカ各国が握っていて、地域を代表する金融機関として大きな発言力を持っています。



  アフリカには世界が将来にわたって発展するための必要なものがすべてそろっています。

  電気自動車、再生可能エネルギーに必要なコバルトやマンガンの50%近くはアフリカにあります。

  2050年には世界の4人に1人はアフリカ人になりますし、食料供給に欠かせない未耕作農地の65%はアフリカにあります。



  世界の未来がアフリカにかかっていることを欧米や中国、新興国は認識していて、総裁は資金の確保が重要で、日本がアフリカを買い、アフリカに投資し、アフリカを理解することを望んでいます。

  そして、日本人はアフリカは投資リスクが高いと考えているのだろうが、それは現実的ではなく、過度のリスク認識は正確な知識や情報が欠けているゆえんだといいます。



  世界で最も急速に成長している経済圏20ヵ国のうち10カ国はアフリカの国々だと指摘します。

  アフリカの人口は現在の14億人から50年には25億人に増え、需要拡大という点で明らかにプラスです。

  アフリカ経済の歴史は常に未加工の原材料の輸出で、総裁はそれこそが貧困への入り口だと考え、リチウムイオン電池をアフリカで生産すれば、中国の1/3のコストで済むといいます。



  新型コロナウィルス禍からのアフリカ経済の回復が鈍く、各国にとって資金調達コストの重さが問題になっています。

  中国と共同で進めた無秩序なインフラ開発と巨額の借り入れで債務の返済に苦しんでいる国が多いからです。

  中国や欧州の経済的な搾取は今なお続いており、だからこそ対等なパートナーシップでアジアの経済発展を支援した日本への期待が大きいのでしょう。



  日本よアフリカを買えという総裁の思いがくみ取れます。
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2024年11月13日

独身の日

  一昨日、11月11日は、中国では独身を意味する数字の「1」が並ぶため、「独身の日」と呼ばれ、この日にあわせネット通販各社などが、毎年、大規模なセールを行っています。

  今年は期間を延長して10月前半から開始し、約1カ月間の「史上最長」の商戦となりましたが、中国経済を襲う消費不振の影響もあって、以前のようなお祭りムードは感じられなくなりました。



  独身の日セールは、2009年にネット通販最大手のアリババ集団が始めました。

  当初の「独身者が自分にプレゼントを贈る」という位置づけは薄まり、京東集団(JDドット・コム)など競合他社も追随して国民的な消費イベントになりました。

  従来は11月11日限定だったセールは徐々に期間が延ばされ、売り上げを確保するための措置とみられますが最近ではスタートが10月後半に繰り上げられていました。



  今年はさらに前倒しされ、またアリババは今年、300億元(約6400億円)の割引券も投入したものの、かつての熱気は感じられないということです。

  中国紙、第一財経日報が「一部の販売業者は独身の日セールの祝祭感が薄らいだと考えている」と指摘するように、 中国当局が進めた大手ネット企業に対する統制強化で販促活動が落ち着いたことに加え、不動産不況を背景とした景気低迷も影を落としているようです。

  不動産価格の下落が消費を冷やす逆資産効果もあり、高額商品は売れにくい状況にあります。



  第一財経は「独身の日セールでは理性的な消費傾向が見られ、コストパフォーマンスがより重視されている」と強調します。

  一方で、今回のセールで追い風と期待されるのは、政府が進める家電などの買い替え促進支援策で、中国語で「以旧換新」といいます。

  さらに近年、メーカーなどがSNSのサービスを利用して独自の販路を強化する動きも広がっています。



  百貨店やスーパー、インターネット販売などを合計した「小売業の売上高」は、ことし9月、去年の同じ月と比べて3.2%のプラスとなり、伸び率は前の月の2.1%から拡大しました。

  ただ、宝飾品や化粧品、衣類、酒やタバコなどがマイナスとなっていて、伸び率は依然として低い水準にとどまっています。



  また、中国の10月の消費者物価指数は去年の同じ月と比べて、0.3%上昇したものの、自動車やスマートフォンなどが値下がりしていて、デフレへの懸念が続いています。

  背景には、不動産不況の長期化で住宅価格の下落が続いていることに加え、若者を中心とした厳しい雇用情勢があるとされていて、ことし9月の16歳から24歳までの失業率は17.6%と高止まりが続いています。



