2025年02月28日

ワンビル、文化を発信

福岡市・天神の大型複合ビル「ワン・福岡・ビルディング(ワンビル)」がほぼ完成し、開業まで約2か月となりました。

運営する西鉄は、多様な価値観がまじわる「創造交差点」をワンビルのコンセプトに掲げ、ビル内外を飾る126点の多様な現代アート作品をその象徴と位置づけしています。



ビル地下2階の外壁には、天神地区の歴史をたどる年表を掲示し、天神地区の歴史を400年さかのぼることができます。


地下2階から地上5階の商業エリアには、福岡ゆかりのアーティストの作品を集めました。


エスカレーター横の壁面を飾るのは、福岡市出身の陶芸家、鹿児島睦氏が制作した大型の象嵌タイル作品で、水中や陸上の多様な生き物が描かれているようです。


共用部には、美術家ソー・ソウエン氏やイラストレーターのトーヤメグ氏の作品が展示されることになっています。


商業フロアとオフィスフロアをつなぐ6階の「スカイロビー」には、若手の注目アーティストの立体作品が並ぶようです。

大小島真木氏が2017年から展開する代表作「鯨の目」シリーズの一つや、福岡在住のスミタキシロウ氏の絵画など、ダイナミックな作品が予定されています。


ビル18〜19階にはいるホテルには、国内外で活躍する現代美術家、舘鼻則孝氏の新作約80点が集結し、大川市の伝統工芸品「大川組子」の職人、志岐浩美さんの工芸品を展示するフロアもあります。



再開発でビルの新陳代謝が進む天神地区で、新たなランドマークとなるワンビルですが、西鉄は商業やオフィスといった機能にとどまらない文化発信拠点としての仕掛けづくりに力を入れているようです。

posted by 川上義幸 at 16:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2025年02月27日

ROE革命

  株主から託された資本を元手にどれだけ多くの利益を上げているかを示す、当期純利益を自己資本で割った数値の「ROE(自己資本利益率)」。

  その低さが日本株低迷の理由とされてきましたが、ガバナンス改革もあり改善へ向けた変化が出てきており、踏み込んだ効率スト成長戦略で「ROE革命」を本物にし、市場に活気を呼び込めるかが問われています。



  ROEは株主から託された自己資本をどう上手に生かすか、元手が同じ額なら、利益を多く出し続ける経営の方が優れています。

  「安定と継続」を優先しがちだったこれまでの考え方を振りほどき、もっと資本市場を意識して「効率と成長」を目指す経営へ脱皮することが求められます。



  企業分析ではROEを3つに分解すると、本業の利益率が高いか(事業マージン)、保有資産を効率よく使って売り上げに結びつけているか(総資産回転率)、借入金も使って事業を大きくしているか(財務レバレッジ)ですが、
日本企業がなぜ低いかというと、事業マージンのようです。

  低採算事業にしがみつかず、いかに高収益の事業を育て成長できるかが最大の課題です。



  米主要企業のROEは20%近くで、10%弱で足踏みの日本の2倍です。

  巨大IT企業が高い利益成長をリードし、研究開発や新規投資を常に競い、余計な資本を抱え込むことを避けています。

  産業の新人代謝が活発で、低収益の企業は買収の対象になるなど経営の停滞を許さないのが米国市場のようです。



  2023年に東京証券取引所が上場企業に対し、株価を意識した経営を要請し、そこから自社株買いや配当の増額が加速し、膨らんだ分母を絞る意味では前進と言えます。

  しかし、大事なのは分子を増やし続ける経営で、付加価値の高い事業を切り開くには研究開発や新規投資が欠かせません。

  ヒトへの投資も大事で、低収益の事業は思い切って手放し、強みのある事業で成長を目指す「選択と集中」が必要になります。



  日本企業のROEはなお10%を超えられないようで、競争力のある事業を生み、持続的な高ROEを目指す企業が増えることが日本株の長期上昇を支える条件になるようです。

posted by 川上義幸 at 15:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2025年02月26日

大学に迫る「2035年の崖」

大学の淘汰が本格化するといわれ、大学進学者数は推計で2035年以降に急減し、50年に現在の7割となりそうです。



中央教育審議会は、大学の規模縮小や再編・統合の促進等を内容とする「我が国の“知の総和”向上の未来像」を答申し、文科省は今夏までに今後10年ほどの改革案の工程表をまとめることになっています。

