2025年02月27日

ROE革命

  株主から託された資本を元手にどれだけ多くの利益を上げているかを示す、当期純利益を自己資本で割った数値の「ROE(自己資本利益率)」。

  その低さが日本株低迷の理由とされてきましたが、ガバナンス改革もあり改善へ向けた変化が出てきており、踏み込んだ効率スト成長戦略で「ROE革命」を本物にし、市場に活気を呼び込めるかが問われています。



  ROEは株主から託された自己資本をどう上手に生かすか、元手が同じ額なら、利益を多く出し続ける経営の方が優れています。

  「安定と継続」を優先しがちだったこれまでの考え方を振りほどき、もっと資本市場を意識して「効率と成長」を目指す経営へ脱皮することが求められます。



  企業分析ではROEを3つに分解すると、本業の利益率が高いか(事業マージン)、保有資産を効率よく使って売り上げに結びつけているか(総資産回転率)、借入金も使って事業を大きくしているか(財務レバレッジ)ですが、
日本企業がなぜ低いかというと、事業マージンのようです。

  低採算事業にしがみつかず、いかに高収益の事業を育て成長できるかが最大の課題です。



  米主要企業のROEは20%近くで、10%弱で足踏みの日本の2倍です。

  巨大IT企業が高い利益成長をリードし、研究開発や新規投資を常に競い、余計な資本を抱え込むことを避けています。

  産業の新人代謝が活発で、低収益の企業は買収の対象になるなど経営の停滞を許さないのが米国市場のようです。



  2023年に東京証券取引所が上場企業に対し、株価を意識した経営を要請し、そこから自社株買いや配当の増額が加速し、膨らんだ分母を絞る意味では前進と言えます。

  しかし、大事なのは分子を増やし続ける経営で、付加価値の高い事業を切り開くには研究開発や新規投資が欠かせません。

  ヒトへの投資も大事で、低収益の事業は思い切って手放し、強みのある事業で成長を目指す「選択と集中」が必要になります。



  日本企業のROEはなお10%を超えられないようで、競争力のある事業を生み、持続的な高ROEを目指す企業が増えることが日本株の長期上昇を支える条件になるようです。

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2025年02月26日

大学に迫る「2035年の崖」

大学の淘汰が本格化するといわれ、大学進学者数は推計で2035年以降に急減し、50年に現在の7割となりそうです。



中央教育審議会は、大学の規模縮小や再編・統合の促進等を内容とする「我が国の“知の総和”向上の未来像」を答申し、文科省は今夏までに今後10年ほどの改革案の工程表をまとめることになっています。

答申では、「あと10年あるではなく、たった10年しかない」と、「終わりに」にすべての大学関係者への警告がつづられています。

少子化対策として大学の無償化が拡大されますが、質の低い大学の「延命策」にならないよう厳格運用が求められます。


答申は「再編・統合や縮小、撤退を支援することが必要」と指摘し、設置認可や私学助成金の交付条件の厳格化などに取り組むべきとしています。



文科省はこれまで、「大学の自治」を尊重して来ており、03年に大学の設置審査を緩和し、新設を原則認めない抑制方針を廃止した経緯があります。

教育や経営状況を第三者がチェックする認証評価制度をスタートさせ、質の低い大学が自然淘汰されることを期待しました。

しかし、国公私立大は24年では20年前よりも15%増え、私立大の経営状況は悪化しつつあります。



また、大学の淘汰が進めば各校が担う役割は一層重くなり、答申は教育・研究の質を向上させる重要性も強調しています。

学部・収支の5年一貫教育の拡充を提案するとともに、在学中の学生の成長具合など、教育の質を測る指標の基づく新しい認証評価制度の導入を盛り込んでいます。


今後は地方を中心に大学の撤退が相次ぐ可能性があり、進学機会の確保も重要で、サテライトキャンパスの設置など都市部から地方への動きを促進することを掲げています。



教育の専門家は「答申は大学の現在の量的規模を何とか維持できるという幻想は捨て、質と量の双方の観点から将来像を検討すべきだとしている」という認識を示したうえで、「都市部に集積する中規模以上の大学は少子化に対する危機感が比較的薄い。こうした大学に改革に取り組んでもらうには、答申に盛り込まれた施策により教育の質がどう向上するのか、国が道筋を示す必要がある」と指摘します。