  中国政府は、内需を拡大するため、企業の設備の更新や自動車の買い替えを促す対策などを進めていて、ことし7月には、およそ3000億元、日本円で6兆4000億円あまり補助金を拡充すると発表しました。

  ただ、消費を押し上げる効果は限定的だという指摘もあり、より大規模な消費刺激策を求める声が出ています。

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2024年11月11日

穀物版OPEC

先月の24日に閉幕したロシアや中国など有力新興国で構成するBRICSの首脳会議で、ロシアのプーチン大統領は加盟国間で穀物取引所を創設することを提案し、カザフ宣言に盛り込まれました。

多くの農作物の国際価格の指標となっている米シカゴ市場の支配力を弱める狙いがあって、産油国側の利益保護と拡大を狙うOPECの穀物版との見方が浮上します。



BRICSの構成国は農産物分野で強みを持っていて、ロシアは小麦の輸出国首位、ブラジルは大豆とトウモロコシの輸出量で世界首位です。

ロシアは豊作で余った小麦は最貧国に無償で提供するなど食糧面で新興・途上国を引き寄せる施策を取ってきました。

ロシアが国際価格指標の形成に乗り出す背景にあるのは、自国産の穀物が安値で取引されている現状への不満があるためです。



ロシアが念頭に置くとみられるのが、国際石油資本から石油産出国の利益を守ことを目的に1960年に設立されたOPECです。

BRICSはこれまでブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカでしたが、23年の首脳会議で拡大が決まり、今回の首脳会議はエジプトやイランなどが加わり9カ国となり、9ヵ国の人口は世界の人口の45%を占めるように
なりました。

加盟国組織としての価格交渉力を高めることで小麦や大豆といった穀物価格全体の値段を底上げしたい思惑があるようです。



ロシア以外の国にとってのメリットは見えづらく静観の国が多いようですが、新しい米大統領の下で米中貿易摩擦が悪化した場合、中国が同調に動く可能性はあると専門家は指摘します。

最も、産油国だけで作るOPECと違い、BRICSには穀物の輸入国も含まれていて、中国は世界最大の大豆の輸入国で、ブラジルや米国から大量の大豆を輸入しています。

ですから、 価格引き上げの思惑は必ずしも一致しない可能性があります。
posted by 川上義幸 at 08:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2024年11月09日

すい臓がん、早期発見

すい臓がんは初期の段階で症状はほとんど現れず、腹痛や食欲不振、黄疸などの症状が出る頃には、かなり進行していることが多いといいます。

5年後生存率を見ると、すい臓がんは男性8.9%、女性は8.1%となっており、肺がん(男性が29.5%、女性が46.8%)などに比べて極端に低くなっています。

日本ですい臓がんで亡くなる人は約4万人(22年)で、この20年で倍増し、胃がんと並びました。



このため、初期の段階に発見する技術の開発が広がっていて、名大発スタートアップのCraifは尿ですい臓がんを発見する技術の開発を進めています。

マイクロRNAという物質に着目し、これは尿や唾液、血液などに含まれる物質で、がんの増殖に関わっているとされています。

CraifはマイクロRNAを人工知能で解析してがんを検知し、病院と連携してすい臓がん患者と健康な人の尿を使って検証した研究では、9割の制度で判定できたといいます。



病院で診断補助として使うには、当局から医療機器として承認を得る必要があり、@すい臓がん患者Aすい臓がんと診断査定内リスクが高い人B健康な人の合計800人を対象にデータを収集し、26年中に申請し27年頃の実用化を目指しています。



すい臓は「暗黒の臓器」と呼ばれ、臓器のサイズが小さく、周辺の臓器に隠れてしまうため、微小ながんが見つけにくく、医療画像で見つかる大きさではすでに進行してしまって、手術が難しい場合が多くなっています。