答申では、「あと10年あるではなく、たった10年しかない」と、「終わりに」にすべての大学関係者への警告がつづられています。

少子化対策として大学の無償化が拡大されますが、質の低い大学の「延命策」にならないよう厳格運用が求められます。


答申は「再編・統合や縮小、撤退を支援することが必要」と指摘し、設置認可や私学助成金の交付条件の厳格化などに取り組むべきとしています。



文科省はこれまで、「大学の自治」を尊重して来ており、03年に大学の設置審査を緩和し、新設を原則認めない抑制方針を廃止した経緯があります。

教育や経営状況を第三者がチェックする認証評価制度をスタートさせ、質の低い大学が自然淘汰されることを期待しました。

しかし、国公私立大は24年では20年前よりも15%増え、私立大の経営状況は悪化しつつあります。



また、大学の淘汰が進めば各校が担う役割は一層重くなり、答申は教育・研究の質を向上させる重要性も強調しています。

学部・収支の5年一貫教育の拡充を提案するとともに、在学中の学生の成長具合など、教育の質を測る指標の基づく新しい認証評価制度の導入を盛り込んでいます。


今後は地方を中心に大学の撤退が相次ぐ可能性があり、進学機会の確保も重要で、サテライトキャンパスの設置など都市部から地方への動きを促進することを掲げています。



教育の専門家は「答申は大学の現在の量的規模を何とか維持できるという幻想は捨て、質と量の双方の観点から将来像を検討すべきだとしている」という認識を示したうえで、「都市部に集積する中規模以上の大学は少子化に対する危機感が比較的薄い。こうした大学に改革に取り組んでもらうには、答申に盛り込まれた施策により教育の質がどう向上するのか、国が道筋を示す必要がある」と指摘します。



答申では、目指す未来像として、「一人一人の多様な幸せと社会全体の豊かさ(well-being)の実現を核とした、“持続可能な活力ある社会”」とし、育成する人材像として「持続可能な活力ある社会の担い手や創り手として、“真に人が果たすべきことを果たせる力”を備え、人々と“協働”しながら、課題を“発見し解決”に導く、学び続ける人材」としています。

ごもっともなことで、このことをどのように具現化するかは大学自治だけに任せるのではなく、文科省の役割が大きいことを痛感させられます。
posted by 川上義幸 at 09:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2025年02月24日

カキ、水揚げ順調

  強い寒波で海がしけ、日本海側などの漁が少ない中、瀬戸内海で養殖カキの水揚げが順調のようです。

  豊洲市場には主産地の広島県や岡山県から大粒で質のよいカキが安定的に入荷し、卸値は前年同時期に比べ1割安いといいます。



  カキ漁序盤の昨年の秋には高水温で生育が遅れ、卸値も例年よりも3割高く始まりましたが、12月頃からは安定的な入荷があるそうです。

  豊洲市場ではマダラやカニ、マグロなど様々な魚介類の入荷が不安定な中、カキは水揚げも価格も安定し、小売店からの引き合いが強いようです。



  安定出荷に向けた産地側の努力も見逃せないようで、例えばカキの国内生産量の6割を占める最大産地の広島県が活用するのがデジタル技術です。

  広島県では年間2万トンを養殖できる海域がありますが、近年はその2万トンを下回る年が続いていて、卵から孵化した幼生を十分確保できなかったり水温上昇で死んだりする被害がありました。

  広島県はカキ養殖を支援するため、2021年から広島湾内に水温や餌となるプランクトンの量を測るセンサーを設置しました。

  漁師はスマートフォンの画面から海洋環境を常時把握し、いかだの場所を調整しながら、カキの居心地の良い海域で育てています。



  AIも取り入れ、中国電力が中心となって開発したカキ養殖支援アプリ「カキNavi」を活用しています。

  カキは6〜9月に親カキが一斉に産卵し、20日くらいたつと受精し幼生となって海水中の浮遊物に付着します。

  AIの画像識別を活用することでいつ、どこの海域で要請が多く発生しているか迅速にわかるようになりました。



  全国を見渡せば、供給が潤沢な産地ばかりではなく、第3位の宮城県は夏の高水温で多く死んで、今季の出荷量は例年の4割減となっています。

  三陸産は味が濃厚で、カキ好きな人が好む味で市場価値も高いそうですが残念です。



  カキは北海道から沖縄まで全国で養殖が盛んでブランド化が進んでいますが、海の環境変化で経験則が通じない場面も増えてきて、高水温に強い品種の研究やデジタル技術の活用などで、産地間の連携も重要になりそうです。
posted by 川上義幸 at 14:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2025年02月23日

富士山の日

  今日、2月23日は「富士山の日」です。

  昨日のネコの日と同様、「ふ(2)じ(2)さん(3)」と読む語呂合わせから、山岳展望や地図に関連するソフトを柱に、情報交換・啓蒙活動を行うインターネット上の団体「山の展望と地図のフォーラム(FYAMAP)」によって制定されました。