答申では、目指す未来像として、「一人一人の多様な幸せと社会全体の豊かさ(well-being)の実現を核とした、“持続可能な活力ある社会”」とし、育成する人材像として「持続可能な活力ある社会の担い手や創り手として、“真に人が果たすべきことを果たせる力”を備え、人々と“協働”しながら、課題を“発見し解決”に導く、学び続ける人材」としています。

ごもっともなことで、このことをどのように具現化するかは大学自治だけに任せるのではなく、文科省の役割が大きいことを痛感させられます。
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2025年02月24日

カキ、水揚げ順調

  強い寒波で海がしけ、日本海側などの漁が少ない中、瀬戸内海で養殖カキの水揚げが順調のようです。

  豊洲市場には主産地の広島県や岡山県から大粒で質のよいカキが安定的に入荷し、卸値は前年同時期に比べ1割安いといいます。



  カキ漁序盤の昨年の秋には高水温で生育が遅れ、卸値も例年よりも3割高く始まりましたが、12月頃からは安定的な入荷があるそうです。

  豊洲市場ではマダラやカニ、マグロなど様々な魚介類の入荷が不安定な中、カキは水揚げも価格も安定し、小売店からの引き合いが強いようです。



  安定出荷に向けた産地側の努力も見逃せないようで、例えばカキの国内生産量の6割を占める最大産地の広島県が活用するのがデジタル技術です。

  広島県では年間2万トンを養殖できる海域がありますが、近年はその2万トンを下回る年が続いていて、卵から孵化した幼生を十分確保できなかったり水温上昇で死んだりする被害がありました。

  広島県はカキ養殖を支援するため、2021年から広島湾内に水温や餌となるプランクトンの量を測るセンサーを設置しました。

  漁師はスマートフォンの画面から海洋環境を常時把握し、いかだの場所を調整しながら、カキの居心地の良い海域で育てています。



  AIも取り入れ、中国電力が中心となって開発したカキ養殖支援アプリ「カキNavi」を活用しています。

  カキは6〜9月に親カキが一斉に産卵し、20日くらいたつと受精し幼生となって海水中の浮遊物に付着します。

  AIの画像識別を活用することでいつ、どこの海域で要請が多く発生しているか迅速にわかるようになりました。



  全国を見渡せば、供給が潤沢な産地ばかりではなく、第3位の宮城県は夏の高水温で多く死んで、今季の出荷量は例年の4割減となっています。

  三陸産は味が濃厚で、カキ好きな人が好む味で市場価値も高いそうですが残念です。



  カキは北海道から沖縄まで全国で養殖が盛んでブランド化が進んでいますが、海の環境変化で経験則が通じない場面も増えてきて、高水温に強い品種の研究やデジタル技術の活用などで、産地間の連携も重要になりそうです。
posted by 川上義幸 at 14:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2025年02月23日

富士山の日

  今日、2月23日は「富士山の日」です。

  昨日のネコの日と同様、「ふ(2)じ(2)さん(3)」と読む語呂合わせから、山岳展望や地図に関連するソフトを柱に、情報交換・啓蒙活動を行うインターネット上の団体「山の展望と地図のフォーラム(FYAMAP)」によって制定されました。