がんを見つけるのが難しいとされていた画像診断で、効率的に発見する技術の確立が進んでいます。

国立がん研究センターはスタートアップのリンクメッドなどと、微小なすい臓がんを見釣れる検査薬剤を開発しました。

すい臓がんの細胞表面に現れるたんぱく質「EGFR」に強く結びつく薬剤を作りました。

患者に薬剤を投与し、PETで撮影すると、がん細胞にくっついた薬剤が反応することで、がん細胞を見つけやすくします。

3段階あるうちの臨床試験(治験)のうち、第1段階の知見をはじめ、第2第3の段階でデータを集め、承認申請を目指すといいます。



発見や治療が極めて難しいとされてきたすい臓がんですが、暗黒の臓器に光を当てる挑戦が佳境に入ってきたようです。
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2024年11月08日

立冬

  昨日、11月7日は立冬でした。

  立冬は「冬が立つ」と書くように、冬の兆しが見え始める時期にあたり、暦の上では、立冬から立春の前日(2月初旬)までが冬になります。



  立冬は、紀元前に中国で生まれた「二十四節気」のひとつです。

  「二十四節気」とは、1年を24分割し、それぞれに季節を表す言葉を付けた暦のようなもので、立冬はその19番目にあたります。

  ちなみに立冬の前は「霜降」、後ろは「小雪」と名付けられています。



  ちなみに「二十四節気」は、太陽の動きをもとに考えられており、月の動きをもとにした太陰暦と同じ時期から使われてきたようで、その精度の高さは現代人も驚くほどで、2016年にはユネスコの無形文化遺産に登録されています。



  昨日、大学時代のクラブの仲間とゴルフに行ってきました。

  穏やかな秋晴れの天気でしたが、午後からは北海道付近が冬型の気圧配置となっていたこともあり、冬を感じさせるひんやりした風が吹いてきました。
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             筑紫丘GCもやっと紅葉がきれいになってきました


  立冬は本格的な冬に向けた準備を始める時期で、衣類や寝具は冬物を用意し、こたつやヒーターなど暖房器具も準備しておくことが必要のようです。

  冬の始まりを告げる立冬は風邪をひきやすくなる時期でもあり、一週間前から風邪をひいてしまい、やっとのどの調子が戻ってきたようです。

  コロナやインフルエンザを心配して病院に行ってきましたが、陰性で安心しました。



  また、立冬の日は「ココアの日」でもあるようで、ココアはカテキンなどの栄養がたくさん含まれている健
康ドリンクです。

  この時期にはそのほかに、風邪の予防や体調管理に効果を発揮する健康的な食べ物が多いようで、まずはビタミンB、ビタミンCだけではなく、腸内環境の改善に効果のある食物繊維、疲労回復に効果的なクエン酸なども
豊富に含まれているリンゴがあります。

  ビタミンB12や鉄分が多く含まれる牡蠣も、立冬の時期ならではの食べ物です。貧血予防や疲労回復などに効果があり、免疫力アップが期待できる亜鉛も豊富に含まれているため、体調を崩しやすいこの時期におすすめ
のようです。


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2024年11月06日

中国発の低価格飲食店

中国初の低価格飲食店が東南アジアへの進出を強めています。



カフェ・スイーツチェーン大手の密雪氷城(ミーシュエ)は2018年以降、ベトナムやインドネシアなどで計3500店舗超に増やしています。

ベトナムの首都ハノイの店では、すれ違う客同士の肩がぶつかるほど窮屈な店に制服姿の高校生たちで賑わっていて、女子学生はアイスティー1杯でいつまでもおしゃべりに興じています。

ベトナムの学生たちにとって、学校帰りのミーシュエは社交場となっています。



売れ筋はアロエ入りレモンティー(100円)で、ドリンクメニューは総じて地場有力チェーン「トコトコ」に比べて3〜5割安いといいます。



中国初のミーシュエがベトナムに進出したのは18年で、ハノイやホーチミンなど学生の多い大都市に店舗を設け、瞬く間に若い世代を訴求しました。


インドネシアでも20年に初めて店舗を設け、2400店舗超まで拡大し、タイやフィリピンでも店舗を拡大しているといいます。



安さの秘訣は主要な原材料を中国で大量に生産する手法を取っていて、茶葉やクリーミングパウダーなどを子会社を通じて河南省の工場などで生産し、東南アジアに輸出しています。