  また、静岡県と山梨県では、富士山の景観や歴史・文化を後世に引き継ぐことを目的に、両県の「富士山の日条例」で「富士山の日」を制定しました。。

  空気が澄んだ2月の時期は、富士山が美しく見えることにもちなんでいます。



  毎年2月23日には、富士山にちなんだイベント・キャンペーンが多数実施されているようです。


  また、2月23日の「富士山の日」は、富士山に注目が集まり、静岡観光や登山を想起させるきっかけになる日です。

  観光プランを企画・販売している方や、富士山に関するイベント・キャンペーンを検討している方にとっては特に、「富士山の日」を切り口として自社商品・サービスの魅力を伝える良い機会になることでしょう。



  今日も昨日からの寒さが続いています。

  北陸などの日本海側は、例年以上の積雪が続いていて、社会生活に支障が出ているようで、雪崩の危険性も増して、災害とならないことを願うばかりです。

  福岡も平地で雪が降ることはありませんでしたが、昨日から低温が続いています。


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  そんな中ではありましたが、今日のウォーキングは那珂川まで足を延ばしてみました。

  自宅から那珂川まで、そして那珂川の河畔を2km程度、トータル1万歩強の行程となります。


  今の時期の那珂川は富士山の景観と同様、河川の透明度が増していて、ウォーキングするには少し寒いですがすがすがしい気分となります。

  都心の中で憩いの場となっています。
posted by 川上義幸 at 16:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2025年02月22日

猫の日

  日本では猫の鳴き声「ニャン(2)ニャン(2)ニャン(2)」と読む語呂合わせから2月22日が「猫の日」となっています。



  世界猫の日もあるようで、理由は不明だが日付は8月8日で、イエネコから野生のヤマネコまで、ネコの保護について考える日とされています。

  アメリカに本部を置き、世界最大の動物愛護団体である国際動物福祉基(International Fund for Animal Welfare:IFAW)が2002年(平成14年)に制定しました。

  英語表記は「International Cat Day」または「World Cat Day」です。



  イギリスでは、「ナショナル・キャット・アワード」が開催され、その年で最も注目されたネコが表彰されるようです。


  その他、「猫の日」は世界各国で制定されていて、ロシアは3月1日となっており、アメリカは10月29日を「National Cat Day」、ヨーロッパの多くの国は2月17日を「World Cat Day」としています。



  今日は一日、寒かったですね。

  筑紫丘ゴルフ場は雪が舞い、グリーンは凍っていて、今年一番の厳冬でのゴルフとなりました。

  集中力を欠き、力んではダフリ、パットは無造作に打っては3パットの連続で、お寒いスコアとなりました。

  ただ最後のホールでは、ドライバーショット、セカンドショットが完璧で、楽々バーディをとったことが救いとなりました。



  こんな日は、猫はこたつで丸くなっているのでしょう。

  幼いころの情景を思い浮かべると、我が家にも猫がいて、こんな寒い日は猫がこたつで丸くなっていたようです。



  もうしばらく、寒さが続くようで、山王公園の梅の花は開花はしていますがなかなか満開にはなりません。
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2025年02月21日

アクアポニックス

新鮮な魚や、とれたての野菜を将来、「月面」で食べられないか、研究者たちが真剣に議論しているといいます。

鍵を握るのが、「月面養殖」を可能にするという注目の技術で、しかも、最適な魚の候補まで見つかっているといいます。



宇宙でどうやって魚を養殖するのでしょうか。

ヒントになる展示物が、2025年4月に開幕する大阪・関西万博の会場にある「大阪ヘルスケアパビリオン」にあり、「アクアポニックス」と呼ばれる生産システムの展示です。

現時点では中身は空ですが、開幕後は球体内の上部にリーフレタスやトマトなどの野菜のプランターが置かれ、土台部分に設けられた水槽には様々な種類の魚が泳ぐ予定だといいます。



アクアポニックスとは、水産養殖の「Aquaculture(アクアカルチャー)」と、水耕栽培の「Hydroponics(ハイドロポニックス)」を組み合わせた循環型の生産システムのことを指します。

1980年頃にアメリカで提唱された技術で、近年は環境負荷が低い食糧生産技術のひとつとして注目を集め、国内外のベンチャー企業などが活用に乗り出し、市場規模が拡大しています。



アクアポニックスの仕組みはこうです。

魚が泳ぐ水槽には、排せつ物などによって魚や植物に有害な「アンモニア」が蓄積されますが、水槽内には、アンモニアを「硝酸」という植物の肥料になる成分に分解するバクテリアも一緒に住み着いています。

この硝酸を含んだ水がポンプで汲み上げられ、設備の上部に設置されたプランターに給水されます。

植物は水に含まれる硝酸を肥料として吸収し、浄化された水はふたたび下の水槽に戻っていきます。


限られた水と肥料を循環させて持続可能な養殖と農業を実現するのが、アクアポニックスの強みです。

浄化装置の代わりに植物を使うことで、魚にとっても植物にとってもお互いに利益を得るシステムになっているといういます。



「資源を循環」させるという特徴を持つ、アクアポニックスですが、その活用が期待されているのが、地球からおよそ38万キロ離れた場所、月です。

人類がふたたび月を目指す国際月探査プロジェクト「アルテミス計画」で、アメリカのアポロ計画以来、およそ半世紀ぶりに、月面に宇宙飛行士を送り込む計画で、日本人宇宙飛行士2人による月面探査も予定されています。