  また、静岡県と山梨県では、富士山の景観や歴史・文化を後世に引き継ぐことを目的に、両県の「富士山の日条例」で「富士山の日」を制定しました。。

  空気が澄んだ2月の時期は、富士山が美しく見えることにもちなんでいます。



  毎年2月23日には、富士山にちなんだイベント・キャンペーンが多数実施されているようです。


  また、2月23日の「富士山の日」は、富士山に注目が集まり、静岡観光や登山を想起させるきっかけになる日です。

  観光プランを企画・販売している方や、富士山に関するイベント・キャンペーンを検討している方にとっては特に、「富士山の日」を切り口として自社商品・サービスの魅力を伝える良い機会になることでしょう。



  今日も昨日からの寒さが続いています。

  北陸などの日本海側は、例年以上の積雪が続いていて、社会生活に支障が出ているようで、雪崩の危険性も増して、災害とならないことを願うばかりです。

  福岡も平地で雪が降ることはありませんでしたが、昨日から低温が続いています。


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  そんな中ではありましたが、今日のウォーキングは那珂川まで足を延ばしてみました。

  自宅から那珂川まで、そして那珂川の河畔を2km程度、トータル1万歩強の行程となります。


  今の時期の那珂川は富士山の景観と同様、河川の透明度が増していて、ウォーキングするには少し寒いですがすがすがしい気分となります。

  都心の中で憩いの場となっています。
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2025年02月22日

猫の日

  日本では猫の鳴き声「ニャン(2)ニャン(2)ニャン(2)」と読む語呂合わせから2月22日が「猫の日」となっています。



  世界猫の日もあるようで、理由は不明だが日付は8月8日で、イエネコから野生のヤマネコまで、ネコの保護について考える日とされています。

  アメリカに本部を置き、世界最大の動物愛護団体である国際動物福祉基(International Fund for Animal Welfare:IFAW)が2002年(平成14年)に制定しました。

  英語表記は「International Cat Day」または「World Cat Day」です。



  イギリスでは、「ナショナル・キャット・アワード」が開催され、その年で最も注目されたネコが表彰されるようです。


  その他、「猫の日」は世界各国で制定されていて、ロシアは3月1日となっており、アメリカは10月29日を「National Cat Day」、ヨーロッパの多くの国は2月17日を「World Cat Day」としています。



  今日は一日、寒かったですね。

  筑紫丘ゴルフ場は雪が舞い、グリーンは凍っていて、今年一番の厳冬でのゴルフとなりました。

  集中力を欠き、力んではダフリ、パットは無造作に打っては3パットの連続で、お寒いスコアとなりました。

  ただ最後のホールでは、ドライバーショット、セカンドショットが完璧で、楽々バーディをとったことが救いとなりました。



  こんな日は、猫はこたつで丸くなっているのでしょう。

  幼いころの情景を思い浮かべると、我が家にも猫がいて、こんな寒い日は猫がこたつで丸くなっていたようです。



  もうしばらく、寒さが続くようで、山王公園の梅の花は開花はしていますがなかなか満開にはなりません。
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2025年02月21日

アクアポニックス

新鮮な魚や、とれたての野菜を将来、「月面」で食べられないか、研究者たちが真剣に議論しているといいます。

鍵を握るのが、「月面養殖」を可能にするという注目の技術で、しかも、最適な魚の候補まで見つかっているといいます。



宇宙でどうやって魚を養殖するのでしょうか。

ヒントになる展示物が、2025年4月に開幕する大阪・関西万博の会場にある「大阪ヘルスケアパビリオン」にあり、「アクアポニックス」と呼ばれる生産システムの展示です。

現時点では中身は空ですが、開幕後は球体内の上部にリーフレタスやトマトなどの野菜のプランターが置かれ、土台部分に設けられた水槽には様々な種類の魚が泳ぐ予定だといいます。



アクアポニックスとは、水産養殖の「Aquaculture(アクアカルチャー)」と、水耕栽培の「Hydroponics(ハイドロポニックス)」を組み合わせた循環型の生産システムのことを指します。

1980年頃にアメリカで提唱された技術で、近年は環境負荷が低い食糧生産技術のひとつとして注目を集め、国内外のベンチャー企業などが活用に乗り出し、市場規模が拡大しています。