スケールを生かして、コストを東南アジアの地場企業に比べて低下に抑えることができています。



ミーシェだけではなく、同様に中国資本のコッティコーヒーはタイに参入して、タイ最大のコーヒーチェーンであるカフェアマゾンの65%安くコーヒーを提供しています。


若者に人気がある火鍋店も出店が相次いでいます。



中国の景気悪化を背景に、これからも東南アジアへの進出が続くとみられています。

中国の飲食ブランドは国内のデフレ圧力を受け、商品価格が低下傾向にあり、少子化で将来的な市場縮小も見込まれる中、成長する東南アジアでの事業展開を拡大している模様です。

posted by 川上義幸 at 15:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2024年11月05日

陸上養殖サーモン

  海ではなく陸地で魚介類を人工的に育てる陸上養殖が日本で大規模な商業化の段階に入りそうです。



  丸紅が販売するサーモンが10月中にも店頭に並ぶほか、NTTグループは来年3月にもエビを出荷します。

  技術力と資金力を持つ大企業による大量生産で、水産のサプライチェーンが変わり始めました。

  まずは丸紅が富士山の麓にある養殖場から25年末までに計4700トン出荷する予定で、27年には国内最大規模
の年5300トンに増やします。

  全てすしネタに使うと仮定すると3億貫分に相当します。



  なぜ陸上養殖かというと、天然魚は地球温暖化や乱獲の影響で水揚げが安定しませんし、海面養殖は水温や寄生虫といった自然環境の影響があるほか、漁業権が必要で新規参入が難しくなっています。

  大手企業が資本力を生かして大規模に生産するには陸上養殖が最適というわけです。



  また、環境負荷の軽減に寄与する利点も大きく、この養殖場は「閉鎖循環式」と呼ぶ仕組みを採用しています。

  餌やフンで汚れた水をそのまま排水せず、バクテリア分解と散水で浄化し再利用し続けます。

  さらに、航空輸送を伴わない分、CO2の排出削減効果も見込めます。



  単純な生産コストは海面養殖な比べて割高ですが、大規模生産による効率化や消費地までの輸送時間短縮による鮮度の向上、環境負荷軽減などを総合的に考慮すると、十分に収益性を確保できるといいます。



  国内の陸上養殖サーモン事業は三井物産、三菱商事、伊藤忠商事もそれぞれ別のパートナーと組み参入し、いずれも今後3年程度で本格出荷が始まる見込みです。

  4商社合計で2万1300トンと、今の主要供給元のノルウェーからの輸入量約3万トンにせまります。



  自給率向上に一役買うだけでなく、追加の設備投資で生産量がさらに上乗せされれば輸出産業に育つ可能性も出てきました。
posted by 川上義幸 at 20:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2024年11月04日

認知戦

米大統領選の投票日が間近に迫る中、米国では中国発の世論工作の存在を示す報道が相次いでいます。

どちらかを勝たせるのが目的ではなく、双方への中傷や出まで対立をあおる内容といいます。

そこから透けて見える中国の真の「利」は、世論の分断がもたらす米国社会の混乱と民主主義の弱体化です。



中国のこうした世論工作は「認知戦」と呼ばれます。

相手の心理や価値観に働きかけて自国に有利な世論や状況を作り出し、人々の脳内にある「認知」という領土をめぐる戦いであり、陸、空、海、宇宙、サイバーに次ぐ「第6の戦場」というわけです。



中国にとって新しい概念ではないようで、毛沢東が唱えた「敵軍瓦解(敵は非正義との認識を広めれば内部から瓦解する)」や「三戦(世論戦、法律戦、心理戦)」の延長線上にあり、いわば中国共産党の御家芸といえま
す。

民主主義への脅威として日本でも警戒は高まりますが、認知戦の本質は戦わずして勝つとの発想にあります。



9月に広東省深圳市の日本人学校前で児童襲撃事件が起きた際、事件を巡る中国の世論は日本人の思いとは異なる方向に揺れ動いたといいます。

当初、中国のSNSでも児童を哀悼する声や「愛国でも許せない」との声が相次ぎましたが、流れが変わったのは「危険な反日情報を放置しないよう日本政府が中国政府に要求した」とのニュースが注目されてからです。