この計画では、将来的に月面での長期滞在を想定していて、その際には、宇宙飛行士のための食料の確保が重要になってきます。

地上約400キロの国際宇宙ステーションに長期滞在している宇宙飛行士は、宇宙船で地上から届けられた宇宙食を食べて生活していますが、宇宙への物資の輸送には大きなコストがかかっています。



地球から38万キロ離れた月となると、そのコストはさらに大きく、水1リットルを月まで運ぶのに1億円かかるという試算もあるほどです。

そこでいま、アクアポニックスを活用し、月面で魚の養殖と野菜の栽培を行い、食料を“自給自足”しようという研究が進められているというわけです。

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2025年02月19日

北方領土は今

北方領土は、歯舞群島、色丹島、国後島、択捉島の4つの島があり、戦前は1万7000人余りの日本人が住んでいました。

しかし、80年前、旧ソビエト軍が侵攻し、現在も不法な占拠が続いています。



新型コロナやウクライナ侵攻の影響で、ビザなし交流は中止になり、墓参事業も見送られていて、いまは島に行くことはできなくなっています。



北方四島の衛星写真やSNSを分析すると、この数年で北方領土の開発が急速に進んでいる実態がみえてきました。

SNSや動画投稿サイトでは、ロシアが実効支配する北方領土の択捉島や国後島が、豊かな自然を体験できる場所だと盛んにPRされています。


択捉島のツアー会社は、「手付かずの自然」を体験できる島として、火山のふもとのハイキングや「温泉卵」づくりなどがセットになった3日間のツアーを販売しています。

国後島でもマッサージサービスが付いた宿泊施設が営業し、ロシアの主要都市からの行き方も説明しているなど、観光客を呼び込もうとする工夫が見てとれます。

地元メディア「赤い灯台」では、国後島を含む自然保護エリアでは2024年、5年前の3倍超となる約5000人の観光客が訪問したとしています。



観光以外の街の開発も進んでいます。

子どもたちが通う新しい学校の建設や道路工事も進んでおり、地域ではスポーツ大会も開催されるなど、インフラが整い、島の生活が豊かになっている状況がうかがえます。


根室市の花咲港は、ロシア近海でとれたウニを輸入する玄関口として知られています。

港に入る船舶の位置情報データを分析すると、ウクライナ侵攻後は少し頻度は減ったものの、いまもほぼ毎日ロシアの漁船が入港しています。


北方領土付近は良好な漁場で、ロシアの船によって水揚げされた魚が缶詰や切り身などに加工され、ロシア国内や韓国・中国に大規模に出荷されているということです。

こうした漁業開発に伴って、島では学校や病院などのインフラもロシア政府主導で急ピッチで開発が進んでいるといいます。



このように、かつては島に住む人が生活物資や医療サービスを日本に頼ることもありましたが、基盤産業である漁業が増強され、観光を含めた経済・社会の開発がさらに進み、日本と交流する意識も弱まって、よりロシア化が進んでいます。

経済面でも生活面でも日本への依存度がどんどん下がっているようです。



さらに、北方領土ではロシア軍による「軍事基地化」も進められています。

1970年代以降、択捉島と国後島に軍の地上部隊や地対艦ミサイル部隊が配備されるようになり、北方領土の軍事基地化が本格的に進んだということです。


近年、ロシア軍はアメリカへの抑止力として、北方領土の北に広がるオホーツク海で潜水艦によるパトロールを活発化させていて、オホーツク海と太平洋と隔てる千島列島がその海域を守る防衛線となっているといいます。



近年はウクライナ侵攻が長期化していることで、北方領土の基地の兵力や装備を一部移動させる動きがあるといいます。

専門家は「ウクライナ情勢をめぐりかつてないほど米ロ関係が緊張している」としたうえで、ロシアにとって北方領土の軍事的な意義が高まり、日ロ間の領土交渉をより一層難しいものにしていると指摘します。

posted by 川上義幸 at 14:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2025年02月17日

街ごと旅館

バブル期の過剰投資や施設の老朽化、後継者難など、全国の温泉地が課題を抱えています。

温泉地にある宿泊施設数は2022年度に1万2999カ所で、ピークの1995年度から約2割減り、苦境からの脱出には地域一丸での取り組みが欠かせません。



兵庫県北部の城崎温泉(豊岡市)では、70数軒ある旅館は比較的小規模が多く、「まち全体で一つの旅館」として魅力を高めてきました。

旅館は大浴場を設けずに、宿泊客に外湯利用券や浴衣などを提供して街歩きを促してきました。



「街ごと旅館」はデジタル分野でも進んでいて、新型コロナウィルス禍前から外湯の混雑状況をホームページで公開し、22年に旅館組合や市などで設立した豊岡観光DX推進協議会を通じて、加盟旅館の予約数や価格帯を収集し分析するシステムを導入しました。