アクアポニックスの仕組みはこうです。

魚が泳ぐ水槽には、排せつ物などによって魚や植物に有害な「アンモニア」が蓄積されますが、水槽内には、アンモニアを「硝酸」という植物の肥料になる成分に分解するバクテリアも一緒に住み着いています。

この硝酸を含んだ水がポンプで汲み上げられ、設備の上部に設置されたプランターに給水されます。

植物は水に含まれる硝酸を肥料として吸収し、浄化された水はふたたび下の水槽に戻っていきます。


限られた水と肥料を循環させて持続可能な養殖と農業を実現するのが、アクアポニックスの強みです。

浄化装置の代わりに植物を使うことで、魚にとっても植物にとってもお互いに利益を得るシステムになっているといういます。



「資源を循環」させるという特徴を持つ、アクアポニックスですが、その活用が期待されているのが、地球からおよそ38万キロ離れた場所、月です。

人類がふたたび月を目指す国際月探査プロジェクト「アルテミス計画」で、アメリカのアポロ計画以来、およそ半世紀ぶりに、月面に宇宙飛行士を送り込む計画で、日本人宇宙飛行士2人による月面探査も予定されています。



この計画では、将来的に月面での長期滞在を想定していて、その際には、宇宙飛行士のための食料の確保が重要になってきます。

地上約400キロの国際宇宙ステーションに長期滞在している宇宙飛行士は、宇宙船で地上から届けられた宇宙食を食べて生活していますが、宇宙への物資の輸送には大きなコストがかかっています。



地球から38万キロ離れた月となると、そのコストはさらに大きく、水1リットルを月まで運ぶのに1億円かかるという試算もあるほどです。

そこでいま、アクアポニックスを活用し、月面で魚の養殖と野菜の栽培を行い、食料を“自給自足”しようという研究が進められているというわけです。

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2025年02月19日

北方領土は今

北方領土は、歯舞群島、色丹島、国後島、択捉島の4つの島があり、戦前は1万7000人余りの日本人が住んでいました。

しかし、80年前、旧ソビエト軍が侵攻し、現在も不法な占拠が続いています。



新型コロナやウクライナ侵攻の影響で、ビザなし交流は中止になり、墓参事業も見送られていて、いまは島に行くことはできなくなっています。



北方四島の衛星写真やSNSを分析すると、この数年で北方領土の開発が急速に進んでいる実態がみえてきました。

SNSや動画投稿サイトでは、ロシアが実効支配する北方領土の択捉島や国後島が、豊かな自然を体験できる場所だと盛んにPRされています。


択捉島のツアー会社は、「手付かずの自然」を体験できる島として、火山のふもとのハイキングや「温泉卵」づくりなどがセットになった3日間のツアーを販売しています。

国後島でもマッサージサービスが付いた宿泊施設が営業し、ロシアの主要都市からの行き方も説明しているなど、観光客を呼び込もうとする工夫が見てとれます。

地元メディア「赤い灯台」では、国後島を含む自然保護エリアでは2024年、5年前の3倍超となる約5000人の観光客が訪問したとしています。



観光以外の街の開発も進んでいます。

子どもたちが通う新しい学校の建設や道路工事も進んでおり、地域ではスポーツ大会も開催されるなど、インフラが整い、島の生活が豊かになっている状況がうかがえます。


根室市の花咲港は、ロシア近海でとれたウニを輸入する玄関口として知られています。

港に入る船舶の位置情報データを分析すると、ウクライナ侵攻後は少し頻度は減ったものの、いまもほぼ毎日ロシアの漁船が入港しています。


北方領土付近は良好な漁場で、ロシアの船によって水揚げされた魚が缶詰や切り身などに加工され、ロシア国内や韓国・中国に大規模に出荷されているということです。

こうした漁業開発に伴って、島では学校や病院などのインフラもロシア政府主導で急ピッチで開発が進んでいるといいます。



このように、かつては島に住む人が生活物資や医療サービスを日本に頼ることもありましたが、基盤産業である漁業が増強され、観光を含めた経済・社会の開発がさらに進み、日本と交流する意識も弱まって、よりロシア化が進んでいます。