「日本は中国の言論を取り締まるのか」など、誤解に基づく反日的な声が盛り返したといいます。

加えて在日中国大使館が日本国内の自国民に「情勢を鑑み警戒を高める」よう求め、そこで一気に「反日の日本に行ったら何をされるかわからない」など主客転倒の認識が広がったようです。



もちろん日本政府の毅然とした対応は当然ですが、一方で「行き過ぎた愛国」に眉をひそめ、勇気ある声を上げていた人々を遠ざけるのは中国共産党を利するだけになりかねません。

「愛国」や「抗日」は中国共産党にとって統治の正当性の根幹をなすものであり、そこにくさびを入れるのは容易ではあのません。

そもそも認知戦は時間も手間もかかるものですが、日本ならではの「認知戦」に挑むことが必要のようです。
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2024年11月03日

老老相続

年齢の高い人同士で遺産が受け渡される「老老相続」が増えているようです。



遺産を相続する人のうち、60歳以上の割合は52.1%で、亡くなった人である被相続人は80歳以上が2019年に全体の70%と、30年前と比べると1.8倍に増えました。

想定以上の長生きに備えたり、将来の経済見通しが不透明で子や孫の生活水準低下を防いだりするため、遺産を残すケースが増えています。



貯蓄残高は高齢者で上昇傾向で、23年の貯蓄残高を世代別にみると70歳以上は前年比3.8%増で全世代平均の0.2%増と高くなっています。

家計部門は金融分野だけで2200兆円をこす資産を持っており、今後も高齢化が進み老老相続の構図は強まり、家計のお金が高齢層に滞留し、経済全体に有効に使われない可能性があります。



現在でも相続時期よりも早く資産を移転させる仕組みはあるにはあります。

2500万円までなら贈与税がかからず、祖父母が亡くなった時に納税する相続時精算課税制度があります。

住宅取得や教育資金、結婚・子育て資金では贈与非課税の制度もあります。

ただ、孫への教育資金でいえば一括贈与の場合1500万円まで非課税ですが、専用の口座を開いた上に入学金や授業料、習いごとなどすべての領収書を提示しなければならず手続きは煩雑です。



長生きで生じるお金のリスクを抑制することは重要で、より長く働くことができれば、収入増につながり、経済全体の人手不足も緩和されます。

66歳以降に公的年金の受給年齢を繰り下げることで、増額した年金を受け取ることができます。



社会保障制度を支える保険料や税金の多くは収入をベースにした負担となっていますが、収入はなくても資産がある人も所得ではなく金融資産を考慮した医療や介護負担を求める仕組みを作っていくことも検討されそうです。
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2024年11月02日

体調不良

  流域情報連絡会を開催した10月30日から熱っぽく体がだるく関節の痛みも出て、翌日かかりつけの病院に行ってきました。



  今年の6月に2回目のコロナ感染をしましたが、その時の症状に似ていたものですから、3度目のコロナ感染を覚悟していました。

  結果は陰性、インフルエンザの感染の疑いもなしということで、一安心をして帰ってきました。

  ただ、熱は微熱が続き、のどの痛みがなかなか治りません。



  今日から始まる唐津くんちへのご招待をいただいていましたが、やむなく欠席をさせていただきました。

  唐津神社の秋季例大祭「唐津くんち」の宵曳山(よいやま)については、昨晩からの北部九州は大雨に見舞われていましたから開催が心配されましたが、通常通りに実施されることになってよかったです。



  そういうこともあって、今晩は自宅で日本シリーズを見ようと、そしてホークスをしっかり応援しようと予定していましたが、雨で中止と決まり残念です。

  一昨日、体調がよければPayPayドームに応援に行く予定でしたがかなわず、ただ試合内容が最悪でしたから見に行っていたら興奮してまた熱を出したかもしれません。



  明日は何とか体調を戻し、ゴルフに行く予定です。
posted by 川上義幸 at 17:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記