地域全体の予約の動向は旅館などに提供され、例えば予約の多い日には残る客室を高価格プランに変えるなど需給に応じた値付ができます。



山口県の長門湯本温泉は10年前、温泉街が苦境にありました。

団体から個人へのニーズの変化に対応できず、宿泊客がピークから半減し、老舗旅館も経営破綻しました。

危機を感じた市は閉館した旅館を公費で解体し、跡地に誘致した星野リゾートに温泉街全体の再生構想案の策定も委託しました。



それをもとに、若手経営者らがカフェを設けたり、公衆浴場「恩湯」の運営を引き継いだりするなど、地元主体で回遊を促すまちづくりが進んでいます。

  取り組みは成果を上げつつあり、「にっぽん温泉100選」で上位に上がってきています。

  温泉街の変革は個別旅館の投資も促し、1部屋当りの売上高はコロナ前の2倍以上に高まっています。



  追い風が吹く中ですが、温泉地で働く人の確保は追いついておらず、人手不足対策でも域内連携が進んでいます。

  食事がなければ旅館の人員は半数ほどで済み、泊食分離で人手不足を補っているところもあるようです。
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2025年02月15日

筋トレで生涯現役を貫く

2050年代、のんびり暮らす老後のイメージは過去のものとなっているかもしれません。

定年の延長・撤廃が加速する中、生涯現役を貫くには体が資本となりますから、健康的に日常生活を送ることができる健康寿命を延ばすためにも筋肉量の維持が欠かせないといいます。

ある調査結果では、年1回以上筋トレをする人は1640万人とかでここ20年間で倍増しています。



24年12月に国が発表した22年の健康寿命は男性が72.57歳、女性が75.45歳でした。

シンクタンクが発表した「未来社会構造2050」は、技術革新によって50年に健康寿命が80歳まで伸びる可能性があると予測しています。

生産年齢人口の減少が続く中、働くシニア層は貴重な存在となり、70歳以上まで働ける企業の割合は23年の40%を超え、13年比で20ポイント超も高まりました。



シニアの雇用拡大は、企業側にとって課題も多く、シニア従業員の疲労やケガが増えれば、生産性の低下や人手不足を招くだけでなく、医療費の負担増にもつながりかねません。

社会保障全体の給付費は40年に169兆円に達し、15年比1.4倍に増大する見通しとなっています。



従業員の健康を企業の財産と捉える「健康経営」の重要性は高まるばかりです。

筋トレや食生活の改善を支援するほか、採用の呼び水とする企業も目立ってきました。


例えばクボタは、福利厚生の一環としてグローバル技術研究所に「チョコザップ」を開設し、年齢を重ねても健康で働ける環境を作りたいといいます。


厚労省も健康づくりのための運動に関する指針を改定し、高齢者を含む成人に運動目標を示し、週2〜3日の筋トレを推奨しています。

筋肉は老化防止に関係する生理活性物質を分泌するため、年齢を問わず筋トレを続けることが健康長寿に直結し医療経済効果も見込めるようです。



「人の一生は、重荷を負うて遠き道を行くがごとし。急ぐべからず」、健康オタクとされ、当時では異例の教えで75歳という長寿を全うした徳川家康の教訓は、未来の働く人たちの共感を得るかもしれません。

人生100年時代を見据えると貯金だけでは心もとないし、ダンベルという「重荷」を負って得られる「健康貯金」が国を救うことになるかもしれません。



筋トレに励む人は老若男女を問わず増加傾向にあるようで、老いも若きもジムで汗を流す「筋トレジャパン」の夜明けが近そうです。
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2025年02月14日

災害対策に女性の視点

能登半島地震から1年がたちましたが、大きな災害のたびに指摘されるのが、女性への視点が不足した避難所の運営です。

能登半島地震でも、生理用品などの備蓄の不足や、こうした物資を手渡すのが男性しかいないといった課題が指摘されていました。



これまでの災害を教訓に、群馬県内の自治体では、女性のニーズに配慮した新たな取り組みが始まっています。

このうち群馬県大泉町では、災害対策に女性の視点を入れる取り組みを始めています。

今年度(2024年度)から、防災を担当する「安全安心課」に初めて女性職員を配置しました。

また、町では女性のニーズに合わせた支援物資を扱う職員の必要性などを考え、避難所を担当する職員の男女の数が、ほぼ同数になるようにし、全国でも珍しい取り組みだということです。