経済面でも生活面でも日本への依存度がどんどん下がっているようです。



さらに、北方領土ではロシア軍による「軍事基地化」も進められています。

1970年代以降、択捉島と国後島に軍の地上部隊や地対艦ミサイル部隊が配備されるようになり、北方領土の軍事基地化が本格的に進んだということです。


近年、ロシア軍はアメリカへの抑止力として、北方領土の北に広がるオホーツク海で潜水艦によるパトロールを活発化させていて、オホーツク海と太平洋と隔てる千島列島がその海域を守る防衛線となっているといいます。



近年はウクライナ侵攻が長期化していることで、北方領土の基地の兵力や装備を一部移動させる動きがあるといいます。

専門家は「ウクライナ情勢をめぐりかつてないほど米ロ関係が緊張している」としたうえで、ロシアにとって北方領土の軍事的な意義が高まり、日ロ間の領土交渉をより一層難しいものにしていると指摘します。

posted by 川上義幸 at 14:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2025年02月17日

街ごと旅館

バブル期の過剰投資や施設の老朽化、後継者難など、全国の温泉地が課題を抱えています。

温泉地にある宿泊施設数は2022年度に1万2999カ所で、ピークの1995年度から約2割減り、苦境からの脱出には地域一丸での取り組みが欠かせません。



兵庫県北部の城崎温泉(豊岡市)では、70数軒ある旅館は比較的小規模が多く、「まち全体で一つの旅館」として魅力を高めてきました。

旅館は大浴場を設けずに、宿泊客に外湯利用券や浴衣などを提供して街歩きを促してきました。



「街ごと旅館」はデジタル分野でも進んでいて、新型コロナウィルス禍前から外湯の混雑状況をホームページで公開し、22年に旅館組合や市などで設立した豊岡観光DX推進協議会を通じて、加盟旅館の予約数や価格帯を収集し分析するシステムを導入しました。

地域全体の予約の動向は旅館などに提供され、例えば予約の多い日には残る客室を高価格プランに変えるなど需給に応じた値付ができます。



山口県の長門湯本温泉は10年前、温泉街が苦境にありました。

団体から個人へのニーズの変化に対応できず、宿泊客がピークから半減し、老舗旅館も経営破綻しました。

危機を感じた市は閉館した旅館を公費で解体し、跡地に誘致した星野リゾートに温泉街全体の再生構想案の策定も委託しました。



それをもとに、若手経営者らがカフェを設けたり、公衆浴場「恩湯」の運営を引き継いだりするなど、地元主体で回遊を促すまちづくりが進んでいます。

  取り組みは成果を上げつつあり、「にっぽん温泉100選」で上位に上がってきています。

  温泉街の変革は個別旅館の投資も促し、1部屋当りの売上高はコロナ前の2倍以上に高まっています。



  追い風が吹く中ですが、温泉地で働く人の確保は追いついておらず、人手不足対策でも域内連携が進んでいます。

  食事がなければ旅館の人員は半数ほどで済み、泊食分離で人手不足を補っているところもあるようです。
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2025年02月15日

筋トレで生涯現役を貫く

2050年代、のんびり暮らす老後のイメージは過去のものとなっているかもしれません。

定年の延長・撤廃が加速する中、生涯現役を貫くには体が資本となりますから、健康的に日常生活を送ることができる健康寿命を延ばすためにも筋肉量の維持が欠かせないといいます。

ある調査結果では、年1回以上筋トレをする人は1640万人とかでここ20年間で倍増しています。



24年12月に国が発表した22年の健康寿命は男性が72.57歳、女性が75.45歳でした。

シンクタンクが発表した「未来社会構造2050」は、技術革新によって50年に健康寿命が80歳まで伸びる可能性があると予測しています。

生産年齢人口の減少が続く中、働くシニア層は貴重な存在となり、70歳以上まで働ける企業の割合は23年の40%を超え、13年比で20ポイント超も高まりました。



シニアの雇用拡大は、企業側にとって課題も多く、シニア従業員の疲労やケガが増えれば、生産性の低下や人手不足を招くだけでなく、医療費の負担増にもつながりかねません。

社会保障全体の給付費は40年に169兆円に達し、15年比1.4倍に増大する見通しとなっています。



従業員の健康を企業の財産と捉える「健康経営」の重要性は高まるばかりです。

筋トレや食生活の改善を支援するほか、採用の呼び水とする企業も目立ってきました。


例えばクボタは、福利厚生の一環としてグローバル技術研究所に「チョコザップ」を開設し、年齢を重ねても健康で働ける環境を作りたいといいます。


厚労省も健康づくりのための運動に関する指針を改定し、高齢者を含む成人に運動目標を示し、週2〜3日の筋トレを推奨しています。

筋肉は老化防止に関係する生理活性物質を分泌するため、年齢を問わず筋トレを続けることが健康長寿に直結し医療経済効果も見込めるようです。



「人の一生は、重荷を負うて遠き道を行くがごとし。急ぐべからず」、健康オタクとされ、当時では異例の教えで75歳という長寿を全うした徳川家康の教訓は、未来の働く人たちの共感を得るかもしれません。

人生100年時代を見据えると貯金だけでは心もとないし、ダンベルという「重荷」を負って得られる「健康貯金」が国を救うことになるかもしれません。



筋トレに励む人は老若男女を問わず増加傾向にあるようで、老いも若きもジムで汗を流す「筋トレジャパン」の夜明けが近そうです。
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2025年02月14日

災害対策に女性の視点

能登半島地震から1年がたちましたが、大きな災害のたびに指摘されるのが、女性への視点が不足した避難所の運営です。

能登半島地震でも、生理用品などの備蓄の不足や、こうした物資を手渡すのが男性しかいないといった課題が指摘されていました。



これまでの災害を教訓に、群馬県内の自治体では、女性のニーズに配慮した新たな取り組みが始まっています。

このうち群馬県大泉町では、災害対策に女性の視点を入れる取り組みを始めています。

今年度(2024年度)から、防災を担当する「安全安心課」に初めて女性職員を配置しました。

また、町では女性のニーズに合わせた支援物資を扱う職員の必要性などを考え、避難所を担当する職員の男女の数が、ほぼ同数になるようにし、全国でも珍しい取り組みだということです。



群馬県内すべての35市町村を対象に防災担当部署の女性職員の数を調査したところ、その結果、半数を超える18の市町村で女性の職員が「ゼロ」と回答し、災害時の対応をする部署に女性が少ない実態が明らかになりました。



こうしたなか、先進的な取り組みを進めているのが高崎市です。

能登半島地震をきっかけに、今年度から女性の視点に立った防災対策を専門に行う部署「防災安全2課」を立ち上げました。

メンバー4人のうち、課長・係長・主事の3人が女性職員です。

この部署では、新たに女性向けの防災パンフレットも用意し、非常用の持ち出し品に生理用品を入れることや、避難所では死角になる場所に近づかないなどといった防犯対策もまとめています。



また、新たに取り組んだのが「持続可能な備蓄」です。

市では、これまで数多く備蓄できなかった女性用の生理用品などの衛生用品を、1年ごとに新しい物に入れ替えながら安定して確保できるよう、愛知県に本社がある大手薬局チェーンと新たに協定を結びました。

さらに、避難所を設営する際には、女性専用エリアを設定することなどを盛り込んだマニュアルを整備しました。



群馬県内では、このほかにも前橋市で、災害時に男性と女性の防災担当の職員が別々に仮眠できるスペースを設けるなど、女性職員が働きやすい環境の整備を進めているということです。
posted by 川上義幸 at 16:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記