群馬県内すべての35市町村を対象に防災担当部署の女性職員の数を調査したところ、その結果、半数を超える18の市町村で女性の職員が「ゼロ」と回答し、災害時の対応をする部署に女性が少ない実態が明らかになりました。



こうしたなか、先進的な取り組みを進めているのが高崎市です。

能登半島地震をきっかけに、今年度から女性の視点に立った防災対策を専門に行う部署「防災安全2課」を立ち上げました。

メンバー4人のうち、課長・係長・主事の3人が女性職員です。

この部署では、新たに女性向けの防災パンフレットも用意し、非常用の持ち出し品に生理用品を入れることや、避難所では死角になる場所に近づかないなどといった防犯対策もまとめています。



また、新たに取り組んだのが「持続可能な備蓄」です。

市では、これまで数多く備蓄できなかった女性用の生理用品などの衛生用品を、1年ごとに新しい物に入れ替えながら安定して確保できるよう、愛知県に本社がある大手薬局チェーンと新たに協定を結びました。

さらに、避難所を設営する際には、女性専用エリアを設定することなどを盛り込んだマニュアルを整備しました。



群馬県内では、このほかにも前橋市で、災害時に男性と女性の防災担当の職員が別々に仮眠できるスペースを設けるなど、女性職員が働きやすい環境の整備を進めているということです。
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2025年02月13日

観光地に地元割

日本屈指の観光地、北海道と沖縄県で地元住民を料金割引で優遇するリゾート施設などが増えているようです。

国の税金に頼らず民間企業が割引分は自己負担します。



ニセコで知られる倶知安町は東急不動産ホールディングスがスキー場のリフト券を通常より4割安くしました。

観光客が減る閑散期の需要を地域で埋め、収益基盤を拡充します。

登録したIDとマイナンバーカードを紐づけると「町民証明バッジ」が発行され、割引が受けられます。



ニセコで身銭を切った「地元割」が始まる背景には急激な物価高があります。

ニセコ東急はリフト券(一日券)を前年に比べ22%値上げしましたが、円安の恩恵を受けるインバウンドは日本円換算の料金値上げに一定の耐久性はあるものの、賃金の上昇が物価高に追い付かない地元の住民には打撃になります。



宿泊業や旅行業に携わる従業員の実質賃金は著名な観光地でも伸び悩んでいて、そのうえ、道路渋滞などオーバーツーリズムの問題もあり、住民の疲弊感も漂っています。

持続可能なリゾートをつくるうえで、様々な視点で住民と協業する必要があるようです。

倶知安観光協会では「住んでよし、訪れてもよし」具現化していくとしています。



北海道に先んじて「地元割」が普及した観光地が沖縄です。

沖縄ツーリストは25年以上前から県民向けの割安プランを扱っています。

バムローカルメディアは外資を含む県内リゾートホテルを中心に約100施設と契約、地元向けに「平均で半額程度の料金」で客室を提供し、23年度の利用者は約60万人だったようです。



  また、星野リゾートは北海道、沖縄に加え、高知県のホテルでも税金に頼らない地元割を実施しているようです。
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2025年02月11日

航空燃料不足リスク

2024年のインバウンドが過去最多を更新しました。

国は更なる伸長を目指しますが、航空燃料不足リスクが解消できておらずそれが障害となり、楽観できない状況にあります。



機動的な燃料調達を阻む石油業界の独特な旧習が壁となっているようです。

国内空港に新規就航や増便できなかった海外エアラインは24年7月に週140便ありました。

いったん週12便まで減少したものの、訪日需要の高まりで24年9月下旬は週63便まで再び増加しています。

現在は訪日客の受け入れが多い新千歳空港やTSMCの進出に沸く熊本空港など一部空港では今後の増便に見合うだけの燃料調達の懸念が残っているといいます。



リスク要因を探ると、空港会社と石油元売りがつばぜり合いを演じる姿があります。

航空燃料の取引における品質管理は、英国の非営利組織「ジョイント・インスペクション・グループ」の定めが世界の標準となっていますが、最近の改定で、出荷地点で燃料の「全項目試験」を実施すれば受け入れ地での検査は「簡易検査」で済ませられるようになりました。

しかし、一部の元売りは日本でも厳重に検査するように求め、航空燃料の輸入経路には2次基地と呼ばれる元売り各社の中間受け入れ施設でチェックを経て内航船で空港まで運ぶ流れになっていて、「安全第一」を盾に緊急直接輸入を阻んでいます。



成田空港では燃料不足で増便や新規就航を見合わせていたこともあって、成田国際空港会社(NAA)は伊藤忠商事の仲介の下に、直接、燃料を輸入する方策を実現しようとしても拒まれました。

どうも、元売りはこうした取引に介在することで、収益を稼げる構図となっている模様です。

NAAと伊藤忠が外航船で直接空港に運ぶ前例を作れば、大手元売りの独占的な商流が崩れるのではないか、との警戒感が募ったとしても不思議ではありませんが。



もちろん航空燃料不足の原因は元売りだけにあるのではなく、リスクを払拭できない重層的な問題が潜んでいるようです。

受け入れ基地から地方空港に燃料を運ぶ内航船の船員は国内籍に限るルールがあり、船員不足で輸送能力が落ちています。

内陸型空港に運ぶトラックの運転手や地上での給油人材も不足しています。


こうした要因がボトルネックとなり、全国的な航空燃料不足がいつ再燃してもおかしくありません。

業界横断でより機動的な調達ルートを構築しなければ観光立国で得られる国益を逃しかねません。


元売り自身も旧習を見直す柔軟性が求められているようですが。
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2025年02月10日

現金支払い、消えゆくアジア

アジアで現金決済が消えつつあります。

スマートフォンをかざすQRコード決済などの普及で、支払いに占める現金の比率は2027年に14%と19年比で1/3に下がります。



インドなどは政府主導の決済方式を推進し、米欧クレジットカード会社から主導権を取り戻す「決済ナショナリズム」に動いています。

同国で急速に普及する食材・日用品の宅配サービスはスマホ一つで注文から配達、決済まで完結し、現金支払いはむしろ敬遠されます。

インドの店頭での現金決済比率は、金額ベースで19年の71%から27年には10%に低下し、日本(27年に31%)を大幅に下回ります。



中国本土では現金比率は27年には3%まで下がる見込みで10億人超が利用する「アリペイ」などのQRコード決済が行き届いています。



アジアで「脱現金」は急速に進んでおり、14ヵ国・地域の現金支払い比率の単純平均を算出すると、27年は14%と19年比で33%低下し、欧州(12%)とほぼ肩を並べます。

スマホの普及が変化をもたらしたようで、東南アジアでは銀行口座を持たない人が多く、クレジットカードの保有率が低く、欧米に比べキャッシュレス利用は遅れていましたが、電話番号などがあれば利用開始できるスマホ決済が急速に浸透しました。



もう一つ、アジアのキャッシュレス化を後押しするのが決済ナショナリズムです。

米ビザや米マスターカードなど国際ブランドは決済代金の数%の手数料を付加し、顧客や店舗の膨大なデータも取得します。

インドや中国が政府主導でキャッシュレス化に取り組む背景には、自立した決済網を構築したいとの思惑もありそうです。



東南アジア各国はQRコード決済の国家間連携を強め、タイの「プロンプトペイ」やシンガポールの「ペイナウ」などが互いに使えるようになりました。

東南アジア各国は海外の決済システムに依存しない体制を作り、「アジア経済圏」を確立しようとしています。

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2025年02月09日

足し算を間違うAI

米オープンAIの「chatGPT」などの人口知能(AI)はわずか数年で急速に進化を遂げました。

法律や化学など専門的な質問にも即座に答え、難解なクイズもたやすく解きます。

しかし一方で、簡単な足し算を間違うなどの意外な弱点も見えてきました。



生成AIのブームを生んだ2020年のオーブンAIの論文は、学習に使うデータ量や、結果を出すのに使う変数が増えるほど性能が高まるとしています。

米テック大手などは資金を投じて生成AIの開発を競いますが、まだ賢さを身に着けたとは言い切れないようです。



スペインのバレンシア工科大学などの24年の論文は、巨大AIの弱点を指摘しています。

歴代のChatGPTなどに算数や地理などの問題を与えたところ、AIが大きくなるほど、約20文字を並び替える難解なクイズなどを正しく解きましたが、小学生でも解ける4〜5ケタの足し算をさせると、GPT-4などの巨大AIは頻繁に間違えたといいます。



バレンシア工科大学の教授は「新型のAIは複雑な問題の処理が得意だが、簡単な問題は間違う。信頼性や予測可能性の点で必ずしも賢くなるとは限らない」と話します。

AIが間違いを含む回答をつくる「ハルシネーション(幻覚)」はAIが文章を作るとき起きるようで、単語や文章の意味を理解せずに、初歩的な間違いをするようです。


巨大AIの過ちに学んで人間が無知を自覚し、事実確認に慎重に取り組む必要がありそうです。
posted by 川上義幸 at 14:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2025年02月07日

人工衛星・AIで水道管漏水調査

水道管や下水道管などのインフラ設備の効率保守の重要性は全国的に高まっています。

埼玉県八潮市では下水管の腐食の影響で道路が陥没し、トラックが転落する事故が発生したばかりです。

水道管でも老衰の発見が遅れれば、道路の陥没などを招きかねません。



福岡市は人工衛星画像やAIを活用し、水道管の漏水調査の効率化を進めていて、特殊な波長で宇宙から撮影した画像をもとに漏水の可能性があるエリアを推定し、AIで水道管内を伝わる音の大きさ(音圧)を解析して範囲
を絞り込みます。

交通量の多い道路付近など、人間の聴力に頼った従来の調査が難しい場所などで早期発見につなげるというものです。



もう少し詳しく説明すると、職員がパソコン画面に映し出されたヒートマップをチェックします。

ヒートマップは人工衛星画像をもとに作成されたもので、水道管が漏水している確率が高い場所が赤色で示されます。


人工衛星画像は、JAXAが打ち上げた「だいち2号」が撮影したマイクロ波を活用し、地表が乾いている時より湿った時の方がマイクロ波の反射が強くなる特性が漏水調査に向いているということです。

そうなると署員が現場に直行し、水道管の弁にセンサーを設置して回り、このセンサーはあらゆるモノがネットにつながるIoT技術を活用したもので、生活音が少なくなる午前2〜4時に毎日自動で水道管内の音圧を検知し、データをクラウドにアップロードします。


このデータをAIが解析し、パソコン画面に「漏水」の警告を表示し、職員が今度は現場に直行し、水漏れを止めるという流れです。

水道管調査の効率化に向け、福岡市が描くシナリオで、センサーやAIの導入から間もないこともあり実際に漏水の発見につながった事例は少なすようですが、今後大いに期待されます。



このほか福岡市は、老朽化した水道管の効率的な更新にも取り組んでいて、AIを活用して水道管の劣化を予測する実証実験を実施し根2023年度から本格導入をしているようです。


こうした取り組みが奏功し福岡市の23年度の漏水率は2.0%となり、政令都市級の大都市の中では最も低いといいます。

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2025年02月04日

ラーメン店、苦汁

輸入豚肉の高騰が止まらず、生産地である欧州では畜産事業者の収益悪化で減産が進み、日本国内の卸値は上昇トレンドが続いています。

大口需要先となるラーメン店では、他の食材も値上がりして経営環境が厳しくなり、2024年は倒産が過去最多となりました。



チャーシューに使う肩ロースは、輸入品の国内卸値が指標となるデンマーク産の場合で前年同月比で6%高となりました。


22年のウクライナ侵略をきっかけにした飼料高騰や人件費の上昇を背景に、欧州では食肉メーカーが工場閉鎖などのリストラを進めてきました。


消費国である中国も景気の停滞で調達意欲を後退させ、欧州では豚の生産規模が縮小しました。


加えて、日本の商社による調達コストは円安も重なり上振れしています。



1月になってドイツで飼育されていた水牛から家畜伝染病「口蹄疫」の感染が確認されました。

日本はドイツから豚肉を輸入していませんが、ドイツ産を購入していた韓国や英国などが周辺の生産国から調達しようと買い圧力を強めていて、現地の相場が上がり始めています。

豚肉の高騰が直撃しているラーメン店は、豚脂を使う背脂や麺などの食材の価格が上がり続けています。



帝国データバンクによると、ラーメン店の倒産は24年で72件あり、前年から19件増えて、新型コロナウィルス禍で営業自粛を求められていた20年の54件を上回り、過去最多を更新しています。


手軽に食べられるラーメンは「1000円の壁」があるといますが、1000円を超えると客足に影響があるため、価格転嫁が難しいようです。


インバウンドの影響もあって、福岡の人気のラーメン店はいつも行列が出ているようですが、その状況を見ていると、このようなラーメン店の苦汁は想像もつきませんでした。
posted by 川上義幸 at 20:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2025年02月03日

粗糖価格、安定に安堵

バレンタインデーのシーズンが近づき、チョコレート価格上昇が危惧されます。


その中で、原料の粗糖が安定し、砂糖の国内価格が上がりにくいのがせめてもの救いのようです。



穀物などの農作物を総称した「ソフトコモディティー」は、ロシアのウクライナ侵略や異常気象で最高値の更新が相次いでいます。

例外的に、価格の安定感が際立つのが砂糖の原料である粗糖です。



背景にあるのがブラジルの増産期待で、ブラジルは世界の粗糖輸出の5割を握ります。

24年は異常気象などによる供給懸念で、カカオ豆が1970年代につけた過去最高値を更新しました。

粗糖も2024年9月には一時高騰しましたが、これはブラジルで夏に干ばつが起こりサトウキビ畑で大規模な火事が発生したためで、しかし被害が限定的だとの見方が強まると価格は落ち着いたようです。



価格の安定感をもたらすのは供給力の強さで、コーヒーやカカオは生産国が熱帯地域などに偏っていますが、粗糖の主産地はインド、欧州、タイ、オーストラリアと南北の両半球に分布します。

ある産地で異常気象や地政学リスクが起きても、別産地からの供給が見込めます。

日本は主にオーストラリアやタイから輸入しているようです。



サトウキビは茎を切って植えれば繁殖するので、農家は生産しやすいのも供給面でプラス材料です。
posted by 川上義幸 at 13:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記